今は亡き父へ伝えたい言葉
お父さんへ
お父さんが私に遺してくれた物。
借金。不器用な手先。大きい頭。弱すぎる三半規管。唯一褒められる白い肌。うーん。もっと役立ちそうなもの遺して欲しかったなあ（笑）
お父さんが急に居なくなって一年ちょっと。時々部屋覗いたら本読んでるかもと思ってしまう事があるんよ。居たら居たで怖いけど（笑）
認知症になってからは優しくなったり怒り出したり大変だったけど、仕事から帰ると「お帰り。疲れたじゃろ？」って出迎えてくれるの毎日凄く嬉しかったよ。私もお母さんも毎日の生活に必死すぎて、お父さんの事理解してあげられなかった。ごめんなさい。
一度認知症の病院で傷つけられて帰った後泣いて謝る私を笑顔で慰めてくれたね。忘れられない。
お父さんは亡くなった後私とお母さんに時間をプレゼントしてくれたのかもなあ。ただボーッとしたりのんびりする時間。二人ともずーっと気を張ってる状態だったから。
自分のお葬式。上から見てた？散々みんなに迷惑かけたのにみんな泣いてくれたよ。大好きな水森かおりさんの曲、葬儀屋さんにかけてもらって居酒屋さんみたいな感じだったわ（笑）でもみんな「こんなお葬式がいい」って。
やったね！
沢山のお花と大好きな本と宝物の孫娘たちの写真と旅立てたね。天国では認知症じゃないよなあ。しっかりお婆ちゃんに怒られながら日々過ごして下さい（笑）
私がお母さんを守るから。見守ってて下さい。
次生まれ変わってもお父さんの子供に……いや、やっぱり止めとくわ（笑）
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。