「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」作品集

祖父への手紙

おじいちゃんへ

西田 遼さん(15歳) 京都府京都市

一昨年の夏、あなたは突然いなくなってしまった。

その日は親戚中が集まって、お見舞いに行くはずだった。
道中、一本の電話が入った、あなたの危篤を知らせる電話が。
それから一日とたたず、あなたはこの世を去ってしまった。
あの時僕は、家に残るよう言われて、結局見送れなかった。
反対されようと会いに行けばよかったと、今でも後悔している。
僕が最期を見届けなかったことを、あなたは怒っているだろうか。  

そういえば、あなたは生前しょっちゅう怒っていた。その矛先は大概、祖母へ向けられていた。はっきり言って、夫婦仲が良くないことは僕にもよく分かった。でも、ガタガタなりにしっかり歯車がかみ合っているようだった。昔から、最後の最後まであなたと祖母は、折り合いが悪かったけれど、確かな夫婦愛というものを僕には感じられた。  

正直、僕達はあなたには手を焼いていた。亡くなる半年くらい前から、あなたは痴呆症にかかってしまった。一人では何もできなくなったあなたを支えるのに祖母や父、そして僕はかなり苦労した。祖母は「早く逝ってしまえばいいのに。」とこぼしたくらいだった。

しかし、実際いなくなってしまうと、大きな穴がぽっかり空いたようだった。僕はあなたが亡くなってから三日後に、ようやく会えた。絶対に泣かないだろうと思っていたのに、涙が止まらなかった。無心になろうとしても、いくつもの思い出が胸にあふれた。  

お葬式の最後に僕達みんなで、棺に入ったあなたの周りに花を並べた。最後の別れが惜しかった。僕は無意識にあなたの首筋にそっと触れた。その時、とくんと脈打ったのを感じた。それは恐らく錯覚で、僕の血流だったのだろう。しかし、あなたが何かを伝えたかった気もする。それが何だったか、今も分からない。

そして僕もあなたに伝えたい。
ありがとう、 僕は今日も元気です。


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