直葬や火葬式では「葬祭費」が支給されないって本当?国民健康保険での「葬祭」の意味を調査

国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた方が亡くなった際、申請により「葬祭費」が支給されるのをご存知でしょうか。管轄の自治体によって支給条件や金額は異なりますが、お葬式や遺品の整理など物入りな時期に多少でもお金が入ってくるのは助かります。

しかし、昨今増えつつある「直葬・火葬式」では、葬祭費が支給されないということもあるのだとか。実際どうなのか、東京都23区(特別区)を中心に調査してみました。

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そもそも「直葬・火葬式」とは?

直葬・火葬式」は、病院などから安置施設へ搬送・安置した後、通夜や葬儀・告別式を行わずに火葬する葬儀形式です。「家族葬」と混同されがちですが、近親者のみで通夜や葬儀を行う「家族葬」対し、「直葬・火葬式」は火葬前に短時間で故人とのお別れを行うのみで、読経などの宗教的な供養も原則ありません。火葬炉の前で読経を行うこともありますが、火葬のスケジュールの関係で、炉前でのお別れは、行えてもごく短時間というケースが多いようです。

直葬と火葬式の違い

このような形式の葬儀は経済的に余裕がない方のために以前からありましたが、近年「直葬」と呼ばれるようになり、お葬式に対する意識の変化もあって広く認知されるようになりました。さらに、インターネットで葬儀プランを紹介する際に「火葬式プラン」といった呼称も使われるようになり、今では「火葬式」と呼ばれる方が多いようです(この記事では混乱を避けるため「直葬・火葬式」と記述しています)。

葬儀の種類と割合

鎌倉新書で2020年に行った「第4回お葬式に関する全国調査」の結果では、「直葬・火葬式」を選んだ方は全体の4.9%となっています。

「葬儀の種類」第4回お葬式に関する全国調査(2020年/鎌倉新書/n=1,979)

家族葬の割合	一般葬	家族葬	一日葬	直葬・火葬式
2020年	48.9%	40.9%	5.2%	4.9%
「葬儀の種類」第4回お葬式に関する全国調査(2020年/鎌倉新書/n=1,979)

国民健康保険の「葬祭費」とは?

「葬祭費」とは国民健康保険の被保険者が亡くなり葬儀を行った方(喪主)に対し支給される旨、国民健康保険法にて定められています。

国民健康保険法 第二節 その他の給付 第五十八条 市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。

国民健康保険の加入対象は、自営業者や75歳未満の年金受給者などです。75歳以上については後期高齢者医療制度に移行されるため、葬祭費の支給はありますが金額や条件などが国民健康保険とは多少異なります。

葬祭費の支給額と注意事項/支給されないケース

国民健康保険の葬祭費支給額は東京23区は一律7万円、その他周辺地区では概ね5万円(地域によっては3万円)となっています。

なお、申請期限は「葬祭を行った日から2年」です。期限を過ぎると申請することができません。

また、他の健康保険などから葬祭費に相当する給付がある場合は支給されません。

例えば、国民健康保険以外の健康保険組合等に被保険者本人として1年以上加入していた方が国民健康保険へ切替後3ヶ月以内に亡くなった場合、以前の保険組合から「埋葬料」が支給されるため葬祭費は支給されません。

さらに、死亡の原因が交通事故などの第三者の行為によるもので、第三者(加害者)から葬祭にかかる費用について賠償を受ける場合にも、葬祭費は支給されません。

葬祭費の申請に必要なもの

葬祭費の申請に必要なものは概ねこの3点です。

・喪主を確認する書類(葬儀代金の領収書等)
・喪主名義の通帳等振込口座番号がわかるもの
・喪主の認印

この他、故人の保険証を未返却の場合は必要となります。自治体によっては故人及び喪主の個人番号がわかるもの、喪主の本人確認のための免許証等、死体火葬許可証や死亡診断書の写しなどが必要なこともあります。

葬儀の領収書について

さらに領収書については、原本が必要な「杉並区」や「北区」に対し「江東区」や「大田区」のように写しで良い自治体もあります。また、喪主が確認できれば領収書でなく会葬礼状でも可能な「目黒区」や「品川区」、故人と喪主が同一世帯であれば領収書は不要という「市川市」や「八潮市」もあります。

領収書自体も「世田谷区」のように『あて名が申請者名となっており、内訳が葬儀代金と記載のあるもの』といった指定がある場合もあり、自治体によりルールが異なります。

以前は厚労省が国民健康保険を管轄していましたが、自治体ごとの運用となったことで条件等に多少差が出たようです。

「直葬・火葬式」で「葬祭費」は支給される?調査してみました

葬祭費の支給についての調査方法

火葬のみを行った場合に葬祭費が支給されるか、東京都23区および近隣の市町村を対象に調査を行いました。各自治体のホームページにて支給条件等を調べたうえ、23区については電話にて回答をいただきました。また、問い合わせの際は、葬祭費支給対象である「75歳未満、国民健康保険加入」という条件でお話を伺いました。

調査結果

東京23区で唯一「杉並区」は『火葬のみ行い、葬儀を行っていない場合には支給されません』とホームページ上で明記しています。近隣市町村では「横浜市」も『火葬のみの場合、葬祭に該当せず支給の対象外となります』としています。

一方で、「新座市」や「相模原市」のように『火葬のみでも申請可能』とする自治体もあります。

それ以外のほとんどの自治体では『被保険者が亡くなったとき、その葬祭を行った方に対して支給します』としており、どのようなことが葬祭にあたるのかは記載されていません。そこで直接電話で確認したところ、火葬のみを行った場合、葬祭費が支給されないのは東京23区では港区・杉並区・足立区・千代田区の4区だけで、大部分の自治体で葬祭費の申請が可能。また、火葬のみでは支給対象外という自治体であっても、別途「お別れの会」などを開けば申請可能な場合もあります。

なお、各区の回答については次の通りです。

「直葬・火葬式」を行った場合の葬祭費の支給/ 東京都23区(特別区)の場合

東京都23区葬祭費の支給各区の見解
港区不可「葬祭費」とあくまで「葬祭」に対する給付のため、火葬だけの場合は対象外。
家族だけのお別れの会であっても、喪主の名前で会葬礼状を作成。
領収書に「◯さんのお別れの会」などと記載してあれば申請できる。
杉並区不可火葬のみで、葬儀を行っていない場合には支給されない。
足立区不可お別れの会など何らかの葬祭が必要。
直葬 ・火葬式の場合は対象にならない可能性が高い。
千代田区不可あくまで葬祭に対しての支給のため、火葬のみでの申請は不可。
世田谷区直葬 ・火葬式でも火葬にかかった費用は申請可能。
書類には火葬のみと記載して欲しい。
江戸川区直葬 ・火葬式でも火葬にかかった費用は申請可能。
書類には火葬のみと記載して欲しい。
北区火葬のみの場合も申請可能。
渋谷区火葬のみの場合も申請可能。
新宿区火葬のみの場合も申請可能。
中野区火葬のみの場合も申請可能。
練馬区火葬のみの場合も申請可能。
板橋区火葬のみの場合も申請可能。
豊島区火葬の領収書で喪主が確認でき、喪主が支払っていれば火葬のみでも申請可能。
目黒区火葬のみの場合も申請可能。
品川区喪主が確認できて、喪主が支払っていれば火葬のみでも申請可能。
大田区喪主が確認できて、喪主が支払っていれば火葬のみでも申請可能。
文京区火葬のみの場合も申請可能。
台東区火葬のみの場合も申請可能。
中央区喪主が確認できて、喪主が支払っていれば火葬のみでも申請可能。
荒川区火葬のみの場合も申請可能。
葛飾区火葬のみの場合も申請可能。
江東区火葬のみの場合も申請可能。
墨田区火葬のみの場合も申請可能。(火葬許可証の添付が必要)

埋葬料/組合健保や共済組合の場合

会社員や公務員とその扶養家族が加入する健康保険組合及び共済組合では、国民健康保険とは異なり「埋葬料(扶養家族については「家族埋葬料」)」が支給されます。

「埋葬料」は「葬祭費」と異なり葬儀を行うことは支給要件に入っていません。

「埋葬料」については一律で支給される5万円と、組合独自で付加給付される「埋葬費付加金」があり、その金額は組合ごとに異なります。

主に中小企業従業員が加入する「協会けんぽ」では5万円の「埋葬料」のみ支給されますが、関東ITソフトウェア健康保険組合では「埋葬料5万円」に加え「埋葬料付加金15万円」が支給されるといった違いがあります。

いずれも亡くなった加入者に扶養家族がいない場合は、埋葬料と埋葬料付加金の合計額から実際に埋葬にかかった費用が「埋葬費」として埋葬した人に支払われます。

例えば、関東ITソフトウェア健康保険組合では『費用の範囲は、葬儀代のほかに霊柩車代、霊前への供物代、僧侶への謝礼なども含まれます。飲食代、香典返しは含みません』とあるため、扶養家族以外が「直葬・火葬式」を行い、近親者のみでお別れの食事会などを開いた場合などは上限額の20万円を下回るかもしれません。

なお、労災の場合については厚生労働省が管轄となるため組合からの支給はありません。

まとめ

調査対象は東京23区のみではありますが、火葬のみの「直葬」でも葬祭費の申請が可能な自治体が多いことがわかりました。また、火葬のみでは支給しないとする自治体であっても、いわゆる「通夜・葬儀」でない家族だけの「お別れの会」を行えば支給の対象になる場合もあります。

このように「葬祭費」の支給条件の判断については自治体ごとに異なるため、不明な場合は各自治体にお問い合わせください。

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