夏の風物詩と言えばお盆。一般的なお盆の時期は8月13日~8月16日の4日間で、8月盆・旧盆と呼ばれます。ただ、なかにはお盆を行う時期や行事が違う地域も存在します。
この記事では、お盆の時期や地域別の日程、お盆期間の過ごし方などを解説。お盆休み中の注意点やお盆に避けるべきこともまとめて紹介します。
目次
2025年(令和7年)のお盆期間はいつからいつまで?

2025年(令和7年)のお盆期間は8月13日~16日
2025年(令和7年)のお盆は、8月13日(水)から16日(土)までの4日間です。
2025年(令和7年)のお盆休みは最大9連休
2025年のお盆期間の翌日は、8月17日(日)です。
会社のお盆休みは、8月13日(水)~8月17日(日)の5日間が多いでしょう。
なお、2025年の山の日は8月11日(月)。8月12日(火)に有給休暇を取得すれば、8月11日(月)~8月17日(日)まで最大9連休にできます。
7月盆と8月盆があるのはなぜ?地域別のお盆期間
- 全国:8月13日~16日(8月盆・旧盆・月遅れ盆)
- 東京都や神奈川県、静岡県など都心部の一部地域:7月13日~16日(7月盆・新盆)
- 沖縄県や鹿児島県の奄美地方などの一部地域:旧暦の7月13日~15日
お盆の期間は地域で違う?7月盆と8月盆に分かれた理由
お盆の期間は、8月13日~8月16日までの4日間とするのが基本。ですが中には、お盆期間を7月とする地域も存在します。7月のお盆は「7月盆」「新盆」、8月のお盆は「8月盆」「旧盆」とされ、8月盆は「月遅れ盆」とも呼ばれています。
7月盆(新盆)と8月盆(旧盆)に分かれる理由は、明治時代に暦の変更があったから。
明治政府は、明治6年(1873年)に太陰太陽暦(旧暦)から太陽暦(新暦)に暦を変更しました。このとき、お盆も新暦の7月に定められましたが、農作業の繁忙期と重なるため旧暦の8月にお盆を行う地域が多くありました。
全国的に見ると8月の旧盆が主流ですが、東京をはじめとする一部の都市部では、7月の新盆が定着しています。地域の産業や慣習などによって、お盆の時期が7月か8月かに分かれたことがわかります。
ちなみに、新盆と旧盆でお盆に行う行事や風習に大きな違いはほとんどありません。
一般的なお盆:8月13日~16日(8月盆・旧盆)
一般的なお盆期間は、8月盆・旧盆と呼ばれる8月13日〜16日の4日間です。
8月13日は「盆の入り」と呼ばれ、ご先祖様の霊をお迎えする日。続いて8月14日と15日は「中日」として、家族で集まってお墓参りをしたり、ご先祖様を供養したりするのが一般的です。そして、最終日の8月16日は「盆明け」にあたり、送り火を焚いてご先祖様の霊をあの世へと見送ります。
ほとんどの企業や学校では、8月盆・旧盆に合わせてお盆休暇が設定されています。8月11日の「山の日」の曜日によっては長期の連休になったり、前後で有給休暇を取得することで連休をとりやすくなったりします。
東京都の一部地域のお盆:7月13日~16日(7月盆・新盆)
東京都の一部地域や横浜、静岡などでは、7月盆・新盆の7月にお盆を迎えます。7月盆・新盆は、毎年7月13日~16日までの4日間となるのが一般的です。
7月13日は「盆の入り」として、ご先祖様をお迎えするための迎え火を焚きます。続く7月14日と15日は「中日」、最終日の7月16日が「盆明け」となり、ご先祖様の霊を送り出します。また、東京の多摩地区では7月31日〜8月2日にお盆の行事を行っています。
沖縄県のお盆:8月中旬~9月上旬
沖縄県や鹿児島県の奄美地方では、旧暦に沿ってお盆を行っています。そのため、毎年日付が変わり、一般的なお盆より短い3日間で終わるのが特徴です。
沖縄のお盆は、旧暦の7月13日~15日(一部地域では16日)。新暦に当てはめると、年によって8月中旬から9月上旬頃になるのが通例です。月の満ち欠けに基づいた旧暦を使用しているため、新暦の8月に行われる一般的なお盆とは大きく日程がずれる年もあります。
沖縄のお盆は、初日の「ウンケー(ご先祖様をお迎えする日)」、中日の「ナカビ(ナカヌヒ)」、最終日の「ウークイ(ご先祖様をお送りする日)」と、3つの段階で進められます。「ウークイ」では、沖縄の伝統的な「エイサー」と呼ばれる盆踊りが披露されます。
祝日ではないのにお盆がお休みになる理由は?
お盆は国民の祝日ではありませんが、多くの会社でお休みになるのが一般的。お盆がお休みになるのには、江戸時代にあった「藪入り(やぶいり)」という風習が関係しています。
藪入りとは、住み込みで働いていた奉公人が、お正月とお盆に実家へ帰省する習慣のこと。土日休みや有給休暇のなかった当時、藪入りは奉公人にとって貴重な休息の機会でした。また、嫁入りや婿入りした人々が里帰りをする日でもありました。
藪入りの風習が時代と共に形を変え、現代のお盆休みへと受け継がれたとされています。現在でもお盆休みには多くの人が実家に帰省し、家族や親族で集まってご先祖様の供養を行う風習が根付いています。
お盆期間中の銀行・役所・交通機関の営業
お盆期間は祝日ではないので、銀行や役所、郵便局などの公共機関は通常通り営業しています。とくに銀行は、法律で休業を土日祝日と年末年始のみと定められているため、平日であれば通常通り開いています。
一方で、病院は各医療機関の判断で休診となる場合があるため、事前に受診できるか確認が必要です。電車やバスなどの交通機関も基本的に通常ダイヤで運行されますが、お盆期間中は利用者が増えるため、一部で特別ダイヤが組まれたり、臨時列車が運行されたりするかもしれません。とくに新幹線は、お盆期間中に全席指定席となる場合があるため、早めの予約がおすすめです。帰省や外出の際は、利用する交通機関の運行情報を事前に確認しておくと安心でしょう。
お盆期間の過ごし方①迎え火・送り火をする

お盆の初日に霊を迎えるために焚く火を「迎え火」と言い、見送る時に焚く火を「送り火」と言います。
迎え火は家の門口や玄関前、もしくはお墓で行われます。焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きの平らなお皿の上にオガラ(皮を剥いだ麻の茎)を置いて火を灯して焚きます。
お墓参りをしてそのまま迎え火をする場合、オガラの火を盆提灯に移し自宅に持ち帰ります。自宅に到着したら、準備してある別の盆提灯に火を灯し、火を移した後の盆提灯の灯りは玄関先で黙祷をしてから消します。
故人を自宅にお迎えしたらもう迷子になることがないため、迎え火は消しても良いとされています。しかし、お墓で迎え火をした後その場で一度灯りを消し、自宅に戻ってから再度、盆提灯に灯りを灯す場合もあります。
送り火の焚き方も、迎え火と同じ。家の中で火を灯してお墓もしくは玄関先や門口まで故人を案内します。そしてお送りする場所に着いたら、黙祷をして火を消します。
地域によっては灯籠流しなど川に流す慣習がある所もあります。
お盆期間の過ごし方②盆提灯を吊るす

お盆の時期に玄関先に吊るされる提灯を「盆提灯」と言います。盆提灯は、故人やご先祖様が家に戻られるとき迷子にならないようにと、目印の意味を込めて飾ります。
また、亡くなって四十九日後の初盆の時には、初めての里帰りで故人の霊が迷わないよう、目立つように白提灯を飾ります。盆提灯は誰が買ってもかまいませんが、白提灯は家族が用意し、迎え火の後、玄関や部屋の窓際や仏壇の前などに吊るすのが一般的です。
そして、白提灯は新盆が終わったら速やかに処分します。送り火で燃やすか、燃やせない場合は菩提寺にお焚き上げを頼んでも構いません。
お盆期間の過ごし方③精霊馬を飾る

お盆の時期に飾る、きゅうりで作る馬を「精霊馬」、なすで作る牛を「精霊牛」と言います。割り箸などを刺して足に見立て、精霊馬は精霊棚に飾られます。
このきゅうりとなすは、お盆に故人やご先祖様の霊が家に戻ってくる際に行き来する乗り物として作られたとされています。
霊が戻ってくる時は足の早い馬を、帰りは牛に乗って景色を見ながらできるだけゆっくり帰ってほしい、という意味が込められています。ちなみに、なぜきゅうりとなすなのかというと、夏野菜としてお盆の時期に多く収穫され、入手しやすかったからと考えられています。
お盆期間の過ごし方④お仏壇にお供えをする
お盆はご先祖様や故人の霊が戻ってくる期間のため、故人が生前好きだったものを用意しておもてなしをします。
お供え物の基本として「五供(ごく)」という決まりがあります。五供とは、お香やお花、ろうそく、お水、食べ物を指します。これに従い、線香やお花、ろうそく、お菓子などを供えます。
また、お盆法要で参列者からお供えに食べ物をいただいた場合、紙包みのままお供えするのではなく、必ず「すぐに食べられる状態」にしてお供えするのがマナーです。お菓子なら小袋で、果物は皮をむいてお供えしましょう。
お盆期間の過ごし方⑤お墓参りをする

お盆の墓参りは、8月13日に行くのが一般的と言われています。8月13日は迎え盆と呼ばれる、ご先祖様をお迎えに行く日です。そのため13日にお墓参りをし、ご先祖様の霊を迎えるための「送り火」を焚きます。
基本的なお墓参りの手順は、以下の通りです。お墓をきれいにし、気持ちよくご先祖様を迎えましょう。
- お墓の前で合掌
- お墓の掃除
- 打ち水で墓石を清める
- お供えをする
- お線香をあげ合掌
- 後片付け
ただし、お盆のお墓参りは、必ず8月13日に行かなければいけない訳ではありません。お墓のある実家が遠い場所にあったり、仕事の都合で行けなかったりする場合は、お盆期間の他の日にお墓参りをしましょう。もし、お盆期間にお墓参りできないなら、自宅でご先祖様に感謝のお参りをしてください。
お盆中にしてはいけないことはある?
お盆の期間はご先祖様をお迎えし、供養する大切な時期です。そのため、古くからの言い伝えや地域の風習によっては、避けるべきとされている行動が存在します。
生き物の命を奪うこと
お盆期間中は、仏教の「不殺生戒」に基づき、殺生を避けるべきとされています。
お盆は、ご先祖様の霊をお迎えして供養することで感謝や敬意を示す期間。お盆の時期に殺生をすることは、生命を大切にする仏教の根本的な思想に反する行動です。
魚釣りや虫取りといった、生き物の命を奪う行為は慎むようにしましょう。
結婚式や引っ越しなどのお祝い事
お盆は静かにご先祖様を偲び、供養する期間とされています。そのため、結婚式のようなお祝い事や引っ越し、新しいことのスタートなど、華やかな行事は避けるのが望ましいです。
ただあくまで風習なので、ご家庭の事情や個人の考えに沿って判断することが大切です。
海や川など水辺のレジャー
お盆の時期には、海や川などの水辺でのレジャーを控えるべきという話もあります。なぜなら、水辺には霊が集まりやすいとされ、「ご先祖様の霊に連れていかれる」「水に引き込まれる」といった言い伝えがあるからです。
また、台風や高波、大雨による増水といった災害が起きやすい時期のため、水難事故に遭いやすいことから控えるべきだと言われています。
そもそもお盆とはどんな意味をもつ行事?
お盆の意味
お盆とは、故人やご先祖様の魂が、あの世と呼ばれる世界(浄土)からこの世(現世)に戻ってくる期間のこと。故人が生前を過ごした場所、主に自宅でお迎えして、冥福を祈るとともに霊魂を供養する時期とされています。
ちなみに、お盆の正式名称は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。仏教の「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」というお経に由来しているとされています。
また、故人の四十九日の忌明け後、初めてのお盆を「新盆」「初盆」と言います。新盆は、普段のお盆よりも盛大に供養をおこなうため、親族や故人と親しかった友人を招いて新盆法要を執り行う場合もあります。
お盆の由来
前述した、仏教の盂蘭盆経の「盂蘭盆(うらぼん)」は、サンスクリット語の「ウラバンナ(逆さ吊り)」が起源。お釈迦様の弟子の一人、目連(もくれん)にまつわる言い伝えを表しています。
目連はある時神通力によって、亡き母が餓鬼道に落ち逆さ吊りにされて苦しんでいると知りました。 そこで、どうしたら母親を救えるのかお釈迦様に相談したところ、 お釈迦様はこのように言いました。
「夏の修行が終わった7月15日に僧侶を招き、多くの供物をささげて供養すれば母を救うことができるであろう。」
目連尊者がお釈迦様の教えのままにしたところ、その功徳によって母親は極楽往生がとげられたとのことです。
それ以来、旧暦の7月15日は、父母や先祖に報恩感謝をささげ、供養を行う重要な日となりました。日本では、推古天皇14(606)年に、初めてお盆の行事が行われたと伝えられています。
その後、明治時代に暦の国際基準化を目的に行われた改暦に伴い、日本の行事は全体的に30日遅れとなりました。現代のお盆は8月15日を中心に8月13日~16日の期間に行われています。
お盆とお彼岸の違い
日常の生活に密着していて、しかも大切な仏教の行事には、お盆のほかにお彼岸もあります。お盆とお彼岸を対照表にまとめてみました。
| お盆 | お彼岸 | |
|---|---|---|
| 意味 | ご先祖様が帰ってくる期間 | 仏教徒として正しく過ごしながら、ご先祖様に想いを馳せる期間 |
| 回数 | 年に1回(夏) | 年に2回(春・秋) |
| 時期 | 7月13日~16日(地域によっては8月) | 春彼岸 : 春分の日の前後3日間 秋彼岸 : 秋分の日の前後3日間 |
| やること | 精霊棚を飾る 迎え火・送り火を焚く 施餓鬼会・盂蘭盆会 お墓参り |
お仏壇、仏具の掃除 彼岸会 お墓参り |
日本各地にあるお盆由来の風習・行事
お中元
日本で初めて公にお盆の行事が営まれたのは、推古天皇の時代と言われています。その後、聖武天皇の時代に、宮中行事として執り行われるようになりました。
江戸時代になると、お盆は庶民の行事としても盛んになります。このころ、「盆礼」といって親族や知人の家を訪ね、贈り物をするようになりました。これが、現代の「お中元」につながっていると言われています。
盆踊り
盆踊りのはじまりは平安時代、空也上人の踊念仏がお盆の行事と結びついて生まれたと言われています。新盆を迎える家の前で頬かむりで顔を隠した人が亡くなった人に扮して踊ったりと、死者を供養するため踊ったりしたようです。また、盆踊りのやぐらの上に盆棚を飾る地域もあると言われています。
「大文字焼き」と「精霊流し」
京都の「大文字焼き」や北九州各地の「精霊流し」もお盆の行事。送り火の一種です。夏の風物詩、打ち上げ花火も、精霊送りの行事から生まれたそうです。
盆義理
静岡県浜松市をはじめとする遠州地方では、新盆を迎える喪家へお悔やみに行く「盆義理」という風習があります。お悔やみのときは、喪服を着てお香典を持っていくのが通例です。
喪家ではお盆の時期になると祭壇を飾り、盆義理に訪れる弔問客にお渡しする返礼品も用意します。また、車で盆義理に向かう人々が多く、渋滞が起こることもあるそうで、「盆義理渋滞」と呼ばれています。
葬儀社ではお盆の前に、新盆を迎える喪家のために提灯やお盆の祭壇、返礼品の展示などを行います。ただ、お盆は各家庭に祭壇を設置する時期が重なるため、人員の確保やスケジュールの調整など担当者の苦労も大変なようです。
お盆はご先祖様を供養する大切な行事
お盆の期間は、家族や親族が集まってご先祖様を供養する大切な行事です。とくに、亡くなってから初めて迎えるお盆は「新盆」と呼ばれ、仏様になった故人が里帰りする最初の行事とされています。
初盆では、親族や知人が集まって新盆法要をするのが一般。菩提寺の住職に読経をお願いし、焼香や施主の挨拶、会食などを行います。
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