お悔やみの手紙とは、通夜・葬儀に参加できない代わりに、故人に対する哀悼の意や遺族への励ましを示すために送る手紙です。
この記事では、お悔やみの手紙の文例や構成の作り方、書き方のマナーなどを紹介します。遺族と故人に対して心のこもった手紙を送り、感謝と哀悼の意を表しましょう。
目次
お悔やみの手紙とは?送る時期や弔電との違い
お悔やみの手紙とは、通夜・葬儀に参加できない旨を伝え、遺族や故人への思いをつづる手紙です。訃報を受けた後に送るのが一般的で、遺族への励ましや故人の思い出をしのぶ温かいメッセージを書きます。
お悔やみの手紙に記載する内容はもちろん、手紙に関する基礎知識を押さえておくと安心です。
- お悔やみの手紙の適切な送付時期
- お悔やみの手紙と葬儀における弔電の違い
通夜・葬儀を欠席するときは、お悔やみの手紙を送って故人の哀悼と遺族への慰め、励ましを適切に伝えましょう。
お悔やみの手紙の送付時期
お悔やみの手紙は、故人が亡くなってから7日以内、初七日法要までに送付するのが一般的です。
原則として、逝去の知らせを受け取ったあと、葬儀に参加できないと判明した段階で速やかに送付します。お悔やみの手紙を送るのが遅くなったら、遅れた理由を添えた上で哀悼の思いを伝えましょう。
お悔やみの手紙は、早めに送付することで、遺族に対する思いやりや配慮が伝わりやすくなります。
お悔やみの手紙と弔電の違い

項目 | お悔やみの手紙 | 弔電 |
---|---|---|
目的 | 故人へ哀悼の意と 遺族へ慰めを伝える | 故人へ哀悼の意を示す |
送付時期 | 訃報を受け取ったら直ちに | 葬儀の前日まで |
書面形式 | 手紙 | 電報 |
記載方法 | 一般的には手書き | 印字 |
メッセージの長さ | 自由 | 30~80字程度 |
香典送付の可否 | 可 | 不可 |
お悔やみの手紙と似た文書に「弔電」がありますが、送付時期や方法、内容などが異なります。
お悔やみの手紙と弔電、最大の違いは書面の形式。お悔やみの手紙は「手紙」ですが、弔電は「電報」です。そのため、お悔やみの手紙は手書きが多く、メッセージの長さも自由度が高め。一方の弔電は、印字で文字数が限定されています。
また送付時期や香典送付の可否も違い、お悔やみの手紙は訃報を受け取ってすぐ送るのが通例で、香典を添えてOK。弔電は葬儀の前日までに送り、香典を添えられないので注意が必要です。
お悔やみの手紙も弔電も、葬儀に参加できないとき、遺族・故人に向けた思いやりを示すために送るのは共通しています。しかし、目的・形式・時期などが違うため、それぞれの特徴を踏まえた上で適切な文書を選択して送付しましょう。

相手・状況別!お悔やみの手紙の文例4選
お悔やみの手紙に書く内容は、送る対象者である故人や、手紙を受け取る遺族との関係性によって異なります。故人と自分の関係はもちろん、手紙を受け取る遺族との関係もきちんと認識した上で、手紙を書くのが大切です。
お悔やみの手紙を作成する典型的なケースは、こちらの4つ。
- 親など家族を亡くした方に向けたお悔やみの手紙
- 他界した友人の家族に向けたお悔やみの手紙
- 親戚を亡くした方に向けたお悔やみの手紙
- 訃報・葬儀後、時間が経ってから送るお悔やみの手紙
お悔やみの手紙を作成する際には、送付先の方の立場や状況にあった文例を使用しましょう。メールでお悔やみの言葉を伝える場合の例文を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
» お悔やみメールの例文10選!上司・取引先・友人など相手別のマナー
文例1:親など家族を亡くした方に向けたお悔やみの手紙
家族が他界した遺族に宛てたお悔やみの手紙では、喪主との関係性を踏まえて、故人を示す敬称を明記すること。遺族に寄り添った表現を意識しましょう。
【文例】
お父様のご逝去の報に接し、驚きと悲しみを深くしております。
ご家族の皆様は、さぞご心痛のこととお察しいたします。
やむを得ない事情がございまして、ご葬儀に参列できません。
友人の一人として、お父様のご冥福をお祈りしております。
同封のものは心ばかりですが、お父様のお好きだったお酒でもお供えいただければと存じます。
どうか気持ちを強く持って、ご自愛くださいませ。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌
文例2:他界した友人の家族に向けたお悔やみの手紙
友人が亡くなったときに出すお悔やみの手紙では、差出人と故人とのつながりが明確になる文言を入れてください。喪主が差出人が誰なのか把握しやすくなります。
【文例】
このたびはご主人様ご逝去の訃報に接し、何と申せばよいか慰めの言葉も見つかりません。
ご主人様と私とは、〇〇高校時代からの間柄でした。
お元気な頃を思い、今はただ悲しみが込み上げてきます。
ご家族様のご悲嘆はいかばかりかと存じますが、一日も早くお心の痛みが癒えますよう、お祈りいたしております。
本来ならばすぐにでも参上し、ご焼香申し上げるべきところですが、遠方ゆえ参列できませんことをどうぞお許しください。
帰郷の際には改めてお伺いしたいと存じます。
心ばかりのご香料を同封いたしましたので、ご霊前にお供えくださいますようお願い申し上げます。
ご主人様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
合掌
文例3:親戚を亡くした方に向けたお悔やみの手紙
親戚が他界した方にお悔やみの手紙を出す場合、故人と宛先人との関係性を踏まえて、故人に対する敬称を表記します。
【文例】
〇〇様のご逝去の報に接し、深くお悔やみ申し上げます。
皆様のご心痛はいかばかりかと存じます。
やむを得ぬ事情により、葬儀へ伺えず、誠に申し訳ありません。
心ばかりの香典を同封いたしますので、ご霊前にお供えいただければ幸いです。
どうかお体を大切に、心穏やかにお過ごしください。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
合掌
文例4:訃報・葬儀後、時間が経ってから送るお悔やみの手紙
葬儀実施後に手紙を送る場合は、弔問を欠席した謝罪を盛り込むのが望ましいです。
【文例】
〇〇様の訃報を受け、驚きと悲しみを深くしております。
〇〇様が亡くなられたことを存じ上げず、ご弔問にもお伺いせず、大変申し訳ありませんでした。
遅ればせながら〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます。
心ばかりのものを同封しましたので、ご霊前にお供えいただければと存じます。
突然のことで、ご家族様の悲しみはいかばかりかとお察し申し上げます。
お力落としのことと存じますが、どうかご自愛くださいませ。
香典に添える一筆箋の文例と香典の相場
香典を郵送するとき、一筆箋を使って短い手紙を添える方も多いです。一筆箋に記載する内容はお悔やみの手紙と似ていますが、手紙がメインでないので、お悔やみの手紙より短い文章で構成するのが一般的です。
香典の郵送を検討している場合は、一筆箋の文例や香典の相場を事前に押さえておくと安心。遺族に香典を郵送するときも、故人に対する敬意や喪主・遺族に向けた思いやりを一筆箋に込めましょう。
香典を郵送する際に添える一筆箋の文例
香典を郵送するタイミングは、葬儀の実施前に送る場合と実施後に送る場合の2パターンに分かれます。それぞれの典型的な文例と、短くシンプルな文章にまとめた文例の3種類を紹介します。
一筆箋の文例1:葬儀の実施前に香典を送る場合
このたびは、〇〇様ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。本来であればすぐにでも駆けつけたいところですが、遠方のためかなわず、誠に申し訳ございません。心ばかりでございますが、同封したものをご霊前にお供えいただければと存じます。
ご家族様におかれましては、お力落としのことと存じますが、ご自愛くださいませ。略儀ながら書中にて、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
一筆箋の文例2:葬儀の実施後に香典を送る場合
〇〇様の訃報を受け、驚きと悲しみを深くしております。〇〇様が亡くなられたことを存じ上げず、ご弔問にもお伺いせず、大変申し訳ありませんでした。遅ればせながら〇〇様のご冥福をお祈り申し上げます。心ばかりのものを同封しましたので、ご霊前にお供えいただければと存じます。
突然のことで、ご家族様の悲しみはいかばかりかとお察し申し上げます。お力落としのことと存じますが、どうかご自愛くださいませ。
一筆箋の文例3:短い文章で簡潔にまとめた文例
〇〇様のご訃報に接し、ご家族様の悲しみを拝察しますとともに、心よりお悔やみを申し上げます。諸般の事情により、お伺いできない無礼をお許しください。
心ばかりのものを同封いたしましたので、ご霊前にお供えいただければと存じます。
お悔やみの手紙に添える香典の金額目安

関係性 | 平均金額* | 最も多い価格帯 | 2番目に多い価格帯 |
---|---|---|---|
自分の親 | 5.5万円 | 参列したが香典は包んでいない | 10万円以上 |
自分の祖父母 | 2.8万円 | 参列したが香典は包んでいない | 5千円以上~2万円未満 |
自分の兄弟・姉妹 | 3.5万円 | 参列したが香典は包んでいない | 5千円以上~1万円未満 |
配偶者の親 | 5.4万円 | 参列したが香典は包んでいない | 5万円以上~10万円未満 |
配偶者の祖父母 | 2.7万円 | 参列したが香典は包んでいない | 5千円以上~1万円未満 |
配偶者の兄弟・姉妹 | 3.1万円 | 参列したが香典は包んでいない | 1万円以上~2万円未満 |
上司 | 1.3万円 | 5千円以上~1万円未満 | 5千円未満 |
同僚 | 1.2万円 | 5千円未満 | 5千円以上~1万円未満 |
部下 | 1.3万円 | 5千円未満 | 5千円以上~1万円未満 |
友人・知人 | 1.2万円 | 5千円以上~1万円未満 | 5千円未満 |
お悔やみの手紙に添える場合でも、一般的な香典の金額と相場は変わりません。香典に包む金額は、故人との関係性やご自身の年齢から判断する必要があります。
なお、香典にお金を包むとき、死や苦を連想させる4と9の数字が含まれる金額は、マナー違反と見られるので避けるのが無難です。故人との関係性以外に地域特有の習慣もあるため、香典に包む金額に困った場合は周囲に相談してみましょう。また、身内の葬儀における香典は、事前に喪主に相談して要否や納める金額を確認しておくと安心です。
» 香典の相場はいくら?関係性や法要、葬儀種類別の香典金額を紹介
お悔やみの手紙で守るべき5つのマナー

お悔やみの手紙を書くにあたり、遺族に向けた思いやりを考慮したマナーに合わせる必要があります。なぜなら、お悔やみの手紙は通常の手紙と異なり、故人に対する哀悼や遺族に向けた慰めに特化して表現するのが目的であるためです。
お悔やみの手紙を書く際に守るべき具体的なマナーは5つ挙げられます。
- 故人の死因に触れない
- 故人と喪主の関係性を考慮した敬称を用いる
- 忌み言葉は用いない
- 手紙を書く際は薄墨を用いる
- 頭語と時候のあいさつは省く
遺族の心情を尊重し、遺族への気遣いや励ましを伝える点に徹した手紙内容に整えましょう。
マナー1:お悔やみの手紙では故人の死因に触れない
お悔やみの手紙では、故人の死因には触れないのがマナーです。故人の死因に触れると、遺族が記憶を呼び起こし、悲しみを深めてしまう恐れがあります。
そもそもお悔やみの手紙を送付する目的は、遺族に対する慰めや励ましを伝えるため。故人の死因を追及すると、目的とは逆の結果を導きかねません。故人に触れる場合は、故人に向けた感謝や思い出話にとどめ、遺族へ思いやりを示すことに重点を置きましょう。
お悔やみの手紙では、遺族の心情に配慮する必要があります。遺族に寄り添うメッセージを記載して、悲しみを少しでも和らげるようにしましょう。
マナー2:お悔やみの手紙では故人と喪主の関係性を考慮した敬称を用いる
お悔やみの手紙では、故人と送付先である喪主との関係性を考慮した敬称を用いるのが重要です。
例えば、故人が喪主の配偶者の場合は「ご主人様」「奥方様」、親の場合は「父上様」「母上様」などの敬称を用います。また故人が親しい友人だった場合は、「○○様」「○○さん」などで表記しましょう。
適格な敬称を用いることで、手紙の内容が丁寧になるだけでなく、受け手の心に響く手紙になります。さらに、遺族の悲嘆を慮った内容にするのが大切です。
マナー3:お悔やみの手紙では忌み言葉は用いない
お悔やみの手紙では、忌み言葉は書かないのがマナーです。
忌み言葉とは、生死や不幸を連想させる言葉を指し、手紙に記載されていると遺族の心情を損なうかもしれません。具体的には、重ね言葉の「くれぐれも」、繰り返し言葉の「再び」、生死を連想させる言葉の「死」などが挙げられます。
お悔やみの手紙は、遺族に対する慰めや励ましを伝えるのが目的です。目的にそぐわない表現は控え、慎重に言葉を選びましょう。
» 忌み言葉とは?葬儀で避けたいNGワードと言い換え、挨拶例文
マナー4:お悔やみの手紙を書く際は薄墨を用いる
お悔やみの手紙では、他界した故人へ哀悼の意を表すために、薄墨を利用するのが本来のマナーです。
古くから薄墨は、「涙で墨が薄まった」として、深い哀悼の意を表す伝統的な方法でした。お悔やみの手紙では、通常の濃い黒色ではなく薄墨を使い、故人に対する敬意と遺族に向けた配慮を表現します。
ただし最近は、墨を使う頻度が減り、あまり気にしない方も増えてきました。そのため、薄墨を用意できないときは、濃い墨の筆ペンや万年筆、ボールペンを利用しても問題ありません。筆ペンや万年筆を使ってお悔やみの手紙をしたためる場合は、グレーや薄墨やインクを選ぶこと。また、望ましい色のインクがすぐ用意できないなら、筆圧を調整して薄く書くのも1つの方法です。
マナー5:お悔やみの手紙では頭語と時候の挨拶は省く
お悔やみの手紙では、通常の手紙の冒頭で記述するあいさつ文は省略し、いきなり本題に入る書き方が好ましいです。
通常は、冒頭に頭語や時候のあいさつを入れますが、お悔やみの手紙では不適切とされます。なぜなら、お悔やみの手紙は故人に対する哀悼の意を表すものであり、あいさつ文は遺族の悲嘆に対して配慮していないとみなされるから。「拝啓」や「謹啓」といった頭語や、「春暖の候」や「秋涼の候」といった時候のあいさつは避け、いきなり哀悼の意を表すのが作法です。
お悔やみの手紙では、遺族の心情に配慮し頭語や時候のあいさつを省き、直接的に哀悼の意を伝える書き出しを選択しましょう。
お悔やみの手紙の正しい書き方と構成
お悔やみの手紙には、独特のマナーがあり、作法に合わせた書き方をするのが大切です。初めてお悔やみの手紙を書く方はもちろん、過去に経験のある方も、書き方の作法を押さえておく必要があります。
お悔やみの手紙の書き方で重要なのは、文章の構成と各構成における文章の順番・内容です。お悔やみの手紙は、訃報を受け取ったら直ちに送らなければならないため、事前に正しい書き方を把握しておくと安心。遺族に向けた配慮が行き届いた文面に仕上げましょう。
お悔やみの手紙の構成

パート | 記載内容 |
---|---|
主文 | ・故人を悼む言葉 ・遺族をいたわる言葉 ・弔問欠席のお詫び ・(必要に応じて)香典同封のお知らせ |
末文 | 改めての故人を悼む言葉 |
後付け | ・送付した和暦の日付 ・差出人の氏名 ・宛先の氏名 |
お悔やみの手紙の主な構成は、主文・末文・後付けの3つ。
まず主文で故人を悼む言葉や遺族をいたわる言葉を告げ、弔問を欠席するお詫びを伝えます。続いて末文で改めて故人を悼む言葉を書き、最後に後付けで送付日や差出人の名前、宛先などを書くのが一般的。
お悔やみの手紙は、遺族が葬儀の準備や対応に追われているタイミングに送付する手紙であり、要点を絞った記述が肝要です。正しい書き方のマナーに合わせて記載し、故人への思いや遺族への慰めを端的に表現しましょう。
主文:お悔やみの言葉
お悔やみの手紙における主文で、最初に記述するのが「お悔やみの言葉」です。「お悔やみの言葉」では、故人に対する哀悼の意を端的に伝えます。本来は葬儀において口頭で伝えるべき言葉になるため、故人に対する弔意を短く示す文が好ましいです。また、お悔やみの手紙では頭語やあいさつ文は不要なため、お悔やみの言葉から書き出して問題ありません。
例えば、「このたびはご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」などの表現が相応しいです。
主文:慰めの言葉
主文でお悔やみの言葉を書いたあとは、遺族を気遣い、寄り添う「慰めの言葉」を記載します。「慰めの言葉」では、遺族への共感や励ましの思いを込めた表現を選びましょう。
そもそも、お悔やみの手紙の目的は、遺族に対する思いやりや励ましを示すこと。遺族の悲しみを増幅させるような表現は控え、寄り添い励ます表現を選択するのが大切です。
例えば、遺族の悲しみに共感する表現として「皆様のご哀痛をお察し申し上げます」、遺族を支える表現として「どうかお力を落とされませんよう、お祈り申し上げます」などが挙げられます。
主文:弔問欠席のお詫び
手紙の主文でお悔やみの言葉と慰めの言葉を書いたら、葬儀に伺えないお詫びと理由を述べる「弔問欠席のお詫び」を記載します。「弔問欠席のお詫び」では、会葬できないお詫びと理由を端的に記載し、遺族への配慮や誠意を示しましょう。
本来は葬儀に参列して、弔意を直接遺族に伝えるべきなので、会葬できない場合は理由も添えてお詫びを示します。ただし、欠席の理由を事細かに記載する必要はなく、「遠方にいるため弔問に伺えません」など端的に述べるのが適切です。慶事と重なっている場合は具体的に記述せず、「どうしても都合がつかず」などの表現に留めてください。
主文:香典同封のお知らせ
お悔やみの手紙とあわせて香典を送るときは、主文の最後に「香典同封のお知らせ」を添えます。「香典同封のお知らせ」では、香典を添えた旨を丁寧に伝え、遺族に対する敬意を示しましょう。
香典は、故人への哀悼の意と遺族への支援を示すものです。会葬がかなわなくても手紙に香典を添えると、遺族への配慮を示せます。「香典同封のお知らせ」の文面としては、以下が挙げられます。
「このたびはご弔問に伺えないため、香典を同封いたします」
「心ばかりの御香料を同封いたしましたので、ご受納いただければ幸いです。」
末文:お悔やみの手紙での結びの言葉
主文の後に末文として、改めて哀悼の意を「結びの言葉」として記載します。「結びの言葉」は手紙を締める1文で、手紙の印象を左右する箇所です。遺族への励ましや共感を示す表現を添えたくなりますが、故人への哀悼の意を書くに留めましょう。
「結びの言葉」におけるマナーとして、遺族を励ます文面は控えましょう。むやみに慰めたり励ましたりする表現を用いると、遺族の心情に沿わず、逆効果になる場合もあり得ます。「改めまして、心よりご冥福をお祈り申し上げます」など、主文の1文目「お悔やみの言葉」で記載した内容と同様の文を選択しても差し支えありません。
後付け:日付・差出人・宛名
手紙の最後には、後付けとして「日付・差出人・宛名」を記載するのが作法です。
日付は手紙を書いた日付を指し、和暦の日付(令和○年○月○日)を記載します。次に、差出人の氏名を記載します。最後に宛名を記述しますが、喪主の氏名を選ぶケースが多く、〇〇様と記載しましょう。「日付・差出人・宛名」は、それぞれ異なる行に記載し、記載位置にも注意する必要があります。日付は行頭から2文字下げた位置、差出人名は行末から1文字上げた位置、宛名は行頭から記載するのがマナーです。
なお、手紙は封筒に入れて送付するのが一般的であり、封筒の裏面に差出人住所を記載するため、手紙の中に差出人住所を書く必要はありません。
お悔やみの手紙の送り方と便箋や封筒の選び方
お悔やみの手紙の内容が的確に仕上がっていても、送り方や便箋・封筒がマナーに合っていなければ遺族の心象を悪くするかもしれません。
お悔やみの手紙の便箋・封筒の選び方と送り方のマナーで、考慮すべきポイントは2点です。
- 手紙で用いる便箋や封筒は白無地が基本
- 香典を添える際は現金書留を活用
手紙の中身に加え、準備や送付の手続きにおいても細心の注意を払いましょう。
手紙で用いる便箋や封筒は白無地が基本
お悔やみの手紙に使用する便箋と封筒は、シンプルなデザインを選択するのが大切です。
さまざまな模様や色のついたレターセットが市販されていますが、白無地の便箋を用いるのが適切。封筒も同様に、白無地のデザインを選択しましょう。また、二重になっている封筒は、不幸が重なる状況を連想させるためマナー違反。内側が二重になっていない封筒を使用するように注意してください。
お悔やみの手紙に用いる便箋と封筒も、遺族への配慮にもとづき、簡素で落ち着いたデザインを選びましょう。適切な便箋や封筒を選ぶことで、手紙全体の印象がより丁寧で心のこもったものになります。
香典を添える際は現金書留を活用
お悔やみの手紙に香典を添えて送る場合、封筒に入れた手紙と香典袋を現金書留で送るのがマナーです。
現金書留専用の封筒は郵便局で購入できます。サイズが大きい大判サイズなら、香典袋と手紙を入れた封筒も同封できる大きさなので便利です。また、香典袋の表書きは送付時期によって変わり、四十九日法要の前までに届ける場合は「ご霊前」、四十九日法要後の場合は「ご仏前」と記載します。
手紙に香典を添えて送る場合には、現金書留の大判サイズ封筒に同封して郵送しましょう。
心のこもったお悔やみの手紙で気持ちを伝えよう
お悔やみの手紙とは、会葬がかなわない場合に、故人への弔意や遺族への励ましを示すために送る手紙です。訃報を受け取ったら速やかに書いて送付するのが一般的で、葬儀が終わってから訃報を知ったとしても即座に送りましょう。
また、お悔やみの手紙を書くときは、マナーに従いながら故人と遺族への思いを簡潔に書き、遺族の心情を損なう文章を避けるのが大切です。さまざまな事情で会葬できない場合は、故人に対する感謝や遺族に向けた励ましをシンプルな文章にして、お悔やみの手紙として届けましょう。
