この記事では、御膳料の意味や封筒の書き方、渡し方などを解説します。正しいマナーを身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
御膳料とは

御膳料の基本的な意味とあわせて、御膳料が不要なケースや事前に僧侶へ確認しておきたいこと、お布施・御車料との違いなど、混同しやすいポイントを解説します。
御膳料の葬儀・法事における意味
御膳料とは、葬儀の精進落としや法事のお斎など、会食の席に僧侶が参加しない場合に、おもてなしの代わりとして渡すお礼のことです。
僧侶が会食に参加するなら、御膳料を用意する必要はありません。なお、僧侶が複数名で来た場合は、人数分の金額をひとつの袋にまとめて渡します。
御膳料が不要なケース
御膳料は、会食に代わるおもてなしのお礼という位置づけです。次のようなケースでは、無理に用意する必要はありません。
- 僧侶が精進落としやお斎などの会食に参加する場合
- 施主の判断で会食自体を設けず、読経のみで法要を終える場合
- 菩提寺が「御膳料は不要」という方針を示している場合
- お布施に会食分もまとめて包むよう、あらかじめ寺院から案内されている場合
判断に迷ったときは、僧侶が会食に参加するかどうかを軸に考えると分かりやすいでしょう。
御膳料を用意する前に僧侶へ確認すること
御膳料を用意する前に、以下の点を僧侶に確認しておくとスムーズです。
- 精進落としやお斎などの会食に参加されるかどうか
- 参加される場合、何名でいらっしゃるか(人数分の御膳料が必要なため)
- 御車料と分けて包むか、まとめて包む慣習があるか
- 御膳料の金額に、寺院や地域独自の目安があるか
事前に確認しておけば、当日になって金額や封筒の数で慌てることもなくなります。
お布施と御膳料の違い
お布施は、葬儀・法事で読経していただいた感謝を示すために渡す金銭です。一方、御膳料・御車料は僧侶個人へのお礼として渡す金銭で、意味が明確に異なります。
そのため、それぞれ別々の袋に包んで渡すのがマナーです。
御車料と御膳料の違い
御車料は、寺院から葬儀会場まで足を運んでいただいた対価として、僧侶個人に渡す金銭です。僧侶が自ら車を運転したり、電車・バス・タクシーなどの交通費が発生したりした場合に必要になります。
家族や親族が僧侶の送迎を行う場合や、家族が手配したタクシーを利用する場合は、御車料を用意する必要はありません。また、御車料と御膳料は一般的に袋を分けて渡します。
御膳料が必要となる場面
- 葬儀
- 初七日
- 四十九日
- 回忌ごとの法要
葬儀や法事・法要では、もともと「お斎」という故人をしのぶための会食の場を設けていました。読経をあげていただいた僧侶や参列者への感謝を表す食事です。
しかし、時期によっては僧侶が多忙でお斎に参加できないため、料理でもてなす代わりに御膳料という形でお金を渡す習慣が生まれました。
なお、お斎で用意されるのは精進料理で、肉や魚を口にしない風習があります。四十九日が明けた後は、精進落としとして肉や魚を食べるようになります。
御膳料の相場
御膳料の相場は5,000円〜1万円です。葬儀当日に僧侶が複数名で来られた場合は、人数分の金額をひとつの袋にまとめて包みます。このとき端数が出ない金額にするのがマナーです。
ただし、金額はお寺や地域、法要の規模によって異なるため、あくまでも目安としてください。
高級な会食を予定している場合の御膳料の相場
御膳料の相場は5,000円~1万円が目安ですが、料亭など高級な会場で会食を予定している場合は、1万円~2万円程度を包むケースもあります。
会食のグレードに応じて、御膳料の金額を上げて配慮するのが一般的な考え方です。ただし、僧侶の人数分を包む、端数を出さない金額にするといった基本のルールは変わりません。
御膳料の金額に迷ったときの相談先
御膳料の金額はお寺や地域、法要の規模によって変わるため、いくら包めばよいか迷う方も少なくありません。金額に迷ったときは、以下の相手に相談すると安心です。
- 菩提寺の住職に直接相談する(金額を尋ねても失礼にはあたりません)
- 葬儀を依頼した葬儀社の担当者に相談する
- 同じお寺と付き合いのある親族や地域の年長者に確認する
相談先が見つからない場合は、5,000円〜1万円の相場を目安に、端数の出ない金額を包んでおけば大きな失礼にはなりません。
葬儀・初七日・四十九日など法要別に御膳料は変わる?
御膳料の金額は、葬儀・初七日・四十九日・一周忌・三回忌以降など、法要の種類によって大きく変わるものではありません。いずれの場面でも5,000円〜1万円程度が目安です。
法要によって金額が変わりやすいのはお布施のほうです。御膳料は「会食の代わりに渡すお礼」という性質のため、法要の種類よりも、会食のグレードや僧侶の人数に応じて金額を調整すると考えるとよいでしょう。
御膳料の封筒の書き方
御膳料の封筒には、表書きや裏書きの書き方はもちろん、使用する筆記具や文字の色にも独自のマナーがあります。ここでは、御膳料の封筒を用意する際に押さえておきたい書き方のポイントを解説します。
御膳料の封筒は毛筆・筆ペンで書く
御膳料の封筒は、本来、墨と毛筆の組み合わせで書くのがマナーです。ただし御膳料はあまり厳しく見られないため、濃墨の筆ペンでも問題ありません。
使用する墨の色は、感謝を示す濃黒が適切とされています。薄墨は悲しみを表すとされており、御膳料では使用しないよう注意してください。お布施や御車料も同様に、濃黒の墨を使います。
御膳料の表書き

封筒の中央上部に「御膳料」と書き、その下にフルネームまたは「〇〇家」と記入します。水引の結び目に名前が重ならないよう注意してください。
地域で使われる御膳料の表書き
御膳料の表書きは「御膳料」と書くのが一般的ですが、地域によっては「御食事代」「御膳費」「粗飯料」などが使われることもあります。迷ったときは「御膳料」と書いておけば基本的に問題ありません。
地域独自の書き方が気になる場合は、菩提寺や年配の親族に確認しておくと安心です。
御膳料の裏書き

封筒の裏面左下に住所と金額を書きます。金額は住所の左側に、頭に「金」・末尾に「也」を付けて「金壱万円也」のように記入します。
金額は旧字体の漢数字で書く
お布施袋の多くは縦長のため、文字は縦書きが基本です。金額を記入する際は、旧字体の漢数字を使用します。以下の表を参考にしてください。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 100 | 1,000 | 10,000 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 壱 | 弐 | 参 | 四 | 伍 | 六 | 七 | 八 | 九 | 拾 | 百 | 仟 | 萬 |
中袋がある場合の書き方
封筒に中袋がある場合は、中袋の表面中央に包んだ金額を旧字体の漢数字で「金壱萬円也」のように記入します。中袋の裏面には住所と氏名を書いてください。
外袋(上包み)には、表書きと氏名を書くのが基本です。御膳料と御車料など複数の内訳をまとめて包む場合は、中袋にそれぞれの金額を書き添えておくと、受け取った側にも分かりやすくなります。
御膳料を入れる封筒の選び方
御膳料を入れる封筒は、郵便番号欄のない白い無地のものを選びましょう。100円ショップの封筒でもマナー違反にはならないので安心してください。
ただし、二重封筒は不幸が重なることを連想させるため、使用しないよう注意が必要です。
御膳料を入れる封筒はどこで買える?
白い無地の封筒は、仏壇仏具店のほか、スーパー・文房具店・100円ショップ・通販などで購入できます。コンビニエンスストアは取り扱いが少なく、郵便番号欄付きの二重封筒しか置いていないケースもあるため注意が必要です。急いで用意したいときは、文房具店か100円ショップに立ち寄るのが確実です。
御膳料の封筒に水引は必要?選び方のマナー
御膳料には基本的に水引をかける必要はないとされています。ただし、招く僧侶の人数が多い場合や葬儀の規模が大きい場合は、水引をかけるのがマナーです。
不祝儀袋の水引には「黒と白」「黒と銀」「双銀」などがありますが、どれを使用するかは地域や法事の時期によって異なります。詳しい親族に確認するか、多くの宗教で使用できる「共通袋」を選ぶのが安心です。
御膳料の封筒の水引の選び方
御膳料には基本的に、水引をかける必要はないとされています。ただし、招く僧侶の人数が多い場合や、葬儀の規模が大きい場合は、水引をかけるのがマナーです。
不祝儀袋の水引には「黒と白」「黒と銀」「双銀」などがありますが、どの種類を使用するかは地域や法事の時期などによって変わります。詳しい親戚に確認するか、ほとんどの宗教で使用できる「共通袋」を使用するのが安心です。
御膳料に使うお札の選び方・入れ方
御膳料に使うお札は、折り目のない新札を用意してください。やむを得ない場合は、できるだけきれいなお札を選びましょう。
お札は肖像画がある面が表です。封筒に入れるときは、封をしている側に肖像画が来るようにします。複数枚入れる場合は、すべてのお札の裏表と上下を揃えるのが礼儀です。
御膳料の封筒に糊付けは必要?
御膳料の封筒の糊付けについて、明確な決まりはありません。白い無地の封筒に現金を入れる場合は、糊付けをして閉じるのが一般的です。お札の枚数が多いときは、糊付けしておくと持ち運びや手渡しの際に安心できます。
一方、多当折りタイプの不祝儀袋は、口を折り込むだけで糊付けしないのが基本です。
御膳料の袱紗の包み方・切手盆の使い方

御膳料をむき出しのまま渡すのはマナー違反です。必ず袱紗や切手盆を使用して手渡しましょう。
お布施・御膳料・御車料など複数の封筒を渡す際は、お布施が一番上になるよう重ねてください。御膳料と御車料の順序はどちらが上でも問題ありません。
金封タイプの袱紗の包み方
金封タイプの袱紗は袋状になっており、封筒を中に入れるだけで包めます。渡すときは、表書きが相手に読める向きに封筒を回転させてから差し出しましょう。
風呂敷タイプの袱紗の包み方
風呂敷タイプの袱紗は、袱紗をひし形に広げ、表書きを上にした封筒をやや右寄りに置きます。右・下・上・左の順に端を折って左封じにし、開けるときは左から開く状態にします。
切手盆の使い方
切手盆には7〜9号までのサイズがあり、一般的に使われるのは8号サイズ、色は黒が基本です。
使用する際は御膳料を切手盆に載せ、上から袱紗をかけます。このとき、文字は自分が読める向きのままで構いません。僧侶に渡す際に、表書きが相手に向くよう回転させて切手盆を差し出します。切手盆がない場合は、袱紗だけで渡しても問題ありません。
御膳料の渡し方とタイミング
御膳料は、渡し方やタイミングを誤るとマナー違反になりかねません。袱紗や切手盆を使った渡し方の基本と、葬儀・法要それぞれで適切なタイミングを解説します。
御膳料の渡し方

御膳料は封筒のまま渡さず、袱紗や切手盆を使用して手渡します。袱紗は僧侶へ渡す直前まで外さず、切手盆に乗せたまま差し出しましょう。手渡す際には「どうぞお納めください」と一言添えると、より丁寧な印象になります。
なお、床や机に切手盆を置いたまま滑らせるように渡すのはマナー違反のため、注意してください。
御膳料を渡すタイミング
御膳料・御車料はお布施と同じタイミングで渡します。あらかじめ用意しておき、スムーズに手渡せるよう準備しておきましょう。葬儀と法要・法事では渡すタイミングが異なるため、混同しないよう確認しておいてください。
葬儀でお布施・御膳料を渡す場合
葬儀では、儀式が始まる前に渡すのが一般的です。開式前に喪主・遺族と僧侶が顔を合わせる機会があるため、葬儀をお願いする挨拶のタイミングでお布施・御膳料を一緒に渡すとよいでしょう。
開始前に渡す余裕がなかった場合は、葬儀終了後でも構いません。ただし、僧侶が式場を離れると手渡しが難しくなるため、帰宅される前に時間を設けましょう。
法要・法事でお布施・御膳料を渡す場合
法要・法事でも、儀式が始まる前に渡すのが基本です。僧侶と挨拶する時間があれば、そのときに手渡しましょう。
複数の故人を合同で行う法事では、挨拶の時間が十分に取れないこともあります。その場合は、開始前に受付で渡すのが一般的です。受付担当者を通じて僧侶へお渡しするかたちになります。
開始前に渡せなかった場合は、終了後に直接手渡します。参列者の対応などで慌ただしくなりますが、渡し損ねることのないよう注意してください。
御膳料を渡すときの声かけ例
御膳料を渡す際は、無言で差し出すのではなく、感謝の言葉を一言添えるのがマナーです。
「本日はありがとうございました。心ばかりですが、御膳料としてお納めください」
「ささやかではございますが、御膳料でございます。どうぞお納めください」
お布施と一緒に渡す場合は、「本日はお布施と御膳料でございます。どうぞお納めください」のように、まとめて伝えても構いません。
御膳料に関するよくある質問
最後に、御膳料についてよく寄せられる質問をまとめました。渡し忘れやすいケースや宗教による違いなど、迷いやすいポイントを確認しておきましょう。
会食なしの法要でも御膳料は必要?
会食を行わない法要でも、御膳料が必要になるケースは多いです。御膳料は「会食に代わるおもてなしのお礼」という位置づけのため、僧侶に会食へ参加いただかない場合は感謝の気持ちとして包むのが一般的な考え方です。
ただし、小規模な法要や読経のみで簡潔に済ませる法要では、御膳料を用意しない家庭も増えています。判断に迷う場合は、菩提寺や葬儀社に確認しておくと安心です。
御膳料は郵送してもいい?
御膳料は本来、僧侶に直接手渡しするのが正式なマナーです。ただし、遠方に住んでいる、体調面で参列が難しいなど、やむを得ない事情がある場合は現金書留で郵送しても差し支えありません。
現金は普通郵便で送ることができないため、必ず現金書留を利用してください。郵送する際は御膳料の封筒とあわせて、直接お渡しできなかったお詫びとお礼を記した手紙を同封すると、より丁寧な印象になります。
神道やキリスト教でも御膳料は必要?
御膳料は、本来、仏式の葬儀・法要における考え方です。神道やキリスト教では取り扱いが異なります。
神道の葬儀・法要では「御膳料」という表書きは使わず、神職への謝礼である祭祀料にまとめて包むのが一般的です。会食に神職が参加されない場合は、祭祀料や御車料に含めて渡すか、神社に確認したうえで判断するとよいでしょう。
キリスト教式の葬儀には、御膳料という考え方自体がありません。神父や牧師への謝礼は「献金」「御礼」として渡すのが一般的で、教会での会食(愛餐会)に参加されない場合も、御礼にまとめて包むケースが多いです。
宗教によって考え方が異なるため、判断に迷ったら教会・神社・葬儀社に事前に確認しておくと安心です。
まとめ:マナーを守り快く御膳料を受け取ってもらおう
御膳料は、法事の後に料理でふるまう代わりに、感謝の気持ちを込めて渡すお金のことです。書き方や渡し方に一定のマナーがあるため、基本を押さえておくことが大切です。
地域や時期によって細かい違いはありますが、基本的なマナーを守っていれば失礼にはなりません。御膳料の意味を正しく理解し、僧侶への感謝の気持ちをきちんと伝えられるよう準備しておきましょう。
なお、菩提寺がない、または遠方にあって僧侶の手配が難しい場合は、僧侶手配サービスの利用がおすすめです。「いい葬儀」では、全国各地のお坊さんを手配できる「いいお坊さん」というサービスを展開しています。葬儀や法事・法要でお坊さんの手配にお困りの方は、ぜひご活用ください。