新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の下、普通のお葬式はどう変わった?Webは葬儀をどこまでサポートできる?/ご遺族インタビュー

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新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、4月7日には政府が東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に対して緊急事態宣言を発出。さらに翌週、4月16日には全都道府県を緊急事態措置の対象としました。

このような状況の中、一般の方のお葬式にも、大きな変化が訪れています。今回は先日、お祖母さまがお亡くなりになったというご遺族の方にお話を伺いました。

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本来ならご近所と親戚で100名集まるはずのお葬式が

細野さん(仮名・東京都在住)のお祖母さまがご逝去されたのは2020年4月15日のこと。4月7日に日本でも緊急事態宣言が発出され、一週間が経過したころのことです。

お祖母さまが暮らしていたのは、愛媛県の中でも中心からはやや離れた地域で、人口は約1万人。過疎化は進んでいますが地域の縁は大切に残されており、通常の時期であれば、お葬式といえば隣近所の方がお手伝いに訪れて、地域の方が当番で取り仕切るのが一般的でした。

祖母さまは94歳の長寿で、お子さんもたくさんいらして、皆さん東京や大阪をはじめ全国に離れて暮らしていらっしゃいますが、お孫さん、さらに曾孫と血縁者だけでもかなりの人数になるそうです。ご近所の方や親戚が全員が集まると100名ほどにもなり、本来であればかなり大きなお葬式が営まれるはずでした。

ところが、新型コロナウイルスの影響で、状況は全く異なるものになりました。

今回、喪主を勤めたのは、細野さんのお父様ですが、まず頭を悩ませたのが「全国にいる親族にどこまで声を掛ければ良いのか?」ということ。感染予防のため外出の自粛が求められている中、親戚とは言え、皆をお葬式に呼べるような状況ではありませんでした。また、声に出していう人こそいませんが、過疎の地域に「東京や大阪などから、コロナを持って帰ってこないで欲しい」というような雰囲気もあったようです。

結局、お葬式に参列した近親者は、喪主である細野さんのご両親と、同じ愛媛県内に住むいとこが1名のみ。このほか地域の方で「どうしても顔だけは出さなければ」という方たち数名が、お葬式の手伝いもかねて集まり、合計7、8名で送るお葬式になりました。

大勢の孫や曾孫もいたのに、お葬式に参列できた子どもはいません。親族を代表して唯一参列した県内在住のいとこも、「愛媛県でも〇〇市では感染者が出たらしいから、いつこの地域に感染が広がるかわからない……」という風潮の中、その方の暮らすエリアでは新型コロナウイルスに感染した人がまだいないということも確認して、お葬式のご連絡をされたそうです。

お葬式の会食はなし。火葬場からもすぐに退去

お祖母さまは病院から一旦自宅に戻り、翌16日、お通夜は自宅で行いました。細野さんのお母さまも「家の窓は開け放っていたため、葬儀会館で行うより良かったかもしれない」と、満足されています。

4月17日の葬儀・告別式は、地域のJA葬祭のセレモニーホールを会場に執り行いました。こうした小さなお葬式を経験したことのないお母さまから相談を受けた細野さんは「家族葬で依頼すれば良いんじゃない?」とアドバイスをしたそうです。

葬儀・告別式では、セレモニーホールの飲食は禁止、会食もありませんでした。火葬場でも、炉前でお別れをした後はお斎の食事もなく、火葬中、火葬場内で待機することも禁止されていたため、すぐに火葬場を出て再びセレモニーホールで待つことに。

たまたま、参列した親戚が料理屋を営んでいたため、お弁当を用意してきてもらい、数人でお弁当を食べて会食の代わりとしたそうです。午前中に始まったお葬式は、午後にはあっけなく、すべてが終わってしまいました。

葬儀関連のWebサポートは、まだ不十分

今回、お祖母さまのお葬式に参列できなかった細野さんは、オンラインでお葬式に参加できないか、葬儀を施行したセレモニーホールに依頼をしました。しかし、あいにく設備が整っていないため、その願いはかないませんでした。

そこで、参列された親戚に、ZoomなどのWeb会議ツールを利用してスマートフォンで配信をしてもらおうと連絡したのですが「ガラケーで……」という返事。結局、Webでの参列も実現できませんでした。「Webででもつなげることができれば、喪服を着て、参列したいと思っていたのに。とても残念です」と残念そうです。

オンラインでの葬儀と言えば、今回、参列できない方が多く、細野さんのご実家には、たくさんのお香典が現金書留で届きました。細野さんも現金書留でお悔やみを送りましたが、オンラインでお香典を送るサービスがあれば利用したいと思い、かなり探したそうです。しかし、これも利用できそうなものはありませんでした。

「お香典や供花をスマートフォンで送るサービスを探したのですが、ふさわしいものが見つかりませんでした。結局、現金書留で送ることにしましたが、今後、少しそういったサービスも充実してくることを期待しています。親戚の人数も多く、受け取る側も管理が大変そうですし」

新型コロナウイルスの影響で葬儀の後にも変化が

新型コロナウイルスの影響で、お葬式の後の流れにも変化は生まれています。

例えば、細野さんのご実家のある地域では、納骨はお葬式の後、行うのが通例でした。しかし、四十九日まで毎日お墓に通うのは難しいという判断から、今も実家の一室に安置しています。

また、四十九日まで菩提寺のお坊さんや、お経を唱えることを専門とする「拝み屋さん」と呼ばれる方が訪れて、毎日読経をするという風習がありますが、今はお坊さん以外の読経は禁止されているようです。拝み屋さんが訪れても声を出さず、心の中で読経して帰っていくのだそうです。

ちなみに、葬儀の場では、お坊さんもマスクをして入場し、読経の時だけマスクを外して式を執り行っていたそうです。

参列できないお葬式を経験して

今回、お葬式に参列できなかったという細野さんは、「どうしてもお祖母さまが亡くなったという実感がわかない」とおっしゃっています。

「状況が落ち着いたら、新盆のころなどに親戚で集まって、絶対にお別れ会を開きたい」と計画しています。ただ、先行きが見通せない中、「納骨を予定している四十九日の時期にも集まれないような状況が続いていたら、どうなるのだろう。お盆とかは?このまま一周忌が過ぎてしまったら、弔いもできずに喪が明けてしまうのではないかな?」と心配も隠せません。

もう一つ、細野さんが懸念しているのが、子どもたちのこと。大人でも実感がわかないのに、お葬式が無い中で子どもたちはどのように死を受け入れていくのか?母親として何か、子どもたちが大切な機会を失ってしまったように感じているようです。

Webでのお葬式への参列はかないませんでしたが、細野さんご自身もお葬式の準備には携わっています。例えば、親戚の結婚式の時の写真など、これまでお祖母さまが写った写真を10年分くらい、Googleフォトで保存していたので、遺影に用いる写真を探す時には顔認証でお祖母さまの写真を選んで、親族間でLINE(ライン)共有し、みんなで写真を見ながら選んだり。また、お葬式の後も、みんなで「オンライン遺品整理相談会」も開催しているそうです。

まとめ

家族葬や直葬・火葬式の広がりなど、この10年でお葬式と葬儀を取り巻く環境は大きく変化してきました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、これまで以上に大きな変化の波が訪れています。このような状況の下、お葬式やその周辺の領域でも、Webを利用したサービスが今後、次々と登場することでしょう。

また、今回お話してくださった細野さんのように、お別れ会の実現に期待を寄せている方も多くいらっしゃいます。鎌倉新書でも、お別れ会のプロデュースを承っています。ご興味のある方はこちらをご覧ください。

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