訃報は突然舞い込んでくるもの。どうしても都合がつかず、通夜や葬儀に参列できないことがあるかもしれません。お葬式に参列できないときは、まず遺族に連絡を入れるのが大切。また、代理人に参列してもらったり弔電・供花を送ったりと、さまざまな対処法があります。
この記事では、通夜・葬儀に参列できないときの連絡方法や対処法を解説します。
目次
葬式に参列しないのは非常識?適切な対応をすればOK
葬式に参列できない理由はさまざま
- 出張や繁忙期など、仕事が立て込んでいる
- 遠方に住んでいて通夜・葬儀に間に合わない
- 療養中のため、移動で体調を崩す可能性がある
- 結婚式をはじめとする慶事と重なっている
通夜・葬儀に参列できない理由は、さまざまです。
通夜・葬儀は、故人と最期のお別れをする場。本来なら、予定を調整して参列するように努めるのがマナーです。通夜・葬儀を欠席するのは非常識ではありませんが、参列できない場合は遺族に失礼にならないよう配慮が必要です。
欠席するときは遺族への配慮を忘れない
通夜・葬儀に参列するのが難しく、欠席するときは慎重に判断してください。お葬式を欠席すると、故人と最期のお別れができないだけでなく、遺族と疎遠になる可能性があります。
とくに親族の通夜・葬儀は、普段やり取りのない間柄でも配慮が必要です。通夜・葬儀を欠席するときは、遺族に寄り添う対応を心がけてください。また、結婚式をはじめとする慶事と通夜・葬儀が重なったら、原則お葬式を優先すべきとされています。ただし、故人との関係性や状況に応じて柔軟に判断しましょう。
葬式に参列できないときはどうする?まずは遺族に連絡を
どうしても外せない用事があり、通夜・葬儀に参列できない場合は、まずは遺族に連絡しましょう。遺族は通夜・葬儀の準備で忙しい中、葬儀の案内をしてくれています。いただいた連絡を放置するのはマナー違反です。
通夜・葬儀の欠席を連絡するときは、遺族も葬式の準備で慌ただしいため、時間を取らないよう配慮してください。丁寧かつ簡潔にお悔やみの気持ちを伝えましょう。
欠席の連絡は電話かメールで簡潔に伝える
通夜・葬儀の欠席を伝えるときは、電話で連絡するのが基本。お悔やみの言葉を添えて、通夜・葬儀に参列できない旨と後日弔問に伺う旨を伝えます。なお、結婚式などの慶事と重なって欠席する場合は、具体的な理由を伝えるのは避けましょう。
どうしても電話できない場合は、メールで連絡するのもひとつの方法です。ただし、メールで通夜・葬儀の欠席を伝えるのは略式なので、さらに配慮が必要。遺族の気持ちに寄り添いながら、丁寧かつ簡潔に参列できない旨を伝えてください。
遺族から直接葬式の案内がない場合は連絡不要
訃報を人づてに聞いたり、遺族から直接知らせがなかったりする場合は、通夜・葬儀に参列しない旨を連絡する必要はありません。
通夜・葬儀の知らせがないのは、遺族が参列を求めていないことを意味するからです。冠婚葬祭では、招かれていない場合はアクションしないのがマナーです。
葬式に参列できないときの対処法①代理人に参列してもらう
通夜・葬儀に参列できないときの対処法で、もっとも丁寧なのが、代理人を立てて自分の代わりに参列してもらう方法です。代理人は、故人と直接面識がない方でも問題ありません。依頼者は香典を代理人に託し、通夜・葬儀で遺族に届けてもらいます。
香典は依頼者本人の名前で用意する

通夜・葬儀に代理人が参列する場合、香典は依頼者本人の名前で用意してください。香典の表書きには依頼者の名前を書き、左下に「代」と記入します。なお、代理人として妻に参列してもらう場合は、「内」と記入します。
ちなみに、故人が会社の取引先である場合、代理人が依頼者に代わって会社の代表として参列することになります。表書きには、社名と依頼者の名前をフルネームで記入してください。
受付で代理参列した旨を伝えてもらう
代理人が通夜・葬儀に参列する場合は、代理として参列している旨を受付で必ず伝えてもらいます。受付では、依頼人が参列できない事情を簡潔に説明してください。芳名帳の記帳では、依頼者の名前・住所の後に、代理人が参列したとわかるよう代理人の名前を書き、「代」と小さく記入します。
受付以降は、故人の宗教宗派に従って対応しましょう。通夜・葬儀後の会食(通夜振る舞いや精進落とし)に招かれた場合は、依頼者に代わって故人を供養することにつながるため、できる限り出席してください。
葬式に参列できないときの対処法②弔電でお悔やみを伝える
弔電は、電報で弔意を伝える手段です。電話が普及するまで、電報は緊急時の連絡に使われていましたが、現在は冠婚葬祭のお祝いやお悔やみを伝えるためによく利用されています。
通夜・葬儀に参列できないときは、弔電でお悔やみを伝えましょう。弔電によっては台紙を選択でき、線香や押し花、プリザーブドフラワー付きや、蒔絵が施された漆盆と一緒に送ることも可能です。
弔電を送る方法はNTT・郵便局・インターネット
弔電の送り方 | 特徴と送り方 |
---|---|
NTT | 115番に電話をかけて申し込む 19時までに申し込めば、当日中に全国配達が可能 オペレーターが相談に乗ってくれる 「通夜・葬儀が迫っている」「相談しながら内容を決めたい」方向け |
郵便局のレタックス | インターネットや郵便局の窓口で申し込む 電話での受付はしていない 当日の発送は15時までと受付時間が短い 当日配送可能な時間は集配地域で異なる |
インターネットの弔電サービス | 申し込みは24時間対応 WEBフォームの入力でイメージを確認 会社によって当日配達可能な時間が違う |
弔電は、NTTの電報、郵便局のレタックス、インターネットの3つの方法で送付できます。
突然の訃報で時間がとれないときは、スマホやパソコンからすぐに弔電を手配できるインターネット申し込みが便利です。NTTの電報、郵便局のレタックス、インターネットの弔電サービスは、それぞれ申し込み方やメリット・デメリットが異なるため、ご自身の希望にあった方法を選びましょう。

通夜・葬式に間に合うよう手配する
弔電は、通夜・葬儀の3時間前までに届くように早めに手配してください。弔電を送る際は間違いがないように、必ず以下の内容を確認した上で手配します。
- 故人の名前
- 喪主の名前
- 葬式・通夜の日時
- 葬式・通夜の会場
弔電では忌み言葉に気をつける
忌み言葉の種類 | 代表的な忌み言葉と言い換え表現 |
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死を連想する言葉 | 死亡・死ぬ→他界・逝去 急死→急逝・突然のこと 生きていたころ→生前・元気なころ |
不吉で縁起が悪い言葉 | 最後→結びに 苦しかった→頑張った 終わる→ゴールを迎える 別れる・離れる→独立する ※「消える」「落ちる」「浮かばれない」は言い換えが難しいため避ける |
不幸が重なる「重ね言葉」 | 日々→毎日 ときどき→時折 いよいよ→一段と つくづく→心から たびたび→いつも・よく いろいろ→多くの ますます→さらに・もっと くれぐれも→どうぞ・十分に 次々→たくさん・立て続けに |
不幸の連続を連想する言葉 | 忙しい→多用 追って→のちほど 引き続き→これからも また→さらに・いま一度 何度も→頻繁に |
死や苦しみを意味する数字 | 四(死)→4・よん・よっつ 九(苦)→9・きゅう・ここのつ |
弔電を打つときは、不吉なことをイメージさせる忌み言葉を避けるのがマナーです。失礼にならないよう、忌み言葉は使用を控え、別の表現に言い換えましょう。
なお、悲しむ遺族を安易に励ましたり、遺族が過去を後悔したりするような表現も控えてください。
葬式に参列できないときの対処法③供物や供花を送る
通夜・葬儀の会場に届ける品物を供物(くもつ)、お花を供花(くげ)と呼びます。通夜・葬儀に参列できない場合、供物・供花を送ることも可能です。


手配する前に遺族の了承を得る
供物・供花を辞退するご遺族もいらっしゃるため、手配する前に必ず意向を確認してください。
とくに供花は、故人の親族や親しかった友人・知人が贈るのが一般的で、取りまとめて発注する場合もあります。また、式場内の雰囲気を統一させるために、送る花が決まっているかもしれません。注文する前に、供花について遺族や周囲に確認しておくと安心です。
なお供物は、線香や抹茶、五穀、ロウソクなどが定番で、果物や菓子は日持ちするものを選びます。
葬儀社に問い合わせた上で注文する
供花や供物を送るときは、葬儀社に連絡した上で、送る方法や場所、時間などを確認してください。とくに供花は、花屋や花の種類を指定している葬儀社もあるため、供花を送って問題がないか、まずは葬式を実施する葬儀社に問い合わせましょう。
葬式・通夜の約3時間前に届くよう手配する
弔電と同様に、供物や供花も通夜・葬儀の3時間前までに届くよう手配します。送る場所は、通夜・葬儀の会場または故人の自宅など、遺族の希望を確認して送りましょう。
供花については、電話だけでなくインターネットで全国手配してくれるサービスもあります。通夜・葬儀までに時間がない場合は、インターネットを利用してスムーズに準備を進めてください。

葬式に参列できないときの対処法④香典を郵送する
葬式と通夜のどちらにも参列できず、代理人も立てられない場合は、香典を遺族に現金書留で送ることも可能です。香典を郵送する場合は、通夜・葬儀を欠席したお詫びの気持ちを手紙に添えて伝えましょう。
お金を香典袋に入れ、現金書留封筒で郵送する
香典は、香典袋にお札を入れ、必ず現金書留封筒で郵送してください。現金を通常の封筒で郵送することは、郵便法で禁止されています。
郵便局の窓口で香典を送りたい旨を伝えると、現金書留専用の有料封筒を購入できます。
香典に添える手紙では薄墨や筆ペンを使用する
香典に添えるお悔やみの手紙は、香典袋と同じく薄墨を用いて記入するのが正式なマナーです。最近は筆を使用する方が少ないため、筆の代わりにグレーカラーのボールペンや万年筆などを利用しても問題はありません。
ただし、しきたりを大切にする方にお悔やみのお手紙を送る場合は、筆や筆ペンを使用する方が良いでしょう。
葬式に参列できないときの対処法⑤後日改めて弔問する
後日改めて弔問する場合は、あらかじめ遺族に後日伺う旨を伝えておき、遺族の予定を確認します。遺族は葬式が終わった後も、相続や役所の手続きなどで慌ただしいため、できるだけ遺族の負担にならないよう配慮してください。
葬式後3日目〜四十九日ごろに弔問する
通夜・葬儀に参列できず後日弔問する場合は、葬儀後3日目〜四十九日ごろまでの訪問がふさわしいです。ただし、四十九日法要の後でも問題はありません。大切なのは、遺族に負担をかけないことです。弔問するときは必ず遺族に連絡し、遺族のスケジュールを最優先に考えて日程を決めてください。
なお、遺族に連絡するときは、自身と故人の関係性も忘れずに伝えましょう。万が一遺族に弔問を断わられた場合は、無理強いせずに遺族の意向を尊重してください。
平服を着用して香典・数珠・供物を持参する
性別 | 具体的な服装 |
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男性 | 黒や紺など暗い色のスーツ 白シャツ 地味な色のネクタイ |
女性 | 位色のアンサンブルやワンピース 薄手の黒ストッキング ヒールの低いパンプス 色味を抑えたメイク アクセサリーは控える |
子ども | 子どもは制服 大学生はリクルートスーツ |
葬式後の弔問では、男女ともに平服で訪問するのが一般的です。平服といっても普段着ではなく、落ち着いた色のスーツやワンピース、アンサンブルなどを着用します。子どもは制服を、大学生はリクルートスーツを着ておけば問題ありません。いずれの場合も、光沢のある素材や柄物は控えましょう。
弔問では、香典や数珠、供物も一緒に持参します。香典の表書きは、弔問する時期によって異なるので注意が必要です。四十九日までの弔問は「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」と記入してください。また、弔問に持参する供物は、花や日持ちする菓子がおすすめです。四十九日前の弔問では白ベースの落ち着いた雰囲気の花がふさわしく、四十九日過ぎの弔問では優しめの色合いの花を選んでください。

葬式に参列できないときは適切な対応を忘れずに
知らせが届いたにもかかわらず、通夜・葬儀に参列できない場合は、すぐに遺族へ連絡すること。参列できない旨を丁寧に伝え、代理人を立てたり、参列以外の方法でお悔やみの気持ちを伝えたりしましょう。
また、通夜・葬儀に参列せずに後悔しないか、考えた上で決断するのも大切です。故人との最期のお別れだからこそ、後悔や失礼のない対応を心がけてください。きちんと考えて判断し、適切な対応をすることで、大切な故人と納得いくお別れができるでしょう。
