浄土真宗とは、阿弥陀仏の力によって成仏できると考える宗教です。浄土真宗の教えでは、臨終後はすぐに極楽浄土へ迎えられます。そのため、葬儀をはじめとした法要は故人の冥福を祈るためではなく、故人を偲んで仏法に接するために行われます。同じ浄土真宗でも宗派ごとに法事の作法が異なるため、注意が必要です。
この記事では浄土真宗の法事について、作法や準備の仕方をご説明します。
浄土真宗の葬儀と年忌法要
浄土真宗では「臨終即往生」の考えから、それぞれの法要で追善供養(亡くなった人のために、生きている人が善行を行うこと)をする習慣はありません。ほかの宗派と同様に、年忌法要は行われます。故人の冥福を祈るというよりは、生きている人が故人によって仏縁を授かる機会という考え方です。
ここでは通夜から50回忌までの法要をご紹介します。なお、浄土真宗はさまざまな派にわかれており、地域によっても作法は異なります。
通夜
「仏説阿弥陀経」または「正信偈」の読経をし、導師に合わせて合掌・礼拝をしましょう。一晩中、お線香を絶やさないという慣習はありません。
葬儀
浄土真宗の葬儀では、亡くなった人はすでに成仏しているため、引導や授戒の儀式がありません。また、納棺の際に、旅支度のような死装束を着せることもありません。
葬儀の後は、出棺・火葬・収骨を行います。葬儀後に清めの塩を撒くこともありません。
初七日
会場に御本尊を安置し、法要を終えたら「お斎(おとき)」と呼ばれる会食をします。
四十九日
四十九日では、仮の仏壇を葬儀社へ返却し、納骨をすることが多いです。法名もこの日までに決めておきましょう。なお、ほかの宗派では四十九日に仮位牌を本位牌に換えるのが通例ですが、浄土真宗の場合、位牌は用意しません。
以後は決められた年数おきに年忌法要を行います。代表的な例を以下にご紹介します。
- 1周忌(命日から満1年目)
- 3回忌(命日から満2年目)
- 7回忌(命日から満6年目)
- 13回忌(命日から満12年目)
- 17回忌(命日から満16年目)
- 25回忌(命日から満24年目)
- 33回忌(命日から満32年目)
- 50回忌(命日から満49年目)
33、50回忌で弔い上げ(以降は年忌法要を行わない)とすることが多いです。その後も行う場合は、50回忌から50年ごとに行います。
浄土真宗の法事の作法とは
ここでは法事を主催するとき、または参列するときに心得ておきたい作法についてご説明します。
香典について
香典の金額は人それぞれ異なりますが、親類縁者など故人と近しい人の方が高くなります。浄土真宗では霊になるという考えはないため、香典袋には四十九日前であっても「御霊前」ではなく「御仏前」または「御香典」と書きます。
数珠について
数珠は、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派など派によっても持ち方など作法が異なる場合があります。それぞれ事前に確認しておくことをおすすめします。
焼香について
大きなポイントは、焼香をつまんだ後に押しいただかずそのまま香炉にくべることです。浄土真宗本願寺派では1回、真宗大谷派では2回、焼香を行います。そのほかに真宗興正派では2回、真宗高田派では3回など宗派によって回数が定められています。
線香について
浄土真宗では寝線香が作法です。香炉の大きさに合わせて1本の線香を2つや3つに折り、横に寝かせて供えます。
浄土真宗の法事を準備する流れ
浄土真宗で法事を行う際には、ほかの宗教と同じように準備が必要です。浄土真宗は比較的自由な宗教なので、宗派によって用意する物が異なることもあります。ここでは一般的な準備の仕方をご紹介します。
お寺へ連絡
法事を行う際はお寺に連絡し、当日お勤めをしてもらう僧侶と日程を調整しましょう。自宅で法事を行う場合は、御本尊・掛け軸・ろうそくを用意し仏壇の飾り付けも行いますので、必要な物について併せて確認すると安心です。
案内はがき
法事の日程や場所が決定したら、参列者に向けてはがきを送ります。「冥福」や「供養」など、浄土真宗の考えにそぐわない言葉は使わないようにしましょう。
お斎の予約
法要後に会食をする場合は、前もって食事会場を予約しましょう。会場までの移動も考え、バスで送迎してくれるところがおすすめです。
お供え物
お供え物にはお餅や落雁(らくがん)を用意します。宗派によってお供えする台が異なることもありますが、左右に同数ずつお供えするのは変わりません。自宅で行う際は線香やお花、お経本も用意しましょう。
引き出物
参列と香典のお礼に渡す引き出物の準備も大切です。引き出物はお菓子の詰め合わせやカタログギフトなどが人気です。故人が好んでいた物を渡すのも、故人を思い出すことができてよいかもしれません。
浄土真宗は法事の考え方が異なる
浄土真宗の法事は一般的な法事と大幅に変わることはありませんが、浄土真宗の教えから法事に対する考え方が違うという点を押さえておきましょう。ここでご紹介したのは一般的な例で、宗派や地域によって法事の作法が異なることもあります。事前に確認しておきましょう。
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