寒中見舞いとは、寒さが厳しい時期に、相手の健康を思い遣って出す手紙を指します。また、喪中のために年賀状が出せない場合のやりとりにも使われます。年始の挨拶は年賀状で行うことが多いので、寒中見舞いをやりとりする機会は、それほど多くない、という方がほとんどではないでしょうか。
ここでは、喪中の知らせを受け取った時に寒中見舞いを出す時期、また出す際の文例などをご紹介していきたいと思います。
喪中はがきが来た時に寒中見舞いを出す意味
日本には、奈良時代から、お正月の挨拶に年賀状をやりとりする習慣があります。年賀状は、新年を祝う言葉を使って挨拶し、お世話になっている方々に感謝の気持ちを伝える役割があります。
しかし、近親者(おおよそ2親等まで※)が亡くなってからの約1年間を喪中と言い、これは故人の死を悼み、喪に服す期間です。
喪に服している期間中は、お祝い事をしないのが基本なので、お祝い事である一連行事(結婚式や祝宴への出席、松飾り、おせち料理、神社への初詣など)は行いません。
「あけましておめでとうございます」といったお祝いの言葉が書かれる年賀状も、喪中の間には出すことができません。「謹賀新年」も「つつしんで新年の喜びを申し述べること」という意味がありますので喪中の場合はふさわしくありません。
この時に、喪中期間であることを相手に知らせるため、喪中はがきが出されます。
喪中はがきの文頭には、「年末年始の御挨拶を御遠慮申し上げます」と書かれていることが多いです。喪中はがきを受け取った場合には、年賀状を送るのは控えましょう。
この時、喪中はがきを出した相手に年賀状の代わりに出すのが、寒中見舞いです。
本来、寒中見舞いは、暑中見舞いと同じように季節の挨拶をするために出すのですが、年賀状の時期にあたるため喪中以外では年賀状のみを出すことが多いです。
寒中見舞いを出さなくとも失礼にはあたりませんが、出すことで相手にお見舞いとお悔やみの気持ちを伝えることができます。年賀状を受け取ることができない相手を思い遣って、ぜひ送って差し上げたいものです。
※2親等とは、両親、配偶者、子、兄弟姉妹、祖父母、孫を指します。ただし、この近親者の範囲は、各家庭によって異なる場合があります。例えば、3親等にあたる曽祖父母、曽孫、おじ、おば、甥、姪などが亡くなった場合でも、家庭の判断で喪に服していることもあります。
寒中見舞いを出す時期
寒中見舞いは、喪中見舞いと呼ばれることもありますが、出す時期が若干異なります。
寒中見舞いは、松の内が過ぎる1月7日頃から、立春にあたる2月4日までに出すのが目安です。立春を過ぎると、呼び方が余寒見舞いと変わります。余寒見舞いを出すのは、寒さが終わらない頃までの時期です。
これに対し、喪中見舞いは特に時期の決まりはありません。喪中はがきを受け取って、初めて故人の訃報を知ったり、すぐにお悔やみの言葉を伝えたりしたい場合は、喪中見舞いを出す、という表現を使います。
また、喪中はがきが11月中頃から12月初め頃に届くのに対して、寒中見舞いを出す時期が1ヶ月ほど遅いため、出そうと思っていても、つい忘れてしまうケースも多いです。これを防ぐために、喪中見舞いを出す人が増えてきています。
寒中見舞いの文例
喪中はがきを受け取った場合に、寒中見舞いを送る際の文例をご紹介します。
最初に題字を書く
例:新年のご挨拶を申し上げます、寒中お見舞い申し上げます、寒さの折皆様いかがお過ごしでしょうか、など
お悔やみの言葉を書く
例:心より〇〇様のご冥福をお祈りいたします、お寂しい毎日をお過ごしのこととお察しいたします、など
相手を気遣う言葉を書く
例)くれぐれもご自愛ください、お身体を大切にお過ごしください、本年も変わらぬお付き合いをお願いいたします、など
日付を書く
〇〇年△△月のみでも可能これらをふまえた文例がこちらです。
「寒中お見舞い申し上げます。〇〇様がお亡くなりになって、お寂しい毎日をお過ごしのことと存じます。寒さが厳しい日が続きますが、ご家族皆様、どうかお身体を大切にお過ごしください。〇〇年△△月」
寒中見舞いの注意点
寒中見舞いや喪中見舞いには、拝啓などの頭語や、敬具などの結語は使用しません。励ましにあたる言葉も、場合によっては相手の負担になることがあるので避けたいものです。
自身の近況報告も不要です。お悔やみの言葉と、故人の冥福を祈る言葉をシンプルに伝えるようにしましょう。もし、近況報告をしたい場合は、後日改めて手紙を送りましょう。
また、寒中見舞いとして出すハガキですが、図柄にも十分気をつけなくてはいけません。喪中はがきに使われるような、蓮や胡蝶蘭の図柄や、薄墨で書かれた図柄は避けた方がいいでしょう。
冬の花や雪などをモチーフとした、冬の季節感が出ていて地味な色合いのものを使うのが無難です。