今は亡き父へ
父が教えてくれた事
お父さんとは、私が生まれてから、お父さんが居なくなるまで四十二年間ずっと一緒だったね。お母さんが、私が二十二歳の時に亡くなって、そのあと、お父さんとの関係性も深まったように思います。
私の結婚相手も理解のある人で、「マスオさん」として同居してくれたので、ますます、一緒にいる時間が増えたね。だから……いっぱい、いっぱい、喧嘩したね。本当の親子だから、いったん喧嘩になるとひどいんだよね。
主人が泣きわめく私を、お父さんの前から引きずって離したこともあったね。お父さんが、喧嘩の中で、言った言葉。
「口論でもな、相手にも逃げ道を用意してあげなあかんのや。」
その時は、なんて勝手な事を言っているんだろうと思ったよ。それがね、今になったらわかるの。相手をとことん追い詰めてはいけないと言う事を教えてくれたんだって。そのおかげで、私は多くの人との人間関係を壊さずにこれたと思うの。
お父さんはもう、この世界にはいないけれど、しっかり私の心の中には居て、私が人と関係性を結ぶときに、お父さんの教えが役立っているの。お父さんに注いでもらった愛のおかげで人を愛せる事が出来ています。
本当に、ありがとう。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。