お通夜とは何をする儀式?日程や流れ、マナーを解説【参列者/遺族】

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

通夜の日程の決め方
スマホCTA(電話をかける)
記事を先読み
  • 通夜とは、葬儀の前夜に近親者が集まり、故人と最後の夜を過ごすこと
  • 通夜の日程と時間は、葬儀前日の17時~20時または18時~21時が多い
  • 通夜の一般的な流れは、準備→受付→通夜式→通夜振る舞い→散会

通夜とは本来、遺族が故人を夜通し見守り、灯明と線香を灯し続ける儀式。ただ近年は、宗教的な儀式と食事を数時間で行う半通夜を行うのが一般的です。

通夜のしきたりやマナーは、時代とともに変わってきているので、事前に確認しておくと安心。この記事では、通夜の意味や流れ、マナーなどを参列者と喪主・遺族向けに解説します。

Adsense(SYASOH_PJ-195)

通夜とは何をする儀式?意味と内容を解説

通夜とは、葬儀の前夜に近親者が集まり、故人と最後の夜を過ごすこと。本来は夜通し行われていたため「通夜」と呼ばれるようになった。

お通夜の意味と過ごし方

お通夜とは、葬儀の前夜に遺族や親族が集まり、故人と最後の夜を過ごすこと。全員で亡くなった人の冥福を祈り、別れを惜しむ重要な儀式です。

もともと通夜は、遺族が夜通し灯明と線香を灯して故人の遺体を見守り、霊を慰める意味がありました。「夜通し」故人を見守ることから「通夜」と呼ばれるようになったんだそう。また、医学の発達していない時代には、故人の確実な死亡を確かめる意味もありました。

通夜と半通夜

お通夜は本来、葬儀の前夜から一晩中行われるのが通例でした。ですが現代では、1〜3時間ほどで終わる「半通夜(はんつや)」が一般的。また、直葬や一日葬など、通夜を行わない葬儀形式も増えてきています。

仮通夜と本通夜

お通夜には、「仮通夜」と「本通夜」、2つの形態があります。

仮通夜は死亡当日の夜に遺族だけで行う通夜で、故人を見守り、一緒に過ごすのが目的。特別な儀式はなく、僧侶による読経や礼服も省略されることが多いです。

本通夜は、仮通夜の翌日の夜に、弔問客を迎えて行う通夜のこと。都市部では、仕事帰りに立ち寄れるぶん参列者が多いため、告別式並みの祭壇や飾りを用意する本通夜が増えています。

通夜と葬儀と告別式の違い

「通夜」「葬儀」「告別式」は、どれも故人に別れを告げ、冥福を祈るための儀式です。

通夜は、遺族や親族が故人と最後の夜を共に過ごす儀式。故人と関係の深い人たちが別れを惜しむ場で、葬儀・告別式に先だって行われます。

葬儀は、故人の冥福を祈り、死者を葬るための宗教的な儀式。宗教や宗派によって形式が異なり、仏教では僧侶による読経、神道では神官による祈祷、キリスト教ではお祈りなどが行われます。通夜の翌日に葬儀を行い、その後に火葬をするのが一般的です。

告別式は、故人との最後のお別れをする社会的な儀式。通常、葬儀の直後に行われ、故人の死やお別れを公にする機会となります。仏教の焼香や神道の玉串奉奠、キリスト教の献花などが告別式の代表的な儀式です。

通夜の日程:日程を決めるときの注意点は?

通夜の日程を決めるときの注意点

  • 火葬・埋葬は死後24時間経ってから
  • 通夜の準備時間を確保する
  • 葬儀社と会場をおさえる
  • 僧侶の予定をおさえる
  • 火葬場をおさえる
  • 参列者の都合を確認する
  • 友引・仏滅・赤口を避ける

通夜の日程は、葬儀の前日の夜が基本。ただ実際には、複数の要素を考慮して通夜の日程を決めなければなりません

まず日本では、死後24時間以上経過しないと火葬・埋葬はしてはいけないと法律で定められています。また故人が夕方以降に亡くなった場合は、通夜の準備期間を確保するため、日程を1日後ろ倒しにするのが一般的です。

さらに、通夜を行う葬儀社と会場、読経をしていただく僧侶、葬儀後に火葬をする火葬場、参列者の予定などをおさえておかないと、通夜を執り行えません。くわえて通夜では友引・仏滅・赤口を避ける風習があり、六曜もふまえて日程を決める必要があります。

通夜の日程を決めるときは、複数の要素を総合的に考えて、丁寧なスケジューリングをするのが重要です。

通夜の時間:参列者は何時に行けばいい?

通夜にかかる時間の目安は3時間

準備や移動:1時間

通夜:1時間

通夜振る舞い:1時間

通夜~通夜振る舞いの時間帯は17時~21時

開式:17時~18時

散会:20時~21時

一般的な通夜の時間帯は17時から21時で、この間に通夜の儀式と通夜振る舞いが行われます。通夜に1時間、通夜振る舞いに1時間かかるため、準備や移動を考えて3時間ほど見ておくと安心でしょう。

まず遺族や親族は、通夜開始の1時間前に会場に到着しておくのがベター。通夜の準備をしたり、心の整理をしたりしたあと、開始の15分前に控室から会場へ移動します。

通夜の参列者である弔問客は、通夜開始の15分前に会場に集まるのが望ましいです。ただ人数や地域によって通夜の開始・集合時間は前後します。通夜に参列する方は、早めの行動を心がけると同時に、主催者の案内をきちんと確認するようにしてください。

通夜の流れ:一般的な流れとタイムスケジュール

東京近郊の通夜を例に、一般的な流れとタイムスケジュールを紹介します。お通夜、お葬式の流れは地域によって異なるため、詳細は葬儀社の担当者にご確認ください。

一般的な通夜の流れ

一般的な通夜の流れ
1.通夜の準備
2.受付開始
3.通夜
4.通夜振る舞い
5.散会

通夜の準備

通夜の準備項目

  • 通夜全体の流れを確認
  • 喪主の挨拶のタイミングを確認
  • 供花・芳名板の並び順を確認
  • 礼状・返礼品の数を確認
  • 世話役への挨拶
  • 僧侶(導師)のお迎え

通夜の設営と進行は葬儀社が行うため、喪主・遺族の仕事は確認作業と挨拶が中心です。

まず通夜全体の流れと挨拶のタイミングを、葬儀担当者に確認。供花・芳名板の並び順や礼状・返礼品の数も、受付がはじまる前に確認しておきましょう。また、通夜を手伝ってくれる世話役への挨拶や、僧侶(導師)のお迎えなども喪主・遺族の仕事です。

供花は祭壇の両サイドに並べます。一般的には、祭壇に向かって右側の最上位に喪主または葬儀委員長の札を、祭壇をはさんだ反対側に血縁関係の濃い人の札を並べます。ただ並び順は地域によって異なるため、詳しくは葬儀担当者に問い合わせること。また供花をいただいた方には、葬儀後にお返しをするため、送り元を記録しておきましょう。

受付から通夜開始まで

参列者の受付をはじめるのは、通夜開始の30分〜1時間前

受付係は、参列者に記帳してもらったあと香典を受け取り、会計係に渡します。会計係は、参列者から受け取った香典を記帳・計算して保管します。

喪主は祭壇前に座り、参列者のお悔やみの言葉に簡単な挨拶で応じましょう。また葬儀担当者が行うこともありますが、世話役は参列者の人数を葬儀社に伝えて、通夜振る舞いの数量を確認します。

通夜

喪主・遺族・参列者が着席して導師が入場したら、通夜がはじまり、読経、焼香と続きます

読経にかかる時間の目安は40分~1時間。 お経が読まれるなか、喪主を先頭に親族、一般参列者の順番で焼香をします。焼香は喪主からはじめるのが通例ですが、社葬では葬儀委員長からはじめるのが習わし。また会場が狭い場合は、回し焼香になることもあります。

僧侶の読経と焼香が終わったら、喪主は参列者にお礼を伝えましょう。その後、葬儀担当者が通夜振る舞いへ案内します。

僧侶が控室に戻ったら、喪主は通夜振る舞いの案内をして、お礼を述べましょう。僧侶が通夜振る舞いを断った場合、食事の代わりに「お膳料」と「お車代」を奉書紙か半紙、もしくは白封筒に包んで渡します。

通夜の座席順は、祭壇に向かって右側に喪主、遺族、近親者、親戚。左側に僧侶、葬儀委員長、世話役、故人の先輩、恩人、会社関係者、知人の順で座ります。上司は上座に案内します。

通夜振る舞い

通夜の終了後は、参列した弔問客と僧侶、手伝ってくださった方々に食事や酒を振る舞います

地域によって違いますが、東京近郊では参列者は全員、通夜振る舞いに招くのが一般的。焼香を終えた参列者から順に、通夜振る舞いの席へ案内されます。

通夜振る舞いでは、「飲食を共にする=供養になる」と考えられているため、一口でも箸をつけるのがマナー。故人の思い出話をして過ごし、時間が来たら、喪主が終了の挨拶をします。なお、喪主や遺族など、喪に服している人は参列者の見送りを行いません。

通夜の後

参列者が帰ったら、喪主は葬儀担当者と葬儀・告別式について打ち合わせ。打ち合わせ後、喪主と遺族は故人の傍で過ごし、祭壇と線香の火を絶やさず一晩中見守ります

ただ現在では式場の都合もあり、21時には宿泊する遺族を残して帰るか、または全員帰ることが多いようです。宿泊や仮眠の設備が整っていない式場もあるため、近隣のホテルに泊まったり、自宅にもどったりする遺族もいらっしゃいます。

通夜のタイムスケジュール例(仏式・18時開式の場合)

通夜のタイムスケジュール
17:00 受付開始
17:45 遺族・親族入場
17:55 僧侶入場
18:00 通夜開式
18:05 読経・焼香・法話
18:50 僧侶退場
19:00 通夜閉式
19:05 通夜振る舞い
 20:00 散会

17:00 受付開始

お通夜開始の1時間〜30分前に受付を開始。予想される参列者の数や葬式の規模にあわせて、時間を調整してください。また前もって受付係を決めておき、遺族と親族は斎場で弔問客をお迎えします。

17:45 遺族・親族入場

開始15分前になったら、遺族・親族は会場で着席します。

17:55 導師(僧侶)入場

通夜が始まる5分ほど前に、導師(僧侶)が入場します。

18:00 開式

通夜の開始時間になったら、司会者の進行で開式します。

18:05 読経・焼香・法話

開式後、まずは導師(僧侶)による読経が行われます。

読経がはじまってしばらくしたら、順番にお焼香をあげていきます。一般の弔問客は、焼香の前後に遺族に対して黙礼しましょう。

読経が終わると、導師(僧侶)による法話があります。

18:50 導師(僧侶)退場

法話を終えたら、導師(僧侶)が退場します。

19:00 閉式・通夜終了

通夜閉式の際に、司会から通夜振る舞いの案内があります。焼香を終えた参列者が、順次通夜振る舞いの席へ移る場合もあります。

19:05 通夜振る舞い

通夜振る舞いでは、喪主が開式の挨拶として、献杯をします。会食では料理とお酒が用意され、遺族が弔問客にお酌や接待をするのが一般的です。

20:00 通夜振る舞いの散会

喪主または世話役などがお礼の言葉を述べ、通夜振る舞いの席が散会します。

通夜の作法とマナー①お悔やみの言葉

通夜における代表的なお悔やみの言葉

代表的なお悔やみの言葉の一覧表

こちらは、通夜・葬儀で遺族にかける代表的なお悔やみの言葉です。

喪主と遺族は、大切な人を亡くしたばかりで非常にデリケートな状態。また多数の参列者をおもてなしするため、慌ただしくしています。そのため、お悔やみの言葉を伝えるときは、簡潔かつ平凡な表現を選んであげるのが一番。「この度はご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」などの言葉で、手短にお悔やみを伝えてあげましょう。

また、お悔やみの言葉には、文章でしか使えない言い回しもあるため注意が必要。「ご冥福をお祈りします」「哀悼の意を表します」などは、口頭では使わない表現なので避けてください。

通夜で避けるべき言葉

お悔やみで避けるべき忌み言葉・重ね言葉の一覧表

通夜をはじめとする弔事の場では、避けるべき言葉があるので事前に確認しておきましょう。

まず気を付けたいのが、別れや不幸を連想しやすく、縁起が悪いとされる忌み言葉。「切る」や「無くす」、「消える」「追って」「浮かばれない」など、日常的に使う単語が含まれているので、うっかり使わないように注意してください。

また、「重ね重ね」「度々」「再三」など、不幸が繰り返されるイメージのある重ね言葉も避けましょう。その他、「死亡」や「生きていた」など直接的な生死の表現も言い換えるのが一般的です。

通夜の作法とマナー②焼香

焼香の基本的なやり方 1.祭壇に進む 2.一礼 3.合掌 4.焼香 5.一礼

通夜の焼香のやり方

焼香のやり方には、立ったまま行う立礼焼香、座ったまま行う座礼焼香、焼香セットを回して自席で行う回し焼香と、3つの形式があります。

このなかで、もっとも一般的な焼香のやり方は立礼焼香です。ここでは立礼焼香を例に、基本的な焼香のやり方を解説します。

1.祭壇に進む

お焼香の順番が来たら、係の案内に従って祭壇の前まで進みます。数珠は左手に持ち、房を下にたらすようにしてください。

2.遺影・喪主・参列者に一礼

故人の遺影に向かって一礼します。次に喪主に向けて一礼。そして、参列者全体に向けて一礼します。

3.合掌

故人に向かって、胸元で合掌(または一礼)します。

4.焼香

右手の親指・人差し指・中指の3本指で抹香をつまみます。抹香をつまんだまま軽く頭を下げ、右手を額の高さまで掲げたら、香炉にくべます。

宗派によって焼香の回数は異なりますが、ご自身の信仰する宗派の回数で問題ありません。わからない場合は3回繰り返すのが一般的。また、式中に回数の案内があれば従います。

5.遺影・喪主・参列者に一礼

焼香が終わったら、改めて故人に向けて胸元で合掌(または一礼)します。向き直って、喪主に一礼し、最後に振り返って全体に一礼します。

通夜の焼香の順番

焼香の順番例

  1. 喪主
  2. 故人の配偶者
  3. 喪主の妻と子
  4. 喪主の兄弟姉妹とその家族世帯(兄弟姉妹の年齢順に、家族単位で)
  5. 故人の兄弟姉妹(やはり年齢順に、家族単位で。以下同じ)
  6. 故人の配偶者の兄弟姉妹
  7. 喪主の配偶者の親
  8. 喪主の配偶者の兄弟姉妹
  9. 喪主の父方の従兄弟や従姉妹
  10. 喪主の母方の従兄弟や従姉妹
  11. 一般の参列者

焼香は、故人と喪主に縁の近い人から順番に行うのが一般的。

父親が亡くなって長男が喪主を務める通夜を例にすると、喪主からはじまり、故人・喪主の家族や兄弟姉妹、喪主の親族と続いて、最後に一般の参列者が焼香します。

焼香の順番は故人や遺族の希望で異なることが多く、判断できないときは親族の年長者に決めてもらうケースもあるようです。

通夜の作法とマナー③香典

通夜の香典の相場金額

関係性 香典の相場・金額
自分の親 5万円~10万円
自分の兄弟姉妹 1万円以上~2万円未満
自分の祖父母 5千円以上~1万円未満
配偶者の親 5万円~10万円
配偶者の兄弟姉妹 5千円以上~1万円未満
配偶者の祖父母 5千円以上~1万円未満
その他の親戚 5千円以上~1万円未満
上司 5千円以上~1万円未満
上司の家族 5千円前後
同僚 5千円未満
同僚の家族 5千円前後
部下 5千円以上~1万円未満
部下の家族 5千円以上~1万円未満
友人・知人(その家族も含む) 5千円未満
近所の人 5千円未満

出典:第5回お葬式に関する全国調査

こちらは、故人との関係別に香典の相場金額をまとめた表です。

一般的に、故人と関係が近いほど香典の金額が上がり、遠いほど下がる傾向があります。自分と配偶者の両親は5万円~10万円、兄弟姉妹は1万円~2万円、親類縁者は1万円前後が香典の相場。また会社の上司や部下、友人知人は5,000円~1万円が香典金額の目安です。

香典を渡すのは通夜か葬儀のどちらか1回

香典は、通夜か葬儀のどちらかで1回だけ渡せばよいとされています。なぜなら、香典を2回渡すのは「不幸が重なる」ことを連想させ、縁起が悪いから。

通夜と葬儀、両方参列する場合は、どちらかお好きな方で香典を渡せばOK。ちなみに最近は、葬儀より通夜に参列する方が多いため、通夜で香典を渡す方が増えているようです。

通夜の香典の書き方とマナー

香典袋の書き方

香典の書き方は、通夜・葬儀ともにマナーは共通です。

表書きは、故人の宗教・宗派にあわせて書き、その下に名前をフルネームで記入すること。仏式では「御霊前」や「御香料」、キリスト教式では「御花料」、神式では「御神前」「御玉串料」と書き、宗教がわからない場合は、「御香料」にしておくのが無難です。

またお札を入れる中袋は、表面に旧字体で金額を、裏面に住所と名前を記入します。

ちなみに、香典に新札を包むのは死を予期して準備していたイメージを与えるためマナー違反です。新札しかない場合は、紙幣を半分に折り、一旦折り目を付けてから香典袋に包むとよいでしょう。

通夜の作法とマナー④服装と身だしなみ

通夜の服装
喪服:男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマル
平服:男性はダークスーツ、女性は暗い色のワンピース・アンサンブル・スーツ

通夜の服装は、遺族・参列者ともに喪服(準喪服)を着用するのが一般的です。ただ急な訃報で喪服を用意できないときは、平服(略喪服)でも構いません。平服(略喪服)とは、黒・紺・グレーなど、地味な色のスーツやワンピース、アンサンブルのことです。

男性は、喪服または地味な色のスーツに白無地のワイシャツ、黒無地のネクタイ、黒靴下、黒靴を着用しましょう。光沢のある靴や派手なベルトは避け、落ち着いた服装を心がけるのが大切です。

また女性は、黒無地のワンピースやアンサンブルに、黒い薄手のストッキング、黒いパンプスをあわせます。結婚指輪以外の貴金属類は外し、パールの一連ネックレスやピアスだけ身に着けるようにしてください。女性も光沢のあるバッグや靴は避け、毛皮は厳禁です。

なぜ通夜は平服で参列していいの?

もともと通夜は、地味な平服で参列すべきで、喪服は好ましくないとされていました。

通夜で喪服を避ける理由には2つあり、1つ目は故人が亡くなるのを予期して喪服を用意していたと捉えられる可能性があるから。2つ目は、本来通夜は近親者のみが参列する儀式で、一般の弔問客は葬儀・告別式に参列するのが通例だったからです。

現在では、一般の参列者も通夜に弔問するケースがほとんど。そのため、通夜でも喪服を着用するのが定番になりつつありますが、平服でもマナー違反にはなりません

お通夜にはマスクをしてもよい?

新型コロナウイルスが5類感染症へ移行し、マスクの着用は個人の判断に委ねられるようになりました。ただ習慣になっていたり、風邪や花粉症だったりして、通夜でもマスクを着用したい方もいるかもしれません。

通夜でマスクをつけて参列しても、マナー違反にはならないので大丈夫。むしろ高齢者や子どもなど、さまざまな年齢の人が参列する通夜では、周囲に配慮してマスクを着用するのも大切なマナーです。心配なら、受付で簡単に理由を説明しておくとよいでしょう。

通夜の作法とマナー⑤通夜振る舞いの挨拶

通夜は、厳密には式ではないため、終了時間や挨拶する場面は設けられていません。ただ地域や規模によっては、通夜振る舞いの前後に喪主が挨拶を行うこともあります。

通夜当日にまごつかないよう、喪主は事前に挨拶を考えておいた方が安心。ここでは通夜振る舞いの挨拶の例文をご紹介します。

通夜振る舞い前の挨拶

本日はお忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございました。

(故人)も喜んでいると思います。

ささやかではございますが、食事の席を用意させていただきました。

お時間の許す限り、(故人)の生前のお話などお聞かせいただければ幸いです。

通夜振る舞い後の挨拶

本日はご多忙にもかかわらず、お越しいただきまして誠にありがとうございました。

おかげさまをもちまして、滞りなく通夜を行わせていただくことができました。

夜も更けてまいりました。

この後は家族で(故人)を見守りますので、お足元に気をつけてご自由にお引き取りください。

本日は誠にありがとうございました。

通夜の作法とマナー⑥僧侶のもてなしとお布施

僧侶のもてなし方

通夜会場に僧侶が到着したら、喪主は挨拶をして控室へ案内します。お茶とお菓子をお出ししたあと改めて挨拶を行い、通夜の内容を確認してください。

通夜が終了したら、再び控え室へ案内し、お茶とお菓子をお出しして読経のお礼を述べます。通夜振る舞いの案内をして、僧侶が参加してくださるようなら、喪主が上座へご案内しましょう。

お布施・お膳料・お車代の相場金額

僧侶が通夜振る舞いに参加しない場合、お膳料」と「お車代」を封筒に包み、控室でお渡しします。

寺院との関係によりますが、お膳料は5,000円~10,000円、お車代は5,000円が目安。また遠くから僧侶に来ていただいている場合は、交通費以上のお車代をお渡しするのが一般的です。お膳料とお車代を渡したら、翌日の葬儀の打ち合わせや相談をして、建物の外までお見送りします。

またお布施の目安は、地域や宗旨宗派、寺院との付き合いによって異なります。迷ったときには葬儀の担当者に確認しましょう。

場面別の通夜の作法とマナー

場面別の通夜の作法とマナー
仮通夜・遺体との対面・通夜振る舞い

仮通夜

故人が亡くなった直後の仮通夜は、遺族がもっとも慌ただしい時期です。また故人を失った悲しみに暮れていたり、亡くなるまでの看病に疲れていたりする可能性もあります。

仮通夜は身内だけで行う儀式ですし、よほど故人と親しかったのでなければ、玄関で挨拶だけして失礼するのがベター。仮に勧められてお家に上がっても、長居はしないようにしてください。くわえて、故人の死因を尋ねたり、安易な励ましの言葉をかけたりするのも避けた方が無難でしょう。

ご遺体との対面

故人との対面は、遺族から勧められない限り遠慮するのが礼儀。ただ故人と特別親しくしていたのであれば、遺族の方からぜひ対面してほしいと請われるかもしれません。

故人と対面するときは、まず遺体の枕元から少し下がって正座します。一礼したあと、遺族が顔の白布を外したら、膝をつけたまま近づきましょう。故人と対面したあと、もう一度一礼して合掌します。最後に遺族へ一礼しますが、「安らかなお顔でした」「ありがとうございました」などの言葉を添えると丁寧です。

通夜振る舞い

通夜振る舞いでは、参列者が誘いを断るのはタブーとされています。やむを得ず参加できない場合でも、食事に一口だけ箸をつけ、遺族に一声かけてから退席するのがマナーです。

また通夜振る舞いでは、喪主が最後に食事をはじめるのが一般的。参列者は、喪主や遺族の疲れを考慮して、気遣いを忘れないようにしましょう。会場の閉館時間を把握して、それまでに会食を終えるよう心掛けてください。

その他、通夜振る舞いの席での故人の思い出話は、場の雰囲気に応じて行います。プライベートな内容を話したり、大声を出したりするのはマナー違反となるため注意が必要です。

通夜と葬儀、どっちに出るべき?

通夜は親しい人が故人と最後の夜を過ごす儀式。通夜の意味をふまえると、故人と関わりの深い人は通夜と葬儀に、それ以外の人は葬儀だけに参加するのが望ましいでしょう。また通夜か葬儀、どちらかしか参列できない場合は、葬儀に参加するのが無難です。

ただ近年では、通夜と葬儀が一連の儀式のように考えられ、本来の意味が曖昧になっています。どうしても都合がつかず葬儀に参加できないなら、通夜のみでもかまいません。とくに首都圏では、通夜だけに参列する弔問客が増えています。

通夜に参列できないときはどうする?

通夜も葬儀も日程の都合が付かない場合は、遺族に「参列できない」と連絡してください。

行けない理由もあわせて説明すべきですが、遺族は通夜・葬儀の準備で慌ただしい状態です。電話で伝える場合は、長電話にならないよう注意しましょう。

また通夜・葬儀に参列しなくても、弔電や供花を送ったり、香典を郵送したりして弔意を示すことは可能です。供花を送る場合は、花の種類や形式が決まっているかもしれないため、まず施行する葬儀社に連絡しましょう。葬儀社がわからない場合は、会場に問い合わせれば基本的に教えてもらえます。

その他、参列の代理人を立てたり、後日改めて弔問したりする方法もあります。

通夜に関するよくあるご質問

お通夜とはどんな意味?何をするの?

お通夜とは、葬儀の前夜に遺族や親族が集まり、故人と最後の夜を過ごすこと。もともとは、遺族が夜通し灯明と線香を灯して故人の遺体を見守り、霊を慰める意味がありました。ただ最近は、1~3時間ほどで終わる「半通夜」を行うのが一般的になっています。

お通夜の開始~終了時間は?

お通夜の開始時間は17時~18時、終了時間は20時~21時が一般的。

通夜に1時間、通夜振る舞いに1時間かかるため、3時間ほど見ておくと安心です。

お通夜の開始時間に間に合わないかもしれません。

受付が開いていれば、お通夜の開始時刻に遅れて到着しても問題ありません。通夜振る舞いが終わるまでに到着できるようなら、焼香だけあげさせていただくと良いでしょう。

通夜に参列するときの服装は、礼服でないとダメですか?

遺族や親族は正式礼装ですが、一般会葬者は、準礼服や略礼服で参列します。

通夜は急に駆けつけなければならないこともあるので、喪服は必須ではありません。仕事帰りに立ち寄る場合、ネクタイだけ黒に変えて参列する方も多いです。

また、子どもの服装は制服を着用するのが基本。制服がないなら、男の子は黒・紺・グレーなどのブレザーとズボン、女の子は黒・紺・グレーのブレザーとスカート、またはワンピースを着用するとよいでしょう。

通夜の途中で帰ることは失礼にあたりますか?

お子さん連れや体調不良などで、通夜の途中で退出しなければならない場合は、あらかじめ喪主・遺族に伝えておきましょう。

退出のタイミングとして、僧侶の読経中は絶対に避けてください。会場後方の席に座り、焼香が終わったあと、場の雰囲気を壊さないよう静かに退出するのがベターです。焼香のあと、そのまま通夜振る舞いの席に移った場合、食事に箸をつけてすぐ辞去して問題ありません。

通夜振る舞いのマナーはありますか?

通夜振る舞いのマナーは、地域によって異なります。関東では、一般会葬者も含めて全員が通夜振る舞いに参加するのが一般的。関西では、遺族や親族のみで通夜振る舞いを行うことが多いようです。

また通夜振る舞いでは、食事に箸をつけることが供養になるとされているので、一口でも頂くのが礼儀。ただし長居は禁物なので、遺族に配慮して30分程度で退席するようにしましょう。

清め塩の使い方がわかりません。どのように使うのですか?

清め塩は、玄関をまたぐ前に使います。ひとつかみの塩を、胸→背中→足元の順番でかけて軽く払ってください。清め塩は他の人にかけてもらうのが通例ですが、ご自身で行っても問題ありません。また、宗旨宗派によっては清めの塩を用いない場合もあります。

なお清め塩は、食べ物としては使えませんので注意してください。

葬儀・お葬式を地域から探す