環骨勤行(かんこつごんぎょう)とは、文字通り火葬場から還ってきたご遺骨を、自宅などにお迎えする際に執り行う儀式のことを言います。「環骨」とは亡くなった方が骨に還った状態のことで、「勤行」とは仏教で精進やお勤めといった意味があります。環骨勤行のときに、四十九日、さらに百箇日の法要をする地域もあります。今回はこの環骨勤行について詳しく説明します。
環骨勤行とは
環骨勤行は、火葬場で荼毘(だび)に付した骨を骨壷に納めて、自宅や葬儀を行っている会場に故人をお迎えするための儀礼です。葬儀において最後に行われる儀式になります。宗派によっては環骨法要(かんこつほうよう)、安位諷経(あんいふぎん)と呼ばれます。また、持ち帰った遺骨を、自宅などで安置しお墓に納骨するまで供養することを環骨供養(かんこつくよう)といいます。
環骨勤行の流れ
地域や宗派によって違いはありますが、大まかに次のような流れになります。
1、後飾り祭壇の設置(一輪挿し・香炉・鐘・蝋燭台・線香立て、お供え物などを並べて置く)
2、塩と水でお清めをしてから自宅に入る
3、後飾り祭壇に位牌と遺影、遺骨を安置
4、僧侶による供養
5、遺族が順に焼香を行う
6、精進落とし
この後、故人が亡くなってから7日目に行われるのが初七日ですが、最近では7日後に改めて親せきが集まることが難しいという場合もあります。正式には自宅に遺骨が戻ってきて後飾り祭壇に安置してから初七日法要を行いますが、スケジュールの都合から環骨勤行と一緒に葬儀場で行うケースが増えています。これを、繰り上げ法要と呼びます。
環骨勤行のお清めについて
遺骨が火葬場から還ってきた場合、まずお清めをする必要があります。これは、外部から穢れ(けがれ)を持ち込まないようにする必要があるためです。お清めの手順について解説します。
まず火葬場に行かなかった親族以外の参列者たちが手洗い用の桶と柄杓と水、盛り塩を用意します。火葬場から戻ってきた人たちは両手に水をかけてもらい、肩や腕、足元などに塩をかけてもらってから家に入ります。
神式の場合、家に入る前に神職が祓除 (ばっじょ)の儀を行います。なお、お清めについては宗派によって実践する場合としない場合があります。浄土真宗に関しては、死を忌み嫌うという考え方がないため、お清めを行いません。また、キリスト教においては、清めという概念がないため、清めに該当する儀式はしません。
後飾り祭壇とは
お清め後、後飾り祭壇にご遺骨を安置します。
後飾り祭壇とは、中陰段(ちゅういんだん)とも呼ばれます。中陰とは、仏教の教えにおいて死者が次の生を受ける49日間のことです。後飾り祭壇は、故人が次に生まれ変わるまでの間、供養を行う場所になります。
後飾り祭壇の設置場所については、家に仏壇がある場合は仏壇の前に用意します。仏壇がない場合は、部屋の北側か西側に後飾りを用意します。祭壇には、遺骨・位牌・遺影を四十九日の忌明けまで安置し、香炉や燭台、供花、 位牌、 遺影、供物、 水などをお供えします。また、葬儀に参列されなかった方が忌明けまでに弔問に見えた際に、お参りする場所にもなります。
安置する期間は宗教によって異なりますが、仏式の場合は四十九日まで、神式の場合は五十日祭までです。キリスト教の場合は追悼ミサや昇天記念日までです。
精進落とし
もともと精進落としとは、肉や魚、酒など仏教における禁忌を止め、それらの摂取を再開することを意味します。葬儀における精進落としは、喪主や遺族が葬儀関係者の労をねぎらうために行う宴席を意味します。精進落としでは、葬儀のお世話係や僧侶に対し、酒や料理を振る舞う食事の席を設けます。このときに、肉や酒も振る舞われます。
精進落としでは、僧侶や世話役などが上座に座ります。友人や近親者などがその隣に続き、喪主や遺族は末席に着きます。折詰を配ったり、お金を贈って精進落としの代わりとしたりすることもあります。
儀式の後について
後飾り祭壇が必要なのは、納骨までの期間になります。その後処分する場合は、一輪挿し・香炉・蝋燭台・線香立てなどは割り、各自治体のきまりに従って処分します。鐘は、捨てても仏壇にあるものと取り換えても大丈夫です。また、後飾りや飾るものは、仮のものとして扱われるものであるため、捨てる前にお清めなどの儀式も必要ありません。
まとめ
今回は、葬儀における環骨勤行の意味と儀式の流れを解説しました。環骨勤行は葬儀の締めくくりとなる儀式ですので、滞りなく執り行いたいものです。
お葬式に関して、まずは見積もりがほしいという方や、ご不安な気持ちや葬儀の疑問をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。