一般的なお通夜・お葬式の所用時間は1~2時間。準備のある遺族は5~6時間が目安です。お通夜・お葬式にかかる時間や開始から終了までの流れを把握しておくと、安心して準備できます。
この記事では、一般的なお通夜・お葬式にかかる時間や開始~終了時間、葬儀形態別の所要時間などを紹介します。お葬式の日程を考えるポイントや参列者のマナーなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
お葬式の所要時間と開始~終了時間
1日目 | 納棺→お通夜→通夜振る舞い |
2日目 | お葬式・告別式→出棺・火葬→骨上げ→精進落とし |
一般的な仏教のお葬式では、お通夜とお葬式・告別式を2日間にわたって行います。お通夜、お葬式・告別式の流れや、式の所要時間について、確認しておきましょう。
お通夜にかかる時間
お通夜(儀式のみ) | 約1〜2時間 開式:18時 閉式:19時ごろ ※参列者数に応じて閉式時刻は変動 |
湯灌・納棺→通夜振る舞い終了 | 約5〜6時間 |
お通夜の所要時間は、参列者なら1〜2時間、遺族・親族なら5〜6時間が目安です。なお、準備によってはトータルで7〜8時間かかることもあります。
お葬式・告別式にかかる時間
お葬式・告別式(儀式のみ) | 約1〜2時間 開式:10時 閉式:11時〜11時半ごろ ※参列者数に応じて閉式時刻は変動 |
お葬式・告別式→精進落とし終了 | 約5〜6時間 |
一般的なお葬式・告別式にかかる所要時間は、参列者なら1〜2時間、遺族・親族なら5〜6時間。遺族・親族はお葬式前後の準備や片付けによって、通算で8時間以上かかることもあります。
お葬式(葬儀)と告別式の違い
葬儀 | 告別式 | |
---|---|---|
儀式 | 宗教的な儀式 | 社会的な儀式 |
中心人物 | 僧侶・司式者 | 喪主・参列者 |
内容 | 読経 引導 戒名授与 | 焼香 献花 出棺 |
お葬式は、僧侶を中心に、宗教的な儀礼によって故人を弔う儀式。お坊さんに読経や引導、戒名授与などをしていただくのがお葬式です。
一方の告別式は、喪主を中心に、社会的な儀礼によって故人とお別れする儀式。参列者が焼香や献花などを行って故人を偲び、最後のお別れをします。
告別式は、葬儀の直後に続けて行うのが基本で、明確な区切りはありません。最近は葬儀の中に告別式を含め、「葬儀・告別式」としてひとくくりにされている式が多いです。
お葬式の形式によって所要時間が変わる
形式 | お通夜 | お葬式 | 備考 |
---|---|---|---|
家族葬 | 2〜4時間 | 5〜6時間 | 参列者は限られるものの、一般葬と同じくらいの時間を要する |
一日葬 | なし | 4〜6時間 | お通夜がなく、お葬式・告別式を1日で実施するため、短時間で済む |
直葬・火葬式 | なし | 3〜4時間 ※出棺〜骨上げまで | 通夜やお葬式・告別式を省略し、火葬のみ行うため、より短時間で終わる |
こちらは、葬儀形式別に遺族が必要とする時間をまとめた表です。お葬式にかかる時間は、「家族葬」「一日葬」「直葬・火葬式」と、葬儀の形式によっても変わります。
参列者を近親者に絞って少人数で故人を見送る「家族葬」は、お通夜は2~4時間、お葬式は5~6時間が目安。小規模とはいえ、一般的なお葬式と同じように通夜・葬儀を行うため、所要時間はそこまで変わりません。
通夜を行わず1日で故人を見送る「一日葬」の所要時間は4〜6時間。また、通夜・葬儀を省略して火葬のみで故人を見送る「直葬・火葬式」は、3~4時間が目安です。
一般的なお葬式の流れとタイムスケジュール
お通夜とお葬式・告別式を伴う一般的な葬儀を例に、流れやタイムスケジュールを解説します。
1日目:お通夜のタイムスケジュール

18時から始まるお通夜を例にタイムスケジュールを解説します。
お通夜開始前の14時〜16時ごろ、遺族は湯灌・納棺に付き添い、故人のご遺体を清めて棺におさめます。開始1時間前の17時には親族が集合し、30分前の17時30分から受付をスタート。18時から通夜を行い、19時に通夜振る舞いを開始するのが一般的な流れです。
14:00〜16:00:湯灌・納棺
喪主・遺族は、お通夜当日の14時〜16時ごろに湯灌と納棺に立ち会います。湯灌でご遺体を清めたあと、白装束や故人の好きな衣装へ着替えさせ、メイク(死化粧)を施します。かつては、遺族や親族、近所の方が湯灌をしていましたが、近年は葬儀社が提供する湯灌サービスを利用する方が多いです。
湯灌が終わったら、故人の遺体と故人の思い出の品を棺に入れます。納棺が終わり次第、喪主は葬儀社とお通夜について最終的な打ち合わせをしてください。
17:00:親族集合
遺族以外の親族は、お通夜が開始する約1時間前に会場へ集合します。親族としてお通夜に参列する場合は、遺族にお悔やみの言葉を伝えた上で、手伝えることがないか聞いてみると良いでしょう。
17:30:受付開始
お通夜開式の約30分前から、参列者の受付を始めます。お通夜に参列する場合は、開式10分前までに受付を済ませて、着席しておきましょう。
受付が混雑することを予測して、通夜開始30分前には会場に到着しておくと安心です。受付では遺族にお悔やみの言葉を伝え、芳名帳に氏名・住所を記入し、案内に従って着席します。
18:00:お通夜
お通夜式場へお坊さんが入場すると、お通夜が始まります。お通夜では、お坊さんによる読経や参列者の焼香、喪主の挨拶が行われ、多くの場合1時間から1時間半程度で終わります。
式中の流れは、以下の通りです。
- お坊さんの読経
- 参列者の焼香
- お坊さんの説教・法話
- 喪主挨拶
なお、参列者の数によって焼香にかかる時間が前後するため、場合によっては2時間程度かかることもあります。
19:00:通夜振る舞い
お通夜が終わったら、通夜振る舞いの会食をします。通夜振る舞いの参加者は親族がメインですが、遺族から参加を促された場合は参列者も参加しましょう。
通夜振る舞いは、1時間ほどで散会となることが多いです。なお、お葬式の規模や地域によっては通夜振る舞いはありません。
2日目:お葬式・告別式のタイムスケジュール

10時から開始するお葬式を例に、タイムスケジュールを紹介します。
お葬式は、火葬場の営業時間にあわせて午前中に開始するのが一般的。10時~15時の間で稼働している火葬場が多いため、午前中にお葬式・告別式を開始し、夕方には解散できるよう日程が組まれます。火葬場の予約状況によっては、午後や夜からお葬式・告別式をスタートする方もいるようです。
9:00:遺族・親族集合
遺族や親族は、開式の1時間前に式場へ集まります。多くの場合、お通夜の会場を使用して、お葬式・告別式をします。喪主が葬儀社と最終打ち合わせをしている間、遺族や親族は指示があるまで控室で待機しましょう。遺族や親族の間で、お坊さんを迎える係や受付係を決めておくとスムーズです。
9:30:受付
開式の約30分前から、参列者の受付を始めます。参列者は受付が開始する時間に合わせて会場に向かい、お葬式・告別式が開始する10分前までに着席します。
受付でお悔やみの挨拶をしたら、芳名帳に記入し、香典を渡しましょう。誘導係の指示に従って、前から詰めて着席します。
10:00:お葬式・告別式
お坊さんの入場後、お葬式・告別式を開式します。
お葬式・告別式の流れは以下の通りで、開式から閉式まで約1時間かかります。
- お坊さんの入場・開式
- お坊さんの読経
- 弔電紹介
- お坊さんの読経および参列者の焼香
- お坊さんの退場・閉式
11:00:出棺・火葬
お葬式・告別式が閉式したら、祭壇から棺を下ろして、喪主、遺族、親族の順で生花を入れたり、故人の顔を見たりしてお別れの時間を設けます。お花入れが終わったら、棺をしめて葬儀社のスタッフと遺族、親族で棺に釘打ちをしていきます。
喪主の挨拶が終わったら出棺です。遺族・親族の男性を中心に棺を霊柩車に運び、参列者は出棺が終わり次第解散になります。火葬場に到着後、遺族・親族は火葬炉の前でお坊さんの読経を聞いたり焼香をしたりして最後のお別れをします。遺体を火葬する(荼毘にふす)間は別室で待機してください。火葬には1時間から2時間程度かかります。
12:00:骨上げ
火葬が終わったら、遺族と親族で骨上げをします。火葬場のスタッフが骨上げの方法を指示してくれるので、指示を守って対応しましょう。
まず喪主が骨上げをし、遺族、親族の順番で骨を拾います。骨上げでは、親族が2人一組となってそれぞれが箸を持ち、故人の骨を拾って骨壷に収めるのが通例です。故人の足元から頭に向かって骨を拾い、喪主が最後に喉仏を納めて骨上げは終了します。
14:00:精進落とし
骨上げが完了したら、精進落としの会食をします。精進落としとは、お葬式・告別式後に参列者やお坊さんに感謝を伝えるために行う会食で、30分から1時間程度かかります。飲食店で会食の席を設けたり、弁当を用意したりするのが一般的です。
精進落としは骨上げが終わった後に行うご家庭が多いですが、火葬を待つ間に会食の時間を設ける場合もあります。
お葬式の日程を決めるポイント
お通夜やお葬式・告別式の所要時間とあわせて、お葬式の日程を決めるポイントも知っておくと、安心して準備を進められます。お葬式の日程を決める際は、以下のポイントを押さえて、候補日を複数ピックアップしましょう。
お葬式の形式を決めておく
お葬式の形式によって所要時間が異なるため、まずは遺族でどんなお葬式にするか話し合いましょう。生前から本人の希望を聞いておくのも、ひとつの方法です。
葬儀の形式が決まったら、お通夜やお葬式にかかる時間を逆算し、日程を考えます。
遺族・親族の都合を確認する
突然の訃報だと、遺族や親族がお通夜・お葬式に参列できないこともあります。できる限り多くの親族が参列できる日程を選ぶのも大切です。
また、早めにお通夜・お葬式の日程を伝えるよう配慮しましょう。なお、親族に受付係をお願いしたい場合は、日程と一緒に伝えておくとスムーズです。
お坊さんの都合を確認する
一般的な仏式の葬儀をするなら、お坊さんのスケジュールを確認した上で、お葬式日程を決めてください。お通夜・お葬式が、お盆やお彼岸など法事で多忙な時期に重なると、お坊さんの都合がつきにくい可能性もあります。お坊さんの対応可能な日程に合わせて、お通夜・お葬式の日程をずらすことも検討しましょう。
どうしてもお坊さんと都合が合わなければ、同じ宗派の別のお寺を紹介してもらうことも検討してください。
火葬場の空き状況を確認する
お葬式後に火葬できる日を事前に確認することも重要です。火葬場の空き状況を確認した上で、お通夜・お葬式の日程を逆算して、スケジュールを決めましょう。
東京をはじめとした都市部では人口が多いため、亡くなってから火葬まで数日から1週間程度待たなくてはならないこともあります。また、友引を休みとしている火葬場もあるので、注意しましょう。
ちなみに、年末年始も友引と同様に、三が日を休業としている火葬場が多いです。事前に葬儀社に相談し、火葬場の空き状況や定休日を確認しておくと安心です。
六曜を確認する
お通夜・お葬式の日程を決める際は、友引や仏滅などの六曜も考慮してください。縁起が悪いと考えられている仏滅や友引の日にお葬式をするのに抵抗がある方もいるかもしれません。また、午前中の縁起が悪いと言われている先負(せんぶ)も、お葬式の日程から避ける方も多いです。
遺族が六曜を気にしていなくても、親族の中にはこだわる方がいる可能性もあるので、六曜を把握した上で日程を決めた方が良いでしょう。
参列者向け!お葬式の時間に関するマナー
お葬式に招かれた参列者は、式に遅刻しないよう余裕を持って行動するのが大切。参列できない場合や途中退席が必要な場合は、遺族・親族にできる限り礼を尽くす対応を心がけましょう。
遅れないように余裕を持って行動する
参列者としてお通夜・お葬式に参加する場合は、開始10分前には着席できるよう余裕を持って行動しましょう。開式の30分前には到着し、受付を済ましておくと安心です。
会場に着くのが早すぎると遺族や親族に気を遣わせてしまうため、30分以上前に到着した場合は式場の近くで待つようにしてください。
参列できない場合は遺族に事前連絡する
お通夜・お葬式の案内があったにも拘らず、事情があってどうしても参列できない場合は、事前に遺族へ連絡してください。
また、参列できない場合は以下の方法で弔意を伝えましょう。
- 代理人に参列してもらう
- 香典や供物・供花を贈る
- 弔電を打つ
- 後日弔問する
この中でもっとも丁寧な弔意の伝え方は、代理人を立てて参列してもらうことです。代理人として参列してもらう方は、故人と直接面識がなくても問題ありません。香典も代理人に託して、遺族に届けてもらいましょう。
途中退席する場合は受付で事前に伝える
お通夜・お葬式の途中で退席する場合は、受付で遺族や葬儀社のスタッフに伝えておいてください。スタッフの誘導に従って、出口近くの椅子で待機できるよう努めます。
退出するときは静かに立ち上がり、挨拶はせず、周囲に目礼して退出します。複数名で途中退出する場合は、先の方が退出してから重ならないように移動しましょう。退出するタイミングが心配なら、事前に葬儀社のスタッフに確認しておくと安心です。
途中参加はなるべく避ける
遅れた時間 | 予想される状況と対応 |
---|---|
15分~ | 開式間もないため、葬儀社スタッフや身内の方が周辺にいる可能性が高いお悔やみの言葉と遅刻のお詫びを告げ、案内に従う |
30分~ | お坊さんが読経中なら、勝手に入場しないスタッフに声をかけ、お悔やみの言葉と遅刻のお詫びを告げ、案内に従って入場する |
45分~ | お坊さんの読経が終わり閉式が近く、喪主の挨拶の途中である可能性が高いスタッフに遅刻をお詫びし、焼香から参列したいことを伝える(入場案内された場合は、指示に従う) |
1時間~ | 参列者の数によっては閉式しているため、欠席を検討焼香に間に合う場合は、列の最後に並ぶ |
お通夜・お葬式に途中参加するのはなるべく避けるべき。ですが、どうしても遅れてしまう場合は、遅刻する時間によって対応が異なります。
お通夜・お葬式にかかる時間は、開式から閉式まで約1時間から1時間半です。15分単位で取るべき対応を知っておくと良いでしょう。
お葬式の所要時間をふまえて準備・行動をしよう
一般的なお通夜・お葬式の所用時間は1〜2時間。遺族は準備も含めて5〜6時間かかるのが目安です。
お通夜やお葬式を執り行うときは、トータルで必要な所要時間や開始〜終了時間、準備の流れを把握した上で日程を決めましょう。また、それぞれの儀式に必要な時間や流れを知っておくと、参列する立場になった場合も冷静に対応できます。