鉄道ファンのための“お別れ会”を考えてみた ~ 新しいお別れのカタチ「Story」


本記事は、2016年3月25日の記事を再編集したものです。

 

今回は、もしも鉄道ファンの方のお別れ会を開くとしたら?というテーマで、株式会社鎌倉新書の“お別れ会”プロデュースサービス、『Story(ストーリー)』が「鉄道ファンのための“お別れ会”企画」を考えてみました。

 

鉄道ファンの方にご納得いただけるよう、担当者が全力で考えたプランをご紹介します。

 

《プロローグ》
すべてはここから始まる。
電車そっくりな「電車棺」は作れるのか!?

 

ある鉄道ファンの方から「電車の車両そっくりな棺って作れるの?」というご質問がありました。

やっぱり最期まで、大好きな電車にこだわりたいという様子です。

そこで今回、「電車棺」は本当に作れるのか、仮屋崎省吾さんプロデュースの棺でも知られる棺メーカー「日本コフィン」(本社:広島県府中市)に確認しました。

 

その結果、「電車の形の棺を作ること自体は、技術的には全く問題ない」とのこと。

ただし、リアルさを求めるのであれば、棺にしたい電車を運行している鉄道会社に「そっくりな棺を作ってもいいですか?」と、事前に許可を求めることが必要とおっしゃっていました。

 

無事に許可が認められたと仮定すると、次の2つの方法で作ることができるそうです。

 

「電車棺」を作る方法
【その1】棺に電車の写真をプリントした布を貼る

まず、最もオーソドックスなものであれば、写真などをもとに画像を作成して、布に印刷し、一般的な四角い棺の周囲に貼って作成します。

この時、何度も印刷を繰り返し、発色などを確認しながら調整します。

また、ふたの部分と本体の部分とがきちっと合うようにするのにも、技術が必要になります。

依頼主のこだわりにもよりますが、作成にかかる期間としては、約1ヵ月程度かかるそうです。

 

「電車棺」を作る方法
【その2】電車の形に木を削る

もう一つの方法としては、木材を削り出して、電車の車両の形をよりリアルに再現するという方法があります。

材料は、「火葬することを考えると、一般的に棺に使用されているスプルース(日本では白松などと呼ばれているそうです)、もみ、桐などが良いでしょう」とのこと。

作成にかかる期間は、木の材質によっても異なりますが、半年くらいはかかってしまいます。

 

「どちらの製法にしても、ご希望される方がいらしたら、打ち合わせを繰り返しながら、時間をかけてきちんと作る必要があります」とのことですので、「電車の車両の棺」で眠るためには、生前から棺を作っておく必要がありそうです。

 

「電車棺」制作費は……100万円~200万円

ここで気になるお値段ですが、「棺を作るだけ」でも1本につき、100万円~200万円くらいの費用がかかりそうです。

たくさん作るのであればもっとお手頃な価格にもなるかもしれませんが、1本だけのオリジナルとなると、どうしてもそれくらいのコストがかかります。

それでも100万円と200万円では大きな差がありますが、これは「どこまでリアルに作り込むか?」によって変わるとのこと。製法や材質などによっても違いが出るそうです。

 

 

《第1章》
“お別れ会”の会場は……鉄道ファンの「聖地」で

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ファンともなれば、会場も普通の場所では納得がいきません。

やはり聖地を攻めてこその『Story(ストーリー)』です。

なお、ここから先は“お別れ会”ということで、お骨と遺影がメインのお別れについてです。

 

【Case1】もしも、鉄道系の博物館を貸し切ったら…?

やはり鉄道ファンの聖地と言えば、鉄道系の博物館ではないでしょうか?

本物の車両が展示してあったり、シミュレーターで運転を体験できたり、模型があったり、鉄道ファンでなくても楽しいスポットです。

そこで早速、埼玉県さいたま市にある「鉄道博物館」に問い合わせたところ、以下の回答をいただきました。

当館では通常営業終了後の夜間に「ナイトミュージアム」として、
2時間~を基本として貸切営業を行っております。
パーティを行ったり(ケータリングの会社をご紹介します)、記念撮影を行うなど、お別れの会としてのご利用にもご要望に沿えるかと存じます。

 

なんと、夜であれば貸し出てくれるとのこと。さすが『てっぱく』!!

 

鉄道博物館のナイトミュージアム(夜間貸切)が利用できるそうです。

利用時間は18時30分から20時30分までですが、30分単位の延長も可能とのこと。

D51シミュレーターも貸切なので運転し放題! 日本最大級のジオラマで故人のためのオリジナルプログラムも楽しめそうです。

 

ステンドグラス前での立食パーティ

食事も、鉄道関連の系列にはホテルやお弁当の会社もありますので、そういった所を利用してのケータリングが可能です。

立食パーティーもいいですし、さらに! 参加者が多い場合には、特別に駅弁の販売店を設置したりもできるそうです。

 

【Case2】もしも、駅直結のホテルを会場にしたら…?

駅に直結したホテルでの“お別れ会”は、普通に行われているようです。

大きなターミナル駅のホテルから、ホームを発着する電車が見えたりしたらテンションが上がりそうです。

都内の某鉄道会社系のホテルでは、すでに“お別れ会”の実績もあるとのこと。

部屋に香りが残ってしまうので、お焼香やお線香の使用はできませんが、鉄道模型を飾ったりはできるそうです。

 

費用については、今回お話を伺ったホテルでは「会場費+立食で、一人当たり1.5万円~1.6万円。会場費+着席のコースだと、一人当たり約2万円」とのことです。

もちろん祭壇や献花、お料理、お返しの内容などによっても変わってきます。

ちなみに、このホテルでは「残念ながら宴会場からは走っている電車は見えません」とのこと。

歴史ある巨大なターミナル駅そのものに価値を感じていただければ……というお話でした。

 

【Case3】もしも、電車を貸し切って会場にしたら…?

せっかくだし、やるんだったら走っている電車を貸切にした“お別れ会”をしたい!

ということで、全国の「貸切電車」サービスのある鉄道会社に問い合わせてみたところ、なかなか厳しい結果に……

「推奨することはできません」(つまり「不可」?)という回答をいただいたところでは、その理由として「高齢の方のご利用も多く、死を連想させる利用というのは好ましくありません」とのこと。

通常の社内広告などにおいても、お墓や葬儀に関するものなどは「制限」を設けているそうです。

 

しかし会社によっては、“お別れ会”の前例こそ無いものの、「派手になりすぎなければ車両の中を飾ったり、遺影の持ち込みくらいだったらできるかもしれない」とのこと。

やはり会の名称まで含めた、具体的な企画の内容次第ということのようです。

 

ただし、走っている電車を利用するだけあって、「これはダメ」という禁止事項もいくつかあります。

例えば「車内での飲食の禁止」や、利用中の撮影についても記念写真など参列者たちが個人で楽しむ分には問題ありませんが、Youtubeなどインターネット上で公開したり、営業目的の利用はお断りしているそうです。

そのほか、電車が混む朝夕のラッシュ時も、貸し切ることはできないようです。

 

【Case4】もしも、車両を買って会場にしたら…?

 

貸し切りが難しいなら、電車を買ってしまえばいい!

 

たしか以前、「千葉都市モノレール株式会社」(本社:千葉県千葉市)で、車両1両につき35万円くらいで販売していたはず!

移動にかかる費用や、そもそも「どこに置くのか?」など一切考えずに問い合わせたところ、「無事完売」とのことでした。。

 

【Case5】貸切電車の救世主「ことでん」

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もっと熱く鉄道ファンの夢に応えるには、もう一つ何かがほしい……

そろそろこの企画、挫折しそうになってきました…………でも、探せばきっと見つかる!

 

そして探し続けた先に、鉄道ファンの夢をしっかり叶えてくれる会場がありました。

それが、「高松琴平電気鉄道株式会社」(本社:香川県高松市)こと、通称「ことでん」です。
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「ことでん」のサービス精神は、正直すごい!

 

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まず、“お別れ会”の開催は「OK!」……まさかの即答です。

飲食も「OK!」。ケータリングなどで料理の持ち込みができます。

さらに、オリジナルのヘッドマークも作ってくれます(制作費のみ自己負担)。そのヘッドマークは記念に持ち帰れます。

車両基地見学も、20名~30名くらいまでなら問題ないとのこと。しかも、無料です。

参列者の中に小さなお子さんがいるなら、車内放送などの体験もさせてもらえるそう。

「遠く、時の輪の接するところでまた、お会いしましょう……」とか。車内放送で弔辞の奉読もできそうです。

そのほか、「ことでん」の名前を入れての情報発信も可。なんと、希望すれば電車の写真もいただけます!

 

極め付けは、ダイヤの調整までしてくれます!!

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例えば、2時間で戻ってきたいという場合、どのあたりで折り返すといったことも組んでくれます。

高松-琴平間を通常1時間20分で走るそうですが、そこを1時間で走ってしまうようなダイヤも可能とのこと。

 

気になるお値段ですが、これだけのサービスがついて、なんと高松築港―琴電琴平(「ことでん」における最長距離。片道1時間20分)でも6万円弱!(使用する車両や区間で異なります)

「ことでん」は四国なので、首都圏からはやや離れていますが、こんな“お別れ会”はなかなかできません。

 

これは間違いなく、買い!ではないでしょうか。

 

会場が無事に決まったので、次はいよいよお別れ会の中身です。

 

 

《第2章》
“お別れ会”の中身を考えよう

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会場の選定でやや力尽きた感はありますが、やはり中身にもこだわりたいです。

司会者の服装や口調などは最大限、本物の駅員さんに近いものを!
むしろプロの司会よりも、鉄道ファン同士のつながりの中で適任の方がいらっしゃるはず。

故人のご家族や“お別れ会”の主催者の方々と一緒に、形にしていきましょう。

 

故人とご遺族はミニSLで入場!?

故人の遺骨や遺影、またご遺族が、ミニSLに乗車して入退場することができます。

ただし会場によっては「絨毯を傷めない」などのルールがあるため、会場を選ぶ際にそうしたサービスを利用できるかどうか、事前の確認が必要になります。

こうした条件をクリアできれば、例えば都内の会場であれば、運転手も付いて1日約30万円で「人間が乗れる鉄道模型」を利用できます。

 

車両については、SL以外にもさまざまな種類があります。

ただし、“お別れ会”での使用となると、古い機関車などすでに走っていないものであれば問題はないようですが、今現在、現役で走っている車両を模したものを使用する場合には、電車そのもののイメージにも影響を及ぼす可能性があるため、「模型の元となった電車を所有している鉄道会社への確認が必要」となるようです。

 

料理は駅弁で決まり!

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鉄道の旅の醍醐味は、なんといっても駅弁

撮り鉄、乗り鉄、車両鉄、模型鉄……と、それぞれの専門分野に細分化してもきっと喜んでいただけるよう、全国各地の駅弁のなかから、故人のお好みのものをお取り寄せしましょう。

ただし、季節限定のものであったり、数量が限られていたりという場合もあるので、事前準備は必要です。

そのほか、鉄道系列会社のホテルや食堂などのケータリングなども楽しめます。

 

プラレールのローソクでお別れ

祭壇やメモリアルコーナーには、故人の大切なコレクションや写真を飾ります。

しかし、それだけでは普通の“お別れ会”と変わりません。

『Story(ストーリー)』全力で探したところ、「これは!」というローソクを発見しました。

 

プラレール(タカラトミー)のローソクがあるって、ご存知ですか?

「故人の好物シリーズ」(コーヒーやお酒、お菓子から金魚まで、故人が大好きだったものを、本物そっくりにローソクで再現したもの)でも知られる「カメヤマ株式会社」(本社:大阪市北区)が発売しています。

プラレールといえば、あの青いレールを部屋中にしきつめて遊んだという方も多いのではないでしょうか?

山手線や新幹線など、プラレールのローソク……祭壇のちょっとしたポイント、メモリアルコーナーの写真の横に置くだけで、雰囲気が楽しくなりそうです。

悲しい思い出だけじゃなく、楽しかった思い出話にも花が咲きそう。

 

夢が一気にふくらみます!

 

ということで調べてみると、本来は故人用ではなく、お誕生日のケーキなどに飾って楽しむもののようでした。

でも、お料理の横にちょっと飾ったり、“お別れ会”の後からでも、故人のお誕生日を祝うケーキに飾ったり、いろいろ使えそうです。

 

※「プラレール」は株式会社タカラトミーの登録商標です。

 

《第3章》
〆の返礼品も、もちろん鉄道グッズ

鉄道ファンのための“お別れ会”です。

集まってくださった方への返礼品もやっぱり、鉄道で決めたいところです。

そんな夢をかなえてくれそうなのが、数々の鉄道関連商品を世に出している株式会社立誠社(本社:大阪府大阪市)です。

いろんなグッズがありますが、まず目を引くのが鉄道車両をイメージした靴下、その名も「鉄下」。全国各地の電車が、かわいい靴下になっています。

 

新幹線の靴下も!

しかも、小ロットのオーダーメイドにも対応可能とか?

ぜひとも相談してみたいところです。

 

箸とフォークとスプーン!

帰り際ではなく、入り口でお渡しして「お食事は新幹線の箸で!」というのもいいかもしれません。

 

家に持って帰ったら、お子さんも喜びそうです!

 

《エピローグ》
駅長さんの格好をしたお坊さんに引導を渡してもらうことはできますか?

これまで鉄道ファンの方のために、“お別れ会”の企画を考えてきました。

しかし、“お別れ会”とはいえ、やはりきちんとした儀式としての側面も大切にする必要があります。

もしも、駅長さんの格好をしたお坊さんに「棺が閉まります、ご注意ください。故○○が発車します。オーライ!」と送り出してもらえたら、鉄道ファンだった故人はきっと、すぐにでも極楽に旅立てそうです。

 

そこで最後に、お坊さんに駅長さんの衣装を着て故人を送りだしてもらえるかどうか?と、これまでご縁があったお坊さんの中でも、もっともフランクに相談を聞いてくれそうなお坊さんに伺ってみました。

 

結果、「それは無理です!」……即答でした。

 

以下、お坊さんからのお返事です。

服装で何かをするというわけではありませんが、お葬式やお別れ会というのは、僧侶にとって、故人を最上級の心を込めて送り出す、大切な儀式です。
ですから服装も、その僧侶にとって最も上級な衣を着て行います。
儀式というのはやはり一定のルールにのっとって行われるもの。そのため、本来、駅長さんが着るべき衣装を僧侶が着てお葬式をするというのは、難しいでしょう。
こうしたルールが根底から崩れてしまうと、儀式としての意味が失われてしまいます。
儀式でない部分であれば、そうした衣装を身にまとうことはもちろん可能ですが、そうであれば僧侶として、その儀式に加わる意味は、もはや無いのではないでしょうか?
ただし、その人の生き方を表すという点については、宗派によって違いはあるかもしれませんが、例えば故人の人生を語る際に、鉄道がいかに好きだったのか?、乗鉄なのか、撮鉄なのかどのように愛したのか?、などを盛り込むことは可能でしょう。
また、法話の際にも、そうした故人らしさをお話させていただいて、送り出すことができます。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

『Story(ストーリー)』では、「新しいお別れのカタチ」をコンセプトに、故人を想う人が、故人との思い出を自由に表現する場を作るお手伝いをしています。

ライフエンディング事業を長年にわたって行ってきた株式会社鎌倉新書が責任をもってプロデュースいたしますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

お別れの新しいカタチ「ストーリー」

 

また、今回の企画については、それぞれの分野の専門家の皆様に、お忙しい中、多大なるご協力を賜りました。

本当にありがとうございました。

 

(文・構成 小林憲行)

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