家族葬とは?参列者はどこまで呼ぶ?葬儀の流れや費用、香典、お布施まで解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 家族葬とは近親者のみで執り行う小規模な葬儀のこと
  • 参列者の範囲は決まっていないが、全国平均人数は23人
  • 家族葬にかかる費用の全国平均は99万5,000円

家族葬とは、近親者だけで行う小規模な葬儀のこと。参列者が少ないぶん、接待の手間がかからなかったり、ゆっくり故人を偲んだりできると家族葬を選ぶ人が増えています。

この記事では、家族葬の意味やお葬式の流れ、費用、香典、マナーなど、知っておきたいポイントをまとめて紹介します。

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家族葬とは

家族葬とは、親族や近親者のみで執り行う葬儀とされています。ただ参列者をどこまで呼ぶかは決まっておらず、友人や知人など、故人と縁のある人を招いても問題ありません。

2022年に鎌倉新書が行った「第5回お葬式に関する全国調査」によると、家族葬の平均参列人数は23人。一般的なお葬式の平均参列者数は79人のため、3分の1以下の人数です。

家族葬は、参列者数が少なく、親しい人だけで葬儀を行うため、故人をゆっくりと見送れるのが特徴。故人を悼んだり、思い出話に花を咲かせたりと、ゆとりをもったお葬式ができるでしょう。

コロナの影響で家族葬の割合が半数以上に

引用:第5回お葬式に関する全国調査(2022年/鎌倉新書)

家族葬は、20年ほど前からはじまったといわれています。首都圏や地方都市を中心に年々選ぶ方が増えていて、最近では全国各地で行われるようになりました。

家族葬の割合が増えている理由のひとつは、平均寿命が伸びたことによる参列者の高齢化。高齢でお亡くなりになった場合、故人の関係者が参列できない可能性が高いです。また仕事を引退していると、職場との関係も薄くなりがち。親族やご近所との付き合いも近年希薄になっているため、葬儀の簡略化につながっています。

さらに新型コロナウィルスの影響で、2022年には家族葬の割合が半数以上に。2020年の40.9%から55.7%に増え、2013年の調査開始以来、はじめて一般葬の割合を上回りました。

密葬と家族葬の違いとは

家族葬に近い葬儀のスタイルに「密葬」があります。

密葬とは、一般の参列者を招いて行う「本葬」を前提として、身内だけで内々に行う葬儀のこと。近親者だけで葬儀をあげたあと、多くの参列者を見込んだお別れ会・偲ぶ会を行います。政治家や芸能人など、著名人の方のお葬式でよく選ばれている葬儀形式です。

また近年は本葬なしで、ごく親しい身内だけで行う葬儀を「密葬」と呼ぶことも増えています。

家族葬の流れ

ご逝去から火葬後までの家族葬の流れを紹介します。一般葬の流れとほぼ同じですが、あらかじめ知っておくと安心です。また、できれば早めに葬儀社を決めておき、親族をどこまで呼ぶか考えておくとスムーズに準備ができます。

ご逝去:死亡確認~葬儀の打ち合わせ

死亡診断

医師からの死亡宣告

医師から死亡の診断を受けたら、まず葬儀社に連絡します。病院にもよりますが、基本的には数時間以内に遺体を安置場所へ移動しなければなりません。

遺体の安置は、葬儀場の安置室を利用するのが一般的。安置をお願いした葬儀社に、そのまま葬儀も依頼することが多いため、家族葬を行っている葬儀社に連絡をしましょう。病院による死後の処置が終わる時間に、寝台車を手配してください。

いい葬儀では、24時間365日、お電話で葬儀社のご相談を承っております。電話一本でご希望に沿った葬儀社を案内できるのはもちろん、複数社の相見積もりも可能です。

葬儀社によるお迎え

葬儀社の担当者が寝台車でお迎えに来ます。家族も寝台車に同乗し、安置場所に向かいましょう。遺体の安置が終わったら、故人に線香をあげます。

家族葬の打ち合わせ

喪主を決定し、葬儀の日程や葬儀会場、料金プランなどの打ち合わせをします。どんな葬儀にしたいかを考え、必要なサービスや追加オプションを検討しましょう。

また日程を仮押さえしたら、菩提寺に連絡します。葬儀の読経は菩提寺にお願いするのが一般的なため、僧侶の予定も確認して葬儀の日程を確定してください。

もし菩提寺が遠方にあるのであれば、お坊さん手配サービスを利用するのもひとつの手。葬儀の日程に合わせて僧侶を派遣してくれるサービスです。

通夜:湯灌~通夜ぶるまい

家族葬では、一般葬と同じように1日目に通夜、2日目に葬儀・告別式を行います。

湯灌(ゆかん)の儀、納棺

通夜がはじまる前に、湯灌(ゆかん)の儀を行います。
湯灌とは、遺体にお湯をかけてキレイにし、故人があの世へ行くための身支度を整える儀式。略式の湯灌の場合、濡らしたタオルやアルコール脱脂綿で身体を拭いてあげます。

湯灌が終わったら、故人に白装束を着せて棺に収めます。

通夜、通夜振る舞い

通夜振る舞い

開始時刻の1時間ほど前になったら、会葬者の受付をして、通夜がはじまります。一般的には18時ごろから開始する通夜が多いです。

通夜では僧侶による読経のあと、喪主から順番に焼香を行い、喪主が挨拶をして閉式します。そして通夜の後には、「通夜ぶるまい」と呼ばれる会食をします。ごく少人数の家族葬だと、参列者の受付や喪主の挨拶は省略されることも多いので、状況に応じて必要性を判断しましょう。

お葬式:葬儀・告別式~精進落とし

葬儀・告別式

通夜の翌日に葬儀・告別式が行われます。火葬の時間にもよりますが、お昼の12時くらいから開始するお葬式が多いです。

葬儀・告別式は、参列者一同が着席したところで開式。僧侶に読経をしてもらったあと、喪主、遺族、参列者の順に焼香を行います。また、友人や知人からの弔電があれば、告別式の最中に読み上げます。

焼香が終わったあとは、故人と過ごす最後の時間です。祭壇から棺を降ろして蓋を開け、「別れ花」と呼ばれるお花を入れてお別れをします。別れ花のあと、最後に行うのが「釘打ちの儀」。棺の四隅に釘を打ち、少し余らせた部分を故人に縁の深い人が2回ほど打ち込む儀式です。釘打ちの儀は、地域によって省略されることもあります。

出棺

葬儀が終わったら、棺を葬儀会場から運び出して霊柩車へ。出棺の際には喪主が位牌を、故人と関係の深い人が遺影をもちます。

遺族全員が火葬場に同行する場合は省略されますが、棺が霊柩車におさまったあとは、喪主が挨拶をするのが一般的。霊柩車を先頭にして、車やマイクロバスなどで親族も火葬場に向かいます。また火葬場で納めの儀をしてもらう場合は、僧侶も同行します。

火葬・収骨(骨上げ)

火葬炉の予約時間に間に合うよう、火葬場に到着します。納めの儀を行い、火葬炉の前で僧侶に読経してもらいます。火葬は1時間前後かかるので、控室で静かに待ちましょう。

火葬が終わると、故人のお骨を拾う「収骨(お骨上げ)」を行います。遺骨を箸で拾い上げ、骨壷におさめていく儀式です。

精進落とし

火葬が終わると、精進落としと呼ばれる会食をします。
葬儀会場に戻るか、レストランや飲食店で行うのが一般的です。ただ参列人数の少ない小規模な家族葬では、改まった会食の場を設けず、解散することもあります。

家族葬にかかる費用

家族葬、一般葬にかかる費用

鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、家族葬の費用相場は99万5,000円です。対して、一般葬の平均費用は150万8,500円。金額はあくまで目安ですが、家族葬は一般葬より50万円前後安くなるといえます。

家族葬は、一般の参列者を招待しない葬儀のため、斎場や祭壇も小さめで済みます。また、接待や返礼品にかかる費用もおさえやすく、一般葬より安い金額で葬儀をあげられるんですよ。
ただ宗教者に渡すお布施は、一般葬と変わらず、10~20万円ほどが平均。実際の料金は儀会場の広さや参列者の人数などによっても変わるため、葬儀社の見積りに含まれているサービスをきちんとチェックしておきましょう。

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家族葬の香典

遺族向けの香典マナー

一般的な葬儀では、参列者から「香典」として金銭を受け取ります。
しかし内々で行う家族葬では、「身内からお香典を受け取るのは申し訳ない」「葬儀や香典返しの手間を減らしたい」などの理由から、香典を辞退するご遺族も多いです。

香典を辞退する場合は、あらかじめ参加者に「香典辞退」の旨を伝えておきましょう。ただ辞退していても香典を持参する参列者はゼロではありません。香典をいただいた際は、必ず香典返しをするのがマナーです。

参列者向けの香典マナー

家族葬に参列する場合、遺族から香典辞退の連絡があった際は持参しないのがマナー。当日葬儀場で「香典不要」だと知ったとしても、遺族の意向を尊重して無理に渡さないようにしてください。

反対に、とくに連絡がないようであれば、家族葬でも忘れず香典を包むこと。香典の金額は、一般的な葬儀と変わりません。故人との関係性や地域によって違うため、相場や包み方のマナーを今一度確認しておきましょう。

家族葬のメリット・デメリット

家族葬に限らず、どの葬儀形式にもメリットとデメリットが存在します。
故人と最後のやり直しをするお葬式は、やり直しができません。実際の葬儀で後悔することがないよう、良い面と悪い面、どちらも把握しておきましょう。

家族葬にするか悩んだら、他の葬儀形式との違いを比べてみるのもオススメです。

家族葬のメリット

  • 故人とお別れの時間をゆっくり過ごせる
  • 参列者の対応に追われない
  • 一般葬より葬儀費用をおさえやすい

家族葬とは、親族やごく親しい友人・知人のみで行い、故人とのお別れを大切にした葬儀の形式です。遺族が参列者の対応に追われることなく、家庭的な雰囲気のなか、お別れの時間をゆっくりと過ごせるのが大きなメリットといえます。

また家族葬は参列者が少ないため、飲食代や返礼品費用があまりかからない傾向があります。斎場の規模も小さくて済むため、式場利用料も安くおさえられますよ。

家族葬のデメリット

  • 参列者の選別が難しい
  • 葬儀後の対応が発生しやすい
  • 香典金額が低くなりやすい

家族葬は親族のみで行うため、葬儀に参列できなかった友人・知人が納得できないお別れになる可能性があります。残された人々が納得できる葬儀になるよう、参列者をどこまで呼ぶかは慎重に考えましょう。また、家族葬を知らなかった人が後日自宅まで弔問に来ることも。弔問客のもてなしや香典返しの準備など、予想外の対応が発生しやすいです。

さらに家族葬は、一般葬より費用をおさえられる傾向がある一方で、参列者が少ないぶんお香典の金額が少なくなります。お香典をあてにして豪華な葬儀を行い、後でお金が足りなくなるケースもあるので気を付けましょう。

家族葬の注意点

家族葬の喪主の挨拶

遺族向け

参列者の範囲

家族葬に招く参列者の範囲で多いのは、故人の家族や両親、子ども兄弟の家族まで。ただ明確な決まりはないため、家族葬といっても参列者の範囲や人数はバラバラです。近親者だからといって必ず呼ぶ必要はありませんが、特別な事情がない限りは招待した方が余計なトラブルを避けられますよ。

また、故人の遺志を尊重して、親しかった友人や知人を招待しても問題ありません。

訃報連絡

家族葬の訃報連絡は、参列してほしい近親者に限定するケースが多い様子。故人と親しい方が訃報を知ると、たとえ家族葬でも参列すべきか迷ってしまうからです。故人の家族や兄弟姉妹など、訃報を知らせるのは最低限にとどめ、葬儀後に挨拶状で「家族葬を行った」旨を伝えます。

また、故人の勤めていた会社には訃報を知らせる必要があります。職場関係者が対応に困らないよう「家族葬であること」を伝え、香典や弔電を辞退するようであればあわせて申し出ましょう。

喪主の挨拶

家族葬では、葬儀における喪主の挨拶を省略するケースもあります。喪主の挨拶が必要かどうかは、家族葬の規模や状況で判断するのが一般的なようです。

お付き合いのある近親者だとしても、故人がお世話になった感謝や、参列してくれたお礼はきちんと伝えましょう。挨拶の内容は事前に考え、2~3分程度にまとめておくと安心です。

参列者向け

参列の判断

家族葬は、遺族から参列願いの案内がない限り、弔問しないのが基本。訃報連絡の書面に、参列を断る旨が明記されていたり、日程や場所が書かれていなかったりするのであれば、参列は見送りましょう。

反対に、葬儀の場所や日程が明記されていて辞退の文章がないなら、家族葬でも参列してOK。もし判断に迷うようなら、参列できるかどうか遺族に確認した方が安心です。

香典の確認

家族葬では香典を辞退するご遺族も少なくありません。香典辞退の記載があれば、遺族の意向を汲んで香典を渡すのは控えましょう。また香典と同様に、供花や供物の持参も避けた方が無難です。

とくに記載がなければ、一般葬と同じように香典を持参してください。

服装

家族葬に参列する際は、一般葬と同じように準喪服・略喪服を着用します。

男女ともに光沢のない黒いフォーマルウェアを選び、男性はスーツ、女性はワンピースやアンサンブルを着てください。また女性は露出の多い衣服や、華美なアクセサリー・メイクは避けましょう。

家族葬を行う葬儀社・葬儀場の選び方

葬儀社を選ぶポイント葬儀場を選ぶポイント
家族葬の施行数が多いか
事前に見積もりを出せるか
丁寧に詳細を説明してくれるか
希望に沿って複数の選択肢を出してくれるか
契約や支払いを急かされないか
参列客の人数にあった大きさか
遺族控室や安置室の雰囲気はよいか

家族葬だからといって、特別な設備は必要ありません。家族葬のノウハウがあり、きちんと希望に沿った見積もりや提案をしてくれる葬儀社を選べば問題ないでしょう。

最近では、家族葬を専門とする葬儀社や「家族葬ホール」と呼ばれる小さめの斎場も増えています。家族葬の施行数が多い葬儀社に任せれば、家族葬に着目したサービスや気配りが手厚くて安心です。

また広すぎるホールはさみしい印象を与えるため、参列者の人数にあった葬儀場を選びましょう。できれば事前に、式場や遺族控室、安置室などをチェックしておいてください。

葬儀社を紹介してくれる病院もありますが、お断りしてもとくに問題ありません。複数社の見積もりをとって比較した方が、希望に沿った葬儀社を見つけやすいですし、結果的に満足いく葬儀をあげられます。

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家族葬に関するよくある質問

家族葬に適した葬儀社、葬儀場の選び方

家族葬とはどんな葬儀ですか?

家族葬とは身内や親族のみ、もしくは故人と親しい友人を招いて執り行う小規模な葬儀のこと。参列者の高齢化や新型コロナウィルスによる影響から、2022年には半数以上の方が家族葬を選んでいます。

家族葬の平均参列者数は?

鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、家族葬の平均参列人数は23人。一般的なお葬式の平均参列者数は79人のため、家族葬は3分の1以下の人数までおさえられます。

家族葬では参列者をどこまで呼ぶ?

家族葬では、参列者の範囲は明確に定義されていません。家族のみで執り行う家族葬もあれば、親族を含めたり、故人ととくに縁の深かった友人・知人を招いたりとさまざまです。

家族葬にかかる費用の相場はいくら?

家族葬の費用相場は99万5,000円です。葬儀の規模やプランによって料金は異なりますが、葬儀そのものにかかる費用は100万円前後がもっとも多い価格帯。対して一般葬の平均費用は150万8,500円で、家族葬は一般葬より50万円前後安くなるといえます。

家族葬のお布施はいくら?

家族葬と一般葬で、お布施の金額は変わりません。鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」では、お布施の平均費用は22.4万円という結果でした。割合としては1万円以上~10万円未満の金額を包む方がもっとも多いです。

家族葬のメリットは?

家族葬の代表的なメリットは、「参列者の接待の負担が少ない」「故人をゆっくりと見送れる」「葬儀費用がおさえられる」の3つです。

家族葬のデメリットは?

家族葬の代表的なデメリットは、「参列者の選別が難しい」「葬儀後に弔問客の対応が発生しやすい」「香典金額が少ない」の3つです。家族だけでなく、故人と縁あった人すべてが納得できるようきちんと話し合って家族葬を選びましょう。

家族葬ができる場所はどこ?

家族葬に限定せず、参列人数をまかなえる広さの斎場であれば対応可能です。また最近は家族葬を専門とする葬儀社の「家族葬ホール」でも葬儀をあげられます。

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