今は亡き母へ
ママへ
ママに手紙を書くのは二度目です。
亡くなってから五ヵ月。そっちの世界には慣れましたか。
私はやっぱりまだあまり実感がありません。家に帰って誰もいなくても、ただ出かけているだけかなって気がします。
不思議だね。姿はみえなくても、この家には誰かいる気配がするし、最近は夢でママに「ここにいるのになんで気づかないんだよ」って怒られる夢をみました。みえなくてもこの家にいるから、実感がないのかな。
でも、何か困ったとき、今は左足の小指が骨折しているのでとても困っている、ママがいればなって思うことがあります。生きてるときはクソババアって思うことが多々あったけど、いないと少しさみしいかもしれません。
あっちの世界では元気に何も怖がることなく過ごせていますか。
十八年も闘病生活で、私たちには言わなかったけれど、怖かったことや辛かったこともあったでしょう。そういう思いが全部なくなって、お父と楽しく過ごしてくれたらいいなと思います。今度生まれてくるときは、病気とは縁のない人になれるといいね。
そのためにも、あっちの世界ではあんまりワガママ言わないように、優しい人になってください。
今、うるさいなって思ったでしょう。
知ってる。でもそれが、私のママなんだなって思います。次に会うときは、長生きしてください。
じゃあね。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。