みたまうつしの儀とは?儀式の基本や進行方法を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

スマホCTA(電話をかける)
アイキャッチ下テキストリンク

小林麻央さんが亡くなられた時、聞きなれない「みたまうつしの儀」という言葉が出てきましたが、これは神道や天理教の葬儀の中での一番大事な式となります。
日本の葬儀はその多くが仏式で、神式による葬儀はあまりありません。江戸時代の檀家制度でどこかのお寺に属する義務があった名残だと考えられます。神式による葬儀が形作られてきたのは、明治以降檀家制度が廃止されてからです。
本来通夜は通夜祭、みたまうつしの儀と別に執り行われていましたが、昨今では一緒に執り行われています。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

みたまうつしの儀とは?

みたまうつしの儀とは夜に行われ、神道や天理教では、亡くなられた方は神様になって、この世に残された人の守り神になるという考え方があります。神様から借りていた体を神様にお返しし、新しい体が見つかるまで神様に預かってもらうという考えの下にある儀式です。
正しくは「遷霊祭」といい、御霊(みたま)を御霊代(みたましろ)に遷す式のことです。御霊代は鏡である場合が多かったのですが、最近では故人の名前と生年月日の記された白木の霊璽を用います。これは仏式で言うご位牌と言えるでしょう。
御霊代になくなった方の御霊を遷して、それを故人の代わりに祀ります。

みたまうつしの儀の大まかな流れ

みたまうつしの儀の時は、夜を象徴するために場内を暗くします。まず親族や参列者が入場、斎主(神職)による祓詞奏上があります。
献饌(献灯)、斎主が玉串奉献、しずめの詞奏上、礼拝をします。斎員列拝の後、喪主、遺族、一般参列者の順に玉串奉献および列拝、退場の流れになります。
御霊が遷った瞬間から故人は神様となり、故人には仏式の戒名に当たる諡(おくりな)がおくられます。
みたまうつしの儀が終わると場内は明るくされ、斎主による祭祀が奏上され、玉串を参列者は捧げ、音を立てない忍び手による二礼二拍手一礼を行います。

みたまうつしの儀に参列する時には

みたまうつしの儀に参列する時は、他の葬儀と同じように喪服を着ます。またネクタイも黒、ストッキングやバッグも黒にし、ネックレスやイヤリングは真珠が良いでしょう。指輪は結婚指輪にとどめておき、派手な色彩の物は避けましょう。数珠は持ちません。
みたまうつしの儀は、あまり行われないので、慣れていない人も多いでしょう。次の行動は斎主が説明してくれるので、その通りにやれば大丈夫ですが、一連の流れを確認しておくと安心です。
また玉串を捧げる時の作法をあらかじめ知っておいた方が、流れがスムーズに行きます。
不祝儀袋は蓮の花などが入っていない、水引は白黒か双銀の物か、あるいは無地の白い封筒を使い、表書きは「御榊料」「御玉串料」や「御霊前」と記します。金額は仏式の時と同じような額にします。

天理教のみたまうつしの儀ですることは

天理教も神道の一種ですが江戸時代末期に興った新興宗教なので、やや伝統的な神道の、みたまうつしの儀とは作法が違います。
服装は黒の一般の和服で、数珠は要りません。告別式や焼香もなく、代わりに榊を使います。神式と異なり、二礼四拍手一拝四拍手一礼(礼は深くお辞儀、拝はお辞儀ていど)で、なるべく音を立てないようにします。周りの人を良く見て流れに乗れるようにしましょう。
天理教も表書きは「御榊料」「御玉串料」「御霊前」とし、不祝儀袋は蓮の花を避けたものを選びます。

神式での告別式にあたる葬場祭

神道の告別式にあたる葬場祭は、みたまうつしの儀とほぼ同じ流れになります。まず親族や参列者が入場、斎主(神職)による祓詞奏上があります。献饌(献灯)、斎主が玉串奉献、しずめの詞奏上、礼拝をします。斎員列拝の後、喪主、遺族、一般参列者の順に玉串奉献および列拝の流れとなり、合間に弔辞や弔電が読まれ、最後に葬儀委員長や喪主が挨拶をして終わりとなります。
玉串は右手は甲を向けて茎の部分を持ち、左手は葉の上部を手のひらで受け取るようにします。受け取ったら斎主と遺族に一礼し、胸元に持ち、玉串案に進み一礼、右手の甲を返しながら90度右回しに回し、右手は葉の中央くらいに左手は茎のほうにずらして茎が祭壇に向かうよう更に右に回します。一礼し玉串を捧げ、一歩下がり、二礼二拍手一礼(忍び手)をし、最後に遺族と斎主に一礼をします。
玉串の奉献のやり方も、あらかじめ式の前に斎主が教えてくれることが多いのですが、いざその場になると慌ててしまいます。特に遺族は玉串を始めの方で捧げるので、前もって時間があった時に少し練習をしておくと、心構えができて安心して式に臨めます。

宗派によってマナーもさまざま

最後に故人に会える葬儀は言うまでもなく大切なものですが、宗派によって大きく葬儀の形が変わります。宗教によっては不祝儀袋ひとつでも封筒の種類や表書きも変わってくるので、葬儀がある場合は故人がどの宗教で葬儀を執り行うのか、あるいは自分が葬儀を出す場合もちゃんと下調べをして、マナーや葬儀の流れを知っておくことが大切です。
特に葬儀を開く場合は葬祭社の担当の人や、斎主、僧侶など葬儀を実際に執り行ってくれる人とちゃんと相談したり、打ち合わせをすることが必要でしょう。あらかじめ手順やマナーを知っておくと、その場になって慌てなくてすみ、落ち着いて葬儀に臨み、故人を偲ぶことができます。

葬儀・お葬式を地域から探す