2016年12月28日(日本時間)、安倍晋三首相がアメリカ合衆国ハワイの「アリゾナ記念館」を訪れ、日本の現職の総理大臣として初めて真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊しました。
さて、この時の献花の模様を中継で観ると、オバマ大統領と安倍首相は2つ並んで飾られた大きな花輪にそれぞれ手で触れて、追悼の意を表していました。ハワイでの献花は、花輪に手を触れて行われるそうです。
一方、日本でも近年、お葬式やお別れ会の場で焼香に代わって、参列者が弔意を表す儀式として献花が取り入れられていますが、この場合は参列者が一本ずつ、花を手に取って献花台に捧げます。
そこで今回は、日本のお葬式での献花のマナーについてご説明します。
キリスト教でなくても献花をしてもいいの?
献花というと、キリスト教式のお葬式でのお別れの作法と思われる方もいるかもしれません。しかし、近年、故人らしさや遺族の想いを重視したお別れを希望する人が増えるにつれて、宗教にはとらわれずに献花を希望する方も増えているようです。
特に、ホテルなど葬儀式場や寺院以外の会場で行われる社葬やお別れ会などでは、献花をもって故人への追悼の気持ちを表すことが多いようです。
ただし、通常のお葬式の場合はそれぞれの宗旨・宗派、さらには地域性などもありますので、希望したからといって、必ずしも献花でお別れができるというわけではありません。
お葬式の準備をする際に、宗教者や葬儀社の担当者に希望を伝え、相談してみるとよいでしょう。
献花の時に花はどちらに向ける?
一般的に、献花は次のような流れで行います。
- 係りの案内に従って、お花を受け取ります。
- 遺族へ一礼して献花台に進みます。
- 故人に黙礼を捧げてから、献花台にお花を供え、再び故人に黙礼します。
- 遺族へもう一度一礼し、席に戻ります。
*式によっては、献花の後、着席しないで会食の席に誘導される場合もあります。
献花をする際の花の向きは、花を手前(参列者の方)に、茎は祭壇に向けて手向けるのが一般的なようです。
ただ、場合によっては異なるケースもあります。
例えば、女性だけの葬儀コーディネート会社、株式会社グランディメモリー代表取締役で、自身も葬儀司会などで多数のお葬式の現場に携わってきた木野島光美さんによると、「きれいなお花を故人に向けて手向けましょう」という宗教者の意向で、花を祭壇に向けて献花したケースがあったといいます。また同様に、故人への感謝の気持ちを伝えるために、花を祭壇に向けるということもあります。
いずれにしても、式中で案内がありますので、式のコンセプトに則った献花を行うのが、最も作法にかなった献花と言えそうです。
献花をするとお葬式の前後で、祭壇が変わる?
献花で用いられる花は、菊やカーネーションなどが一般的で、色は白が多いようです。
お葬式の後に祭壇の前にたくさんの白い花が並ぶ模様は、とても美しい印象があります。
故人を偲ぶ参列者の献花によって、お葬式の前と後で、祭壇全体の雰囲気もまた少し変わります。
また最近では花だけでなく、例えば野球が好きだった故人のために、ボールを手向けるなど、お別れの形にもさまざまな変化が表れています。