老衰、自殺、または処刑前……。最期に何を言った?【辞世の句ー海外編】


死に直面したとき、あなたはどんな言葉を遺しますか? 最期の言葉として自分の死後も伝えられる「辞世の句」。

 たくさんの歴史上の人物や有名人が、辞世の句を遺しています。今回はその中でも「海外編」として、海外の人物が遺した「最期の言葉」を紹介します。(もちろん和歌、俳句の体裁は取っていません)

 

これでよし
    カント

彼の最後の言葉は”Es ist gut.”。

英語に直すなら、”It is good.”

「純粋理性批判」を書いた、哲学者カント。

哲学者の言った言葉なんだから、なにか深い意味があるはずだ、というのがこの日本語訳です。

人生、これでよし。いかにも素敵な最期の言葉ですよね。

ところが、この言葉はぶどう酒をスプーンで飲ませてもらったときに言ったもの。しかもカントは晩年、自分の名前も言えないほどまでに惚けてしまっていたそうです。

ということは、この言葉も「おいしい」と訳して、大偉人もわたしたちと同じような人間だった、と思うほうが正しいのかもしれませんね。

 

モーツァルト!
      グスタフ・マーラー

Mozert!

マーラーはオーストリアの作曲家。交響曲を得意としました。

その曲は複雑で重みのあるものが多く、単純な音符と構成で小曲をたくさん作ったモーツァルトとは対照的ともいえます。

そのマーラーが死の直前、オーケストラを指揮するようなそぶりをしたあと、「モーツァルト!」と言って息を引き取ったそうです。

モーツァルトへの憧れがあったのでしょうか? それともなにか、モーツァルトに言いたいことがあったのでしょうか?

 

おやすみ、ぼくの子ネコちゃん!
            ヘミングウェイ

 Good night, my kitten.

「老人と海」で有名な作家、ヘミングウェイ。

彼はピストル自殺でその一生を閉じています。

この言葉は自殺前夜に妻メアリに言った言葉。

これだけ見ると、「こんなこと言って欲しい!」と思うような、甘い言葉です。

でもピストル自殺の前に言われたら……。

 

何もかもウンザリだ
       チャーチル

I’m bored with it all.

イギリスの英雄的政治家、ウィンストン・チャーチル。彼は91歳で亡くなりました。

かなり弱っていたようですが、衰えない人気に応えて、死の2ヶ月前までは民衆の前に姿を現していました。

晩年、「わたしは非常に多くのことをやってきたが、何も達成できなかった」とも言っており、その偉業や人気とはうらはらに、自分では虚しさを感じていたのかもしれません。

 

あなたは素晴らしい。
        コナン・ドイル

 You are wonderful.

 「シャーロック・ホームズ」シリーズであまりに有名なコナン・ドイル。

 心臓発作に苦しんでいたにも関わらず、医者のいうことを聞かずに執筆活動を続けていたドイルは、ついに死の床につきます。

 その際、妻に向けて言った言葉。夫婦ともに心霊主義にハマっていたため、死んでも違う世界で生きられると信じていたそう。看取った妻も、あまり悲しむ様子がなかったといわれています。

 

ごめんあそばせ。
わざとではありませんの。
         マリー・アントワネット

ギロチン台にひきたてられるマリー・アントワネット(ハミルトン画)

 Pardonnez-moi, monsieur.

フランス革命でギロチンにかけられたフランス王妃。

ギロチンに向かう際、死刑執行人の足を踏んでしまって言ったひとこと。

大勢の群衆が自分の処刑を見ようと集まっている中で、マリー・アントワネットは最期まで元王妃としての気品や威厳を保ち続けたということですが、この言葉もそんな状況をよく表していますね。

 

夜明けに生きているわたしを見ることはないだろう。
                    ノストラダムス

ノストラダムスの肖像 (セザール・ド・ノートルダム画)

You will not find me alive at sunrise.

「ノストラダムスの大予言」ほか、とても多くの予言を残したノストラダムス。

なんと、自分の死ぬことまでちゃんと予言していたんですね。

秘書に言ったとされるこの言葉。最近になって、「後世のねつ造ではないか」といわれています。

真相はわかりませんが、予言者だったノストラダムスが自分の死期を知っていたとしても、不思議ではありませんよね。

 

以上、今回は海外の人々の最期の言葉を紹介しました。

時代や地域、そして死生観の違いなども、最期の言葉にはよく表れますね。

5/5 (1)