お布施の正しい入れ方は?お札の上下や封筒の包み方を解説【画像あり】

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

お布施の正しい入れ方は?お札の上下や封筒の包み方を解説【画像あり】

葬儀や法事で僧侶にお渡しする「お布施」。いざお布施を準備するとなると、正しいお金の入れ方や封筒の書き方など、作法に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、お布施の正しい入れ方を解説。お札の向きや上下、新札の必要性、封筒の選び方から表書きの見本まで、画像を交えて分かりやすく説明します。

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【図解】お布施の正しいお金の入れ方は?肖像画を表側・上向きにする

お布施のお札の入れ方:封筒の表面に対して「表側・上向き」に入れる

肖像画を封筒の表側・上向きに入れる

お布施にお札を入れる際は、肖像画を封筒の表側・上向きに入れるのがマナーです。

まず、封筒の表面(「御布施」と書かれた側)に、お札の肖像画が描かれている面を向けます。お札の上下は、肖像画が封筒の開け口側に来るようにしてください。つまり、封筒を開けたときに、すぐ肖像画が見える状態で入れるのが正解です。

お布施に入れるお札の上下は香典とは逆になるため、混同しないように注意が必要しましょう。また、複数枚のお札を入れる場合は、すべてのお札の向きを揃えてください。

新札が望ましいが、なければ綺麗な旧札でも問題ない

お布施に包むお札は、新札を用意するのが丁寧です。あらかじめ不幸を予測していたとされ、新札を避ける香典とは異なり、お布施は僧侶へ感謝を伝えるためのものだからです。時間に余裕があるなら、銀行などで新札に両替しておくと良いでしょう。

もし新札が用意できない場合は、古札を使っても問題ありません。手持ちのお札の中からできるだけシワや汚れの少ない、綺麗な状態のお札を選んで包んでください。古すぎるお札や、破れていたり、ひどく汚れていたりするお札は避けるのが賢明です。

お布施を入れる封筒の選び方は?白無地の封筒が基本

お布施を入れる封筒:郵便番号欄のない白無地の封筒が基本

正式なのは「奉書紙」だが白い無地の封筒でも良い

お布施は、「奉書紙(ほうしょがみ)」で包むのが正式なマナーです。奉書紙とは、格式高い和紙の一種で、つるつるした面が表、ざらざらした面が裏になります。まずお札を半紙で包み、その上から奉書紙で包むのが正式な作法です。

ただ、奉書紙が手に入らない場合は、白い無地の封筒を使用して問題ありません。市販されている「御布施」と印刷された封筒も利用できます。

お布施を入れるのは白無地の封筒が基本

お布施を入れる封筒には、市販されている白い無地の封筒を選びましょう。不幸が重なることを連想させる二重封筒は避けるのがマナーです。また、郵便番号の記載欄がないものが適しています。コンビニや文房具店でも手に入るため、急な場合でも落ち着いて準備しましょう。

お布施を入れる封筒には、基本的に水引はつけません。水引は香典や祝儀袋に使われるもので、僧侶への謝礼であるお布施には不要とされています。ただし、一部地域では黄白の水引をかける習慣があるため、不安な場合は周囲に確認してください。事前に親族や地域の慣習に詳しい方に確認しておくと安心です。

【見本あり】お布施の表書きの書き方

お布施の表書き:中央に「お布施」と書き、下に喪主・施主の名前を書く

「御布施」または「お布施」と書き、下に喪主の氏名を書く

お布施の表書きは、封筒表面中央上部に「御布施」と書くのが一般的です。より丁寧な印象を与えたい場合は漢字の「御布施」、少し柔らかい表現にしたい場合はひらがなで「お布施」と書いても問題ありません。

そして、「御布施」の文字の真下、中央部分に喪主(施主)のフルネームを記載します。フルネームの代わりに「〇〇家」と家名を書いても構いません。名前は「御布施」の文字よりも少し小さめに書くと、全体のバランスが良くなります。

市販の封筒にあらかじめ「御布施」と印刷されている場合は、名前を書き加えるだけで大丈夫です。

筆記用具は濃墨の筆ペンか毛筆を使う

お布施の表書きを書く際は、濃い黒色の墨を使いましょう。薄墨は、お悔やみの気持ちや「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」という意味合いで香典に用いるものです。お布施は僧侶への感謝の気持ちを表すものなので、薄墨を使うのはマナー違反にあたります。必ず、はっきりとした黒色の濃墨で書いてください。

筆記用具は、毛筆か筆ペンが適しています。特に筆ペンは、手軽に使うことができ、文字の強弱もつけやすいため便利です。ボールペンや万年筆は、事務的な印象を与えてしまうため、避けるのが無難です。感謝の気持ちが伝わるよう、心を込めて丁寧に書きましょう。

お布施の中袋・裏面の書き方

お布施の中袋・裏面の書き方

中袋がある場合:表面に金額、裏面に住所・氏名を書く

市販のお布施用封筒には、中袋がセットになっている場合があります。中袋がある際は、表面の中央に包んだ金額を縦書きで記載しましょう。例えば「金伍萬圓也」のように書きます。

そして、裏面の左下に住所と氏名を縦書きで記します。郵便番号も記載しておくと、より丁寧な印象になります。これらの情報は、お寺側が事務処理をする際に必要となるため、正確に書いてください。表書きと同様に、筆記用具は濃墨の筆ペンや毛筆を使用するのがマナーです。

中袋なしの場合:封筒の裏面に住所・氏名・金額を書く

中袋がついていない白封筒を使用する場合は、封筒の裏面に情報を書き込みます。裏面の左下部分に、右から住所、氏名、金額の順で縦書きに記載するのが一般的です。表面にフルネームを記載したなら、裏面は住所と金額のみで問題ありません。

住所は郵便番号から書き始めると丁寧です。金額は「金 伍萬圓也」のように、旧字体の漢数字を用いるのが正式なマナーとされています。

すべての情報を裏面にまとめることで、お寺側が誰からのお布施なのかを一目で把握できます。僧侶への配慮として、忘れずに全ての項目を記載しましょう。

金額は「壱、弐、参」など旧字体の漢数字で書くのが丁寧

お布施に記載する金額は、旧字体の漢数字である「大字(だいじ)」を用いるのが最も丁寧な書き方です。大字は、簡単な漢数字の改ざんを防ぐ目的で、古くから重要な書類に使われてきました。お布施で用いることで、より丁寧な気持ちを表せます。

例えば、3万円なら「金 参萬圓也」、10万円なら「金 壱拾萬圓也」と書きます。普段使わない漢字も多いため、以下を参考にしてください。

  • 壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)、圓(円)

袱紗(ふくさ)を使ったお布施の包み方と渡し方

弔事用の袱紗(寒色系)にお布施を包む

包むタイプと挟むタイプの袱紗の包み方

お布施を持参する際は、封筒を直接カバンなどに入れず、袱紗に包むのがマナーです。袱紗は、金品を汚さずに相手へお渡しするための布で、相手への敬意を示す役割があります。

葬儀や法事などの弔事で使用する袱紗は、紺色、深緑色、ねずみ色といった寒色系のものを選びましょう。紫色の袱紗は、慶事と弔事のどちらでも使えるため、一枚持っておくと便利です。

お布施を袱紗で包む際は、左側を先に折りたたむ「左開き」になるようにします。これは弔事の際の包み方なので、慶事の右開きと間違えないように注意してください。

袱紗から取り出して切手盆に乗せて渡すのが最も丁寧

僧侶にお布施をお渡しする際は、袱紗に包んだまま渡すのではなく、一度取り出してお渡しします。

まず僧侶の前で袱紗を開き、お布施の封筒を取り出します。最も丁寧な渡し方は、取り出したお布施を「切手盆(きってぼん)」と呼ばれる小さなお盆に乗せて差し出す方法です。切手盆がない場合は、たたんだ袱紗の上にお布施を乗せ、それをお盆の代わりにしてお渡ししても構いません。その際、封筒の向きを時計回りに変え、相手から見て表書きが読めるように差し出すのが丁寧です。

渡すタイミングは法要前の挨拶時か終了後のお礼時

お布施をお渡しするタイミングに厳密な決まりはありませんが、一般的には法要が始まる前に挨拶をするときか、終了後にお礼を伝えるときが良いとされています。

法要前であれば、「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶を述べながらお渡しします。法要後であれば、「本日は心のこもったお勤め、誠にありがとうございました」とお礼の言葉とともにお渡しすると良いでしょう。どちらの場合も、他の人の邪魔にならない静かな場所で、僧侶が受け取りやすい状況を見計らってお渡しすることを心がけてください。

【場面別】お布施の金額相場

お布施は僧侶への感謝の気持ちを表すものなので、本来決まった金額はありません。しかし、いくら包めば良いのか悩む方も多いでしょう。ここでは、あくまで目安として、葬儀や法事といった場面ごとの金額相場を紹介します。地域やお寺との関係性によっても変動するため、参考としてご確認ください。

葬儀・告別式:10万円~50万円

葬儀や告別式で僧侶にお渡しするお布施は、10万円から50万円程度が一般的な相場とされています。この金額には、読経料のほかに、故人に授けられる仏式の名前である「戒名(かいみょう)」の位に対するお礼が含まれることが多いです。戒名のランクによって金額は大きく変動します。

また、お寺との付き合いの深さや地域性によっても変わるため、一概には言えません。もし金額に迷う場合は、葬儀社の担当者や、お寺に直接「皆様、おいくらくらい包まれていますか」と尋ねてみても失礼にはあたりません。

法事・法要:1万円~5万円

四十九日や一周忌、三回忌などの法事・法要でのお布施は、1万円から5万円が相場です。これは主に、法要での読経に対するお礼となります。ただし、この金額には交通費や食事代は含まれていない点に注意が必要です。

自宅や斎場など、お寺以外の場所へ僧侶にお越しいただく場合は、お布施とは別に「御車代」として5千円から1万円程度を包みます。また、法要後の会食に僧侶が参加されない場合は、「御膳料」として5千円から1万円程度を別途用意するのがマナーです。これらは別の封筒に入れてお渡ししましょう。

お布施の入れ方でよくある質問

Q. お布施に入れるお札の向きに決まりはありますか?

封筒の表面(「御布施」と書かれた面)にお札の肖像画を向け、さらに肖像画が封筒の開け口側に来るように揃えて入れます。

お悔やみの気持ちを示す香典ではお札を裏側・下向きに入れるため、混同しないように注意しましょう。お布施は僧侶への感謝を示す金銭なので、慶事と同じくお札の顔が見えるように包むと覚えておくと分かりやすいです。

Q. お布施にお金を入れる際、新札じゃないと失礼ですか?

新札を用意するのが丁寧ですが、旧札でも失礼にはあたりません。

お布施は香典と違い、前もって準備するため、綺麗な新札を用意することでより感謝の気持ちを表せます。しかし、新札の準備が間に合わない場合は、手持ちのお札の中からできるだけ折り目や汚れが少ない、綺麗な状態のお札を選んで包めば問題ありません。大切なのは金額や紙幣の状態よりも、心を込めて丁寧に準備する姿勢です。

Q. お寺へのお布施で避けるべき金額はありますか?

お布施の金額に明確な決まりはありませんが、日本では縁起が悪いとされる「忌み数」を避けるのが一般的です。具体的には、「死」を連想させる「4」や、「苦」を連想させる「9」がつく金額は避けた方が無難でしょう。例えば、4万円や9万円といった金額です。

お布施は僧侶への感謝の気持ちを表すものですが、受け取る側への配慮として、こうした慣習を意識することも大切です。金額で迷った際は、4や9を含まない数字を選ぶように心がけると良いでしょう。

お布施の正しい入れ方とマナーで感謝を伝えよう

この記事では、お布施の正しい入れ方について、お札の向きや封筒の選び方、書き方から渡し方のマナーまで、一連の流れを詳しく解説しました。

お布施に入れるお札は肖像画が見えるように表側・上向きに入れ、封筒は白無地のものを選び、濃墨で「御布施」と書くのが基本的な作法です。香典とは異なる点も多いため、注意が必要です。いざという時に慌てないためにも、ぜひこの記事を参考にしてください。

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