参拝とは、お寺や神社を訪れ、仏様や神様を拝むことです。何かと訪れる機会があるお寺や神社ですが、実はそれぞれに正しい参拝方法や手順があります。参拝に適した服装や、してはならないことなど、さまざまなマナーもあります。
この記事では、お寺や神社を参拝するときの正しい方法やマナーについてご紹介します。
神社とお寺で参拝方法が違う理由
お寺と神社を参拝する際には、それぞれに異なる参拝方法や手順があります。それは、「仏様と神様のどちらを拝むか」の違いから来ています。
お寺は、もともとは仏様と一体になる場として建てられたものです。現代でもそこに住む僧侶は戒律を守り、日々の勤めに励んで仏様に仕えています。そのような背景から、お寺を参拝する際には、無心となり、お経を念ずるのがよいとされます。ただし、現在ではその意味合いは薄まり、参拝者のご利益祈願が主となっている面もあります。
一方、神社はその名の通り、神様が住まう場所です。自然発生した土着の宗教を基にして起こった神道において、感謝と畏敬を神様に表しつつ、願掛けをする場として建てられました。そのため、満願成就の際にはお礼参りを行うという考え方があります。
それぞれの参拝方法には意味があり、どれも守るべき作法です。では次は、それぞれの具体的な手順を確認していきましょう。
神社の正しい参拝方法と手順
鳥居から手水舎まで
お寺の山門と同様、鳥居を境に、境内は神域とされています。くぐる前には必ず一礼して入りましょう。参道の中央は神様の通り道と考えられているため、進むときは端を歩きます。
手水舎では、手と口を清めます。手順はお寺のときと同じです。
拝殿から鳥居まで
拝殿に着いたらお賽銭を入れ、鈴(鐘)があれば鳴らします。
神社では、「二拝二拍手一拝」が基本の参拝方法です。まず、神様への敬意を込めて深いお辞儀を2回した後、胸の前で2回柏手を打ちます。
このとき、右手を少し手前にずらすのがポイントです。これは、神様と人間はまだ一体ではないため、人を表す右手を引くことによって、1歩下がって神様を讃える気持ちを表現しています。
次にお願いごとをしますが、住所や名前を一緒に添えてお伝えすることも大切です。最後に、もう一度お礼の気持ちを込めてお辞儀をしてから、拝殿を離れましょう。
神道は古代から続く宗教ですが、二拝二拍手一拝は明治の頃から始まった作法です。それぞれの神社によって参拝方法が違う場合があります。
お寺の正しい参拝方法・手順
山門から手水舎まで
お寺の入り口には山門があります。山門とは俗世との境を表す門です。
山門の前では、合掌とともに一礼します。合掌とは、胸の前で手を合わせる作法のことです。宗派によって形式は異なりますが、お寺で礼拝する際の基本となり、仏様と一体になることを表しています。
手を合わせるときには、音を立ててはいけません。また、山門をくぐるときは敷居を踏まないようにします。さらに女性は右足から、男性は左足からというように、性別によって入る足が異なるといわれる場合もあります。
手水舎では、一礼を捧げてから手と口を清めます。右手に柄杓を持って左手に水をかけたら、右手、口、左手、柄杓の柄の順で心身を清めましょう。この一連の動作を、最初に汲んだ一杯の水で行います。また、口をすすぐ際には柄杓に直接口をつけないよう、左手に水を注いで行います。
常香炉があればお線香を供え、煙を受けて心身を清めます。線香の火は口で吹き消すのではなく、手で風を送って消しましょう。
本堂から山門まで
本堂へ着いたら、用意したお賽銭を入れます。投げ入れる方もいますが、仏様へのお参りなので、優しくそっと入れるように心がけましょう。
合掌しながら一礼したら、お願いごとを念じます。その後、再度一礼して、本堂を後にします。
焼香台があれば、焼香を行います。何回するかは宗派によって違いますから、分からない場合は1回だけにしてもかまいません。
お寺を出る際も、山門の前で一礼しましょう。
神社・お寺の参拝でする合掌の意味
合掌は、仏教発祥の地であるインドから伝わった礼拝方法です。右手は仏様を、左手は衆生(生き物すべて)を表す両手を合わせることで、両者がひとつになり成仏して欲しいという気持ちを表しています。
合掌はその他に、相手に対する尊敬の気持ちを表す際にも用いられます。
インドなどの仏教国では、相手に対する敬意を表す意味を込めてすれ違う際など日常的な挨拶として、日本では、食事ができる感謝の気持ちを込めて食事の前後、謝罪の気持ちを込めて許しを請う際などによく用いられています。
また、手紙に書かれた合掌も、仏教で相手に対する敬意を込めた表現です。
神社・お寺を参拝するときの注意点
参拝するタイミングですが、特に神社では午前中に参拝するのが良いといわれています。その理由については、朝の方がすがすがしくお参りができるから、古くからある陰陽道の考え方からなど、諸説あります。
次に服装について、特別な用意は必要ありませんが、清潔感のあるものを選ぶのが良いでしょう。何かお願い事がある場合には、サンダル履きや短パンなどは避けるなど、相応しい服装を心掛けましょう。服装を改めることで、自分自身の中の意識も変わるかもしれません。