目次
実施の背景
当社ではこれから葬儀を行う方への情報提供を目的として、2年に1度、喪主(または喪主に準ずる立場)を経験された日本全国の40歳以上の方に向けて「お葬式に関する全国調査」を行っており、今回で第5回を迎えました。前回までの調査と大きく異なり、コロナ禍での葬儀の実態が浮かび上がる結果となりました。
「いい葬儀」では、これから葬儀を行うことを検討している方に適切な葬儀社を紹介しており、2000年のサービス開始以降、累計相談数は約75万件*に上っています。日々葬儀に関するご相談を承る中で、「相場がわからない」、「優良な葬儀社がわからない」などの声が寄せられています。
葬儀は人生の締めくくりとも言える大切な時間です。葬儀社探しの専門家である当社ができることは、お客様センターやインターネットを介した質の高い情報の提供と、個々の状況に合わせた適切な提案です。これらを追求することで、葬儀を通じた「故人らしさ」や「家族のつながり」を創出するお手伝いをしたいと考え、本調査の実施に至りました。
2022年5月26日現在
調査概要
調査名 | 第5回お葬式に関する全国調査(2022年) |
調査対象 | 2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験したことのある、 日本全国の40歳以上の男女 |
調査期間 | 2022年3月11日(金)~3月13日(日) |
調査方法 | インターネット調査(調査協力:株式会社クロス・マーケティング) |
有効回答数 | 1,955件 |
データの引用については以下までご連絡ください。
https://forms.gle/NQw6v9KEWr5HJS677
▶︎ 前回の調査結果を見る
【種類】コロナ禍の葬儀の主流は「一般葬」から「家族葬」へ変化
― 行った葬儀の種類は「家族葬」が55.7%で最多、次いで「一般葬」25.9%、「直葬・火葬式」11.4%
2022年では、「一般葬」25.9%、「家族葬」55.7%、「一日葬」6.9%、「直葬・火葬式」11.4%となりました。
本調査は2020年3月~2022年3月に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験した方に向けて実施したため、コロナの影響を大きく受けた結果となりました。
家族や参列者の安全を考慮し、大勢が集う一般葬を避け、小規模な葬儀を行った傾向が顕著に見られます。葬儀の種類別におけるトピックスは以下の通りです。
直葬・火葬式:宗教儀式のない、火葬のみのお別れ
一日葬:通夜がなく告別式のみ、1日のお葬式
家族葬:通夜・葬儀・告別式のお葬式で、参列者は親族や近親者(一部の友人・仲間のみ)
一般葬:通夜・葬儀・告別式のお葬式で、参列者は知人、地域の方、職場など幅広く集まったお葬式
一般葬:感染防止対策の影響を受け過去最少の結果に
一般葬は通夜、葬儀・告別式を行います。家族・親族をはじめ友人・知人、地域の方、職場の方など幅広い関係性の方が参列します。2020年には48.9%と約半数が一般葬を選んでいましたが、2022年では25.9%となりました。関係者が一堂に会するため、密集・密接状態になりやすく、感染防止の観点から一般葬を実施しづらい状況が続いたことが最も大きな要因です。
今後は行動規制の緩和に伴い一般葬を選択する方が増加していくと見込んでいます。
家族葬:調査開始以降初めて過半数を超える
家族葬は通夜、葬儀・告別式を行います。主に家族・親族、近親者(一部の親しい友人・仲間)が参列します。
2020年には40.9%が家族葬を選択していましたが、2022年では55.7%と調査開始以降初めて過半数を超えました。家族葬の割合が一般葬を上回ったのは今回が初めてとなります。「家族でゆっくり見送る」という在り方に魅力を感じ、家族葬への注目はかねてより高まっていました。
加えて、参列者の安全を考慮し、感染防止対策として家族葬を選択する方が増加したことが主な要因です。
一日葬:過去最高の増加率
一日葬とは通夜を省略し、本来二日間かけて行う納棺・告別式・火葬を一日で行います。2020年には5.2%が一日葬を選択していましたが、2022年では6.9%に増加しています。参列者の負担を軽減することができることから、コロナ禍以前よりじわりと注目を集めていました。
また、以下の理由からコロナ禍の葬儀に適しているとの声もあり、全体に占める割合は低いものの、過去最高の増加率(前回比+1.7pt)となりました。
一日葬の割合が増えた主な理由
- 友人・知人・会社関係者などが広く参列する通夜を省略するため、三密回避につながる
- 一日で葬儀を終えるため、参列者の長時間滞在を防止できる
- 遠方参列者の日帰りが可能になり、宿泊施設の利用を避けられる
- 通夜振る舞いを行わないケースが多く、食事の席での感染リスクを避けられる
直葬・火葬式:調査開始以降初めて1割を超える
直葬・火葬式は、通夜、葬儀・告別式などの儀式を行わずに、火葬のみを行います。2020年には4.9%でしたが、2022年には11.4%と増加しました。直葬・火葬式が1割を超えたのは調査開始以降初めてとなります。
参列者が同場所に長時間とどまることがなく、飲食を伴わないケースが多いことから、感染予防の観点から特に緊急事態宣言下で増加しました。
2022年5月現在、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置は全国的に解除となっています。
今後の実施率は、コロナの収束に伴い緩やかに減少していくと予測しています。
コロナ禍ではなかったとしたら「一般葬」を本来希望した葬儀、44.0%で実態と18.1ptの差
「いい葬儀」に寄せられるご相談の中には、コロナの影響により「止むを得ず小規模な葬儀にしようと考えている」、「思い描いていた葬儀とは違った結果になってしまった」という声も寄せられています。今回、コロナによる理想と実態のギャップを探るため、「もしコロナ禍ではなかったとしたら行いたかった葬儀」を調査しました。
「本来希望した葬儀」と「実際に行った葬儀」の間で最も差が開いたのは一般葬の18.1ptで、潜在的には44.0%の方が一般葬を希望していましたが、実際は25.9%の実施にとどまったことがわかりました。
コロナの影響により、当初予定していた一般葬を取り止め、家族葬へと切り替えたことが伺えます。今後は行動規制の緩和に伴い一般葬を選択する方が増えていくと見込んでいます。
一方で、葬儀社はお客様の希望を汲み取り、できる限り理想に近しい形式で葬儀を行うことに注力しています。
また、一部では後日改めて行うお別れ会やオンライン葬儀の取組みなどを検討している方も見受けられました。コロナにより諦めるべきか迷うことがある場合は、葬儀担当者に相談することもひとつの手段です。
【人数】平均参列人数は38人で過去最少
―葬儀の種類別参列人数は、一般葬、一日葬は減少、直葬・火葬式は増加、家族葬は横ばい
平均の参列人数は回を重ねるごとに減少し、2022年は38人と過去最少となりました。三密回避のため、参列人数を制限した様子が顕著に表れました。
2022年3月以降、全国的にまん延防止等重点措置が解除され、各業界では行動規制の緩和が見受けられます。葬儀においても同様の流れを汲み、次回(第6回)の調査においては2020年の55人と同水準もしくは若干下回る数値までの回復を予想しています。
葬儀の種類別に2020年と2022年の参列人数を比較しました。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動規制の度合いよって一時的な変化も見られますが、一般葬、一日葬は減少、直葬・火葬式は増加、家族葬は横ばいの結果となりました。
【費用/全体】葬儀費用の総額は110.7万円で過去最安
― 葬儀の小規模化による費用の現象
葬儀の費用は大きく「基本料金」「飲食費」「返礼品」3つに分類され、これらの合計額が総額となります。それぞれの項目におけるトピックスは以下の通りです。
2022年 | 基本料金 | 飲食費 | 返礼品 | 総額 |
---|---|---|---|---|
全体 | 67.8万円 | 20.1万円 | 22.8万円 | 110.7万円 |
基本料金:斎場利用料、火葬場利用料、祭壇、棺、遺影、搬送費など、葬儀を行うための一式(固定費)
飲食:通夜ぶるまい、告別料理などの飲食(変動費*)
返礼品:香典に対するお礼の品物(変動費*)
総額:基本料金・飲食・返礼品の合計金額
*飲食、返礼品はひとり当たりかかる費用のため、参列人数に比例して変動します。
総額
葬儀にかかる総額*は110.7万円となり、コロナ以前の2020年と比較し73.6万円の下落となりました。葬儀にかかる費用は一般的には葬儀の規模*が大きいほど高額になり、小さいほど安価になります。トピックス1(行った葬儀の種類)にて既出の通り、最も規模の大きい一般葬が減少し、家族・親族が中心の家族葬が過半数を超えたことが価格下落の要因です。
*基本料金・飲食・返礼品の合計
*参列人数や利用する斎場の広さ、祭壇の大きさなどを指す
基本料金
67.8万円となり、2020年と比較すると51.4万円の下落となりました。
基本料金の中には、火葬場利用料、棺、搬送費などの葬儀の規模に左右されない項目と、斎場利用料、祭壇などの規模に応じて費用が変動する可能性のある項目に分かれています。参列者が減少したことにより、当初よりも小規模な斎場を使用し、それに対応して小さな祭壇を用いたことなどにより費用が減少しています。
飲食
20.1万円となり、2020年と比較すると11.3万円の下落となりました。主な要因は参列人数の減少と感染防止の一環で飲食の形式が変化したことにあります。
①感染対策をして飲食をする
②弁当・グルメギフトなどの持ち帰り対応にする
③飲食を取り止める
「感染対策をして飲食をした」と回答した方は、(1)の家族・親族の飲食については47.6%、その他(友人・知人)の飲食については18.3%でした。一方で(2)その他(友人・知人)の参列者の「飲食を取り止めた」と回答した方は41.9%に上り、関係性によって対応が分かれる結果となりました。
返礼品
22.8万円となり、2020年と比較すると11万円の下落となりました。参列者の減少により注文数が減ったことが要因と考えられます。
一般的に、返礼品は参列者ひとりにつきひとつ用意し、人数が多いほど高くなり、少ないほど安価になる変動費です。家族・親族には不要とする場合もあります。
【費用/お布施】平均22.4万円で2020年から1.3万円の微減
― 「1万円以上~10万円未満」が最多の28.4%、次いで「10万円以上~20万円未満」が23.9%
お布施(寺院・教会・神社など宗教者への御礼)の平均費用は22.4万円となり、2020年の23.7万円と比較すると1.3万円の微減でした。コロナ禍において、お布施の相場に大きな変動はありませんでした。
包んだ金額は「1万円以上~10万円未満」の28.4%が最多となり、続いて「10万円以上~20万円未満」が23.9%、「20万円以上~30万円未満」が15.3%となりました。
お布施など宗教者への御礼は地域性やお寺との関係により変動することが多く、本来の意味合いからも一定の金額が定められているものではありません。お布施の相場に悩む場合は、菩提寺(お付き合いのあるお寺)や葬儀社の担当者に相談するなどの方法で解消できます。また、菩提寺がない場合は、定額で斎場に僧侶を派遣するサービスも多数存在しています。葬儀後も四十九日法要、一周忌法要、三回忌法要などの法事・法要に対応してくれるため、利用を検討することもひとつの手段です。
【費用/香典】参列者の減少により受取額は平均47.2万円で2020年から23.9万円の下落
― 「10万円未満」が最多の28.0%、次いで「20万円以上~40万円未満」が17.3%
受け取った香典の平均費用は47.2万円となり、2020年の71.1万円と比較すると23.9万円の下落となりました。香典の相場はある程度固まっているため、参列者の減少が主な要因と考えられます。
受取った合計額の「10万円未満」の28.0%が最多となり、次いで「20万円以上~40万円未満」が17.3%、「10万円以上~20万円未満」が13.7%となりました。
一般的に参列者が多いほど受け取る香典は多くなり、葬儀費用の一部を香典で充当することで実質の負担額が軽減されます。一方で故人との関係性によっては包まない場合も見受けられます。
本調査でも、喪主自身から見て「自分の親」は26.3%、「配偶者の親」は11.1%、「自分の祖父母」は7.4%の方が香典を包んでいないことがわかりました。代々のしきたりや葬儀を行う地域により慣例が異なるため、事前の情報収集を推奨しています。
【時間】亡くなってから葬儀を決めるまでの時間、平均5.3時間
―生前に葬儀社を故人と一緒に決めていた人39.9%、亡くなってから半日以内に葬儀社を決定した人55.8%
亡くなってから葬儀社を決めるまでの時間は平均5.3時間でした。
「生前から故人と決めていた」方は39.9%で、2020年の28.1%から11.8pt増加しました。葬儀社を決める時期が早期化していることが伺えます。
また、「亡くなってから半日以内」の方は合計で55.8%に上り、過半数を占めました。「いい葬儀」では、事前に複数社を比較検討することをお勧めしています。
さらに、葬儀社を「生前に故人と決めていた」と回答した方は、平均で亡くなる1年半前(18ヶ月前)に葬儀社を決めていたことがわかりました。「亡くなる1ヶ月未満」が37.4%で最多となり、次いで「亡くなる6ヶ月〜1年前」24.0%、「亡くなる1年前以上」22.0%となりました。入退院のタイミングや病気や体調の変化を受け、葬儀社を早く決める傾向が見られます。
まとめ
「お葬式に関する全国調査」は今回で5回目となりました。2020年3月以降に喪主(または喪主に準ずる立場)を経験した方に向けて調査を実施したため、コロナ禍の葬儀の実態が色濃く反映された結果となりました。具体的には、家族葬は55.7%、直葬・火葬式は11.4%でともに過去最多、一方で大勢が参列する一般葬は25.9%と過去最少ました。また、葬儀にかかる総額(基本料金・飲食・返礼品の合計)は110.7万円となり、2020年と比較し73.6万円の下落となりました。
また、「コロナ禍ではなかったとしたら行いたかった葬儀」を伺うと、潜在的には44.0%の方が一般葬を希望していたにも関わらず、実際にはコロナの影響により25.9%の実施にとどまったことがわかりました。 昨今は常に変化する事態の中で安全を考慮しながら葬儀を行う必要があります。
本調査が、家族も葬儀社も一体となり、今できる最大限の理想の葬儀に近づくための一助となることを願っています。
回答者について
当調査内容に関するご質問、掲載や取材の希望については下記までお問い合わせください。
- グラフの数値は四捨五入しているため、合計で100%にならない場合がございます。
- 当調査データの無断転載を禁じます。すべての著作権は株式会社鎌倉新書または情報提供者に帰属します。
- 当調査データのご利用は事前にご相談ください。
本記事に関するお問い合わせ
株式会社鎌倉新書 広報グループ
TEL:03-6262-7185
MAIL:pr@kamakura-net.co.jp