葬儀費用がない方へ。葬儀代を払えない場合の対処法と支援制度

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

葬儀費用がない方へ。葬儀代を払えない場合の対処法と支援制度
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  • 葬儀費用の全国平均は約118.5万円。別途で宗教者へ支払うお布施も必要
  • 葬儀費用がないときは、支払い方法の変更や支援制度の利用を検討する
  • 葬儀費用をおさえるには、複数の葬儀社を比較・検討するのが大切

突然のご逝去で葬儀費用がない方でも、支払い方法を工夫したり公的制度を活用したりすれば、費用を捻出できます。この記事では、葬儀費用がない場合に検討すべき対処法や公的制度に加え、葬儀費用の準備方法、費用の軽減方法をお伝えします。

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葬儀費用の相場とお布施の金額

葬儀の実施にかかる費用の的確な把握は、葬儀の営み方を決める上で大切です。なぜなら、葬儀の規模や葬儀形式によって葬儀費用が変動するためです。

葬儀の準備を進める必要が生じた場合において、最低限把握しておくべきなのは「葬儀費用」と「お布施」の相場金額。手元資金で葬儀費用を収められるよう、葬儀費用の目安を押さえておきましょう。

葬儀費用の全国相場は約118.5万円

2024年基本料金飲食費返礼品費総額
全体75.7万円20.7万円22.0万円118.5万円
出典:第6回お葬式に関する全国調査(2024年/鎌倉新書)
  • 基本料金:斎場利用料・火葬料・祭壇・棺・遺影・搬送費など、葬儀を行うための一式
  • 飲食費:通夜振る舞い・精進落としなどの飲食*
  • 返礼品費:香典に対するお礼の品物*
  • 葬儀費用の総額:基本料金・飲食費・返礼品費の合計金額(お布施は含まない)

*飲食費・返礼品費はひとり当たりにかかる費用のため、参列人数に比例して変動します

葬儀費用は「儀式にかかる基本料金」「参列者にふるまう飲食費用」「香典返しの品物費用」の3つで構成されます。

全国の葬儀費用の平均相場は118.5万円。(第6回お葬式に関する全国調査調べ)
内訳は、葬儀一式にかかる基本料金が75.7万円、会食やおもてなしの飲食費が20.7万円、会葬者へお渡しする返礼品費が22.0万円です。

葬儀の種類によって具体的な金額は変わりますが、基本料金は固定費です。一方、飲食費や返礼品費は参列者の人数によって変動します。  そのため、葬儀の会場や参列者数など、葬儀の規模を小さくすると葬儀費用全体をおさえやすいです。

葬儀費用とは別にお布施が必要

葬儀を営む際、前述した葬儀費用以外に発生する関連費用として見過ごせないのが、葬儀に招く僧侶や神父などの聖職者への謝礼費用です。

葬儀に僧侶を呼び、読経や戒名授与をしていただいた場合はお布施を納める必要があり、一般的な相場は10〜50万円程度です。さらにお布施とは別に、以下も準備しておかなければなりません。

  • 御車代:斎場までの交通費
  • 御膳料:儀式後の会食に僧侶が参加しない場合の食事代
  • 戒名料:戒名をつけてもらう費用

僧侶を葬儀に招くならお布施は欠かせないため、無宗教葬を除き、基本的に必要な費用です。

貯金なしだけど葬式をしたい!葬儀費用がないときの5つの対処法

  1. 香典の活用
  2. 遺族での費用分担
  3. 故人が加入していた保険の活用
  4. クレジットカードによる支払い時期の先送り
  5. 葬儀費用を分割払い

貯金や経済的余裕がなくても、費用負担の軽減や先送りを組み合わせれば、葬式は実施できます。葬儀費用についてやりくりしたいと考えた際に、検討すべき対処法はこちらの5つです。

手元の資金が十分でないなら、工夫を重ねて葬儀費用を確保しましょう。

対処法1:香典の活用

葬儀費用を捻出する上で、香典の活用は欠かせません。香典の金額は1人あたり数千円から数万円で、参列者が多いほど多く集められます。

ただ香典返しとして、受け取った金額の半額程度の返礼品を用意しなければなりません。また香典目当てに大規模な葬儀をすると葬儀費用も増えるため、結果として遺族の負担が大きくなるリスクもあります。

香典で葬儀費用の全額を賄うのは難しいですが、負担を軽減するのには役立つ金銭的支援です。

対処法2:遺族での費用分担

遺族が複数人いるなら、葬儀費用の負担を分配して、支払う費用を減らすのもひとつの方法。

一般的には、喪主が費用を負担するお葬式が多いです。しかし、葬儀費用の負担者を喪主にする決まりはなく、複数人で葬儀費用を分担して問題ありません。遺族間で葬儀費用の負担について話し合い、複数人で葬儀費用を分担できれば、1人当たりの経済負担を軽減できます。

喪主に経済的余裕がなく、施主を兼任できない場合は、葬儀費用の負担方法を遺族や周囲の親族と相談しましょう。

対処法3:故人が加入していた保険の活用

故人が加入していた保険商品を活用して、支払われる保険金を葬儀費用に充てる方法もあります。

故人が生命保険や葬儀保険に加入しており、受取人に施主や遺族が指定されているなら、保険金を請求しましょう。一般的に、保険会社による申請内容の審査は時間を要しますが、請求書類が到着してから最短翌営業日に保険金が支払われる例もあります。とくに葬儀保険は、保険金を葬儀費用として活用するよう設計された保険商品のため、ほかの保険よりも支払期間が短いです。

対処法4:クレジットカードによる支払い時期の先送り

葬儀費用の支払いにクレジットカードのボーナス払いを適用した場合

クレジットカードを使える葬儀社なら、支払いを先送りできる機能の利用を検討しましょう。

クレジットカードにおける代表的な支払い先送り機能はボーナス払いです。ボーナス払いを選択すると、カード会社によっては、カード決済日から支払日まで半年程度の猶予を得られます。葬儀費用の軽減にはなりませんが、支払う金額を用意するための期間を確保する方法としては有効です。

ただし、お布施などの謝礼金は現金で納めるのが一般的なため、ある程度の現金を確保する必要がある点には注意しましょう。

対処法5:葬儀費用を分割払い

葬儀費用の支払いに十分な手元資金がないなら、葬儀費用の分割払いも検討対象になりえます。

一般的に、葬儀費用の分割支払いは葬儀ローンと呼ばれ、ほかのローンと同様に金利や手数料が設定される金融商品です。そのため、最終的に支払う金額がもともとの金額より増える点には考慮が求められます。また、ローンの利用に関する審査を受ける必要があり、申請者の状況によっては利用を断られる場合もあります。

葬儀ローンは直近の費用負担軽減には有効です。しかし、中長期的には経済負担を増やす金融商品であり、利用に関しては慎重に検討してください。

葬儀費用がないときに利用できる3つの支援制度

葬儀費用がないときに利用できる3つの支援制度
  1. 相続預金の払戻し制度
  2. 社会保険における給付制度
  3. 葬祭扶助制度

葬儀費用がない場合、公的な支援制度を活用すると負担を軽減できます。葬儀・埋葬にかかる費用を負担したときに、活用を検討すべき制度は3つです。

いずれの制度も申請が必要で、一定の条件を満たしていたり、必要な書面をそろえたりする必要があります。葬儀費用がないと困った場合は、公的支援制度の活用可否を順番にチェックして、漏れなく活用しましょう。

支援制度1:相続預金の払戻し制度

相続預金の払戻し制度を利用すると、家庭裁判所の判断がなくても故人の預金口座からお金を引き出せます。従来、故人の銀行口座から預金を引き出すには、家庭裁判所の判断が必要でした。しかし、2019年7月から家庭裁判所の判断を得なくても、相続人が銀行に書面を提出すれば払い戻しを受けられるようになっています。

ただし、払い出しに数日を要したり、提出書類に不備があると払い戻しを断られたりするので注意してください。

参照:全国銀行協会「ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度」

支援制度2:社会保険における給付制度

加入先支援内容
国民健康保険葬祭費:2〜7万円
健康保険埋葬料または埋葬費:~5万円
後期高齢者医療制度葬祭費:3〜7万円

社会保険の加入者が亡くなったとき、葬儀を実施した人が必要な申請手続きをすると、数万円程度の金額を給付してもらえます。給付の申請は加入者が亡くなってから2年以内に実施する必要があり、それ以降は申請しても支給されません。

また申請の際には、葬儀や埋葬における領収書の提出を求められるケースがあるため、捨てずに保管しておきましょう。

支援制度3:葬祭扶助制度

葬祭扶助制度を利用して、自治体に葬儀費用を支援してもらう方法もあります。支援対象になる条件は、故人および遺族がともに生活保護の対象であること。また、本制度を活用するには、葬儀を実施する前に自治体に申請しなければなりません。

なお、支援金額は法令にて14〜21万円程度と定められており、対象範囲は火葬や埋葬にかかる費用のため、葬儀は簡素な形式に限られます。生活保護を受けていて、葬式代を準備できない経済状況なら、お住まいの自治体に葬祭扶助制度の活用を相談してみてください。

葬儀費用がない状況を回避する3つの方法

  1. 保険に加入
  2. 冠婚葬祭互助会の利用
  3. 家族で葬式の形態や費用分担を決めておく

遺族が葬式費用の支払いに困る状況を回避するためには、生前に対策を講じておくのが大切。生前に取り組める葬儀費用の問題を回避する方法は3つあります。

冠婚葬祭のうち、葬儀は突然発生しやすく、費用の負担も大きいです。葬儀が必要になっても家族が費用で悩まずに済むよう、可能な範囲で準備を進めておきましょう。

準備1:保険に加入

葬儀費用がない状況を回避する方法として、保険商品への加入は有効です。保険金の受取人に家族を指定しておけば、保険金を葬儀費用に活用してもらえます。

遺族における葬儀費用の負担軽減を目的とするなら、とくに望ましいのが葬儀保険に加入しておくこと。葬儀保険は、保険金請求から支払いまでの期間が短く、葬儀費用の支払期限までに受け取れる可能性が高いためです。必要な費用をまかなえる保険に加入しておくと、遺族の葬儀に関する不安を軽減できます。

準備2:冠婚葬祭互助会の利用

遺族が葬儀費用に困らないようにする方法として、冠婚葬祭互助会の利用も挙げられます。

冠婚葬祭互助会とは、冠婚葬祭に備えて毎月お金を入金し、費用を積み立てる仕組みです。加入している互助会で葬儀を行えば、生前に入金していた金額を葬儀費用から差し引けるため、遺族の負担が軽減されます。また、互助会に加入していると、葬儀の割引や特典を受けられる葬儀社もあります。

ただし積み立てた金額を無駄なく活用するには、加入先の葬儀社で葬儀を実施しなければなりません。葬儀を実施する家族には、生前に加入状況を伝えておいてください。

準備3:親の葬儀代を誰が払うか決めておく

特定の人だけが葬儀費用を負担する必要はありません。事前に葬儀形式や葬儀費用を決めておき、家族・親族で負担する方法を相談しておくのも重要です。

葬儀を手配するタイミングで相談しようとしても、時間がなかったり相談相手が集まらなかったりする恐れがあります。生前に葬儀費用の想定や費用負担方法を関係者で相談して決めておくと、葬儀が必要になった際に困らずにすみます。また、その際に親が加入している保険商品も確かめておけば、万一の場合でも葬儀費用の資金確保に悩む心配はありません。

親が亡くなってから葬儀までの期間は限られるため、生前に家族で集まって対応方針を決める機会を設けましょう。

葬儀費用を安くおさえる4つの方法

  • 葬儀の種類を変更
  • 市民葬・区民葬の活用
  • 無宗教での葬儀の実施
  • 複数の葬儀社から相見積もり

十分な葬儀費用をすぐに用意できない場合は、費用をおさえる方法を組み合わせましょう。葬儀費用を安くおさえる方法は4つあります。

4つの方法はすべて同時並行で進められるため、取り組める方法から順次着手するのがおすすめです。

対処法1:葬儀の種類を変更

葬儀種類別の葬儀費用
葬儀種類葬儀費用の総額最も多い価格帯
直葬・火葬式42.8万円20万円以上~40万円未満
一日葬87.5万円20万円以上~40万円未満
家族葬105.7万円60万円以上~80万円未満
一般葬161.3万円120万円以上~140万円未満
出典:第6回お葬式に関する全国調査(2024年/鎌倉新書)

葬儀の種類を変更すると金額をおさえられ、葬儀費用が十分に用意できなくても葬儀を営めます。

例えば、火葬のみの直葬や葬儀を1日に短縮する1日葬を選択すると、一般的な葬儀より費用をおさえられます。さらに、葬儀会場を自宅にしたり、供花や供物を簡素にしたり省いたりする方法も有効です。

葬儀内容の簡素化は、準備の手間や負担の軽減にもつながります。葬式の壮大さよりも故人をしのぶ気持ちが重要であるため、手元で用意可能な予算内での葬儀になるようシンプル化を検討しましょう。

対処法2:市民葬・区民葬の活用

市民葬や区民葬を活用すると、個別に葬儀を手配するより、費用をおさえやすくなります。市民葬・区民葬とは、自治体の指定を受けた葬儀社とあらかじめ決められた内容で実施する葬儀です。

例えば、東京都世田谷区が提供する区民葬では、最安で20万円ほどの葬儀プランが用意されていますただし、事前に設定された斎場やサービス以外を利用すると別途費用が発生するので注意が必要です。

参照:東京都世田谷区「区民葬儀券」

対処法3:無宗教での葬儀の実施

宗教別の葬儀にかかる費用一覧

無宗教の葬儀は、葬儀費用を安価におさえる方法として効果的。なぜなら、僧侶や神職といった宗教者が葬儀に参加しないと、謝礼金の用意が不要だからです。

また、無宗教葬だと、宗教特有の祭壇やお供えを準備する必要がないため、葬儀の基本料金をおさえやすくなります。会場も大きな葬儀場ではなく自宅を選択しやすくなり、葬儀全体を簡素化できます。

家族や故人が特定の宗教に帰依していないならば、無宗教での葬儀も選択肢に含めましょう。

対処法4:複数の葬儀社から相見積もり

複数の葬儀社から相見積もりを取ると、コスパのよい葬儀プランを選択しやすくなります。特定の葬儀社のみとやり取りして発注してしまうと、相場より高値でも気がつかないかもしれません。

また、葬儀社によって提供されるサービスや料金が異なり、葬儀の要件によっては葬儀社の見積りに大きな差が生じます。とくにオプション費用で違いが出やすいため、想定されるオプションも含めて見積もり依頼しましょう。

葬儀を実施してから1年以内に行う儀式

葬儀を実施してから1年以内に行う儀式は複数あり、その度にさまざまな費用が発生します。そのため、手元資金に不安があるなら、葬儀後の儀式に備えた費用の工面や内容の調整が必要です。

葬儀を実施してから1年以内に行う儀式として、一般的なのはこちら。

  • 初七日
  • 四十九日
  • 百箇日
  • 一周忌
  • 初盆

初七日は、葬儀と同日に実施する「繰り上げ法要」が多く見られ、最近は四十九日を合わせて行うご家庭もあります。儀式の実施回数を減らせれば、必要費用も減らしやすいです。反対に儀式が多いと、費用がかさみやすいため、儀式の繰り上げやまとめた実施を検討してください。

葬儀費用がないと困らないように事前準備をはじめよう

葬儀費用がなくても、支払い方法を工夫したり制度を活用したりすれば、葬儀を実施できます。ですが葬儀の準備を進めながら、葬儀費用の工面をするのはなかなか大変です。大切な故人をつつがなく送り出すために、可能な範囲で事前準備を進めておきましょう。

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