初盆(新盆)とは、故人が亡くなったあと、はじめて迎えるお盆のこと。初盆では、香典の相場金額や香典袋の選び方、表書きの書き方などが、葬儀と違うため、注意が必要です。
この記事では、初盆(新盆)の香典の相場金額やマナー、注意点をご紹介します。
目次
初盆(新盆)とは?
初盆(新盆)とは、故人の忌明け後に、はじめて迎えるお盆のこと。
四十九日が過ぎ、仏として極楽浄土に旅立った故人が、はじめて里帰りするお盆とされています。そのため、僧侶や親族、親しかった方々を招いて法要を行い、手厚く供養するのが一般的です。通常のお盆と同様、迎え火を焚いたり、盆棚(精霊棚)を用意したりするだけでなく、僧侶による読経や説法、焼香などを行います。
なお、初盆の時期は8月13日~16日の4日間。地域によっては、7月13日〜16日が初盆にあたります。
初盆(新盆)の香典の相場金額
初盆(新盆)の香典の相場金額は、故人との関係性や宗派によって異なります。
それぞれの相場金額や事例をご紹介するので、香典に包む際の参考にしてください。
【故人との関係性】初盆(新盆)の香典の相場金額
故人との関係性 | 香典の相場金額 |
---|---|
親(自分が故人の子ども) | 1万円~3万円 |
兄弟姉妹(自分が故人の兄弟姉妹) | 1万円~3万円 |
祖父母(自分が故人の孫) | 5千円~1万円 |
叔父・叔母 | 5千円~1万円 |
知人・友人 | 3千円~1万円 |
初盆(新盆)の香典金額の相場は、5千円~1万円です。
金額の差が大きいのは、故人との関係性によって増減が生じているから。たとえば、実の親や兄弟姉妹は1万円~3万円が相場ですが、祖父母になると5千円~1万円まで金額が下がります。
香典の相場を参考にしながら、故人との関係性をふまえて包む金額を調整するのがベター。どうしても金額を決めきれない場合は、3千円・5千円・1万円・3万円の4段階から選ぶといいでしょう。
親(自分が故人の子ども)
故人が親の場合、初盆の香典金額は1万円~3万円が相場。本人の年齢によっても相場が変わり、若いほど金額は低めに、年配なほど高額になる傾向があります。
兄弟姉妹(自分が故人の兄弟姉妹)
故人が兄弟姉妹のときも、1万円~3万円が香典金額の相場です。兄弟姉妹は、両親と同様に直接血のつながった関係性のため、比較的高額になります。
祖父母(自分が故人の孫)
故人が祖父母であれば、香典の相場金額は5千円~1万円。親や兄弟より血縁関係が遠くなるため、相場金額がやや下がっています。生前の関係性や自身の年齢をふまえて、金額を調整しましょう。
叔父・叔母
血縁関係の遠い叔父・叔母の香典の相場金額は5千円~1万円です。祖父母と同じく、親交の深さや年齢をふまえて、香典に包む金額を決めてください。
友人・知人
友人や知人、ご近所の方は、3千円~1万円と相場金額の幅が広いです。相手と親交が深ければ5千円~1万円、軽いお付き合いであれば3千円と、関係性によって金額を変えましょう。
また、初盆の法要に会食があるのであれば、食事代を上乗せした方が親切です。
【故人の宗派】初盆(新盆)の香典の相場金額
先述した通り、初盆(新盆)の香典の金額相場は、5千円~1万円です。
ただ、香典に包む金額は、宗派によっても多少違いがあるので注意が必要。たとえば仏式の宗派のひとつ、浄土真宗では、親族が5千円~2万円、友人が2千円~5千円が相場になっています。
また宗派だけでなく、地域によっても初盆(新盆)の香典金額は違います。金額に迷うときは、立場が同じ、または似ている人に確認して、周囲にあわせるのが安心でしょう。
初盆(新盆)の香典に上乗せする費用
初盆(新盆)では、法要後の会食や白提灯など、通常のお盆とは違う準備が必要。そのため、参列者が香典に会食費を上乗せしたり、提灯代として別に渡したりするケースがあります。
会食費
初盆(新盆)では、僧侶による読経や焼香が終わったあと、会食が用意されているかもしれません。会食に参加するのであれば、1人当たり3千円~5千円ほど香典金額を上乗せするのがマナーです。
たとえば、叔父・叔母といった親せきの香典は5千円が相場ですが、会食に参加するなら1万円に変更すること。夫婦や家族で出席する場合は、人数分でなくとも、相場より多めの金額を包みましょう。
会食の有無は、地域や宗派によって違います。初盆の法要に参列する前に確認しておくと安心です。
提灯代
お盆には、故人の霊が迷わないよう、道しるべとして提灯を飾る習わしがあります。
初盆(新盆)では、通常の盆提灯にくわえて「白提灯」を飾ります。白提灯は、故人の親族が用意するのが一般的。ただ故人が親の場合は、兄弟姉妹と一緒に「御提灯代」を包むこともあります。
ご自身が白提灯を用意する立場なら、香典とは別に提灯代を持参してください。
白提灯代の相場は、3千円~3万円と金額の幅が広く、故人との関係性によって変わります。また包む際は、香典袋に「御提灯代」と記して渡しましょう。
初盆(新盆)の香典袋の色と選び方
初盆(新盆)の香典袋は、包む金額や地域によって変わってきます。
一般的なのは、白無地で熨斗がついておらず、白黒で結び切りの水引がついた香典袋。包む金額が5万円以上と高額であれば、双銀や藍銀の水引がついた香典袋を使用します。また関西地方では、黄白・黄銀の結び切りがよく使われるので、覚えておくと便利です。
どれに包めばいいか迷った際は、白黒で結び切りの水引がついた香典袋を選ぶのが無難。もしくは家族や地域の年配者などに確認してから、香典袋を用意すると安心でしょう。
初盆(新盆)の香典袋の書き方
表書きは「御仏前」「御佛前」「御供物料」
初盆(新盆)の香典袋の表書きは、「御供物料」「御仏前」「御佛前」を使います。故人が亡くなってすぐに執り行われる葬儀では、表書きに「御霊前」と書きますが、四十九日が明け、故人の魂が極楽浄土へ旅立ったと考えられている初盆では使いません。
ちなみに、故人・喪家の宗教が神式であれば、表書きは「御玉串料」「御神前」と書きます。宗教・宗派を問わず使えるのは「御供物料」なので、迷ったときは「御供物料」にしておくのが無難です。
ほかにも、
- 提灯代を出すときは「御提灯料」「御提灯代」
- 果物やお菓子をお供えする場合は「御供物」「御供」
など、内容にあわせて表書きを変えましょう。
表書きの下には贈り主の名前
人数 | 外袋の名前の書き方 |
---|---|
個人(1人) | 会葬者本人のフルネーム |
夫婦(2人) | 夫のフルネーム+妻の名前 |
3人まで | 全員のフルネーム(目上の方から順番に) |
4人以上 | 代表者のフルネーム+外一同 |
会社(団体) | 会社名+代表者のフルネーム 会社名+代表者のフルネーム+外一同 会社名+部署のフルネーム+一同 |
表書きの下(水引の下段)には、香典の贈り主の名前をフルネームで書きます。
個人であれば、ご自身の名前を書けばOK。夫婦で参列する場合は、中央に夫の名前を書き、夫の左横に妻の名前を連ねます。
また3人までであれば、全員分のフルネームを書きますが、4人からは「代表者のフルネーム+外一同」と書くようにしましょう。会社や団体で香典を出す際は、代表者の名前の右側に会社名・団体名を書き添えてください。
薄墨ではなく濃墨
通夜・告別式で出す香典は、故人への哀惜の意を伝えるために「薄墨」で書くのがマナー。
ですが初盆(新盆)は、故人が亡くなってから時間が経っていて、事前に準備できるため、「濃墨」で書いて問題ありません。ボールペンや鉛筆を使うのはタブーとされているので、毛筆や筆ペンで書くようにしましょう。
初盆(新盆)の香典マナー
香典のお札の入れ方
- シワや汚れ、破れのあるお札は避ける
- お札の向きと表裏をそろえる
- 新札を包むのはタブーではない
- お札の入れ方に厳格な決まりはない
初盆(新盆)に限らず、香典には、シワや汚れ、破れのあるお札は入れないようにします。また複数のお札を入れるときは、お札の向きと表裏をそろえるのがマナーです。
ちなみに通夜・葬儀の香典と違って、新札を包んでもタブーではありません。初盆は事前に日付がわかっていますし、故人が亡くなってから日数が経っているので問題ないとされています。
ただ、遺族によっては気にされる方もいるかもしれないので、新札を包む場合は、真ん中に折り目をつけてから封筒に入れた方がベター。お札の入れ方も決まりはないですが、念のため香典袋の表側に対して、お札を「裏側・下向き」に入れておきましょう。
香典の渡し方
初盆(新盆)では、通夜・葬儀のように会場に受付があるとは限りません。
香典や提灯代は、施主に手渡しするか、故人のお仏壇にお供えするのがベストです。
施主に手渡しする場合は、訪問して挨拶をする際に「この度はお招きいただきありがとうございます。心ばかりではございますが、御仏前にお供えください」と伝えながらお渡ししましょう。
また仏壇にお供えする場合は、お参りするタイミングで香典を袱紗から取り出し、表書きの正面を自分に向けて置きます。香典をお供えしたあと、仏壇に手をあわせてください。
初盆(新盆)の香典のお返しはどうする?
初盆(新盆)で香典を受け取ったら、遺族側は香典のお返しを用意するのが一般的。
ここでは、初盆の香典返しの相場と品物について解説します。
相場
初盆でいただく香典の金額相場は、5千円~1万円。香典返しは、いただいた金額の半分をお返しする「半返し」がマナーなので、3千円~5千円程度の品物を用意するのがよいでしょう。
ただ地域によっては、法要後の食事がお返しにあたったり、会食をしない代わりに弁当やお酒を持ち帰ってもらったりするところもあるようです。
品物
初盆(新盆)でいただいた香典のお返しの品物には、「消えもの」と呼ばれる消耗品が好ましいとされています。海苔やお茶、お菓子、調味料、洗剤や石鹸などがよく選ばれる品物です。また、そうめんやゼリーなど、夏場にふさわしい品物を選ぶと喜ばれるかもしれません。
初盆の香典返しは、お盆明けから月末までの間に発送するようにしてください。
初盆(新盆)の香典でよくある質問
初盆の香典はいくら包む?
初盆で包む香典の相場金額は5千円~1万円。故人との親交の深さや、自身の年齢をふまえて金額を調整するのがベターです。また法要後の会食がある場合は、3千円~5千円ほど香典金額を上乗せしたり、別途提灯代を渡したりするケースもあります。
初盆の香典マナーは?
- 包む金額や地域にあわせた香典袋を使う
- 表書きは「御供物料」「御仏前」「御佛前」
- 香典袋は薄墨ではなく濃墨で書く
- シワや汚れ、破れのあるお札は避ける
- お札の向きと表裏をそろえる
初盆で香典を包む際に注意したいマナーはこちら。とくに香典袋の選び方や表書き、書く道具は、通夜・葬儀のマナーと違うので注意してください。
初盆の香典の渡し方は?
初盆では香典を、施主に挨拶するときに手渡しするか、故人の仏壇にお供えします。
施主に手渡しする場合は、訪問して挨拶するタイミングがベスト。招待いただいたお礼を伝えながら、香典の表書きが相手に読めるよう向きを変えて、両手で差し出しましょう。故人の仏壇にお供えするのであれば、香典の正面を自分に向けて静かに置き、仏壇に手をあわせます。
葬式から法事・法要まで僧侶(お坊さん)手配は「いいお坊さん」
- 僧侶・葬式の手配 60,000円から(戒名込み)
- 法事・法要の手配 45,000円から