お見舞い金とは、親戚や仕事関係者、友人などが長期入院したときに渡すお金のこと。病気やケガの回復を祈って贈るものですが、金額やマナーを間違えると失礼になりかねません。
この記事では、お見舞い金の相場金額やマナー、注意点をご紹介します。
目次
お見舞い金はいつ/どんなときに渡す?
お見舞い金は、長期入院している身内や親戚、仕事関係者などのお見舞いをするときに持参します。相手の喜ぶ品物がわからないため、お見舞い金として現金を渡すことで、直接役に立ててもらおうと考えて渡すのが一般的です。
ただ、相手との関係性によっては、かえって気を遣わせてしまうかもしれません。相手に負担をかけたくないときは、お見舞い金ではなく品物を選んで渡す方が無難です。
また手術直後や病状の悪い時期は避け、体調が回復したタイミングを見計らって訪問すること。お見舞い金を渡すときは、相手を第一に考えて、マナーと節度を守るよう意識しましょう。
お見舞い金の相場はいくら?関係別の金額目安
お見舞い金を渡す相手 | 金額の相場・目安 |
---|---|
親 | 5,000円~10,000円 |
親戚 | 5,000円~10,000円 |
兄弟 | 5,000円~10,000円 |
会社の同僚 | 3,000円~5,000円 |
会社の部下 | 5,000円~10,000円 |
会社の上司 | 3,000円~10,000円の品物 |
友人・知人 | 3,0000円~5,000円 |
ご近所の人 | 3,0000円~5,000円 |
お見舞い金には相場があり、身内や仕事関係者、友人・知人など、相手との関係性によって金額の目安が変わってきます。親や親戚、兄弟などの身内は、5,000円~10,000円。友人・知人やご近所の人は、3,000円~5,000円が相場です。
また仕事関係者の場合、同僚・上司・部下によって金額が違います。同僚なら3,000円~5,000円、部下なら5,000円~10,000円が目安。目上の立場である上司は、現金を渡すのが失礼とされるため、3,000円~10,000円程のお見舞い品を渡すようにしましょう。
さらにご自身が学生なら、負担が大きいため、身内のお見舞い金でも3,000円程度で問題ありません。
お見舞い金のマナー①封筒/袋の選び方
OK | NG | |
---|---|---|
封筒/袋 | 祝儀袋 | 不祝儀袋 |
水引の色 | 紅白 | 黒白・黄白・銀 |
水引の形 | 結び切り あわじ結び | 蝶結び |
中袋 | あり | なし |
お見舞い金は、紅白の結び切り、またはあわじ結びの祝儀袋に包むのがマナー。外袋と中袋がセットになった祝儀袋を購入して、中袋にお金を入れ、外袋(外包み)で中袋を包みます。
相手の全快を祈って渡すお見舞い金には、紅白の祝儀袋がふさわしいです。また簡単にほどけない結び切りやあわじ結びには、「病気を繰り返さないでほしい」という願いが込められています。
黒白・黄白・銀の水引は、通夜や葬儀などを連想させるのでタブー。簡単にほどけて結びなおせる蝶結びは、何度あっても喜ばしいお祝いで使う水引なので、お見舞い金では避けましょう。
ご祝儀袋ののしは地域によって変わる
お見舞い金のご祝儀袋にのしをつけるかどうかは、地域や風習によって変わります。
そもそも「のし」とは、お祝い事や贈答にのみ使われる飾り。病気のお見舞いは慶事ではないので、のしはつけない地域が多いです。一方で、のしは「不老長寿」の象徴なので、病気の回復を祈るお見舞いにふさわしいとする地域もあります。
地域の風習によって正解が変わるので、家族や親戚に確認した方が安心です。
お見舞い金のマナー②封筒の書き方
お見舞い金を包むご祝儀袋には、表書きや金額、名前の書き方にルールがあります。
外袋の表側に表書き、中袋の表側に金額、中袋の裏側に名前を記入するのが正式なマナー。原則筆ペンか毛筆を使い、ボールペンや万年筆で書くのは避けましょう。
外袋の表側:表書きと名前
外袋の表側には、「御見舞」または「お見舞」と表書きを書きます。ちなみに表書きを「お見舞い」と書くのはNG。4文字になって「死」を連想させるので避けてください。
また表書きの下には、贈り主の名前をフルネームで記入しましょう。
3人以下の連名で贈る場合は、立場や年齢の高い人から順番に名前を記載すること。夫婦や兄弟など、同じ名字の人と一緒に贈るなら、代表者以外は名前だけ記入するのが一般的です。4人以上でお見舞い金を贈る場合は、代表者のみフルネームで記載し、左側に「外一同」と書き加えます。
中袋の表側:金額
中袋の表側には、中央にお見舞い金として包んだ金額を記入します。「金参阡圓」「金伍仟圓」「金壱萬圓」など、旧字体を使って「金◯◯圓」と書くと丁寧です。
中袋の裏側:名前と住所
中袋の裏側には、名前と住所を記入します。相手が快気祝いを贈るときに利用するかもしれないので、郵便番号から建物名、部屋番号まできちんと書きましょう。
また名前は、3人以下ならフルネームを全員分記載します。4人以上で贈るなら、「代表者の名前+外一同」と書いて、別紙に全員分の名前と住所を書いてください。
お見舞い金のマナー③お金の入れ方
お見舞い金を入れるときは、中袋にお金を入れて、外袋で中袋を包みます。
お札の向きは、肖像画のある面が中袋の表面(金額を書いた方)に来るようにしてください。上下の向きに決まりはないですが、複数枚入れるときはお札の向きをそろえましょう。
また外袋は、左→右→上→下の順番にたたみます。最後は、「ケガや病気が快方に向かうように」という願いを込めて、下から上にかぶせるように折り込んでください。
見た目のキレイな古札を選ぶ
お見舞い金で新札を包むのは、マナー違反。新札は事前に準備していないと手に入らないため、ケガや病気を予測していたと捉えられてしまいます。手元に新札しかない場合は、お札の真ん中に折り目をつけてから包むよう、気を付けてください。
またお見舞い金に、汚れや破れ、シワのあるお金を包むのも失礼にあたります。受け取った相手が不快にならないよう、見た目のキレイな古札を選ぶのが重要です。
枚数や金額の忌み数は避ける
お見舞い金を包むときは、縁起がよくないとされる4・6・9の忌み数を避けること。「4=死」「6=無」「9=苦」を連想させ、お見舞い金にはふさわしくありません。
相場金額を守っていれば基本的に問題ありませんが、お札の枚数や金額が忌み数にならないよう注意してください。
お見舞い金のマナー④タイミングと渡し方
お見舞い金を渡すときは、必ず事前に許可をとってください。容体によっては面会できませんし、療養中の姿を見られたくなかったり、人と会いたくなかったりするかもしれません。入院・手術直後は控え、本人や家族にお見舞いに行っていいか確認をとりましょう。
お見舞いに行ったら、対面してすぐにお見舞い金を渡します。このとき「お見舞い品の代わりなので、何かに役立ててください」と、相手を気遣う言葉を添えるのを忘れないことが大切。
本人や家族の負担にならないよう、あまり長居せず、15分~30分程度で退席しましょう。また、大人数で訪問したり、眠っている相手を無理に起こしたりするのも避けてください。
お見舞い品の選び方とマナー
お見舞い金を渡さないのであれば、相場の金額を目安に品物を選んで贈ってあげましょう。
お見舞い品としてよく選ばれている品物は、お花や食べ物、パジャマ・寝具など。品物別に選び方のポイントとマナーを紹介します。
お花
NG | NGな理由 |
---|---|
鉢植え | 「根付く=寝付く」を連想 |
生け花 | 水換えの手間がかかる |
シクラメン | 名前から「死」や「苦」を連想 |
ツバキ・チューリップ | 花が落下する様子が不吉 |
キク | お葬式で飾られる代表的な花 |
お花はお見舞いの品の定番ですが、選び方に注意が必要。
鉢植えの花や観葉植物は、土に根を下ろす様子から「根付く=寝付く」という言葉を連想させるため、タブーとされています。また生け花は、花びんの用意や水換えに手間がかかるので、避けた方が無難。くわえて、不吉なイメージをもたれるシクラメンやツバキ、キクなどの花はNGです。
お見舞い品に好ましいお花は、フラワーアレンジメントやプリザーブドフラワー。淡い色のガーベラやバラ、カーネーションなどのお花でまとめると、彩りがよく喜ばれるでしょう。
食べ物
食事の制限がないなら、食べ物を選ぶのもひとつの方法。本人が食べ物を食べられる状態か、病院で持ち込みを禁止されている食品はないか、事前に確認してから品物を選びましょう。
保存が簡単で賞味期限が長く、そのまま食べられる加工品を選ぶと喜ばれます。フルーツゼリーや100%果汁ジュース、果物アイスなどがおすすめ。
フルーツもお見舞い品の定番ですが、かご盛りフルーツは長く保存できず、皮をむく手間がかかります。必ずしもよいお見舞い品とは言えないため、注意してください。
パジャマ・寝具
相手の好みやサイズがわかるなら、パジャマ・寝具を贈るのもいいかもしれません。パジャマと寝具は入院中は欠かせないアイテムですし、退院後も活用できます。また、病院内でよく使うタオルやスリッパも喜ばれる傾向があります。
ただ、いずれの品物も病床生活を連想させるため、贈る相手は慎重に選びたいところ。親しい間柄で、マナーをあまり気にしない相手であれば問題ありません。
その他
長期入院していると、日中の時間をもてあましがち。本や雑誌、DVD、ゲームなど、入院中に暇つぶしできる品物を贈ると喜ばれるかもしれません。
大部屋で他に患者さんがいるなら、プレーヤーやイヤホンをセットにして贈ると活用してもらいやすいです。相手の健康状態をふまえながら、よい気分転換のできる品物を選んであげましょう。
お見舞いに行くか迷うときは
相手との関係性によっては、そもそもお見舞いに行くか迷うかもしれません。
家族や親戚、友人など、連絡をとれる相手なら、直接尋ねてみるのがベター。親しい間柄であれば、LINEやメールで確認をとっても問題ありません。面識が少なかったり、相手が連絡をとれる状態でなかったりする場合は、配偶者や両親などの家族に聞いてみましょう。
また入院しているのが仕事関係者なら、まず上司の指示を仰ぐこと。会社を代表してお見舞いするので、誰が伺うのか、何の品物を選ぶのか、きちんと確認した方が安心です。勝手にお見舞いするのではなく、一度上司に相談してから判断しましょう。
喪中はがきで訃報を知ったら喪中見舞い
入院中にお見舞いに行けないまま、相手が亡くなってしまうかもしれません。喪中はがきで訃報を知ったら、喪中見舞いを送ってお悔やみの気持ちを伝えてはいかがでしょうか。
喪中見舞いとは、喪中の遺族に弔意を伝えるために、手紙や品物、香典を贈ること。品物や香典を用意するのが難しくても、はがきや手紙は必ず送りたいところです。また最近は、喪中見舞いや弔電などを手軽に送れる電報サービスが増えています。
お見舞い金は相手を敬う気持ちが前提
お見舞い金を渡すときは、相手にあわせて金額やかける言葉を選ぶこと。また入院している相手の負担にならないよう、渡し方やタイミングにも配慮してください。
お見舞い金は、相手を思う気持ちが前提となっている慣習。失礼にならないようにマナーを意識しつつ、相手を敬っている気持ちを伝えることが大切です。