「死んでもみんなを守る」僕はこの言葉をお父ちゃんの約束だと信じていました

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今は亡き父へ

約束を守ってくれた父

お父ちゃんは亡くなる前、「できるものなら、死んでもみんなを守る。」と言っていましたね。

僕はこの言葉をお父ちゃんの約束だと信じていました。困った時は、助けてくれると思ったんです。小学生時代のテストの前とか、中学生時代のバスケットの試合前とか、「お父ちゃん、良い成績にして下さい。」とお願いしましたね。

でも、結果は良かったり悪かったり。

「ちゃんと約束を守ってよ。」と言ったのを覚えていますか。

お父ちゃんが本当の力をみせたのは、お兄ちゃんの高校受験の時でしたね。一所懸命に勉強したのに公立高校は不合格でした。お母ちゃんは仏壇に向かって怒りました。「お父ちゃん、どうして助けてくれなかったの。」聞こえていましたか。

私立高校は合格しましたが、授業料が高いのでお母ちゃんは困りました。そんな時、お父ちゃんが救いの手をさしのべてくれましたね。お兄ちゃんの成績が良かったので、授業料がタダになったのです。おかげで最悪の事態は防ぐことができました。

助けてくれるのは本当に困った最後の最後なんだ。このことに気がついたのは、大人になってからです。

僕の大学受験の時でしたね。四校受けたのですが、滑り止めの大学にも入学金を納めなければいけません。お母ちゃんは心配しなくていいよと言いますが、貧乏暮らしの我が家にそんな大金はありません。それが、すべり止めの大学を次々とすべってしまったのです。どうなるかと思いきや一番の希望校だけ合格になりましたね。おかげで余分な入学金は一つも払わずに済みました。

こんなこともありましたね。バイク通勤の帰りに、右折車にぶつかって交差点の反対車線まで飛んでいきました。交通量の多い交差点だったのに、対向車は来ませんでした。バイクは大破したのに、僕は奇跡的にかすり傷だけでしたね。

最悪の事態になる前にお父ちゃんが助けてくれる。その自信がいろんなことに挑戦する勇気を与えてくれました。バスケットも空手も結婚も蕎麦屋も。

今回も、直腸に進行ガンが見つかったのに、転移もなく手術で治りました。お父ちゃんが亡くなってから五十七年になります。長い間、約束を守ってくれて本当にありがとうございます。

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」より

「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」は、父母、祖父母、先生、友人、近所の人など。“あの人”とかつて一緒にいた時に言えなかったこと、想い出や、“あの人”が亡くなった後に伝えたくなったこと、感謝の気持ちなどを綴ったお手紙です。

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