【図解あり】お盆飾りセットの飾り方から片付けまで徹底解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

記事を先読み
  • お盆飾りを飾る期間は、7月または8月の13日から16日まで
  • 12日の夕方~13日の朝に飾り、16日の夜~17日中に片付ける
  • 以前はお盆飾りを使い回さないのが原則だったが、最近は使い回して問題ない

お盆飾りとは、お盆の時期にご先祖様の霊をお迎えするため、仏壇の前に特別な祭壇を準備して飾り付けたもの。お盆飾りをするにあたって、正しい時期や飾り方がわからない人は多いかもしれません。

この記事では、お盆飾りの飾り方から期間や片付け方法までわかりやすく解説します。

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お盆飾りはいつからいつまで?期間を紹介

お盆飾りを飾る期間は、地域によって大きく2つに分かれ、7月または8月の13日から16日まで

お盆飾りはお盆の期間中に飾られます。お盆飾りを飾る期間は、地域によって大きく2つに分かれ、7月または8月の13日から16日までです。できるだけ12日のうちにお盆飾りに必要なものの準備を済ませ、12日の夕方から13日の朝までに飾り付けを整えましょう

新盆を迎えたり、親戚が少し前にお参りに来たりするときは、少し早めに飾り付けをしても問題ありません。中でも盆提灯は、お盆のある月の上旬から飾って良いとされています。

ちなみに新盆(にいぼん)とは、四十九日の忌明け後初めてのお盆のこと。お盆飾りの片付けや整理は、ご先祖様を彼岸へお見送りし終えたあと、16日の夜または17日中に行います

菩提寺のない方へ。新盆のご供養に僧侶を手配します

お盆飾りは盆棚(精霊棚)を中心にする

お盆飾りでは、お仏壇にくわえて盆棚(精霊棚)と呼ばれる祭壇を設置します。盆棚を中心に置いたあと、お供え物をならべてご先祖様をお迎えするのが一般的。

また、盆棚の最上段にはお位牌をお祀りします。ご先祖様はお位牌を依り代にして帰ってこられるので、盆棚に盆提灯やお供え物を並べてご先祖様をおもてなしするのです。

なお、本来は二段もしくは三段の盆棚を準備するべきとされていますが、現代では一段飾りにするご家庭も少なくありません。

図解!盆棚を使ったお盆飾りの飾り方例を紹介

盆棚を使ったお盆飾りの飾り方例

ここからは、盆棚を使ったお盆飾りの例を図解つきで説明します。盆棚の飾り方は、地域や宗派、家庭によって違いがあるので、詳細は近くのお寺か菩提寺に尋ねるようにしてください。

まず盆棚は、一般的に仏壇の前に設置します。
盆棚の脇には、提灯を対となるように飾りましょう。

盆棚の最上段には位牌を置き、左右は盛花や霊前灯で飾ります

2段目には、御霊具膳やお団子など、お供え物を並べます。左右に霊前灯を置く地域もあるので、確認しておきましょう。

最下段には、お参りの道具や馬と牛、まこもなどを置きます。まこもを敷いた上に、きゅうりの馬となすの牛や水の子、季節の果物などを飾ってください。香炉や火立て、おりん、線香差しといったお参りの道具は、盆棚ではなく経机(経棚)に置くご家庭も多いです。

必要に応じて天井にも提灯を設置し、仏壇の横に十三仏の掛け軸も設置しましょう。 

準備や調達が大変な飾り付けですが、最近は、欠かせない飾りや棚がセットになったお盆飾りを購入できます。市販のお盆飾りを上手に活用しつつ、心を込めてご先祖様をお迎えしましょう。

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地域によっては水棚を飾る

地域によっては、盆棚に加えて水棚(みずだな)を飾ります。水棚とは、水の子(みずのこ)をお供えするために屋外に設置されるもので、無縁仏を供養するのが目的。水の子はきゅうりとなすを賽の目に切り、洗米をかけたものを蓮の葉に乗せたお供えです。

水棚は、設置する時期や飾り方が地域・宗派によって異なるので、普段お世話になっているお寺さんに確認してみましょう。

お盆飾りに必要なものと意味・飾り方

お盆飾りに必要なもの一覧

  • 盆提灯
  • 盆棚(祭壇)
  • まこも・蓮の葉
  • 精霊馬
  • ほおずき
  • そうめん
  • 水の子・閼伽水(あかみず)
  • 麻がら
  • みそはぎ
  • 十三仏
  • 砂盛り ※神奈川県の一部地域で使われる
  • 新盆の旅装束 ※神奈川・東京近郊の一部地域で使われる

一般的にお盆飾りとして広く用いられていて、必要とされているものを一覧にまとめました。

なお、お盆飾りの内容や飾り方については、地域や宗派によって異なる点が多く、浄土真宗のように、そもそもお盆飾りを行わない宗派もあるので注意が必要です。それぞれの意味や飾り方を見ていきましょう。

盆提灯

彼岸から帰ってくるご先祖様が、迷わず家にたどり着けるように飾るのが盆提灯です。家紋や植物などの意匠が描かれ、迎え火の役割を持ちます。吊すタイプと置くタイプの二種類ありますが、地域の習わしや住宅環境に合わせて選びましょう。

初盆(新盆)は白提灯を飾る

初盆(新盆)の場合は「白紋天(しろもんてん)」と呼ばれる白提灯を飾るのが一般的です。初盆とは故人様が四十九日後に初めて迎えるお盆のこと。初めて戻ってくる故人様の霊が迷わないように白提灯を設置します。

白提灯には目印の意味があるので、家の外の軒下に吊り下げるのが通例。集合住宅など、軒下に吊り下げるのが難しい場合は、カーテンレールにつるして室内に飾る方法もあります。

盆棚(祭壇)

盆棚は仏壇のそばに置かれる祭壇のことで、お盆飾りの中心にあたります。

本来は仏壇の前や横に二段~三段の盆棚を設置するのが正式とされますが、現代では仏壇の前に小机を置き、それを盆棚として用いるご家庭も多いです。

まこも・蓮の葉

お釈迦様がその上で病人を治療したといういわれを持つのが、まこも(真菰)のゴザです。

盆棚の上にまこものゴザを敷き、次に蓮の葉、その上に精霊馬や季節の野菜・果物、故人の好んだものなどをお供え物として置くのが、盆飾りの基本となります。

精霊馬

ご先祖様の乗り物として、キュウリと茄子で馬と牛をかたどったものが、精霊馬と呼ばれる飾りです。此岸に帰ってくるときは早く来られるように馬を、彼岸に戻られるときは名残を惜しみつつゆっくり行くために牛を用意するといわれています。

夏の野菜を使って家族で心を込めて作る精霊馬は広く知られていますが、色和紙と麻がらによる細工品などで代用される場合もあります。

ほおずき

提灯のような形と鮮やかな色を持つほおずきは、仏事で好まれる植物です。特にお盆ではご先祖様をお迎えする気持ちを表すため、盆提灯や迎え火と共に欠かせない飾りのひとつとされています。

仏花と共に活けたり、他のお供え物と並べて飾ったり、仏壇や盆棚に張ったまこもの縄に吊り下げたりと、さまざまな形で飾られます。

そうめん

そうめんは、ほおずきと並んでお盆飾りによく用いられます。

そうめんをお盆飾りとするいわれには諸説ありますが、「ご先祖様がこの世へ帰ってくるときの馬の手綱とするため」「彼岸へ戻られるときにお土産や荷物をまとめるため」「細く長く幸せが続く縁起物として」などといわれています。

水の子・閼伽水(あかみず)

地域や宗派によっては、「水の子」を飾る場合もあります。水の子は、さいの目に切ったキュウリと茄子に洗った米を混ぜたあと、閼伽水(蓮の葉やみそはぎで清めた水)を含ませ、蓮の葉を敷いた器に盛ったものです。

水の子のいわれにも、ご先祖様の喉を常に潤すためなど、諸説あります。

麻がら

麻がらは、精霊馬の脚や箸として用いる他、迎え火・送り火を焚くためにも使われます。

迎え火・送り火は、庭や玄関口などで、ほうろく皿の上に麻がらをのせて燃やします。麻がらを焚く際には、くれぐれも火の始末に注意しましょう。

みそはぎ

お盆で使われる「みそはぎ」は花の名前で、赤紫色の水辺に咲く多年草。お盆の時期に当たる8月半ばに盛りを迎えます。

みそはぎは、禊で使われたことから「禊萩」と記されることも。名前の由来には諸説ありますが、餓鬼道に落ちた人の喉の渇きを潤すために、供養として用いられるとされています。数本束ねたみそはぎを盆棚に飾り、お参りの際に水に浸してあるみそはぎを水の子に振りかける地域もあります。

十三仏

お盆をはじめ、法事や彼岸などの仏事には、十三仏と呼ばれる掛け軸を用意して仏壇の近くに飾ります。十三仏とは、不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩、弥勒菩薩、薬師如来、観音菩薩、勢至菩薩、阿弥陀如来、阿閦如来、大日如来、虚空蔵菩薩のこと。

それぞれの仏様に役割があり、役割に応じて三十三回忌まで故人様を守護してくれる存在です。また十三仏の掛け軸には、故人様が浄土に早く行けるよう願いが込められています。

砂盛り

神奈川県の一部の地域では、砂盛りと呼ばれるお盆飾りの風習もあります。

砂盛りには複数のタイプがありますが、箱に川砂を敷き詰め、正面に階段が供えられているものが一般的です。敷き詰めた砂は神様の憑代(よりしろ)とされ、砂の上に盆花や線香をさしてご先祖様を迎えます。

新盆の旅装束

東京近郊や神奈川の一部の地域では、新盆の旅装束と呼ばれる風習があります。新盆の旅装束は、ご先祖様が浄土と現世の行き来をする際に疲れないようにという想いが込められており、厳密にはお盆飾りではありません。

施餓鬼供養という、生前の行いで餓鬼に落ちた魂を供養するために行われ、かけ袋と扇子、草履などを用意し、かけ袋に米を入れ、法要が行われる3日前までに寺に届けます。

お盆飾りの片付け方・使い回しの可否について

古来、仏事に一度使ったものは使い回しをしないのが原則でしたが、最近はあまりこだわらなくても良いとする考えが一般的です。

通常の盆提灯は、お盆が済んだら丁寧に手入れをして収納し、翌年も使えます。また盆提灯は、使える間は何年飾っても大丈夫です。一方、新盆用の白提灯はその年限り。新盆を終えたら供養を施し、お焚き上げなどで処分しましょう。

蓮の葉や精霊馬は、生の植物を用いているなら、その年限りで供養したあとに処分します。お盆飾りセットに多く見られるレプリカのような材質なら、翌年以降も使って問題ありません。

まこものゴザは、少々濡れたり汚れたりした程度であれば、拭き清めた後しっかりと乾燥させ、翌年また使えます。ただ、1度水につけたまこものゴザは処分すべきとする地域もあるので、注意してください。

その他、お供え物にした食べ物は、食べられるならできるだけ家族でいただきます。食べきれないお供えやお花は、可能であれば庭に埋めるか、お焚き上げをお願いしましょう。それも難しい場合、塩で清めて半紙などの白い紙に包み、心を込めて供養すれば、可燃ごみとして出しても問題ないとされています。

お盆飾りについてのよくある質問

仏壇にも飾り付けをするべきかどうか?

お盆の飾り物は、盆棚で行うのが基本です。そのためお盆という理由で、仏壇に特別な飾り物をする必要はありません。また、お参りも盆棚前だけで行いましょう。地域によっては仏壇の扉を閉める場合もあります。

なお、仏壇と盆棚が別の部屋になったり距離が離れていたりしているなら、感謝の気持ちを持って、仏壇にも手を合わせてお参りしてください。その他、お盆期間中に訪問客が来るかもしれないので、仏壇周りは綺麗に掃除しておきましょう。

盆棚の入手方法は?

盆棚は、仏壇専門店で販売されています。ホームセンターやネットショップで取り扱っている場合もあるので、探してみるとよいでしょう。また、葬儀で使用した祭壇を保管しておけば、盆棚として再利用可能です。

家庭の環境によって本格的な盆棚を置けなかったり、仏壇がコンパクトだったりする場合は、経机(きょうづくえ)を盆棚の代わりに利用しても構いません。小さいテーブルを活用して盆棚にするといった工夫をされているご家庭もあります。

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盆棚の代用になるものは?

盆棚の代わりになるもので一般的なのは祭壇です。特に神道のご家庭は、祭壇を盆棚として用いるのが一般的。祖霊舎と呼ばれる、神道の仏壇のようなものの前に祭壇を設置します。

家のスペースによって前に置くのが困難なら、どこにおいても問題はありませんが、できるだけ北向きにならないように設置しましょう。祭壇を販売しているのは仏具店のほか、ホームセンターでも取り扱っている場合があります。

お盆飾りを飾ってご先祖様をお迎えしよう

古くから伝わるお盆飾りの意味や飾り方、片付け方の基本などについてご紹介しました。それぞれの生活環境の中で無理なく、心を込めてご先祖様をお迎えするための参考となれば幸いです。

また、お盆の時期は親族同士で相続の話をする機会でもあります。実家の名義変更など、故人のままにして相続登記をせずにいると権利関係が複雑になり、トラブルにつながるかもしれません。いい葬儀の姉妹サイト「いい相続」では、相続手続きに強い士業をご紹介しています。ご相談は無料で承っていますので、ぜひお気軽にご利用ください。

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