通夜・葬儀に出席できないときは、遺族へ弔電(ちょうでん)を送って速やかに弔意を伝えるのがマナー。ただ弔電を送る機会は滅多にないため、送るタイミングや送り方、文例などに迷う方も少なくないでしょう。
この記事では、弔電を送る方法や文例、注意すべきマナーなどをまとめて解説します。
目次
弔電(ちょうでん)とは
弔電とは、訃報を受けた故人や遺族に対して、お悔やみの気持ちを伝える電報のこと。
通夜や葬儀・告別式、法要などに参列できない場合は、弔電を送るのがマナーです。送った弔電は、葬儀や告別式で読み上げられるのが一般的。親戚や友人、知人はもちろん、職場の同僚や取引先にご不幸があった際に利用されます。
また、故人ととくに親しくしていたのであれば、供花を送るケースも少なくありません。
弔電を送るタイミング
弔電は、葬儀・告別式で読み上げられるため、通夜や葬儀・告別式の前日に送るのが基本です。遅くとも、式が開始する3時間前までに届くよう申し込みましょう。
故人の訃報を受けたあと、葬儀に参列できないとわかった時点で、早めに弔電を手配するのがオススメです。もし、通夜にも葬儀にも間に合わないのであれば、初七日までに弔電を自宅へ郵送してください。
また弔電の届くタイミングが早すぎると、親族が不在だったり、斎場が受け取ってくれなかったりする可能性があります。通夜と葬儀・告別式の開催日時と場所を事前に調べ、確実に受け取ってもらえる日時を指定して、弔電を手配しましょう。
家族葬や火葬式(直葬)は弔電不要?
家族葬とは、ごく親しい身内だけで執り行う小規模な葬儀のこと。新型コロナウィルスの影響や故人・遺族の意向から、近年増えている葬儀形態のひとつです。
家族葬の場合、弔電や香典、参列を辞退する遺族が少なくありません。遺族側から「弔電不要」の連絡があったなら、相手の気持ちを尊重して弔電を送付しないようにしましょう。
また火葬式(直葬)とは、火葬のみ行って故人とお別れする葬儀形態。通夜や葬儀は行いませんが、弔電をお断りされていないのであれば、自宅へ郵送するのがベターです。
弔電の送り方
弔電を送るには、電話とインターネット、2つの申し込み方法があります。
どちらの場合も、申し込みの前に次の項目を確認しておくとスムーズです。
送付日時 | 通夜・葬儀の日付 通夜・葬儀の受付開始時間 |
送付先 | 通夜・葬儀の会場名 会場の住所 会場の電話番号 |
故人・喪家の情報 | 故人の名前 喪主(弔電受取人)の名前 故人と喪主の続柄 喪家の宗教 |
電話とインターネット、それぞれの弔電の送り方について詳しく解説します。
電話(電報115)で弔電を送る方法
申し込み方法 | 局番なしのダイヤル「115」に電話 |
受付時間 | 8時~19時(年中無休) |
特長・メリット | 14時までの申し込みで当日中に手配可能 オペレーターに弔電について相談できる |
電話で弔電を申し込む場合は、局番なしのダイヤル「115」にかけましょう。
115に電話をかけると、NTT東日本もしくはNTT西日本のお悔やみ弔電サービスにつながります。弔電の受付時間は8時~19時で年中無休。14時までに申し込めば、全国どこでも当日中に弔電を配送してもらえます。
また電話の場合、オペレーターと相談しながら弔電の内容や料金を決められます。葬儀の日時が近かったり、送り方が不安だったりする方は、電話で弔電を手配しましょう。
インターネットで弔電を送る方法
申し込み方法 | 各種サービスサイトのWebフォームから依頼 |
受付時間 | 24時間(年中無休) |
特長・メリット | 14時までの申し込みで当日中に手配可能 24時間いつでも申し込みできる 自分のペースで弔電の台紙や文言を選べる |
電報115は昔ながらの方法ですが、最近はインターネットを利用した弔電の申し込みが増えています。インターネットだと、24時間いつでも弔電の手配が可能。スマホや携帯が普及した背景もあり、手軽に弔電を申し込めると現在では主流になりつつあります。
また台紙のデザインを確認しながら選べたり、文言をじっくり考えられたりと、自分のペースで弔電を用意できるのも魅力です。
NTT以外にも、郵便局や民間企業が提供している弔電サービスもあります。ご自身の予算や好みに沿ったサービスを選んで、弔電を送るとよいでしょう。
弔電の金額相場
弔電の金額相場 | 3,000円~5,000円 |
弔電の金額は、台紙とメッセージの文字数によって変わります。弔電の台紙は、無地や刺しゅう入り、線香や押し花、ブリザードフラワーつきなど、種類が豊富。価格帯も3,000円~10,000円以上と幅広く、故人と関係性が深いほど高い値段の台紙を選ぶ方が多いです。
一般的に、弔電にかける金額相場は3,000円~5,000円とされています。相場を基準にしつつ、故人との関係性をふまえて台紙や文字数を調整するのがベターです。
弔電の文例
弔電のメッセージは、「故人と喪主の続柄」や「喪家の宗教」によって書き方が違います。
それぞれのケース別に弔電の文例を用意したので、ぜひ参考にしてください。
一般的な弔電の文例
ご生前の笑顔ばかりが目に浮かびます。どうぞ安らかな旅立ちでありますよう、心からお祈りいたします。(48文字)
〇〇様のご逝去を悼み、心からお悔やみ申しあげます。在りし日のお姿をしのび、ご冥福をお祈りいたします。(50文字)
〇〇様ご逝去のお知らせを受け、ただただ驚いております。ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、故人のご功績に敬意を表し、謹んでお悔やみ申しあげます。(73文字)
突然の悲しいお知らせに、驚きのあまり言葉もありません。お元気だったころの笑顔ばかりが目に浮かび、ただただ悲しみに暮れております。どうか安らかにお眠りになられますことを、心よりお祈り申しあげます。(97文字)
【短文】一般的な弔電の文例
謹んで哀悼の意を表します。(13文字)
御逝去をいたみ御冥福をお祈り申しあげます。(21文字)
ご逝去の報に接し、心からお悔やみ申しあげます。(23文字)
〇〇様のご訃報に接し、心から哀悼の意を捧げます。(24文字)
悲報に接し、悲しみにたえません。心よりご冥福をお祈りいたします。(32文字)
突然の訃報を受け、痛惜の念を禁じえません。今はただ、ご冥福をお祈りするばかりです。(41文字)
故人が喪主の父母の場合
ご尊父様ご逝去の報に接し悲しみに堪えません。ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、ご功績をしのび、謹んでお悔やみ申しあげます。(63文字)
ご尊父様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。昨年の夏にお会いしたときのことが昨日のことのように思い出されます。在りし日をしのび、安らかな旅立ちを心からお祈りいたします。(88文字)
ご母堂様のご逝去を悼み、心より哀悼の意を表します。(25文字)
ご母堂様の突然のご逝去の報に接し、ご家族皆様の深い悲しみは、いかばかりかとお察し申しあげます。心からご冥福をお祈りいたします。(63文字)
故人が喪主の夫妻の場合
ご主人様ご逝去のお知らせをいただき、悲しみに堪えません。弔問のかなわぬ非礼を深くおわびするとともに、遠方より謹んで哀悼の意を表します。(67文字)
ご令室様ご逝去に際し、謹んでお悔やみ申しあげます。ご家族皆様のご心痛はいかばかりかと存じます。お慰めするすべもございませんが、一日も早く深い悲しみから立ち直られますことを心から祈念いたしております。(99文字)
故人が喪主の子供の場合
ご令嬢様の突然の悲報に言葉を失う思いです。ご両親様のお嘆きを思うと涙を禁じえません。謹んでお悔やみ申しあげます。(56文字)
ご子息様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげます。ご両親様のお力落としはいかばかりかとお慰めする言葉もございません。今はただ、心からご冥福をお祈りいたします。(80文字)
故人が喪主の兄弟姉妹の場合
ご令兄様の訃報に接し、驚きと悲しみでいっぱいです。長年、家族ぐるみでお付き合いいただき、楽しい思い出ばかりが浮かんでまいります。どうかご遺族の皆様もお力落としのないようご自愛ください。故人の安らかなるご冥福をお祈り申しあげます。(114文字)
ご令妹様のご逝去に際し、惜別の念を禁じえません。いつもこまやかなお気遣いをいただき、笑顔で励ましてくださいました。何のお返しもできないままお別れしなければならないことが悔しく、心残りでなりません。これからもますます精進してまいりますので、どうぞ見守っていてください。ご冥福をお祈りいたします。(146文字)
故人が会社の社長・会長の場合
御社社長様ご逝去の報に接し、当社社員一同、ご生前のご厚情に深く感謝するとともに、ご功績をしのび、謹んでお悔やみ申しあげます。(62文字)
社長様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申しあげます。豪放磊落なお人柄で人望も厚く、業界の第一人者として数々のご功績を残されました。衷心より敬意を表するとともに、在りし日のお姿をしのび、ご冥福をお祈り申しあげます。(105文字)
会長様ご急逝の知らせを受け、ご生前のご功績をしのび、衷心より哀悼の意を表します。(40文字)
故人が喪主の恩師の場合
先生の突然の悲報に愕然としております。お元気だった頃のお姿ばかりが目に浮かび、いまだに信じられない気持ちでいっぱいです。どうぞ安らかにお眠りください。(75文字)
先生のご訃報に接し、人生の指針を失った深い悲しみでいっぱいです。ご生前のお言葉一つ一つに込められた先生の揺るぎなき信念を、今あらためて感じております。このような素晴らしい恩師に巡り合えた幸運に感謝しつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。(118文字)
故人・喪家の宗教がキリスト教の場合
〇〇様ご逝去の報に接し、悲しみに堪えません。心より哀悼の意を表します。(35文字)
神の御許に召された〇〇様が、安らかな眠りにつかれますことをお祈り申しあげます。(39文字)
故人・喪家の宗教が神道の場合
〇〇様の在りし日のお姿を偲び、御霊の安らかなることをお祈りいたします。(35文字)
弔電の宛先・宛名・差出人
弔電の宛先
弔電の宛先は、通夜・葬儀が執り行われる会場です。斎場や葬儀場、自宅など、会場の住所と電話番号を確認しておきましょう。もし通夜・葬儀の場所がわからない場合は、喪家に一報を入れたうえで、喪主の自宅宛に弔電を送ってください。
弔電の宛名
弔電の宛名は、「喪主」にするのが一般的。なぜなら、葬儀を執り行う斎場や葬儀場が、喪主の名義で通夜・葬儀を管理しているからです。斎場・葬儀場は複数の葬儀が行われるため、他家と間違われないよう喪主のフルネームを記載してください。
またなかには、友人や知人に励ましの気持ちを込めて弔電を送りたい方もいるかもしれません。喪主以外を弔電の受取人にしたい場合は「〇〇(喪主名)様方△△(受取人名)様」として、必ず喪主の名前を書き添えるようにしましょう。
他にも、会社や団体が葬儀を行う社葬は「部署」「葬儀の責任者」「主催者」宛など、状況によって宛名が変わってくるので注意が必要です。
弔電の差出人
弔電の差出人は、ご自身の名前と故人との関係性を書きましょう。
故人と疎遠になっていたり、遺族と面識がなかったりすると、誰から送られた弔電なのかわからないかもしれません。弔電を受け取った遺族が困らないよう、フルネームはもちろん、団体・部署・グループ名、住所や電話番号なども添えておくと親切でしょう。
とくに学校や会社は、「〇〇大学 〇年 卒業生」「〇〇大学 〇年卒業 学友」「〇〇社 〇年入社 同期一同」など、故人との関係性を詳細に書いてあげてください。また3人以内の連名で送る場合は、目上の方から順番にフルネームを記載しましょう。
弔電で使う敬称
故人と喪主の続柄 | 弔電の敬称 |
---|---|
実父・義父 | 御尊父(そんぷ)様、ご尊父様、お父様、お父上(様) |
実母・義母 | 御母堂(ぼどう)様、ご母堂様、お母様、お母上(様) |
実の祖父・義理の祖父 | 御祖父(そふ)様、ご祖父様、おじい様 |
実の祖母・義理の祖母 | 御祖母(そぼ)様、ご祖母様、おばあ様 |
夫 | 御主人様、ご主人様、ご夫君様 |
妻 | 御令室(れいしつ)様、ご令室様、ご令閨(れいけい)様、奥様 |
息子 | 御子息様、ご子息様、ご令息様 |
娘 | 御令嬢様、ご令嬢様、ご息女様 |
兄 | 御令兄様、御兄(おにい)様、〇〇様 |
姉 | 御令姉様、御姉(おねえ)様、〇〇様 |
弟 | 御令弟様、御弟様、〇〇様 |
妹 | 御令妹様、御妹様、〇〇様 |
孫 | 御令孫様 |
家族 | ご家族様、ご一同様、皆様 |
※子や孫、兄弟姉妹は、血縁でない場合も敬称を使います
弔電では、故人と喪主の続柄を「敬称」で表します。通常と違う呼び方が多いため、間違えないよう一度確認しておきましょう。
弔電のマナーと注意点
忌み言葉・重ね言葉を使わない
忌み言葉の例 | 重ね言葉の例 |
散る、去る、放す、切る、消える、 終える、無くす、落ちる、再び、忙しい、 追って、続いて、浮かばれない、生きているころ | 重ね重ね、次々、度々、段々、色々、 またまた、ますます、いよいよ、 わざわざ、ときどき、くれぐれも |
弔電のメッセージには、忌み言葉・重ね言葉を使わないように気を付けてください。
忌み言葉は、生死を直接表現したり連想させたりする言葉で、古くから縁起が悪いとされています。また同じ単語を繰り返す重ね言葉は、「不幸が連続する」と捉えられるため、避けた方が賢明です。
ふだん何気なく使っている言い回しも含まれているため、故人や遺族の失礼にならないよう事前に確認しておきましょう。
故人・喪家の宗教にあわせた表現にする
故人・喪家の宗教によっては、適切ではない表現があるので注意が必要。
たとえば神道やキリスト教は、仏教とは生死観が異なります。仏教系の葬儀でよく使われている単語や台紙は、ふさわしくないとされることが多いので弔電に使わないようにしてください。
仏教用の台紙:ハスの花が印字された台紙
主な仏教用語:ご愁傷様、成仏、往生、冥途、供養、弔う など
形式に則った内容にする
弔電は、形式に則った内容にとどめた方がベター。通夜・葬儀の場で読み上げられるため、故人とのプライベートな思い出を具体的に書くと、遺族との間に思いがけないトラブルが起こるかもしれません。
長く使われてきた定型文を基準とし、ある程度かしこまった内容と書き方にした方が失礼に当たらないでしょう。
弔電に関するよくある質問
弔電を送るタイミングは?
弔電は、通夜や葬儀・告別式の前日に送るのが基本。前日に間に合わない場合は、式が開始する3時間前までに届くようにしてください。弔電の届くタイミングが早すぎても遅すぎても、遺族の手に渡らない可能性があります。葬儀に参列できない場合は、通夜・葬儀の日時を確認したうえで速やかに弔電の手配をしましょう。
弔電の送り方は?
弔電の送り方には、電話とインターネット、2つの方法があります。
電話で弔電を申し込む場合は、局番なしのダイヤル「115」に連絡。電話の受付時間は8時~19時で年中無休です。NTT東日本もしくはNTT西日本のお悔やみ弔電サービスにつながるため、オペレーターに希望の金額や送付日時を伝えて手配してもらいましょう。
インターネットなら、24時間いつでも弔電の手配が可能。スマホや携帯からサービスの公式サイトにアクセスし、Webフォームから弔電の依頼ができます。電話・インターネットどちらでも、14時までに申し込めば、全国どこでも当日中に弔電を配送してもらえます。
弔電のメッセージはどう書く?
弔電の文章は、「故人と喪主の続柄」や「喪家の宗教」によって書き方が変わります。故人と喪主の続柄によって「敬称」が、喪主の宗教によって「表現」が違うので注意が必要。
〇〇様のご逝去を悼み、心からお悔やみ申しあげます。在りし日のお姿をしのび、ご冥福をお祈りいたします。
など、敬称と表現に気を付けながら、故人の死を悼んだり遺族を励ましたりする文章にしてください。
弔電の金額相場はどれくらい?
弔電の金額相場は3,000円~5,000円。香典と同じく、故人と関係が深いほど値段が高くなる傾向があります。弔電は台紙とメッセージの文字数に応じて値段が変動するため、相場と故人との関係性をふまえて、選ぶとよいでしょう。
弔電を送るときの注意点は?
- 忌み言葉・重ね言葉を使わない
- 故人・喪家の宗教にあわせた表現にする
- 形式に則った内容にする
弔電を送るときに注意したいのは、この3点。
お悔やみの言葉と同様、忌み言葉や重ね言葉を避け、故人・喪家の宗教にあわせた表現を使うように気を付けましょう。また弔電では、定型文を基準にメッセージを作成し、あまり奇抜な内容にしない方が無難です。