葬儀費用は確定申告で控除できる?お葬式の税金に関する疑問にお答え

小林憲行【記事監修】
小林憲行

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  • 葬儀費用は確定申告で控除できないが、相続税からは控除できる
  • 相続税控除の対象になるのは通夜、葬儀、火葬などにかかる費用など
  • 参列者から受け取った香典は、基本的に課税対象にならない

葬儀後に故人の所得税や相続税などを申告・納税しなければならなかったり、葬儀費用を税金から控除できたりと、葬儀と税金に関わりがあることは意外と知られていません。

そこでこの記事では、ご遺族に向けてお葬式の税金に関する知識をまとめました。

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葬儀費用は確定申告で控除できない

葬儀費用を確定申告で控除することはできません

所得控除できるのは、医療費控除や保険料控除、寄附金控除などの物的控除か、配偶者控除やひとり親控除、勤労学生控除などの人的控除のどちらか。葬儀費用は控除できる項目に入っていません。また、そもそも葬儀費用は、所得や経費として計上すること自体が不可能です。

相続税では葬儀費用を控除できる

葬儀費用は、確定申告では控除できませんが、相続税からは控除できます

相続税の控除とは、遺産の一部を非課税扱いにすることで、国に支払う相続税を減額する制度。対象となるのは、葬儀の準備から通夜、葬儀、火葬などにかかる費用などです。

相続税は葬儀費用を必要経費として控除でき、故人の遺産を受け取ったときに差し引かれるため、負担を減らせるでしょう。

相続税の控除対象となる葬儀費用

  • 通夜・葬儀にかかった費用
  • 火葬や埋葬、納骨にかかった費用
  • 遺体・遺骨の回送にかかった費用
  • お寺・僧侶に渡すお布施(読経料や戒名料)
  • 死体の捜索や遺骨の運搬(行方不明時)

参考:No.4129 相続財産から控除できる葬式費用|国税庁

一般的に葬儀で欠かせないとされる費用は、相続税から控除されます。通夜・葬儀の開催費はもちろん、火葬料や会食費、生花代なども控除対象です。

葬儀にかかった費用については、領収書をもらっておくか、メモを残しておいてください。

相続税の控除対象にならない葬儀費用

  • 香典返しにかかった費用
  • 墓石や墓地の購入・貸借にかかった費用
  • 式以外の法事・法要にかかった費用
  • 医学・裁判上の特別処置にかかった費用

参考:第13条《債務控除》関係|国税庁

相続税の対象にならないのは、香典返しや墓地の購入・貸借、法事・法要にかかった費用

たとえば、初七日法要は式中・式後に行えば対象になる可能性がありますが、別の日程で行うと対象外になります。また墓地や墓石、位牌、仏壇などは、葬儀に必須ではないと考えるため、葬儀費用とみなされません。

その他、医学・裁判上で特別な処置をした費用も、葬儀自体には関わりがないとされ、対象になりません。

葬儀費用を相続税から控除する方法

相続税控除の申請をするためには、葬儀でかかった費用を確認できる領収書を保管しておく必要があります。葬儀社に明細が確認できる領収書をお願いしておくと、あとで計算しやすく便利です。

領収書がもらえない場合は、出金日・出金先・出金目的を記したメモ出金伝票といった出納記録を作成して保管しておきましょう。1つ1つの項目をしっかり記録しておくこと、経費申告できます。

経費として申告するときは、葬儀費用の総額を計算し、相続税額から差し引きます。

香典は基本的に課税対象にならない

個人が喪主を務めたお葬式で受け取る香典には、基本的に税金がかかりません。相続する遺産には含まれないため、遺族は全額非課税で受け取れます。

ただ1人から100万円以上の香典を受け取ると、一時所得とみなされて所得税が発生したり、贈与税がかかったりします。常識的な香典金額なら問題ありませんが、念のため注意しておきましょう。

仕事関係者者に渡す香典は経費に計上できる

事業を行っている人は、仕事関係者に渡す香典なら、経費として計上できます。また、葬儀会場へ向かう交通費も経費として計上が可能。計上するときは、相手が取引先関係者なら接待交通費、従業員なら福利厚生費とします。

香典を経費として計上する場合も、出金伝票などで記録を残しておき、確定申告を申請する際に算入し忘れないようにしてください。

相続税の納税期限は10ヵ月以内

不動産や預貯金、株などの遺産を相続すると、相続税がかかります。相続税は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に、故人の住所地の税務署に申告・納税します。

相続税には基礎控除が設けられているので、遺産総額が基礎控除を超えなければ相続税はかかりません。その場合、申告をする必要もありません。

ただし、遺産総額が基礎控除額以下でも、税務署から申告書が送付されるケースがあります。税務署から申告書が届いたら、遺産総額が基礎控除以下のため申告が不要であることを文書で伝えてください。遺産の調査・評価資料を求められるかもしれないため、きちんと保管しておきましょう。

また、小規模宅地等の評価減や配偶者控除の適用を受ける場合は、相続税がかからなくても相続税の申告が必要です。わからないときは税理士や行政書士などの専門家に相談しましょう。

故人の準確定申告は4ヵ月以内

故人が自営業、または年収2,000万円以上の給与所得者であったときは、その年の1月1日から死亡した日までの所得を最寄りの税務署に申告して税金を納める必要があります。これを「準確定申告」と言います。

また、入院闘病などの理由で、亡くなる前年の所得税申告や納税がまだであれば、前年分に遡って準確定申告をしなければなりません。準確定申告の期限は、死亡した日の翌日から4ヵ月以内と定められています。この期限を過ぎると延滞税などがかかるので注意が必要です。

さらに、準確定申告で申告する所得は遺産とみなされ、相続財産の対象です。そのため、準確定申告は遺産相続の協議や手続きと合わせて行いましょう。

葬儀の税金について事前に把握しておこう

通夜・葬儀は、故人が亡くなってすぐに準備を進める必要があり、非常に慌ただしいです。肉体的にも精神的にも余裕がなく、葬儀とお金を関連付けるのが難しいかもしれません。

ですが、葬儀にかかった費用をきちんと申告することで、納める税金をおさえられます。少しでも負担を減らせるように、葬儀にかかった領収書や出金のメモはできるだけ残しておきましょう

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