株式会社鎌倉新書では、2013年より、過去2年半以内にお葬式を経験したご遺族を対象とした「お葬式に関する全国調査」を定期的に行っています。
第4回目となる2020年の調査では、過去2年半以内に葬儀を経験した全国2,000人の方を対象にアンケートを実施。葬儀にかかった費用やお布施、お香典として受け取った額の合計など、お葬式に関連する数字はもちろん、お墓や仏壇、相続、遺言、遺品整理、空き家の処分など、 お葬式以外の終活全般についての費用も調査しています。
目次
葬儀やお布施などにかかった費用
お葬式にかかる費用には、葬儀そのものにかかる費用と、飲食や返礼品など接待にかかる費用、そしてお布施など宗教者へのお礼があります。
この内、飲食と返礼品にかかる費用は、葬儀の規模や会葬者の人数によって変化するため、変動費と呼ばれることもあります。会葬者の人数が多いほど飲食返礼品にかかる費用は増える傾向がありますが、人数が多くなることで、参列者からのお香典として受け取る額の合計は多くなります。お布施は通夜、葬儀・告別式での読経や、戒名などのお礼として僧侶(導師)に包むものです。包む額に決まりはありませんが、ある程度の目安はあります。
ここでは葬儀にかかった費用を、それぞれの項目に分けてご紹介します。
平均119万円/お葬式にかかった費用
葬儀全体にかかった費用は、全国平均で119万1,900円でした(火葬場使用料、および、式場使用料を含む。ただし、飲食・返礼品費用、お布施は除く)。最も多い価格帯は、「100万円以上120万円未満」14.0%、続いて「80万円以上100万円未満」13.6%となっており、80万円から120万円の間に集中していることが分かります。
平均31万円/葬儀の飲食にかかった費用
葬儀の飲食にかかった費用は、平均が31万3,800円です。価格帯としては「10万円未満」が32.3%と最も多く、次いで「10万円以上20万円未満」25.1%、「20万円以上40万円未満」20.1%という結果になりました。
平均34万円/葬儀の返礼品にかかった費用
葬儀の返礼品にかかった費用は、平均33万7,600円です。価格帯は「10万円未満」が33.9%と最も多く、「10万円以上20万円未満」22.1%、「20万円以上40万円未満」18.8%と続きます。
なお、地域別に見ると、 最も高いのは中部地方で平均38万3,700円(n=439)。反対に近畿地方は平均22万7,000円(n=265)と最も低く、その差は16万円近い結果となっています。近畿地方では香典を辞退することも多いといった風潮も見られることから、返礼品にかかる費用も低くなることが考えられます。
平均55人/会葬者(参列者)の人数
遺族も含めた葬儀の会葬者(参列者)の平均人数は55人です。
最も多いのは「10名以上20名未満」17.7%、「20人以上30人未満」13.3%、「10人未満」12.2%と数人から30人未満という回答が多くなっています。しかし、「30人以上」という回答も一定数あるほか、「90人以上100人未満」「200人以上」という回答もあり、特定の人数に集中するというよりは多岐にわたって分散している傾向が見られます。
平均71万円/会葬者(参列者)からの香典の合計
会葬者(参列者)からの香典の合計は、平均で71万1,400円となりました。しかし価格帯を見ると「10万円未満」が18.7%と最も多い割合を占めています。また、香典の合計が「10万円以上」になると、「100万円未満」まではいずれも10%前後ですが、「100万円以上」になると一桁となります。
平均24万円/お布施の額(寺・教会・神社など宗教者への御礼)
お葬式のお布施(寺・教会・神社など宗教者への御礼)については、平均23万6,900円という結果になりました。最も多いのは「1万円以上10万円未満」27.6%。「10万円以上20万円未満」も22.7%と、数万円から20万円の間が主となっています。
なお、お布施など宗教者への御礼をいくら包むかということについては、地域性やそれぞれのお寺との関係によることが多く、また本来の意味合いからも金額が定められているものではありません。「どのくらい包めばいいかわからずに困った」という時には、菩提寺に相談してみることをおすすめします。近年では、比較的、そのような質問にも応えてくれる寺院が増えているようです。直接寺院に確認するのが難しい場合は、葬儀社の担当者に相談してみるのもひとつの方法です。
お墓や仏壇、遺言、相続など、終活にかかった費用
終活にかかわる費用というと、お葬式の費用がまず挙げられますが、葬儀以外にもお墓や仏壇、遺言、相続など終活全般には費用が発生します。終活に関連する葬儀以外の主な費用、「お墓」「仏壇」 「相続関連」「遺言」「遺品整理」「不動産(空き家)」 について、どのくらいの費用が掛かったのかを調査しています。
平均135万円/お墓の購入にかかった費用
お墓の購入にかかった費用の平均は135万1,200です。価格帯は「100万円~150万円」が25.0%と最も多く、4分の1を占めています。次いで「50万円~100万円」20.1%という結果です。
平均73万円/仏壇の購入にかかった費用
仏壇の購入にかかった費用の平均は73万1,600円です。「25万円~50万円」が29.1%、「25万円未満」が27.7%、そして「50万円~100万円」が23.2%と、「100万円未満」が8割を占めています。
平均49万円/相続のため行政書士などに依頼した費用
相続のため行政書士などに依頼した費用の平均は49万3,000円です。54.3%と半数以上が「25万円未満」という結果です。
平均69万円/遺言など弁護士への依頼にかかった費用
遺言など弁護士にかかった費用の平均は68万6,100円です。 「25万円未満」が52.9%と過半数を占めています。
平均47万円/遺品整理にかかった費用
遺品整理にかかった費用の平均は47万1,700円です。「25万円未満」が62.3%と、6割以上を占めています。
平均110万円/空き家処分にかかった費用
空き家処分にかかった費用の平均は110万4,100円です。 最も多いのは「25万円未満」で37.4%ですが、「25万円以上50万円未満」12.1%、「50万円以上100万円未満」13.9%、「100万円以上150万円未満」10.0%と、それぞれ10%前後を占めています。さらに割合としては少ないものの「150万円以上」という回答も一定数あり、平均を押し上げる結果となりました。
葬儀社の探し方、葬儀全般にかかわること
45%が「以前から知っていた」葬儀社に依頼/葬儀社の情報を得たところ(複数回答)
「葬儀社の情報を得たところ」という質問に対する回答(複数回答)で最も多かったのは、葬儀社は「以前から知っていた」で45.3%、続いて「家族や親族からの紹介」の33.2%です。
それ以外の選択肢については「故人が入院していた病院からの紹介」6.5%、「知人・友人からの紹介」6.0%といずれも10%以下という結果です。
40%が「会員になっていた」/葬儀社を知っていた理由(複数回答)
また、「以前から知っていた」という回答をされた方に、どのようにして該当する葬儀社を知るに至ったのか?(複数回答)という質問を行ったところ、40.0%の方が「葬儀社の会員だったから」と回答しています。また、「ほかの親族の葬儀を行った際に知った」34.9%、「知人の葬儀に参列した際に知った」17.5%と、参列者としてその葬儀社の葬儀を経験していた人の割合も高くなっています。
さらに、「家の近所にあって知った」も22.8%と、親族や地域など、身近なネットワークを通じて葬儀社の情報を得ていたことがわかります。
28%が「生前に葬儀社を決めていた」/葬儀社を決めるまでにかかった時間
葬儀社を決めるまでにかかった時間については、最も多いのが「生前に故人と決めていた」で28.1%という結果になりました。お亡くなりになってから葬儀社を決めた場合も 「没後2時間未満」24.7%、「2時間以上4時間未満」16.9%と、6時間以内に半数以上が葬儀社を決定しています。
69%が「(亡くなる)6ヵ月以上前から決めていた」/生前に葬儀社を決めた時期
生前に葬儀社を決めていたという方に、どのくらいの時期に葬儀社を決めていたかを尋ねました。最も多いのは、「ご逝去の1年以上前から」で37.7%。次いで「ご逝去の前、6ヵ月~1年未満」31.0%です。生前に葬儀社を決めている場合、その7割近い人が、半年以上前に葬儀社を決めていることになります。
一方、6ヵ月を境に生前に決めていた人はより直前に決める割合が増えており、「ご逝去の前、1ヵ月未満」が17.1%であるのに対し、「ご逝去の前、1ヵ月~3ヵ月未満」10.5%、「ご逝去の前、3ヵ月~6ヵ月未満」3.6%と、より葬儀が迫ってから葬儀社を決める傾向が見られます。
約37%が「故人が葬儀社を決めていた」/生前に葬儀社を決めた人
生前に葬儀社を決めた方に「誰が主体となって葬儀社を決めたか?」と質問したところ、「喪主」が57.9%と半数を超えました。一方で、お亡くなりになった「故人」が決めたいたという回答も37.1%あり、4割近い方が、ご自身で葬儀社を決めていたという結果になりました。
32%が「アクセスが良いから」/葬儀社を決めた理由(複数回答)
葬儀社を決めた理由(複数回答)については32.1%が「葬儀をする際にアクセスの良いエリアだったから」と葬儀社(斎場・葬儀会館)へのアクセスを重視していることがわかります。このほか「故人と所以や地縁のあるエリアだったから」16.3%、「施設や設備の充実土が高かったから」12.0%と、葬儀式場のあるエリアや施設そのものが選定理由としてあげられています。また、「その葬儀業者の会員だったから」31.1%、「予算に見合った費用だったから」27.8%と会員制度へ加入していたといった点や、葬儀費用も葬儀社選定で大きな要素として考えられます。
さらに、最も重要な決め手としては「その葬儀業者の会員だったから」が26.3%、予算に見合った費用だったから」18.2%と、葬儀社を決定するにあたっては、エリアや斎場や葬儀会館、セレモニーホールなどの施設よりも、会員制度や費用などが決め手になることがわかります。
71%が「専門葬儀社」/依頼した葬祭業者の種類
葬祭業者はその経営などから、専門葬儀社、冠婚葬祭互助会、JA(農協)、生協などの団体に分類されます。
今回のアンケート結果を見ると、依頼した葬祭業者は「専門葬儀社」が70.6%と大半を占めています。「冠婚葬祭互助会」は15.7%、「JA(農協)」は11.0%です。
48%が「葬儀の価格が不安」/葬儀の準備で不安だったこと(複数回答)
葬儀で不安に感じたこと(複数回答)については「葬儀の価格」が48.6%、「追加料金」31.9%、「心付けやお布施の額」29.4%と、価格が不明瞭な点に不安を感じたという回答が目立ちます。
また、「葬儀の知識がない」21.6%、「葬儀の手順」18.8%と、葬儀の行い方に不安を感じるという点もあげられます。
14%が「葬儀の価格」で困った・後悔した/葬儀を行って困ったこと・後悔したこと(複数回答)
葬儀を行って感じた「困ったこと・後悔したこと」については、57.1%と半数以上の方が「困ったこと・後悔したことはない」と回答。葬儀の前に「不安に感じたことはない」28.7%と比べ、大幅に増えています。葬儀の前には不安だったことも、困ることなく葬儀を終えられたという方が多いことがわかります。
一方で、困ったことや後悔したことがあった、という方の中では、葬儀の準備の時に感じた不安と同様、「葬儀の価格」が最も多く14.0%となりました。また、「心付けやお布施の額」が12.3%、「追加料金」が8.8%と費用に関する問題が比較的多くなっています。
さらに、「葬儀の知識がなかった」12.6%、「通夜や告別式の接待の仕方や手順」7.3%と、「葬儀の知識がない」ことも困ったこと・後悔したこととして一定の割合を占めています。
90%が「斎場・葬儀会館」/葬儀を行った場所
葬儀を行った場所では、「斎場・葬儀会館」が89.6%と、ほぼ9割を占める結果となりました。「宗教施設(寺・教会・神社など)」4.7%、「自宅」3.5%と続きますが、いずれも5%にも満たないことから、ほとんどの葬儀が斎場や葬儀会館、セレモニーホールなど葬儀専用の施設で行われていることがわかります。
41%が「家族葬」/葬儀の種類
施行した葬儀の種類を一般葬、家族葬、一日葬、直葬・火葬式に分けた場合、どの葬儀に該当するかを尋ねたところ、最も多いのが、幅広い人たちが集まって故人を送る「一般葬」で48.9%、続いて親族や故人と親しかった方で送る「家族葬」が40.9%となりました。
一方、通夜を行わない「一日葬」は5.2%、火葬のみのお別れとなる「直葬・火葬式」は4.9%と、その割合はいずれも一桁台となっています。
なお、葬儀の種類については明確な決まりがないため、このアンケートでは下記の通り区別して回答をいただいています。
【葬儀の種類】
直葬・火葬式:宗教儀式のない、火葬のみのお別れ
一日葬:通夜がなく、告別式のみ、1日のお葬式
家族葬:通夜、葬儀・告別式のお葬式で、参列者は親族や親しい近親者のみ
一般葬:通夜、葬儀・告別式のお葬式で、参列者は知人、地域の方、職場の方など幅広く集まったお葬式
参列のマナー/香典を包んだ額
親族のお葬式でのお香典
親族へのお香典では、親や祖父母、兄弟姉妹の葬儀の場合、血縁、配偶者の血縁に限らず、いずれも4割以上が「お香典を出していない」と回答しています。特に「自分の親」の葬儀では61.4%がお香典を出していません。近しい方の葬儀では、喪主(施主)と共に葬儀費用を一部負担するといったこともあるため、お香典を出さない割合が高くなる可能性があります。
一方で、お香典に「10万円以上を包んだ」という回答は「配偶者の親」が13.7%、「自分の親」が12.2%となっています。
また、お香典に包んだ額の平均も、「配偶者の親」3万6,000円、「自分の親」2万6,000円、「自分の兄弟・姉妹」2万4,000円と、自分との関係が近い人の葬儀ほど香典の平均が高い傾向があります。
職場関係・友人・知人等のお葬式でのお香典
次に親族以外、職場の関係者や友人、知人のお葬式に参列する際のお香典は、親族の葬儀でのお香典と比較して、「お香典を出していない」という割合は低い傾向にあります。
しかし、お香典に包んだ金額については5,000円から1万円に集中。さらにお香典に3万円以上を包むという割合は少なくなっています。
葬儀の後は「相続のみ」、または「お墓、仏壇、相続」の順に用意/ お葬式の後に手配したものとその順序
葬儀の後にお墓、仏壇、相続についてどのような順で用意、対応したかを尋ねたところ、「手配していない」が41.3%と、4割の方が葬儀の後にお墓や仏壇、相続については特に動いていないことがわかります。
一方、手配をしたという方の中では、「相続のみ」に対応した方が14.7%と最も多い結果となりました。また、お墓、仏壇の購入や相続をすべて対応された方の場合、「お墓、仏壇、相続」の順が11.6%となっています。
第4回お葬式に関する全国調査 調査概要
調査名:「第4回お葬式に関する全国調査」(2020年)
調査対象:直近2年半以内に葬儀を行った(携わった)経験のある、日本全国の40歳以上の男女
調査期間:2020年2月26日(水)~2020年2月28日(金)
調査方法:インターネット調査 (調査協力:株式会社クロス・マーケティング)
有効回答数:2,000件
※グラフ等の数値は四捨五入しているため、合計で100%にならない場合がございます。
回答者の属性(性別/年齢)
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