初盆(新盆)とは、故人が亡くなったあと、はじめて迎えるお盆のこと。初盆では、香典の相場金額や香典袋の選び方、表書きの書き方などが、葬儀と違うため、注意が必要です。
この記事では、初盆(新盆)の香典の相場金額やマナー、注意点をご紹介します。
目次
故人との関係性別:初盆の香典の相場金額
| 故人との関係性 | 初盆の香典の相場金額 |
|---|---|
| 親 | 1万円~3万円 |
| 兄弟姉妹 | 1万円~3万円 |
| 祖父母 | 5千円~2万円 |
| 叔父・叔母 | 5千円~1万円 |
| 友人・知人 | 3千円~1万円 |
初盆(新盆)の香典金額の相場は、3千円~3万円。金額の幅が大きいのは、故人との関係性によって増減が生じているからです。
たとえば、親や兄弟姉妹は1万円~3万円が相場ですが、祖父母になると5千円~2万円まで金額が下がります。また、叔父・叔母は5千円~1万円、友人・知人は3千円~1万円と、関係性の遠い方は相場が1万円以下になります。
初盆の香典に包む金額は、一般的な相場を参考にしながら、故人との関係性をふまえて調整するのがベターです。どうしても金額を決めきれない場合は、3千円・5千円・1万円・3万円の4段階から選ぶといいでしょう。
親の初盆の香典:1万円~3万円
故人が親の場合、初盆の香典金額は1万円~3万円が相場。本人の年齢によっても相場が変わり、若いほど金額は低めに、年配なほど高額になる傾向があります。
兄弟姉妹の初盆の香典:1万円~3万円
故人が兄弟姉妹のときも、1万円~3万円が香典金額の相場です。兄弟姉妹は、両親と同様に直接血のつながった関係性のため、相場が比較的高額になります。
祖父母の初盆の香典:5千円~2万円
故人が祖父母であれば、香典の相場金額は5千円~2万円。親や兄弟より血縁関係が遠くなるため、相場金額がやや下がっています。生前の関係性や自身の年齢をふまえて、金額を調整しましょう。
叔父・叔母の初盆の香典:5千円~1万円
血縁関係の遠い叔父・叔母の香典の相場金額は5千円~1万円です。祖父母と同じく、親交の深さや年齢をふまえて、香典に包む金額を決めてください。
友人・知人の初盆の香典:3千円~1万円
友人や知人、ご近所の方などに初盆の香典を渡す場合は、3千円~1万円と相場金額の幅が広いです。相手と親交が深ければ5千円~1万円、軽いお付き合いであれば3千円と、関係性によって金額を変えましょう。
故人の宗派別:初盆の香典の相場金額
初盆(新盆)の香典に包む金額は、宗派によって多少違いがあるので注意が必要。たとえば仏式の宗派のひとつ、浄土真宗では親族が5千円~2万円、友人が2千円~5千円が相場になっています。
また宗派だけでなく、地域によっても初盆(新盆)の香典金額は違います。一般的には、関東より関西の方が初盆の風習がしっかり残っていて、そのぶん香典の相場もやや高いです。
初盆の香典の金額に迷うときは、立場が同じ、または似ている人に確認して、周囲にあわせるのが安心でしょう。
会食費の有無別:初盆の香典の相場金額

初盆(新盆)では、僧侶による読経や焼香が終わったあと、会食が用意されているかもしれません。会食に参加するのであれば、1人当たり3千円~5千円ほど香典金額を上乗せするのがマナーです。
たとえば、叔父・叔母といった親せきの香典は5千円が相場ですが、会食に参加するなら1万円に変更すること。夫婦や家族で出席する場合は、人数分でなくとも、相場より多めの金額を包みましょう。
なお、会食代は香典と分ける必要がないので、同じ不祝儀袋にまとめて問題ありません。会食の有無は、地域や宗派によって違います。初盆の法要に参列する前に確認しておくと安心です。
初盆で包む提灯代とは?香典との違いや相場金額
提灯代とは?香典との違い
| 提灯代 | 香典 | |
|---|---|---|
| 目的 | 初盆(新盆)で飾る白提灯の購入費用を援助するため | 故人の霊を慰め、遺族の経済的負担を軽減するため |
| 必要な場面 | 初盆(新盆)のみ | 通夜・葬儀・告別式・法要 |
| 相場 | 5千円~1万円 | 故人との関係性によって変動 |
| 表書き | 御提灯料、御提灯代、御献灯料 など | 御香典、御仏前、御霊前 など |
お盆には、故人の霊が迷わないよう、道しるべとして提灯を飾る習わしがあり、初盆(新盆)では通常の盆提灯にくわえて「白提灯」を飾ります。
白提灯は、施主や故人の親族が用意するのが一般的。ただ故人が親の場合、兄弟姉妹と一緒に「御提灯代」として金銭を包むこともあります。ご自身が白提灯を用意する立場なら、香典とは別に提灯代を持参してください。
提灯代の相場金額と表書き
提灯代の相場は、5千円~1万円が目安です。
提灯代を包む際は、香典とは別の香典袋を用意するのがマナー。結び切りの香典袋の表書きに「御提灯代」と記し、自分の名前を書いて渡しましょう。
初盆の香典袋の書き方は?外袋の表書き・中袋の金額に注意

表書き:「御仏前」「御佛前」「御供物料」が基本
| 宗教・宗派 | 表書き |
|---|---|
| 仏教(仏式) | 御仏前、御佛前、御供物料 など |
| 神道(神式) | 御玉串料、御榊料、御神前 など |
初盆(新盆)の香典袋の表書きは、「御仏前」「御佛前」「御供物料」を使います。故人が亡くなってすぐ執り行われる葬儀では、表書きに「御霊前」と書きますが、四十九日が明け、故人の魂が極楽浄土へ旅立ったと考えられている初盆では使いません。
ちなみに、故人・喪家の宗教が神式であれば、表書きは「御玉串料」「御榊料」「御神前」と書きます。宗教・宗派を問わず使えるのは「御供物料」なので、迷ったときは「御供物料」にしておくのが無難です。
表書きの下:香典を包んだ人の名前
| 人数 | 外袋の名前の書き方 |
|---|---|
| 個人(1人) | 会葬者本人のフルネーム |
| 夫婦(2人) | 夫のフルネーム+妻の名前 |
| 3人まで | 全員のフルネーム(目上の方から順番に) |
| 4人以上 | 代表者のフルネーム+外一同 |
| 会社(団体) | 会社名+代表者のフルネーム 会社名+代表者のフルネーム+外一同 会社名+部署のフルネーム+一同 |
表書きの下(水引の下段)には、会葬者本人の名前をフルネームで書きます。個人であれば、ご自身の名前を書けばOK。夫婦で参列する場合は、中央に夫の名前を書き、夫の左横に妻の名前を連ねます。
また3人までであれば、全員分のフルネームを書きますが、4人からは「代表者のフルネーム+外一同」と書くようにしましょう。会社や団体で香典を出す際は、代表者の名前の右側に会社名・団体名を書き添えてください。
中袋:表面に金額・裏面に名前と住所
| 数字 | 大字 |
|---|---|
| 一 | 壱 |
| 三 | 参 |
| 五 | 伍 |
| 千 | 阡(仟) |
| 万 | 萬 |
| 円 | 圓 |
一般的な香典袋は、表書きを書いて水引をかける「外袋」と現金を入れるための「中袋」がセットになっています。中袋は表面に香典に包んだ金額を、裏面に会葬者の名前と住所を記載するのがマナーです。
中袋表面の金額は「大字」と呼ばれる旧字体で、頭に金、末尾に也をつけて「金〇〇圓也」と書きます。たとえば、5,000円なら「金伍仟圓也」、10,000円なら「金壱萬圓也」と書きましょう。中袋の裏面は、左下に住所と名前を並べて記載してください。
初盆の香典袋は濃墨で書く
通夜・告別式で出す香典は、故人への哀惜の意を伝えるために「薄墨」で書くのがマナー。
ですが、初盆(新盆)は故人が亡くなってから時間が経っていて、事前に準備できるため、「濃墨」で書いて問題ありません。ボールペンや鉛筆を使うのはタブーとされているので、毛筆や筆ペンで書くようにしましょう。
初盆の香典袋の選び方は?白黒の結び切りが基本
初盆(新盆)の香典袋は、包む金額や地域によって変わってきます。
一般的なのは、白無地で熨斗がついておらず、白黒で結び切りの水引がついた香典袋。包む金額が5万円以上と高額であれば、双銀や藍銀の水引がついた香典袋を使用します。また関西地方では、黄白・黄銀の結び切りがよく使われるので、覚えておくと便利です。
どれに包めばいいか迷った際は、白黒で結び切りの水引がついた香典袋を選ぶのが無難。もしくは家族や地域の年配者などに確認してから、香典袋を用意すると安心でしょう。
初盆の香典のお札の入れ方は?表側に対して裏側・下向き

- シワや汚れ、破れのあるお札は避ける
- お札の向きと表裏をそろえる
- 香典袋の表側に対してお札を「裏側・下向き」に入れる
- 新札は折り目をつけて入れると丁寧
初盆(新盆)に限らず、香典には、シワや汚れ、破れのあるお札は入れないようにします。また複数のお札を入れるときは、お札の向きと表裏をそろえるのがマナー。お札の入れ方に決まりはないですが、香典袋の表側に対してお札を「裏側・下向き」に入れるのが丁寧です。
ちなみに通夜・葬儀の香典と違って、新札を包んでもタブーではありません。初盆は事前に日付がわかっていますし、故人が亡くなってから日数が経っているので問題ないとされています。ただ、遺族によっては気にされる方もいるかもしれないので、新札を包む場合は真ん中に折り目をつけてから封筒に入れた方がベターです。
初盆の香典の渡し方は?手渡しか仏壇にお供えする
初盆(新盆)では、通夜・葬儀のように会場に受付があるとは限りません。香典や提灯代は、施主に手渡しするか、故人のお仏壇にお供えするのが一般的です。
施主に手渡しする場合は、訪問して挨拶をする際に「この度はお招きいただきありがとうございます。心ばかりではございますが、御仏前にお供えください」と伝えながらお渡ししましょう。
また仏壇にお供えする場合は、お参りするタイミングで香典を袱紗から取り出し、表書きの正面を自分に向けて置きます。香典をお供えしたあと、仏壇に手をあわせてください。
初盆で香典とは別にお供え物は必要?
初盆で、香典とは別にお供え物を用意するかどうかは、地域の慣習や故人・ご遺族との関係性によって異なります。基本的には香典のみで問題ありませんが、香典に加えてお供え物を持参することで、より丁寧に弔意を示せます。
初盆のお供え物の相場は、3千円から1万円ほど。故人が好きだったものや日持ちのする個包装のお菓子、果物、線香、ロウソクなどが一般的です。お供え物を選ぶときは、生ものは避けるのがマナー。また、ご遺族の負担にならないよう、持ち運びしやすい大きさや重さの品物を選びましょう。
初盆のお供え物には「のし紙」をつけ、表書きは「御供」「御仏前」「新盆御見舞」などとします。水引は地域によって異なりますが、黒白または黄白の結び切りを選ぶのが一般的です。
なお、事前に連絡を取ってお供え物が不要と言われたなら、無理に持参する必要はありません。ご遺族の意向を尊重するようにしてください。
初盆の法要に参列できないときはどうする?
初盆の法要に参列したくても、遠方であったり、都合がつかなかったりする場合もあるでしょう。初盆に伺えないときは、ご遺族への配慮を忘れずに適切な方法で弔意を伝えることが大切です。
後日弔問する
初盆法要の当日に参列できない場合、後日改めてご自宅へ弔問に伺うのも、弔意を示す方法のひとつです。弔問するときは、事前にご遺族と連絡を取り、都合の良い日時を確認するのがマナー。連絡せず、突然訪問するのは避けましょう。
弔問に伺うときは、香典とお供え物を持参するのが一般的です。お供え物には、日持ちのするお菓子や果物、線香などが適しています。故人の好きだったものや、ご遺族の負担にならないものを選んでください。
服装は、地味な平服を着用し、派手な洋服やアクセサリーは控えるのが賢明です。長居はせず、簡潔にお悔やみの言葉を伝え、ご遺族の気持ちを労わることが大切です。
香典を郵送する
遠方で弔問するのが難しい場合は、香典を郵送する方法があります。普通郵便で現金を送ることは郵便法で禁じられているため、香典の郵送には必ず現金書留を利用しましょう。
香典を郵送するときは、お金を入れた香典袋をそのまま現金書留用の封筒に入れて送付します。香典にはお悔やみの手紙や一筆箋を添えると、より丁寧な印象です。
手紙には、初盆法要に参列できなかったことへのお詫びと故人への追悼、ご遺族への労りの言葉を記しましょう。郵送するタイミングは法要の前が理想ですが、なるべく早めに送るよう心がけてください。
遺族側:初盆でいただいた香典のお返しは?
初盆の香典返しの相場
初盆でいただく香典の金額相場は、3千円~3万円。香典返しは、いただいた金額の半分をお返しする「半返し」がマナーなので、2千円~1万5千円を目安に品物を用意するのがよいでしょう。
ただ地域によっては、法要後の食事がお返しにあたったり、会食をしない代わりに弁当やお酒を持ち帰ってもらったりするところもあるようです。
初盆の香典返しに適した品物
初盆(新盆)でいただいた香典のお返しの品物には、「消えもの」と呼ばれる消耗品が好ましいとされています。海苔やお茶、お菓子、調味料、洗剤や石鹸などがよく選ばれる品物です。また、そうめんやゼリーなど、夏場にふさわしい品物を選ぶと喜ばれるかもしれません。
初盆の香典返しは、お盆明けから月末までの間に発送するようにしてください。
そもそも初盆とは?忌明け後にはじめて迎えるお盆
初盆(新盆)とは、故人の忌明け後に、はじめて迎えるお盆のこと。
四十九日が過ぎ、仏として極楽浄土に旅立った故人が、はじめて里帰りするお盆とされています。そのため、僧侶や親族、親しかった方々を招いて法要を行い、手厚く供養するのが一般的です。通常のお盆と同様、迎え火を焚いたり、盆棚(精霊棚)を用意したりするだけでなく、僧侶による読経や説法、焼香などを行います。
なお、初盆の時期は8月13日~16日の4日間。地域によっては、7月13日〜16日が初盆にあたります。
初盆の香典でよくある質問
初盆の香典はいくら包む?
初盆で包む香典の相場金額は3千円~3万円。故人との親交の深さや、自身の年齢をふまえて金額を調整するのがベターです。また法要後の会食がある場合は、5千円~1万円ほど香典金額を上乗せしたり、別途提灯代を渡したりするケースもあります。
初盆の香典マナーは?
- 包む金額や地域にあわせた香典袋を使う
- 表書きは「御供物料」「御仏前」「御佛前」
- 香典袋は薄墨ではなく濃墨で書く
- シワや汚れ、破れのあるお札は避ける
- お札の向きと表裏をそろえる
初盆で香典を包む際に注意したいマナーはこちら。とくに香典袋の選び方や表書き、書く道具は、通夜・葬儀のマナーと違うので注意してください。
初盆の香典の渡し方は?
初盆では香典を、施主に挨拶するときに手渡しするか、故人の仏壇にお供えします。
施主に手渡しする場合は、訪問して挨拶するタイミングがベスト。招待いただいたお礼を伝えながら、香典の表書きが相手に読めるよう向きを変えて、両手で差し出しましょう。故人の仏壇にお供えするのであれば、香典の正面を自分に向けて静かに置き、仏壇に手をあわせます。
葬式から法事・法要まで僧侶(お坊さん)手配は「いいお坊さん」
- 僧侶・葬式の手配 60,000円から(戒名込み)
- 法事・法要の手配 45,000円から




