浄土真宗本願寺派の葬儀の特徴 – 流れ・マナー

2018年3月25日

日本には数多くの宗教・宗派があり、それと同じだけ葬儀の形があります。

ここでは、浄土真宗本願寺派の葬儀の特徴や流れ、お布施や香典の相場、そして知っておくべき作法やマナーについてまとめました。

浄土真宗本願寺派は全国的にも信者数が多いため、今後この宗派の葬儀に参列する機会もあるかと思います。

ぜひここで、浄土真宗本願寺派の葬儀について確認してみてください。

浄土真宗は鎌倉時代に親鸞聖人が開いた教えであり、同じ浄土真宗の中にもさまざまな宗派があります。

その中でも浄土真宗本願寺派の信者数は7,919,171人(文部科学省「宗教統計調査」2017年度より)。寺院数は1万を超えます。

浄土真宗本願寺派では阿弥陀如来をご本尊としています。

阿弥陀如来はすべての人々を救うことができる「本願力」を持っているとされています。この本願の力によって救われる「他力」を説いています。

この宗派の教えでは、阿弥陀如来(あみだにょらい)を信じて、南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)の念仏を唱えることで死後はすぐに極楽浄土で仏になることができます。

そして、その後は人々を救うためにこの世へと戻ってきます。

浄土真宗本願寺派の本山は、京都府にある龍谷寺本願寺(西本願寺)です。

浄土真宗本願寺派の聖典には、釈迦如来が説いた「浄土三部経(仏説無量寿経、仏説観無量寿経、仏説阿弥陀経)」や親鸞聖人が著述した「正信念仏偈(浄土和讃、高僧和讃、正像末和讃)」などがあります。

浄土真宗本願寺派の葬儀の特徴

浄土真宗本願寺派の葬儀の特徴は、「葬儀は故人への供養のために行われるのではない」ということです。

浄土真宗本願寺派の教えでは、阿弥陀如来の救いを信じれば極楽浄土へ行けるとされています。

そのため故人の供養を行う必要はなく、葬儀は阿弥陀如来に感謝の意を表すための勤行となっています。

故人をあの世へ送るための儀式は、亡くなるとすぐに仏様になれる浄土真宗本願寺派では行われません。

また、死者に死装束を着せることもなければ、塩で清めることもありません。

さらに、すべての人々は死後に仏様となって再会できるため、お別れを告げる儀式、「告別式」という言葉も使用されません。

なお、浄土真宗では宗派によって使用される仏具や作法、供え物のそなえ方などが異なります。

これは、それぞれの宗派で行われている日常の勤行が反映されているようです。

浄土真宗本願寺派の通夜

浄土真宗本願寺派の通夜の流れ

臨終勤行

逝去後、故人を安置したら、臨終勤行を行います。ほかの宗派では枕経と呼ばれるものと似ていますが、その考え方は異なります。枕経は故人への供養であるのに対し、臨終勤行は本人が本尊に対して行う人生で最後のお勤めです。本来はまだ生きている間、臨終に臨んで行うものですが、実際には亡くなった後に行うのが一般的です。本人に代わって僧侶がお勤めをするもので、読経も本尊に対して行います。

また、法名(仏弟子になったときに授かる名前です。ほかの宗派の戒名にあたります)を生前、受けていない場合には、臨終勤行の際に法名を授けてもらいます。

臨終勤行を行わなかった、またはこの時法名を授からなかった場合は出棺までに授かるようにします。

浄土真宗本願寺派の通夜

通夜では、故人と縁のあった人たちでお勤めをします。

特別に決められた式次第があるわけではありません。また通夜で読まれるお経も、特に定められているものではありません。

臨終勤行を行わなかった場合は、まだ法名を授かっていない時には、通夜で法名を授けることもあります。

浄土真宗本願寺派の葬儀、流れ・式次第

浄土真宗本願寺派では、亡くなったらすぐに極楽浄土へ行くという「臨終即往生」という考え方をします。

そのため他の宗派にあるような「授戒」や「引導」などの儀式はなく、葬儀全体が比較的簡素なものとなっています。また、「告別式」も行われません。

浄土真宗本願寺派の葬儀の式次第の例

1. 導師(僧侶)入場
2. 開式
3. 三奉請(さんぶしょう):法要の始めに、阿弥陀如来、釈迦如来、十方如来あるいは諸菩薩衆を招きます。
4. 導師焼香・表白(びょうびゃく):葬儀式の趣旨を簡略に述べる文が読まれます。
5. 正信偈(しょうしんげ):親鸞聖人の「教行信証」からのの偈文を読経します。正式名称は正信念仏偈です。蓮如上人により朝暮の勤行として読経するよう決められました。
6. 念仏:短念仏を唱えます。
7. 和讃(わさん):仏様を送ります。
8. 回向:読経の功徳をすべての人に分かち合い、極楽往生を阿弥陀如来に願います。
9. 導師(僧侶)退場
10. 閉式
11. 喪主の挨拶
12. 出棺

弔辞の奉読、弔電の紹介は正信偈の前、または導師退場後に行われます。

*上記は浄土真宗本願寺派の葬儀の流れの一例です。それぞれの地域、寺院によっても異なります。詳しくは所属寺(菩提寺)、または葬儀担当者に確認しましょう。

浄土真宗本願寺派葬儀のお布施

お布施とは、葬式や葬儀をしたときに僧侶や寺院に対して贈る謝礼のことです。

本来は本尊へお供えをするという考え方のため、お寺側は「お預かりする」という形でお布施を受け取ります。

浄土真宗本願寺派の葬儀では、お布施は主に、法名と読経に対するお礼という意味合いがあります。

お布施は気持ちでお渡しするものであるため、定められた金額はありません。

一般的なお布施の金額は宗派や地域、葬儀の規模、さらに所属寺(菩提寺)との関係などによっても異なります。

法名とは

法名とは、浄土真宗本願寺派で、信者が師から与えられる、仏弟子としての名前です。

ほかの宗派では戒名と呼ぶこともありますが、これは仏弟子となって戒律を守るという意味がありますが、浄土真宗には戒律はありません。

法名には「釈」という文字を頭にいれます。「信士」「信女」というような位号や、ほかの宗派で位牌に記す「霊位」などの置き字も基本的にはありません。

ただし現在では、希望によっては一定以上のお布施をした人に対し、お礼という意味で院号を与えられることもあります。

ただし本来、法名は生前に授与されるべきものといわれています。浄土真宗本願寺派では、帰敬式を受けることで、法名を授かることができます。

>>浄土真宗の帰敬式とは

浄土真宗本願寺派の葬儀に参列するときの作法、マナー

浄土真宗本願寺派では、一般的にお葬式では当たり前のマナーだとされていることが、教えに合わないためマナー違反となることもあるので、注意が必要です。

例えば、お葬式では「清め塩」が用意されていることが一般的です。

しかし、浄土真宗本願寺派では「死後はすぐに仏様になる」と考えるため、お清めの塩は必要ありません。

また、葬儀で使う言葉もほかの宗派での葬儀とは異なります。

一般的なお葬式と違うからといって身構えすぎる必要はありませんが、基本的なお作法やマナーを知っておくに越したことはありません。

ここでは、浄土真宗本願寺派の葬儀における喪主の挨拶、香典の表書きの書き方、焼香の作法についてまとめました。

浄土真宗本願寺派の葬儀では用いない方がよいとされる言葉

浄土真宗本願寺派の葬儀では挨拶などで用いない方がよい、言葉があります。

まず、ほかの宗派と同様、「たびたび」というように、繰り返しの言葉は避けた方がよいでしょう。

さらに、一般の葬儀とは異なり、浄土真宗の葬儀特有のルールもあります。

×草葉の陰・天国      〇お浄土、み仏の国

×天国に行く        〇お浄土に参る

×昇天、他界、永眠     〇浄土に往生する・往生の素懐(そかい)をとげる

×祭壇           〇荘厳壇

×告別式          〇葬儀

×御霊前・みたま      〇御仏前・御尊前

×戒名           〇法名

×祈る           〇念ずる

×冥福を祈る        〇哀悼の意を表する

×黙念           〇合掌・礼拝

×魂・魂魄・御霊      〇故人

×安らかにお眠りください  〇私たちをお導きください

「天国」「永眠」「告別式」「冥福を祈る」「安らかにお眠りください」などは、どれも耳に馴染みのある言葉なのでつい口にしてしまいがちです。

さらに、浄土真宗本願寺派では、追善供養もありません。亡くなった人の冥福を祈るお勤めは、仏になった故人にはふさわしくないという考えです。

同様に菩提を弔うといった言葉も使いません。さらに、菩提寺という表現もふさわしいとはいえません。所属寺と呼ばれるのが一般的のようです。

浄土真宗本願寺派葬儀の香典の表書き

香典とは、死者の霊前に供える金品のことです。

かつては花などが供えられましたが、現在はその代りに現金を供えるのが一般的になっています。

これは、急な葬儀で出費がかさんでいる遺族を助けるという意味も込められています。

香典の表書きは、「御霊前」ではなく「御仏前」または「御香典」と書きます。

これは、ほかの宗派では死後四十九日を過ぎてから故人が仏様になると考えますが、浄土真宗本願寺派では亡くなってすぐに極楽浄土へ行って仏様になると考えるためです。

この香典の書き方は、浄土真宗大谷派をはじめ浄土真宗系の宗派では基本的に同様です。

香典として包む金額の相場は、故人との関係性や付き合いの深さ、参列者の年齢などによって異なります。

>>お香典はいくら包んだ?(第3回「お葬式に関する全国調査」より)

焼香の仕方

浄土真宗本願寺派の葬儀での焼香の仕方は、以下の通りです。

1. 焼香卓の一歩手前で一礼をし、焼香卓の前へ進みます。
2. 右手でお香が入っている器の蓋を取り、蓋を器の右側のふちに立てかけます。
3. 右手で香をつまみ、額におすことなくそのまま香炉にくべます。
4. 外した蓋を元通りにします。
5. 合掌して「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えます。
6. 焼香卓から少し後ろに下がったところで立ち止まり、一礼してから席に戻ります。

浄土真宗本願寺派の葬儀での焼香では、額におすことなく1回だけ香炉にくべます。

また、お焼香の前にリンを鳴らしたり合掌したりしません。

なお、焼香の作法はそれぞれの地域や寺院などによっても異なることがあります。困ったときは葬儀の担当者に確認しましょう。

まとめ

葬儀に参列する場合は、突然のお知らせである場合がほとんどだと思います。

そのため、その宗派の葬儀について詳しく調べることは難しいかもしれません。

浄土真宗本願寺派はほかの宗派とは異なる作法やマナーもあります。

心配な点がある場合は、あらかじめ葬儀社あるいはお寺に問い合わせて確認することをおすすめします。

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