東京・江戸川区の證大寺は2016年11月23日、手紙の日(イイフミの日)に合わせて、東京・銀座に「手紙寺 證大寺 銀座道場」をオープンしました。
ネットやSNSなどの情報が日々飛び交う今に時代にこそ、「自分自身と向き合う」ことの重要性を感じていたという井上城治住職。自分自身、「手紙を書く」ことで、心の中で自分と向き合い、手紙によって「生きるチカラを与えてもらった」そうです。
そんな経験をもとに、一人でも多くの人が気軽に、お金をかけずに、手紙でしか感じられない良さを再認識してほしいという思いがありました。
今、どうして手紙寺?
證大寺はこのほど、再興から400年目を迎えます。
「400年前に生きた方々が何をしたら喜んでいただけるか?」というところから、この手紙寺のプロジェクトはスタートしたといいます。
證大寺はもともと、町の中に開いた寺なので、もう一度、町の中からスタートしたいと考えました。そこで改めて町の中でのお寺のあり方を追求したところ、「本気で何かに悩んだ時、町のカフェでは居心地悪い」「妄念、雑念は、坐禅をしてもなかなか消えない」ということに思い至りました。
そんな思いから、「手紙を書くこと」を通じて、「自分自身と向き合う」場としてのサロン、「銀座道場」が誕生しました。
このサロンの目的にはもう一つ、お墓参りを取り戻したいという思いもあったそうです。
お墓参りの良さを取り戻せ!
最近ではお墓参りのあり方が変化してきました。
お墓参りをする人の傾向を見てみると、一年間で1回か2回、10分程度の方が多いといいます。
お墓参りは亡くなった方と向き合い、同時に亡くなった方を通じて自分自身と向き合える場でもあります。
そんなお墓参りを取り戻したいという願いもありました。
そこで至ったのがやはり手紙です。
亡くなった人に手紙を書くことで、自分を見直すことができる。
お墓にいけないのであれば、町の中にそのような場所を設ければいい。
町の中のカフェでは集中して手紙が書きにくいのであれば、落ち着ける場所を創ればいい。
そんな逆転の発想もあったそうです。
残される人に送るラストレター
手紙は、亡き人へ送るだけではありません。
誰にも、必ず旅立つ日が訪れます。
将来のために、残される人のために、伝えたいことを手紙につづるという取り組みです。
手紙を書くことで、やはり自分自身と向き合う貴重な時が生まれます。
書いたラストレターは、「手紙箱」に収められ、證大寺が、大切に保管。
49日の法要後、僧侶より受取人に渡すなど、亡くなった後にメッセージが届く仕組みも用意されています。
銀座道場では、手紙を書く場所としてのスペースのほか、手紙の資料や仏教の関連書籍などもあり、読書空間としても利用できます。
また、2017年1月15日には、森林公園と船橋にも、休憩ラウンジ「手紙処」がオープン予定です。