迎え盆と送り盆は、お盆の初日と最終日にご先祖様をお迎え・お見送りする大切な行事です。「いつ行えばよいのか」「何を準備すればよいのか」と毎年悩む方も少なくありません。とくに初めてお盆を迎える方や新盆(初盆)を控えている方は、通常のお盆との違いも気になるところでしょう。
この記事では、迎え盆・送り盆の日程と時間帯、準備物ややり方を、地域による違いや火を使わない代替方法とあわせて解説します。マナーを押さえたうえで、ご先祖様への感謝を込めたお盆をお過ごしください。
そもそもお盆とは?
お盆は、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれる仏教行事です。ご先祖様の霊が年に一度この世に戻ってくるとされる期間に、家族で供養を行います。まずは、新盆(初盆)の意味とお盆全体の流れを確認しましょう。
新盆(初盆)とは?
新盆とは、故人が亡くなってから四十九日の忌明けを過ぎた後、初めて迎えるお盆を指します。読み方は地域によって異なり、「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」「はつぼん」などさまざまです。
通常のお盆と異なり、新盆では法要の規模が大きくなる傾向があります。僧侶に加えて親族や故人と親しかった方を招き、より丁寧に供養するのが一般的です。
新盆特有の飾りとして、白木で作られた「白紋天(しろもんてん)」と呼ばれる白い提灯を用意します。四十九日の忌明けがお盆より後になった場合は、そのお盆は新盆にあたらず、翌年が新盆になる点にも注意が必要です。

新盆、初盆とは、故人が亡くなってから四十九日の忌明けを過ぎ、初めて迎えるお盆のことです。地域によって読み方も異なり、「はつぼん」や「にいぼん」「あらぼん」「しんぼん」とも呼ばれています。昔からお盆には故人や先祖の霊が帰ってくると考えられてきました。毎年7月、8月のお盆の時期は先祖の霊を祀って一緒に過ごす時期とされ、は全国各地で盆供養が行われています。
お盆の流れ
お盆は、事前の準備から後片付けまで、大きく5つの段階に分けられます。
| 時期 | 内容 |
| 事前準備 | 墓の掃除、法要の計画、盆棚・盆提灯の準備 |
| 迎え盆 | 火を焚き、ご先祖様の霊を迎え入れる |
| 盆中日 | 親族での法要や会食 |
| 送り盆 | 火を焚き、ご先祖様の霊を送り出す |
| 片付け | 盆棚・盆提灯をしまう、お供え物を下げる |
お盆の流れは地域や宗派によって異なるため、迷ったときは菩提寺や近くの寺院に確認すると安心です。

迎え盆とは?送り盆とは?

迎え盆とは、お盆の初日にご先祖様の霊を家へ迎え入れる行事です。霊が迷わず自宅にたどり着けるよう、盆棚へのお供えや火を焚く準備を行います。
一方、送り盆はお盆の最終日にご先祖様の霊をあの世へ送り出す行事です。迎え盆と同じ場所・方法で火を焚き、感謝を込めてお見送りします。
迎え盆と送り盆はどちらか一方だけを行うものではなく、セットで実施するのが基本です。お盆全体を通じて、ご先祖様への感謝を示す機会と捉えるとよいでしょう。
迎え火・送り火の由来と成り立ち
迎え火・送り火の起源は明確にはわかっていませんが、仏教が庶民に広まった室町時代以降に供養の風習として少しずつ定着していったと言われています。江戸時代には、迎え火・送り火を焚く習慣が一般家庭にも根づいたとされています。
火を焚く際に使われる「おがら」は、麻の茎の皮をそいで乾燥させたものです。麻は古くから穢れを祓う植物と考えられており、おがらを燃やす煙に乗ってご先祖様の霊が行き来すると伝えられています。
このように、迎え火・送り火は単なる目印ではなく、空間を清めながらご先祖様を丁寧にお迎え・お見送りする意味も込められた行事です。
迎え盆と送り盆はいつやる?日程と時間帯

迎え盆・送り盆は、お盆の初日と最終日に行うのが基本です。ただし、お盆の期間は地域によって異なるため、まず自分の地域がどちらにあたるかを確認しましょう。あわせて、火を焚くのに適した時間帯も紹介します。
お盆の日程(地域差)
一般的なお盆の日程は、次の2つに分かれます。
| 区分 | 迎え盆 | 送り盆 | 主な地域 |
| 7月盆 | 7月13日 | 7月16日 | 東京都、神奈川県、静岡県の一部など |
| 8月盆(月遅れ盆) | 8月13日 | 8月16日 | 全国の多くの地域 |
お盆の日程が地域で分かれた背景には、明治時代の改暦があります。新暦導入後、東京など都市部は7月15日をお盆としましたが、農作業の繁忙期と重なる農村部では1か月遅らせた新暦8月15日を採用しました。これが「月遅れ盆」と呼ばれる8月盆です。
なお、沖縄など一部の地域では現在も旧暦の7月15日を基準にお盆を行うため、新暦では毎年日程が変わります。旧暦に基づくお盆は、年によって新暦の8月中旬から9月上旬ごろにあたります。

迎え火・送り火に適した時間帯
迎え火・送り火を焚く時間に、明確な決まりはありません。ただし、日中は火が見えづらく、夜間は暗くなりすぎて危険なため、日没前後の17時〜19時頃が焚きやすい時間帯とされています。
送り盆の当日午前中はまだご先祖様が滞在しているとされる地域もあるため、送り火も迎え火と同様に夕方以降に焚くのが一般的です。
家庭の事情でこの時間帯に焚けない場合は、法要の前日に迎え盆、法要を終えた日や翌日に送り盆を行う考え方もあります。地域の慣習に合わせて調整しましょう。
迎え盆と送り盆でやることは?

迎え盆と送り盆では、火を焚くタイミングと目的が異なります。当日に慌てないよう、それぞれの流れを事前に把握しておきましょう。
迎え盆のやり方
迎え盆の当日は、まず家族で墓参りをします。あわせて墓の掃除も済ませておくと、気持ちよくご先祖様を迎えられるでしょう。
地域によっては、墓前で迎え火を焚き、その火種を自宅まで持ち帰る風習があります。墓前で焚かない場合は、自宅の玄関先や庭先で火を焚きます。
集合住宅では火気の使用を禁じている場合も多いため、ベランダでの実施にこだわらず、管理規約を確認したうえで盆提灯やローソク型のアイテムを代用する方法を検討しましょう。
迎え火を灯すのが難しい場合は、盆提灯が迎え火の役割を果たします。お盆の期間中は灯明を絶やさないのが基本ですが、夜間は消火するのが通常です。ただし、夜通しともす習慣が残っている地域もあります。
送り盆のやり方
送り盆では、迎え火を焚いたのと同じ場所・同じ方法で送り火を焚き、ご先祖様の霊を見送ります。火を焚くのが難しい場合は、盆提灯を灯すことでも差し支えありません。
新盆の場合は、送り火とあわせて白紋天をお焚き上げしてもらうか、菩提寺に納めるのが通例です。盆棚に飾っていた精霊馬は、地域の習わしに従って処分します。
送り火を焚き終えたら、盆棚とお供え物を片付けます。片付けのタイミングは送り盆当日か翌日が目安ですが、地域の習わしに合わせるとよいでしょう。
迎え火・送り火ができない場合の代替方法
集合住宅など、火を焚く場所を確保できない家庭も少なくありません。迎え火・送り火が行えない場合でも、代わりの方法でご先祖様をお迎え・お見送りできます。
盆提灯やローソク型のアイテムで代用する
迎え火・送り火の代わりとして、盆提灯を灯す方法があります。盆提灯には、ご先祖様をもてなす意味とあわせて、自宅の場所を示す目印としての役割もあります。
近年は、おがらの形をした「迎え火・送り火ローソク」も販売されています。素焼きの器に入ったローソク型のアイテムで、室内や仏壇の前でも安全に使用できるのが特徴です。
火を焚くことが難しい場合は、おがらや焙烙(ほうろく)を供えたり、盆提灯を灯したりして、ご先祖様を迎える気持ちを表す家庭もあります。
迎え火・送り火を焚く場合のマンション・集合住宅での注意点
マンションやアパートで迎え火・送り火を焚く場合は、まず住居の管理規約を確認しましょう。火気の使用を禁じているケースも珍しくありません。
実施する際は、ベランダなど周囲に燃え移るものがない場所を選びます。おがらの量を少なめにするなど、火の勢いを抑える工夫も大切です。
不安がある場合は、無理に火を焚かず、盆提灯やローソク型のアイテムによる代用を検討しましょう。
迎え盆と送り盆の注意点は?
迎え盆・送り盆は、土地の習わしや宗派によってやり方が異なる行事です。世代を経て正しい作法がわかりにくくなっているケースもあります。ここでは、とくに押さえておきたい2つの注意点を紹介します。
地域や宗派の違いを確認する
お盆の習慣やタイミングは、地方や宗派によってさまざまです。お盆の支度を始める際は、菩提寺や近くの寺院に相談して詳細を確認しておくと安心です。
送り盆は通常夕方に行いますが、午前中に行う地域や夜遅くまで行う地域もあります。また、浄土真宗では他の宗派と異なり、迎え盆・送り盆の風習がありません。浄土真宗の教えでは、人は亡くなった後すぐに極楽浄土へ往生するとされており、霊をこの世へ迎える必要がないと考えられているためです。
霊供膳は精進料理が原則
お盆に供える食事は「霊供膳(れいぐぜん)」と呼ばれ、通常は精進料理で構成します。肉や魚などの動物性食品や、香りの強い野菜は使わないのが原則です。
精進料理は、殺生を避け煩悩を刺激しない食材で作るという仏教の教えに基づいています。たんぱく源には大豆を使い、ねぎ・にら・にんにく・たまねぎ・らっきょうといった香味野菜は避けます。
近年は精進料理にこだわらず、故人の好物や家庭料理をお供えする家庭も増えています。宗派や土地の習わしによって考え方が異なるため、迷った際は寺院に確認しましょう。

地域による風習の違い
迎え盆・送り盆には、地域独自の風習が数多く残っています。全国にどのような風習があるかを知っておくと、いざというときに安心です。ここでは代表的な例を紹介します。
迎え火・送り火をまたぐ(東京・都市部)
東京をはじめとする都市部の一部地域では、迎え火・送り火を1〜3回程度またいで無病息災を願う風習があります。またぐ際にお経を唱える地域も見られます。
砂盛りをする(神奈川の一部地域)
神奈川県の一部地域では、おがらや焙烙を使わず、砂を盛った器に竹筒を立てて線香を焚く「砂盛り」という風習があります。盆花や精霊馬をあわせて飾る家庭もあります。
たいまつを使う(東海地方の一部)
東海地方の一部では、おがらの代わりにたいまつを焚きます。焙烙の上に乗せて火をおこす点は、一般的な迎え火・送り火と共通しています。
沖縄独自の風習
沖縄には独自の迎え火・送り火の文化が残っています。迎え火では門前で「ヒラウコー」という沖縄特有の線香を使用します。送り火では、仏壇の前で「ウチカビ」と呼ばれるお金を模した紙を燃やし、酒をかけて火を消します。
これらはあくまで一例です。実際の作法は家庭や土地の習わしによって異なるため、不安な場合は親族や菩提寺に確認するとよいでしょう。
お盆を迎える準備は?
- お寺と法要の相談
- 盆棚の用意
- お墓参り前にお墓の掃除
- 迎え火・送り火の用意
- 盆提灯の用意
迎え盆・送り盆を滞りなく行うには、事前の準備が欠かせません。時間のかかる準備は、お盆月に入ったら早めに着手しましょう。ここでは、必要な準備を5つに分けて紹介します。
寺院への相談
お盆に法要を予定している場合は、早めに寺院へ連絡して日程を決めておきましょう。近年は合同供養を行う寺院も多くありますが、新盆の場合は自宅や墓前で個別に読経してもらうケースも多くあります。
新盆で親族以外も招く場合は、招待状の手配や会場の確保、食事の予約もあわせて進めておくと安心です。菩提寺がなく僧侶の手配に困っている場合は、僧侶手配サービスを利用する方法もあります。
盆棚の用意
盆棚(精霊棚)は、お盆にお供え物を置くための棚です。仏壇の前や玄関、墓前など、置き場所は地域や家庭によって異なります。
盆棚を用意するために必要なものは、一般的に次のとおりです(地域や家庭によって異なる場合があります)。
- 経机や小机
- 真菰(まこも)で作った敷物
- ロウソク(位牌の両脇に1〜2本)
- 笹竹(結界を作る飾り。なくても差し支えない)
- お供え物(季節の野菜・果物・団子・故人の好物など)
- 精霊馬(なすの牛・きゅうりの馬)
- 水の子(さいの目に切ったなすときゅうり、洗い米を清水に入れたもの)
精霊馬は、割り箸や爪楊枝を足に見立てて野菜に刺すと完成します。ご先祖様はきゅうりの馬に乗って早く現世に到着し、なすの牛に乗ってゆっくりあの世へ戻るとされています。地域によっては、この意味が逆になる場合もあります。
準備が整ったら、位牌を盆棚の中央に安置し、周囲にお供え物や精霊馬を並べます。盆棚の両脇には盆提灯を置き、灯りをともしましょう。

墓の掃除
墓地の清掃は、迎え盆の前日までに済ませておくのが理想です。ただし、迎え盆当日の午前中に掃除をする家庭も多く見られます。
清掃の際は、草取りや墓石の洗浄を忘れずに行いましょう。清掃用具が備え付けられていない墓地もあるため、道具を持参すると安心です。
迎え火・送り火の用意
迎え火・送り火に必要な道具は、主に次の3つです。
- おがら(麻の茎の皮をそいで乾燥させたもの。割り箸で代用可能)
- 焙烙(ほうろく)(素焼きの皿。耐熱皿で代用可能)
- 点火用のマッチやライター
墓地や寺院から火を持ち帰る場合は、盆提灯や線香もあわせて準備しましょう。持ち帰りが難しい場合は、電池式の提灯で代用できます。
盆提灯の用意
盆提灯は、迎え火・送り火の役割に加え、ご先祖様を迎え送る場所を示す目印としても使われます。置くタイプと吊るすタイプがあるため、設置場所や地域の習わしに応じて選びましょう。
新盆では、白木で作られた白紋天の提灯もあわせて用意します。白紋天は新盆のみで使用するため、お盆が終わったら菩提寺に納めるか、お焚き上げしてもらいましょう。
よくある質問
Q1. 迎え火・送り火は午前中や日中に行ってもいい?
時間帯に厳密な決まりはなく、午前中や日中に行っても差し支えないとされています。ただし、日中は火が見えづらいため、夕方以降のほうが焚きやすいでしょう。
Q2. 迎え火・送り火を忘れてしまったらどうする?
忘れた場合の明確な対処法は定められていません。送り火だけを忘れた場合の対応は、地域や家庭の考え方によって異なります。迎え火から忘れてしまった場合は、改めて墓参りに行くか、仏壇に手を合わせてお詫びの気持ちを伝える方法もあります。迷ったときは菩提寺へ相談すると安心です。
Q3. お盆期間中に家を空ける場合はどうすればいい?
迎え火・送り火は必ず行わなければならない決まりではありません。可能であれば、お盆の前後に墓参りへ行き、お迎え・お見送りができないことへのお詫びと感謝の気持ちを伝えるとよいでしょう。
Q4. マンションなど火が使えない場合はどうする?
盆提灯を灯すか、迎え火・送り火用のローソクを灯すことで代用できます。天候や住環境が整った日に改めて行っても差し支えありません。
Q5. 新盆(初盆)のときだけ違う作法はある?
新盆では、白木の白紋天を飾る点が通常のお盆と異なります。また、法要の規模が大きくなり、僧侶に加えて親族や故人と親しかった方を招くのが一般的です。詳しい作法は、菩提寺に確認しておくと安心です。
まとめ
迎え盆はお盆の初日にご先祖様の霊を家へ迎え入れる行事で、送り盆はお盆の最終日に霊を見送る行事です。どちらも夕方に火を焚いて行うのが一般的です。
お盆の期間は地域によって7月13日〜16日、または8月13日〜16日にあたります。土地の習わしや宗派によって作法が異なるため、迷った際は菩提寺や近くの寺院に確認しながら準備を進めましょう。
火を焚くのが難しい場合も、盆提灯やローソク型のアイテムで代用できます。形式にとらわれすぎず、ご先祖様への感謝の気持ちを大切に、家族でお盆をお過ごしください。
いい葬儀を運営する鎌倉新書では、法事・法要や葬儀で困りやすい僧侶の手配をサポートしています。遺族のご要望に応じて最適な僧侶をご紹介しますので、お気軽にお問い合わせください。