親の介護が始まる前に準備したいこと。初期段階でつまずかないための心得

誰もが最初は介護の初心者です。始めたばかりの段階で壁につまずいてしまうこともあるかもしれません。

この記事では実際にあなたが介護の当事者となったとき、注意する必要がある点についてまとめました。今からできることを探しておくことで、もしものときの負担の軽減にもつながります。

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退院後に備えて事前に協力関係を構築する

退院後に備えて事前に多職種と連携しておくのがオススメです。

退院の時期は意外と早くやって来る

身内に介護が必要となる人が出る状況を想定しないまま介護に直面すると、何から手を付ければ良いのかわからず、やることなすこと後手に回るケースが少なくありません。

例えば、親が緊急入院したと仮定しましょう。入院から10日間ほどが経ち、病状も安定して一安心という段階にさしかかると、病院側から「そろそろ退院を考えてください」という言葉が投げかけられます。

介護の開始時点から看取りの準備は始まっている

最近の医療は、できる限り速やかに退院を勧め、空きベッドに緊急の患者を受け入れることが一般的になっています。せっかく一息ついたのに退院を迫られる患者とその家族には厳しい状況ですが、その瞬間から介護が始まります。

入院したら全快するまで同じ病院にいられる時代ではありません。高齢者医療の話では、ここから先は下り坂の医療と呼ばれる領域です。

今後良くならないとしても、どうすれば苦痛をできるだけ軽減して最期を迎えられるかを考える時期なのです。介護は大変ですが、どうすれば親が穏やかに暮らせるかを考えてあげてください。

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在宅介護に向けたサポート体制をつくる

高齢者のおかれている現実は厳しいものです。6割を超える人が自宅で最期を迎えたいという願いを持っていながら、実際には病院で亡くなる方がおよそ8割いらっしゃいます。

在宅で看取るためには、往診をしっかりしてくれる在宅医療の医師と看護師とのパイプづくり、在宅介護を支えてくれる介護のサポート体制が必要です。

本人と家族がいくら努力しても、周りのサポートが追いつかなければ、介護の負担から逃れることはできないからです。

誰が介護を担うか、納得いくまで話し合う

退院直後から始まる介護に備えておく

親が倒れていよいよ介護が始まるという段階で、まず考えなければならないのは、誰が面倒を見るかということです。将来的に、家族ではとても面倒を看られないという状況が予測できていても、病院から退院後すぐに入所できる高齢者施設や病院は見つかりません。

退院後、介護が必要な状態の親の面倒は、ひとまず家族が看なければならないのです。介護の入り口にある現実を理解し、 その後、どうすればスムースに施設や病院へシフトできるかを考えましょう。

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介護に関わる全員で合意形成する

ここからは、家族、親族を含めた全員での話し合いが必要です。

在宅介護を受けもつのは、いったい誰になるのか。その本人は納得して介護にかかわるのか。周りの人たちは、金銭面を含めてどこまでサポートできるのか。本音での話し合いが必要になります。

見栄は張らないことです。例えば、長男だから必ず面倒を見なければいけないわけではありません。本当にできるのか冷静に判断しましょう。

わだかまりを残したまま、何となく介護をはじめてしまうと思わぬトラブルにつながる可能性もあります。

身内での争いを避けるために情報共有を徹底する

介護がきっかけになって親族同士がもめることも少なくありません。正確な情報が伝わらず、相続に関するトラブルへ発展することもあります。 まず全員に入院から現在に至るまでの状況を説明しましょう。

「家族(親族)だから気を使う必要はない」というのは間違いです。お互いの立場や、暮らしの状況などを真剣に伝え合いましょう。親族が一堂に会することが難しい場合でも声かけは必要です。誰が介護の責任を負うのかについて、話を切り出す勇気を持ってください。

家族で話し合っておきたい議題

  • 今後入院する可能性や、その場合の入院先
  • 最終的に家に引き取るのかどうか
  • 介護施設を使用するかどうか
  • 金銭的な負担をどのように分担するか
  • 介護の責任者は誰にするのか
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終末期まで介護を継続する場所を決める

施設を探す間など、一時的であっても在宅介護の期間が発生します。しかし、そこで十分なケアができなければ、要介護者の状態は悪くなる一方で、施設に入るころには寝たきりの状態にまで悪化するケースがあります。

介護に関する知識を身に着けた上で、施設選びは慎重に行いましょう。

在宅で介護する場合…介護保険制度を利用する

在宅介護の場合、家族がすべてのケアの担い手になる必要はありません。2000年からスタートした介護保険制度を利用して、在宅介護サービスを受けることができます。家族が介護できない時間を介護サービスの利用によって埋めることで、在宅での介護を継続できます。

家族だけで介護に関わるストレスを抱え込んでしまうと、精神的にも体力的にも負担が大きいです。在宅介護をできる限り長く続けたい方は、介護サービスの活用に向けて知識を習得しましょう。

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地域包括支援センターを利用する

地域包括支援センターは、皆さんのお住まいの担当地域(だいたい中学校区)に1つあります。携帯などで、「○○市 介護 相談」と検索すると、市役所のHPの相談窓口一覧表が出てくると思います。

相談の内容によっては、電話で済む場合もありますし、窓口対応となった場合は、相談日を決めて、じっくり相談できます。この時、窓口に持ってくる書類なども指示されるかもしれません。

地域包括支援センターで相談できる内容

地域包括支援センターでは、保健や医療、福祉に関するサービスや介護に関する相談などを受け付けています。

保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーなど医療介護の専門職が居ますので、内容によって相談にのってくれる方が交代することもあります。

最近は、認知症地域支援推進員さんが、地域包括支援センターに居ますので、認知症ケアについても、いろいろと情報提供してもらえるでしょう。

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介護施設を活用する場合…特徴を調べ、適切に選ぶ

介護を専門家の手にゆだねる場合は、 まず施設の種類とサービス内容に関して知っておくことが重要です。

介護施設への入居を検討する際には、施設の種類とサービス内容を知っておくことが大切です。

介護施設の種類

  • 社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム
  • 医療法人が運営する老人保健施設などの公的な施設
  • 民間事業者が運営する有料老人ホーム

民間運営としてはさらに、一般の賃貸住宅と変わらない契約関係となるサービス付高齢者住宅(サ高住)、認知症高齢者専用のグループホームがあります。それぞれの施設の特徴を理解し、利用料との兼ね合いを含めて検討しましょう。

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老人ホーム選びはその後の生活の質を左右するため、たくさんの情報を集めてしっかり吟味しましょう。 この記事では、

看取り段階まで意識して介護の計画を立てる

終末期を見越して病院に最期をゆだねるのか。あるいは在宅や施設での看取りを優先するのか。すぐに判断できることではありませんが、介護の先にはいつか、大切な人の死が待っています。どこで誰が面倒を見るのか、そして、どこで最期を迎えるのか。介護のスタート時点で考えておかなければならないのです。

介護を受ける側の気持ちに配慮する

介護が始まると、判断の難しいことばかりが連続して起こります。そのとき、何を判断基準にするか。やはり、介護を受ける側の立場に立って考えてあげることです。

例えば、高齢者施設を選ぶとき、施設の評判や建物の状況、サービスの内容、利用料など検討項目はいくつもあります。しかし最終的には、入居する本人が気に入ったところを選択する方がいいでしょう。

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