神葬祭での忌明け法要「五十日祭」。意味や流れ、四十九日法要との違い

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

スマホCTA(電話をかける)
アイキャッチ下テキストリンク

五十日祭とは、仏教の四十九日法要にあたる神式の法事です。仏式では、葬儀・告別式後、七日ごとに法要が行われ、四十九日で忌明けとされますが、神式では、「葬場祭」または「神葬祭」と呼ばれる葬儀後、十日ごとに「霊祭(れいさい、みたままつり)」という法事を行い、五十日祭で忌明けとなります。神道の五十日祭には、どんな意味があるのでしょうか。また仏式との違いはあるのでしょうか。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

五十日祭の意味

神道では、亡くなった人の魂は家と遺族を守る守護神となるとされています。

葬儀に続く一連の儀礼は、故人を守護神として定め祀ることが目的となります。仏式では、故人の御霊を四十九日かけて仏となるため極楽浄土へ送りだすのに対し、神式では、五十日祭を通じて家庭を守る守護神として自宅の祖霊舎(神棚)に迎え入れます。これが仏式との違いといえるでしょう。

葬儀後の祭儀の中でも、親族や知人を集めて特に丁重に行われる「五十日祭」を終えると、遺族は忌明けとなります。

儀礼の内容と流れ

神道の儀式の中でも大切な意味を持つ五十日祭ですが、神道の中で、「死」は「穢れ」とされるため、通夜祭・神葬祭などと同じく、神様のおられる神社ではなく自宅や斎場、墓前などで祭儀を執り行います。
式次第については神社や地方によって異なることがありますが、主な儀礼には以下のようなものがあります。

合祀祭(ごうしさい)

故人の霊を仮霊舎から祖霊舎(神棚)に移す儀礼です。本来は五十日祭と百日祭の間の夜間に行うものとされていますが、近年では五十日祭の当日もしくは先立って行われることが一般的になっています。

献饌(けんせん)

祭壇や墓前に、故人のためにお供えをすることをいいます。神道では故人の好きだった物などの他、酒・塩・米・海産物などさまざまなものが供えられます。参列者として御供物を持参する場合には、お菓子や果物の盛り合わせの他、最近では「御供物料」として現金をお渡しするケースも増えているようです。

祝詞奏上(のりとそうじょう)

祝詞とは、神霊の徳を称え感謝と信奉を伝える文章です。仏式での僧侶による読経にあたるもので、神式の葬礼では神職によるこの祝詞奏上が必ず行われます。

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙片を結び付けたものです。神道では、この玉串を祭壇に捧げる儀礼を玉串奉奠(たまぐしほうてん)といい、祭祀には欠かせない儀礼です。葬礼の場で行う玉串奉奠は、仏式における焼香にあたります。一般的に、喪主、ご遺族、ご親族、故人の友人や知人という順番で行われます。
玉串を捧げた後には祭壇に向かって「二礼・二拍手・一礼」(地域や教派によって回数が異なる場合があります)をしますが、葬礼の際の「拍手」は神社に参拝する際に行う「柏手(かしわで)」ではなく、音を立てない「しのび手」で行うことに注意しましょう。

直会(なおらい)

神事の儀礼の後に、神饌(神・御霊に捧げられた供物)を祭壇から下ろし、参列者でいただく会食です。直会は、神饌をいただくことで、その力を分け合い、尊い存在と強く結び付くことができるという意味を持ちます。このように宗教的にも重要な儀礼であるとともに、参列者それぞれが故人を偲び思い出を語り合うためにも大切な場となります。

納骨

故人の入るお墓の用意が既に整っている場合は、この五十日祭とあわせて納骨が行われることがあります。

清祓いの儀(きよはらいのぎ)

故人が亡くなった直後から祖霊舎(神棚)は白紙によって封じられます。清祓いの儀(きよはらいのぎ)はその白紙をはがす儀式で、これをもって遺族は忌明けとされます。本来は五十日祭の翌日に行われる儀式でしたが、近年では合祀祭とともに五十日祭の当日に行われることが多くなっています。

五十日祭に参列する際に気を付けたいこと

五十日祭では遺族から参列者に引き出物が渡されるのが一般的です。参列する際には御供物とは別に、仏式のお香典にあたる「玉串料」(「弔慰金」とも呼びます)を持参します。

玉串料は、蓮の花や十字架など他の宗教のモチーフが図柄に入っていない弔事用の封筒(不祝儀袋)に入れ、表書きには「御玉串料」「御神前」などの言葉を用います。玉串料の額は、故人や遺族との関係・参列する方の年代や地域によって変わりますが、仏式と同じような相場と考えてよいでしょう。ただ、神道の場合は「直会」が仏式の会食よりも大変重要な意味を持ちますので、玉串料は会食代をあわせた金額を包むのがより望ましいでしょう。

なお参列する際の服装は、男性も女性も黒系のスーツやワンピース、ネクタイや靴下などの小物も黒で統一します。時計などの装飾品は光沢のあるものは避け、男性は結婚指輪のみ、女性も結婚指輪以外は真珠のネックレス以外は身に着けて行かないことがマナーとされています。

まとめ

神道は、日本では仏教よりも古くからの歴史と伝統を持ち、初詣や厄払い、七五三など、人生のさまざまな場面で関わることも多いものです。しかし、「葬儀」の形についてはなかなか知る機会がありません。今回はその中で、忌明けの儀式にあたる五十日祭について解説しました。もし、神式の葬儀についてお困りのことやお悩みのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談・お問い合わせください。

葬儀・お葬式を地域から探す