淋し見舞いとは?お菓子の相場や選び方、マナーを解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

葬儀や法事・法要でのお菓子の役割
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  • お淋し見舞いは、通夜に持参するお菓子やお茶などの手土産
  • お淋し見舞いは、故人にではなく遺族をねぎらうのが目的
  • 仏事や法要の菓子は、日持ちが良くかさばらない手軽なものが良い

葬儀をはじめ仏事全般において、菓子とは、お供えものや香典返し・引き菓子などに用いられるものです。法要の引き菓子には、参列者が家に帰ってから故人を偲んで食べるという意味があります。

また、愛知県や岐阜県、三重県などの一部では、「お淋し見舞い」と呼ばれる、お菓子などの手土産を持参する風習があります。このように、お葬式や法事においてお菓子はかかせないものです。

今回は葬儀や法要でのお菓子の選び方、渡し方のマナーなどについて詳しくご紹介します。

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お淋し見舞いとは?渡し方や香典のマナー

お淋し見舞いは、通夜で長い夜を過ごす遺族のために渡す手土産のことです。愛知県や岐阜県、三重県などの一部で残るお通夜での風習です。「おさみしみまい」もしくは「おさびしおみまい」と言います。

お淋しお見舞いとは、通夜で長い夜を過ごす遺族のために渡す手土産のことです。

「通夜の夜に遺族が少しでも淋しい思いをしないように」「葬儀の準備で忙しいでしょうから、皆さんで食べてください」という意味があり、通夜に参列する場合のみ持参します。通夜に果物などをお供え物として渡す風習もありますが、お供え物は故人に対するものです。

お淋し見舞いは、故人にではなく遺族をねぎらうものであるのが、お供え物との大きな違いです。

お淋し見舞いと似ている風習として、関東地方などで行われる「通夜見舞い」があります。しかし通夜見舞いには、お淋し見舞いと同じく遺族に対する見舞いという意味のほかに、故人が療養・入院中にお見舞いに行くべきだったのに、事情があって行くことができなかったので、持参するつもりだったお見舞いのお金や品物を渡すという意味がある場合もあります。「夜伽見舞い」「伽見舞い」と呼ばれている地域もあります。

お淋し見舞いとして現金を渡す場合

突然のことで、お菓子などの品物を準備する時間がなかった場合や他の人からの品物が多いことが事前にわかっている場合、葬儀会場で飲食物の持込ができない場合などは、現金を渡しても失礼にはあたりません。

金額は2,000~3,000円が相場です。香典として渡す額が高額でも、香典の金額に合わせる必要はありません。お菓子代などに見合った金額で充分です。

お淋し見舞いを渡す際のマナー

お淋し見舞いで品物を渡す場合

品物を渡す場合は、弔事用の黒白の水引ののし紙をつけます。薄墨で上部に「御淋見舞」「御淋見舞い」「お淋見舞」「お淋見舞い」のいずれかを書き、下部に自分の名前をフルネームで書きます。

お淋し見舞いで現金を渡す場合

香典と同じ弔事用ののし袋に入れます。表書きは品物ののし紙の書き方と同じです。

現金を渡す場合はのし袋に入れ、ふくさに包んで持参しましょう。

渡し方

品物も現金も、遺族に直接渡すのではなく、通夜の受付に渡します。品物を持参する時は、できれば紙袋などではなく、紫色や紺色・グレーなどの弔事用の風呂敷に包み、現金の場合は、ふくさに包みましょう。

お淋し見舞いを渡したら香典は包む?包まない?

お淋し見舞いは、通夜の席で遺族をねぎらうためのものですから、通夜の時だけに渡すものです。事情があって葬儀にしか参列できない場合には、あらためて渡す必要はありません。通夜・葬儀ともに参列できる場合は、通夜の時にお淋し見舞いを、葬儀の時に香典をそれぞれ渡します。

お淋し見舞いは香典の代わりとはなりません。また、葬儀には参列できない場合は、香典とお淋し見舞いの両方を通夜の時に渡します。

お淋し見舞いの選び方と相場金額

手土産で持参される品物は、お菓子が最も多いようです。お菓子には洋菓子、和菓子などさまざまな種類がありますが、具体的には以下のようなものが選ばれています。

最も送られるのがお菓子です。饅頭などの和菓子から洋菓子まで小分けされているものが望ましいです。

和菓子

落雁(らくがん)、最中・饅頭(まんじゅう)、どら焼き、煎餅(せんべい)、あられ、かりんとう、カステラ、羊羹(ようかん)など

洋菓子

クッキー、マドレーヌ、フィナンシェ、パウンドケーキなど

これらを組み合わせた詰め合わせも適しています。夏場のゼリーや水羊羹、秋の栗饅頭など、季節感が感じられるものなども喜ばれるでしょう。

仏事や法要の菓子の選び方のポイント

引き菓子の相場は、引き出物を別に用意する場合1,000円ほどで、引き菓子を引き出物としても使いたい場合には3,000~4000円くらいです。

かつてはお菓子の選び方もしきたりや決まりが多かったのですが、現在では和菓子でも洋菓子でも、比較的自由に選ばれています。次のようなポイントを押さえて選べば間違いはないでしょう。

日持ちのするもの

仏事や法要の菓子は、持ち帰ることを前提に選ぶ必要があります。引き菓子はもちろん、通夜見舞いを持参する場合でも、すぐに食べないことも考慮して、生もの・生クリームを使ったもの・冷蔵保存の必要がある日持ちのしない菓子を避け、常温保存ができる菓子を選ぶことが大切です。

かさばらない手軽なもの

葬式や法要は遠方から参列される方もみえるため、参列者が持ち帰る際に困らないよう、引き菓子は軽くかさばらないよう配慮する必要があります。

お供えの菓子も参列者で分ける場合もあるため、切り分ける手間のかからない、小分けされた個包装の菓子が重宝します。また通夜見舞いを持参する場合も、持ち帰ることを考えるだけでなく、その場で手軽につまみやすいことも考えて、個包装のものがいいでしょう。

故人や参列者に合わせて

故人が好んだ菓子があれば、それをお供えとするのも喜ばれます。また、参列者に合わせて選ぶことも重要です。お年寄りの方が多い場合、硬い煎餅やおかきより、やわらかいものが好まれます。また、小さいお子様が多いなら、和菓子よりクッキーやゼリー、或いは洋菓子の詰め合わせなどもいいでしょう。

お菓子以外でよく持参されるお淋し見舞い

お菓子ではないものを持参したいときは、果物やコーヒー、ジュース、お茶などを用意します。また葬儀会場によっては飲食が禁止されているところもあり、その懸念から食品以外のものを持参することもあります。

いずれにしても、あまりかさばらないもの、傷みにくいものを念頭に選びましょう。

果物

果物は季節感を演出できるとして、よく選ばれる品物です。りんごやみかんなど、列席者で分けられる果物を籠盛りにします。形が丸いものは縁起が良いとされ、また、夏の時期はすいかやメロンなども選ばれます。

果物は生物のため、痛みやすい点に注意が必要です。気温が高い時期はクール便で手配するなどの配慮をしましょう。

コーヒー・ジュース・お茶

コーヒー、ジュース、お茶などもよく供物として選ばれます。

コーヒーやジュース、お茶などの缶に入ったものであれば分けて飲んだり、持ち帰ったりすることができます。紅茶やお茶の場合は、ティーバッグも便利です。

コーヒーやお茶は軽くて持ち帰りしやすいのが利点です。また賞味期限も長く、季節問わず飲むものですので誰にでも喜ばれやすい手土産と言えます。

お酒

遺族の方々が、故人の思い出話をしながら夜を過ごすためのお酒や缶ビールなど、故人が好きだったお酒を持っていくのもよいでしょう。

ただし宗派や地域によってはふさわしくないとされる可能性もあるため、持参して良いか確認しておきましょう。

線香・ろうそく

線香やろうそくは「使って無くなる」ものとして選ばれています。あまり香りの強いものはNGですが、白檀など香りのよい高級な線香を持っていくのも喜ばれるでしょう。

お淋し見舞いとは別!通夜見舞い・お供え・香典返し

葬儀や法要で菓子を用いる場面は多くありますが、菓子はどのような目的で用意されるのでしょうか。

仏事における菓子の用途として、「通夜」「葬式や法要」「香典返し」の項目ごとにまとめていきます。

通夜での菓子の目的

地域によっては通夜の時に、故人と親しい人が菓子などを持っていく習慣があります。これを通夜見舞いといいます。

通夜見舞いは地域によって、お淋し見舞い夜伽見舞いなどとも呼ばれていますが、これは、故人に対して持参するお供えとは違い、参列者が通夜で長い夜を過ごす遺族のために用意するもののことです。

「葬儀の準備の疲れを癒して、皆さんで食べてください」「淋しい思いをしないようにお菓子をつまんで語りましょう」という意味あいが込められたものです。

遺族側からは、通夜振る舞いのひとつとして饅頭を配る場合もあります。

葬式や法要のお供えとしての菓子

葬式や法要で、故人の好んだ菓子をお供えとして用いることも多くあります。最近では耳にすることが少なくなった葬式饅頭もありました。

この葬式饅頭とは、粗供養として配られる饅頭のことで、お葬式当日の帰りの際に配られるのが一般的です。地域によって饅頭の色や形・製法が異なり、呼び名もさまざまです。

主なものに、関東の春日饅頭・青白饅頭、関西の黄白饅頭・おぼろ饅頭、北海道の中華まんじゅうがあり、少なくなったとはいえまだ葬式饅頭を出す風習が残っている地域もあります。

法要の引き出物の他に、引き菓子として菓子を用意する場合もあります。これは、引き出物とは違い、法事に出席した参列者にお渡しし、帰宅後に故人を偲んでもらえるよう用意される菓子です。

香典返しとして

香典返しとして菓子を贈ることも多くなっています。仏教では忌明けの四十九日以降に香典返しをするのが一般的ですので、郵送する場合は2週間以内に届くようにするのがよしとされています。

キリスト教では香典返しの習慣はありませんが、プロテスタントで一カ月後の召天記念式後、カトリックで30日後の追悼ミサを済ませてからの返礼が一般的になっています。

神道では忌明けに相当するのは五十日祭で、仏教の香典返しに準じて返礼がされています。神道の場合、香典返しとは呼ばず、御玉串料などの返礼品ということになります。

儀式や手順を簡略化することが増えた現代では、香典返しの時期にはこだわらず、お葬式当日に一律の香典返しを持ち帰りいたただき、香典の額の高かった方には別途香典返しを贈るケースも多々あります。

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