祭祀料(さいしりょう)とは、神式の通夜祭・葬場祭・霊祭などの祭祀において、主に神官へ支払う謝礼金のことを指します。ここでは、祭祀料が必要になる祭典や儀式の種類、表書きの書き方のほか、神式や神官の意味についてもご紹介しています。日本古来の神式と仏教の考えを基にした仏式では、言葉の使い方も異なります。ぜひ参考にしてください。
祭祀料(さいしりょう)とは?
祭祀料とは、主に神式の祭典や儀式で用いられる用語で、「祭祀いただいたお礼に代えて」という意味合いがあります。仏式でいうお布施に相当し、神道においては通夜祭、葬場祭、霊祭の際、神社や神官に対して祭祀祈祷の謝礼として支払います。
祭祀料が必要な儀式とは
祭祀料は、次のような祭典および儀式を執り行う際に用意します。
葬儀に関連する祭祀料
通夜祭(つやさい)
通夜祭は、仏式の通夜に当たります。神職が祭詞(さいし)を奏上します。通夜祭は、自宅や葬儀会場で執り行われ、神官が司会役を担当します。
遷霊祭(せんれいさい)
「御霊遷し(みたまうつし)の儀」とも呼ばれており、故人の御霊を遺体から霊璽(れいじ)に遷し留めるための儀式を執り行います。霊璽は、仏式でいう位牌に当たります。
※現在では、通夜祭と遷霊祭の儀礼を同日に行い、2つの儀式を合わせて通夜祭と呼ばれることもあります。
葬場祭(そうじょうさい)
葬場祭は、仏式での葬儀および告別式に当たります。故人との最後の別れを告げる儀式であり、神葬祭における最大の重儀になります。
霊祭(れいさい・みたままつり)
霊祭は、仏式の法要に当たる儀式で、故人が亡くなった日から数えて10日ごとに、十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭、五十日祭が執り行われます。一般的に、五十日祭をもって忌明けになります。次いで百日祭、一年祭と続き、それ以降に行われる年祭を「祖霊祭」といいます。
葬儀以外の祭祀料
人生儀礼
古来から伝わる日本伝統の行事や、人生の節目に各種儀式を執り行います。「帯祝い」「お七夜」「初宮詣」「七五三詣」「祝年」「厄除け」などがあります。
地鎮祭
建物建築や住宅新築など土木工事の着工にあたり、土地の神様をまつり、工事の安全および家の繁栄を祈る儀式を執り行います。
上棟祭
「棟上げ(むねあげ)」とも呼ばれており、棟木を上げる際に工事の無事と建物の堅固長久を祈念します。地域によっては祭儀終了後に餅撒きをしたり、工事関係者に御祝儀を配ったりすることもあります。
家移清祓祭
新築完成後、引っ越しや実際に入居する前に家の中をお祓いします。
その他、祭祀祈祷のお祓いをいただいた場合や、通夜祭・葬場祭・霊祭の際、喪家に対して贈る弔い金の表書きの献辞としても用いられます。
祭祀料の表書きの書き方
主に、遺族から神社や神官に対する御礼や謝礼の表書きについては濃墨を使用します。書き方は「御祭祀料」のほか、「御礼」「御祈祷料」などが用いられます。市販されている上包みの中には、蓮の絵が描かれたものもありますが、神式儀式には使用しませんのでご注意ください。結びは、切り結びか鮑結び、水引については黒白のものを使うのが無難です。
一般的に神式葬儀の費用は30~50万円が相場とされており、神官の人数にかかわらず祭祀料は一括して儀式当日に包みます。基本的に使用するお金は新札を用意し、奉書紙や半紙、白封筒に包んで翌日に渡すのが礼儀とされています。
また、「御車代」や「御膳料」が必要な場合には、当日に別途用意します。
包み方は神職・神官への謝礼の際は、内袋へ向かって左がお札の上になるようにお札を入れます。なお内袋の裏には、氏名、金額、郵便番号、住所、電話番号を記入します。〆とのり付けの必要はありません。
ちなみに、仏式の御香典および御霊前に相当するものを「御玉串料」といい、喪家への弔い金の場合は薄墨を使用します。
祭祀料を用いている神式・神官とは?
日本古来の宗教であり、神話や八百万の神、自然、自然現象など、神々をまつる「神道(しんとう)」の考え方、および作法にのっとった祭典や儀式を神式と呼びます。開祖はおらず、経典や具体的な教えもありません。神道の祭祀は神と人間を結ぶものと考えられており、祭祀を執り行う神社が聖域とされています。
そういった祭祀を執り行う役職、または神を祀る施設に奉職する者のことを「神官」といいます。しかし厳密にいえば現在の日本に神官は存在しません。太平洋戦争敗戦後、GHQによって国家神道が廃止されて以降、神官という職もなくなっています。現代においては、神職の通称として広く用いられています。
祭祀料は神式の儀式で使われる用語
祭祀料とは、主に神社や神官への謝礼のことを指します。しかし、謝礼といっても、神式の祭典および神葬祭に用いられる言葉です。仏式葬儀で使用すると誤っていたり、マナー違反として失礼な印象を与えてしまったりする場合もありますので注意が必要です。
祭祀料について相談したいという方や葬儀社をどこにするかお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。