今は亡き父へ
お父さんへ
海を見るとおじちゃんを思い出します。
おじちゃんと初めてあったのは小学生の二年生くらいの時だったね。お母さんが離婚して初めて彼氏を紹介したいと言って歳が一つ下の大貴、まだ幼稚園児だった結衣、おじちゃんとお寿司屋で会ったのがまるで、昨日のように鮮明に覚えています。
それから、一度お母さんと別れはしたけど約五年間いろいろなことがあったね。おじちゃんは漁に一度でたら数ヶ月は帰ってこなかったから帰ってくる時はすごく嬉しかったよ。
釣りや遊園地行ったり、お祭りに連れてってくれたりキャンプした時は俺ら子供三人が溺れて大変だったよね。今だから笑い話です。一つ一つが本当に楽しかったよ。
俺ら子供三人にお母さん、お父さんと呼ぶよう強制しようとした時俺だけお父さんって呼ぶのが恥ずかしくて言えなくてごめんね。
お母さんと別れた時は寂しかったな。別れた後、何度かイオンで会っても他人行儀のような会話しかできなくてごめんなさい。
高校卒業する二週間前に電話くれたの嬉しかった。
「早いけど卒業おめでとう。大貴、結衣、勇気、三人とも俺の子供だから何かあったらいつでも頼れよ。後、お母さんを大切にな。それから彼女できたら何があっても大切にするんだぞ。」と言いたい事だけ言って切った電話がまさか最後の電話になるとは思ってもいなかった。
それから五年間、自分は遊びに夢中で全く連絡もしないまま、おじちゃんが海に落ちて亡くなったって聞いた。連絡しなかったこと後悔してます。
海に花束を流して『ありがとう』の気持ちを届けたお母さんの気持ちは届きましたか。
おじちゃん、俺のお父さんは生きてるけど父親の姿を見せてくれた人はおじちゃんなんだよ。
父親の愛情を全く知らずに育つはずだった俺が父親という存在を知れた。褒めてくれたこと、怒ってくれたこと、笑わせてくれたことすべてが俺にとっての父親の姿として残っています。
子供だと言ってくれてありがとう。お母さんを愛してくれてありがとう。
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より
「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。