仏教解説:真言宗
宗祖とご本尊
すべての仏さまは大日如来が姿を変えたものである、という考えから、さまざまな仏さまが祀られます。
教え
真言宗は真言密教とも言い、「即身成仏」を教えの根幹にしています。これは密教の修行の実践により、誰でもただちに仏になることができるという教えです。密教の修行とは、身体の修行である身密、言葉の修行である口密、心の修行である意密で、あわせて身口意の三密修行と呼ばれています。
お唱えする言葉
高野山真言宗 | な む だいし へんじょうこんごう 「南無大師遍照金剛」 |
醍醐派 | な む だいしへんじょうこんごう な むしょうぼうそん し な む しんぺんだいぼさつ 「南無大師遍照金剛、南無聖宝尊師、南無神変大菩薩」 |
御室派 | な む だいしへんじょうこんごう な む ぜんじょうほうおう 「南無大師遍照金剛、南無禅定法皇」 |
智山派 | な む だいしへんじょうこんごう な む かいざんこうぎょうだい し 「南無大師遍照金剛、南無開山興教大師」 |
豊山派 | な む だいしへんじょうこんごう な む こうぎょうだいし な む せん よ そうじょう 「南無大師遍照金剛、南無興教大師、南無専誉僧正」 |
よく読まれる経典
だいにちきょう
『大日経』
こんごうちょうきょう
『金剛頂経』
そ しつ じ か ら きょう
『蘇悉地羯羅経』
ゆ ぎ きょう
『瑜祇経』
ようりゃくねんじゅきょう
『要略念珠経』
はんにゃ り しゅきょう
『般若理趣経』
本山
真言宗には多くの派がありますが、ここでは十派だけをあげておきます。

歴史
7世紀中頃のインドで、当時衰退の傾向にあった仏教の復興運動がおきました。この運動によって密教が盛んになり、西インドで『大日経』が、南インドで『金剛経』が成立します。『大日経』は善無畏三蔵によって陸路で、『金剛経』は金剛智三蔵によって海路で中国に伝えられました。中国に伝わった密教は、始めこの2派に分かれていましたが、空海の師匠である恵果和尚によって統一されます。
弘法大師空海は宝亀5年(774)讃岐国に生まれ、15歳で都にのぼり、仏教をはじめさまざまな学問を学び、各地の山野で修行しました。そして密教の実践を学ぶため中国へ留学、恵果に入門します。恵果は空海に会うなり「私はあなたが来るのを待っていました。すぐに密教の奥義を伝えましょう」と言ったそうです。つまり恵果は1000人を超える弟子の中から正統な密教の継承者として空海を選んだのです。空海は帰国後、全国行脚を経て真言宗を開きます。
真言宗は興教大師覚鑁が高野山座主の時に古義と新義に分かれ、その後さらに分化し多くの派が生まれてゆきます。
お仏壇の飾り方
分派が多く、また地域による違いもあり、飾りかたはさまざまですが一例をあげます。高野山真言宗では中央にご本尊である大日如来を、向かって右側に弘法大師、左に不動明王をまつります。豊山派・智山派では左に興教大師覚鑁、あるいはそのかわりに不動明王か、観世音菩薩や地蔵菩薩などをまつることが多いようです。
※右の図は一例です。地域や仏壇の大小などによってまつり方に違いがありますので、正しくは菩提寺にお聞きください。
主な行事