葬儀の御車代で使う封筒は?種類や金額相場、渡し方のマナーを解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

葬儀の御車代で使う封筒は?種類や金額相場、渡し方のマナーを解説
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  • 葬儀の御車代とは、公共交通機関や自家用車を使って来た宗教者に渡す交通費
  • 御車代で使用する封筒は、無地の白封筒か双銀・白黒の水引がついた不祝儀袋
  • 御車代の費用相場は5,000円〜1万円。交通費に上乗せしてキリの良い金額にする

葬儀では、公共交通機関や自家用車で会場に来られた宗教者へ御車代を渡すのがマナー。御車代を渡すときは、金額や封筒の入れ方、書き方などにルールがあるため注意が必要です。マナーを把握せずに御車代を用意すると、お坊さんに対して失礼にあたるかもしれません。知らないうちにマナー違反をしないよう、事前に準備してから当日を迎えましょう。

この記事では、御車代をお坊さんに渡すときの封筒の種類や金額相場、渡し方のマナーなどを解説します。

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葬儀で渡す御車代とは?

葬儀における御車代とは、会場へ足を運んでくれた宗教者に「交通費」として渡すお金。お坊さんが自家用車やタクシー、電車などで会場に来た場合に、御車代をお渡しします。

以前は葬儀のとき、喪家が宗教者を送迎するのが通例でした。そのため、当時は御車代を用意する決まりはとくになかったんだそうです。

ですが現在は、自家用車を運転したり、電車やバスなどの公共交通機関を利用したりして葬儀に来る宗教者が増えています。喪家が送迎を手配せず、宗教者が自力で葬儀に来てくれたときは、御車代として交通費をお渡しするようになりました。

ちなみに宗教者には、御車代とは別に「お布施」も渡します。御布施とは、葬儀で読経を上げてくれた住職やミサで故人に祈りを捧げてくれた司祭・牧師に、感謝を示すためにお渡しする金銭です。

葬儀の御車代で使う封筒の選び方

御車代は、会場まで足を運んでくれた宗教者に感謝をこめて差し出す金銭です。その場で財布からお金を取り出し、宗教者に差し出すのは失礼にあたるので避けてください。

御車代を渡す場合は、必ず封筒を用意すること。まずは、葬儀の御車代で使う封筒の選び方を紹介します。

無地の白封筒

御車代は、無地の白封筒に入れるのがマナー。郵便番号を書く欄(赤枠)の入っていない封筒を選ぶよう、注意してください。無地の白封筒は、百円ショップや文房具店で売られているので手軽に購入できます。

 白黒・双銀で結び切りの不祝儀袋

御車代で使ってもよい不祝儀袋(白黒・双銀で結び切り)

無地の白封筒がなければ水引のついた不祝儀袋(香典袋)でも問題ありません。白黒もしくは銀色(双銀)で結び切りの不祝儀袋を選びましょう。不祝儀袋も百円ショップや文房具店などで購入が可能です。

ただし、水引の色は地域によって異なる場合があります。事前に地域の慣習を確かめ、ふさわしい不祝儀袋を選ぶようにしてください。

ご祝儀袋は使用しない

祝い事などで使うご祝儀袋は不適切なので、御車代では使わないようにしましょう。ご祝儀袋には、表面の右上に「のし(のしあわび)」という飾りがついています。のしあわびは、古くから鮑が贈答品として使われていたのが語源で、慶事のお祝い事にあわせた装飾です。

御車代は、葬儀会場へ来てくれた僧侶へのお礼を表す金銭で、贈答品ではありません。お祝い事として使うご祝儀袋を、葬儀の場で使うのは不適切です。

葬儀で渡す御車代の封筒の書き方

御車代の封筒の書き方(表側・裏側)

封筒の表面

封筒表面の上部中央に「御車代」「御車料」と記載します。あらかじめ「御車代」や「御車料」と記載されている封筒を使うのも良いでしょう。

香典の表書きは薄墨で書くのがマナーですが、「御車代」や「御車料」は墨の濃さに決まりがありません。ただし、マジックや丸ペン、ボールペン、サインペンを使うのはマナー違反にあたるので注意してください。

表面中央の「御車代」の下には、喪主の名前か、喪主の家名(「〇〇家」)と書きます。

地域や宗派によっては、氏名を書かない慣習もあるようです。なぜなら、御車代の他に渡すお布施や御膳料の封筒に繰り返し氏名を書くと、「何度も不幸が続く」ことが連想されるから。また、御車代はお布施と同時に宗教者に渡すので「そもそも御車代に氏名を書く必要がない」とするケースもあります。その他、「お返しはいらない」という意味を込めて名前を書かない地域も。

御車代の封筒に氏名を記載するかわからない方は、葬儀社や同じ地域に住む親族に相談してみましょう。

封筒の裏面

御車代の封筒裏面・左下に、住所と金額を書きましょう。住所は、番地やマンションの階数・部屋番号などを漢字で書いてください。

御車代は宗教者にお返しをいただく必要ないため、住所を不要と考える地域もあります。御車代の封筒に住所を書くかは、葬儀社や同じ地域に住む親族に確認しておきましょう。

また、包んだ金額を記載するときは、漢数字で旧字体を使用してください。例えば、「一」「二」「万」であれば、「壱」「弍」「萬」と書きます。旧字体を用いる理由は、数字の改ざんを防ぐためです。画数が多くて複雑なので改ざんされにくいことから、旧字体が使われています。

御車代の封筒・お金の入れ方

御車代・お布施・御膳料は別々の封筒に入れる

御車代の渡し方(御車代・お布施・御膳料は別々の封筒に入れる)

葬儀では、御車代とは別に、お布施や御膳料を宗教者に渡します。御車代は会場に足を運んでくれた僧侶へ交通費として渡す金銭、お布施は読経や戒名のお礼として渡す金銭、御膳料は葬儀後の会食に僧侶が参加しない場合にお渡しする金銭です。

それぞれ意味合いが異なるため、別々の封筒を用意して、各自お金を包んで宗教者に渡すようにしてください。お布施・御車代・御膳料を1つの封筒に入れて、封筒の表に「お布施」「御車代」「御膳料」と書いて差し出すのはマナー違反です。また、切手盆に載せるときは、1番上にお布施を置いて差し出しましょう。

新札・旧札の決まりはない

御車代に入れるお札には、新札・旧札の決まりはありません。ただし、御車代は故人のために明日を運んでくれた宗教者に感謝を示すお金です。破れや汚れが目立つお札だと失礼にあたるため、使用は避けてください。どのお札を使えば良いか迷う時は、できるだけ綺麗な状態の古札を選びましょう。

ちなみにご祝儀には新札、香典には使用感のある旧札を入れるのがマナー。香典で新札を使用しないのは、葬儀を予期していた・準備していたと思われないようにするためです。

肖像画を上に向けて入れる

御車代に包むお金は、封筒の表面・上側に肖像画(人物の顔がある方)を向けて入れましょう。宗教者が封筒からお金を取り出したとき、最初に肖像画が見えるように入れてください。また、お金を複数枚入れる場合は向きをそろえて綺麗に入れます。

葬儀の御車代の金額相場と注意点

キリの良い金額を渡す

葬儀で僧侶に渡す御車代の金額相場は5,000円〜1万円。ただし、御車代は足を運んでいただいたお礼として渡す金銭なので、厳密に決まってはいません。実際にかかった交通費に少し上乗せして、キリの良い金額を準備するのが一般的なマナーです。

宗教者が遠方から足を運んでくれたり、公共交通機関を利用したりした場合は、相場より少し高めの金額を包んでもよいかもしれません。

寺・教会までの距離を考えて渡す

御車代は、宗教者が会場まで来るときの距離も考えて用意しましょう。

宗教者によっては遠くから来るケースもあります。お寺や教会から会場までの距離を算出し、高速道路代や新幹線代などにかかる金額を調べて多めに用意しましょう。ただ、実費を調べるのは、「わざわざ来てくださったお礼」という意味では敬意に欠ける可能性があります。あくまでもキリの良い数字でお金を用意するのが望ましいです。

御車代をいくら包めば良いかわからない場合は、葬儀社にも相談してみてください。もしくは直接宗教者に問い合わせてみるのも良いでしょう。明確に金額が決まっていなくてもだいたいの相場を教えてくれるはずです。

葬儀での御車代の渡し方

お布施と同じタイミングで渡す

御車代を渡す一般的なタイミングは、葬儀の後、宗教者にお布施を渡すとき。葬儀後に宗教者が一段落するタイミングを見計らって、お布施や御膳料と一緒に差し出すのが望ましいです。

また、葬儀が始まる前に、宗教者に声をかけて渡しても問題ありません。ただ、葬儀前の宗教者は儀式の準備で忙しいことがほとんどです。宗教者が忙しく準備しているときに声をかけ、作業を止めさせてまで御車代を差し出す必要はありません。

切手盆や小さなお盆に乗せて渡す

御車代を渡すときは、封筒を直接手渡ししないようにしましょう。切手盆や小さなお盆に、乗せて差し出します。切手盆とは、冠婚葬祭で、ご祝儀やお布施などを乗せて渡すための黒塗りの小さなお盆です。切手盆がない場合は、葬儀社に相談すれば貸してくれることもあります。準備ができなかった場合は相談してみてください。

切手盆が用意できないなら、袱紗(ふくさ)を使ってもかまいません。袱紗の上に御車代を乗せ、僧侶に差し出すのが正式な渡し方です。袱紗がない場合は、小さな風呂敷やハンカチでも代用できます。

お布施・御膳料・御車代を一緒に渡す際は、お布施が一番上になるように重ねて差し出すのがマナー。また御車代は、宗教者側から文字が読める向きに置いて差し出します。故人のために葬儀へ駆けつけてくれた宗教者に、感謝の言葉も添えてください。例えば、「本日はお勤めしていただきありがとうございます。故人もきっと喜んでおります。本日は誠にありがとうございました。ささやかですが、お受け取りください。」などと伝えましょう。

葬儀で御車代を渡す必要がない場合

宗教者を送迎する場合は不要

御車代は、宗教者が自家用車や交通機関で会場に来たとき、交通費の代わりに渡すお金。

宗教者を喪主・遺族が送迎するなら、御車代は必要ありません。喪主が運転する車に宗教者を乗せたり、送迎の車を手配したりして、宗教者を送迎した場合は、御車代は用意しなくて大丈夫。お寺や教会が会場に隣接していて、車や交通機関での移動がないときも不要です。

当日宗教者に来てもらう交通手段を考えた上で、必要に応じて御車代を用意してください。

参列者には不要

当然ですが、葬儀の参列者には御車代は不要です。結婚式では、参列者に御車代を用意するケースがありますが、葬儀は参列者本人の意思で出向くため渡しません。

遠方から来てくださった参列者にお返しする場合も、その場で金銭を渡すのは失礼にあたります。参列者にお返しするなら、お中元やお歳暮で感謝の気持ちを表すと良いでしょう。

また、遠くから来られる参列者の方には、会場近くに宿泊先を手配するのが一般的です。葬儀社・斎場によっては宿泊設備が備えられているので、借りられるか葬儀社に相談してみてください。

葬儀で御車代以外に宗教者に渡すお金

お布施

お布施は、通夜や葬儀、法要を執り行った宗教者に感謝の気持ちをこめて渡す金銭。おつとめに対する報酬ではなく、あくまで謝礼金でお寺へ寄付するお金です。

お布施は、一般的に葬儀や法事が始まる前か終了後に差し出します。御車代を差し出すときと同様、宗教者が忙しい時に渡すのは失礼にあたるため、配慮が必要です。

お布施の金額相場は、葬儀・法事によって異なります。葬儀は10万円〜50万円、初七日から一周忌までの法要は3万円〜5万円、三回忌以降の年忌法要は1万円〜5万円が費用相場です。

»お布施とは?金額相場と封筒の書き方、袋の種類、渡し方のマナーを解説

御膳料

葬儀・法事の後には、宗教者や参列者のために会食を用意するご家族が多いです。しかし、宗教者が多忙な場合、葬儀後にすぐ退席するため会食をお断りされることもあります。

宗教者が会食に参加しないときは、宗教者に提供するはずだった会食の代わりにお金を包んで差し出します。このお金を「御膳料」といいます。御膳料は、お布施や御車代を渡すとき一緒に宗教者へ差し出します。宗教者が会食への同席を辞退することが分かった時点で用意し、葬儀後に渡すようにしましょう。

御膳料の一般的な金額相場は5,000円〜1万円。料亭やホテルなどの高級な会場を用意して会食するなら、1万円〜2万円が相場です。

また、5,000円〜1万円は宗教者1人あたりの金額です。宗教者を複数人呼ぶ場合、来てくれた宗教者の人数分の御膳料を用意しなければなりません。複数人の御膳料は別々の封筒にせず、1つの封筒にまとめて包みましょう。

»御膳料とは?相場や封筒の書き方、渡し方のマナー

葬儀の御車代は封筒のマナーを理解して準備しよう

葬儀の御車代には、封筒の種類やマナーがあるので、事前にしっかりと理解した上で、当日に備えて準備してください。

御車代を渡すタイミングに決まりはありませんが、宗教者が忙しいときに差し出すのは失礼にあたります。宗教者が落ち着いたタイミングで差し出すなどの配慮も必要。葬儀での御車代を入れる封筒の種類やマナー、その他葬儀に関して不安がある場合は、葬儀社に相談するようにしましょう。

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