吉川美津子のお葬式あらかると

Vol.6 「ご愁傷様」は言いにくい?

「数日前に財布を失くしちゃって、カード類や運転免許も入っていたから、大変だったよ。」 
「それはそれはご愁傷様!」
街中で小耳に挟んだこんなやりとり。なんてことない会話なのだけれど、「ご愁傷様」という言葉に私はちょっぴり反応してしまいます。
「形式的な言葉」「よそよそしい感じ」というイメージから、実際の葬儀の現場で「ご愁傷様」を耳にする機会が減ってきたように感じますが、いちおうお悔やみの場で使用される最上級の言葉に違いはありません。
言葉の使い方は時代とともに変化するということは理解しつつも、葬儀の現場で「ご愁傷様」シーンを多く見てきた立場としては、やはり特別な言葉であってほしいという思い入れがあります。ご愁傷様

「ご愁傷様」を辞書で調べると、次のように書かれています。

1.相手を気の毒に思うさま。身内を失った人に対するお悔やみの語。 「このたびは-でございます」
2.1をもじって、気の毒に思う気持ちを、軽いからかいの意を含めていう語。 「休日にも出勤とは-」
(大辞林より)

現代社会では、日常生活の中でさらっと使っても問題はなさそう。
でも、あまりにも普段の会話の中であまりにも軽々しく、しかも皮肉っぽい意味で使われすぎてしまっては、いくら丁寧とはいえイザという場面で使うことに抵抗がでてくるもの。だから「遺族になんて言葉をかけたらいい?」そんな悩みを抱えて、あわててインターネットで調べる人が意外と多いのです。
「この気持ちをどう伝えたらよいかわからない」「頭が真っ白で何も言葉が出てこない」時に、自分の気持ちを「ご愁傷様でした」の一文に乗せて表現できると思えば、結構便利な言葉であったりもします。次世代に伝えたい日本語のひとつかも?

ちなみに、マナー本の中には「相手に聞こえるか聞こえないかくらいの小声で言ってもよし!」のようなことが書かれていることもあります。場合によってはそれもアリですが、単に「不祝儀の基本的な挨拶ができない人」と見られてしまうこともありますから、シーンを考えて使い分けられると良いですね。


吉川美津子の“お葬式あらかると”TOPに戻る