【終活映画】劇場で観たい『ガンジスに還る』。逝く人と送る人、世代間の溝と理想のお葬式

今回、終活映画・ナビゲーターとしてぜひおすすめしたいのが、2018年10月27日(土)から、岩波ホールをはじめ全国で順次公開となる『ガンジスに還る』です。

日ごろ、インド映画はあまり観ない私ですが、今回は終活映画として、ご案内します。

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「理想的なお葬式」に潜む、送る側と送られる側のギャップとは?

家族が亡くなった時、その理想的な送り方について家族皆が同じように考えているというのは、実は錯覚です。逝く人、送る人それぞれが生きてきた時代や社会背景により、理想の送り方が異なるということについては、意外と見落とされがちというか、あまり気にされないように感じています。

時代が変わると家族の在り方も変わってきます。同時に葬送文化も変化します。伝統的な葬送を経験してきた世代は、自分たちが経験してきたそれを求めて悩み苦しみます。高齢化社会の中で、当然のこととして祖父母の看取りを経験した息子にもまた、家族との理想的な送り方、別れ方があるのです。そして孫娘は、生きている今が大切と考える……。

葬送の経験はまだない、それぞれの世代の葛藤がとても緩やかに、そしてコミカルに描かれているのが、映画『ガンジスに還る』です。

父の最期に付き合う息子の物語。そこで語られているメッセージとは?

物語の中、突然に自らの終焉を語りだし、ガンジスのほとりの宿「解脱の家」でその生涯を終えたいという父は、生きることをあきらめたのではありません、むしろそうやって生を終えるべきだと考えて息子を巻き込むのです。

父に従いそこに付き添うようにしている息子は、家に帰ることを何度も何度も話しかけます。それぞれにあるべき姿が異なることを理解するのには、ガンジスのほとりにある「解脱の家」が必要な場所だったのかもしれません。男同士の立場からなる映画のようでもありますが、孫娘が父を励まそうという行動こそが、亡き祖父の希望だったのかもしれません。

最終的には、家族がどれだけ向き合ったかの結果のように感じました。

インド映画なのになぜだか邦画のように頭の中に入り込んでくる風景や言葉があります。不思議な気持ちと共に家族に対する温かい思いを、観る人に思い出させてくれます。

今回ご紹介した映画『ガンジスに還る』

公開:2018年10月27日(土)

監督・脚本:シュバシシュ・ブティアニ

出演:アディル・ フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニ、パロミ・ゴーシュ、ナヴニンドラ・ベヘル、アニル・ラストーギーほか

この記事を書いた人

尾上正幸

(終活映画・ナビゲーター / 自分史活用推進協議会認定自分史アドバイザー / 株式会社東京葬祭取締役部長)

葬儀社に勤務する傍ら、終活ブーム以前よりエンディングノート活用や、後悔をしないための葬儀の知識などの講演を行う。終活の意義を、「自分自身の力になるためのライフデザイン」と再定義し、そのヒントは自分史にありと、終活関連、自分史関連の講演活動を積極的に展開。講演では終活映画・ナビゲーターとして、終活に関連する映画の紹介も必ず行っている。

著書:『実践エンディングノート』(共同通信社 2010年)、『本当に役立つ終活50問50答』(翔泳社 2015)

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