神饌(しんせん)について

兵藤 大介【記事監修】
小林憲行

記事監修兵藤 大介

神饌(しんせん)とは、神道において神様に捧げる食事のことです。神様をもてなし感謝の気持ちを伝えると同時に、お下げした食物を人がいただくことで「神人共食」の一体感を得る儀式でもあります。神社に限らず、神饌は家庭の神棚にもお供えされます。ただし、種類や配膳の順序などには決まりがありますので、お供えの際には注意が必要です。ここでは神饌の意味や種類、そして作法について解説するので、今後の参考にご覧ください。

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儀式としての神饌

神饌(しんせん)とは、神様や神棚にお上げする供物のことで、御饌(みけ)とも呼ばれます。西洋の収穫祭と同じく、食物を与えてくださったことを神に感謝する儀式です。日本の神道においては、供えたものを祭りのあとで下げ、みなでいただく「直会(なおらい)」が続くのが特徴です。これは神様と同じものを口にすることで親密さを高め、お神酒に酔って神と一体となることで、より多くの加護や活力を得ることができるとする「神人共食」の思想に基づくものです。

基本的には節目節目の祭事にご馳走が捧げられますが、伊勢神宮のような大きな神社では、365日欠かさず、1日2回ご神饌がお供えされます。このように日常的に神饌が供えられる神社では、境内に神饌を整えるための建物も設けられ、神官が細心の注意をもって調理にあたります。

ここで食材をそのまま供する場合は「生饌(せいせん)」、調理する場合は「熟饌(じゅくせん)」と言い、伊勢神宮や賀茂別雷神社をはじめ、独自のやり方がある神社の場合は「特殊神饌」とも呼ばれます。例えば、お米のまま捧げれば生饌ですが、炊いたり蒸してご飯やお粥にすれば熟饌となります。お酒やお餅なども、米の加工品なので熟饌になります。

家庭での神饌

ご神饌は神道の儀式ですが、家庭に当てはめた場合、むしろ仏壇へのお供えの方が一般的かもしれません。お供えした物は、後で下げて食べるというところにも、神仏をあまり明確に区別しない日本特有の文化が見られます。

神饌の原点は、神様に人と同じものを食べていただくという考えです。新しくご飯を炊いた時や、いただきものをした時、またお酒の封を切った時などは、仏壇の仏様とはまた別に、ご神饌として神棚へ捧げるのが好ましいと言えます。

神饌の種類

明治以降、一般の神社の祭事ではたいてい生饌が供されるようになりました。これは火災を防ぐためで、もともとは熟饌が主流とされていました。家庭では未だに、炊いたご飯やお粥、お餅など、調製された食材が往々にして神饌に供えられます。その場合、湯気が収まったところで神様や祖霊様が召し上がったものとして、お下げして家族でいただくことになります。

ご飯を捧げる時、お粥ならお椀を使いますが、生の米や蒸したものはお皿に盛ります。私たちがふだん食べている炊飯釜で炊いたご飯は、神饌では「強粥(こわがゆ)」に当たるものです。

魚は海魚でも川魚でもかまいませんが、たいていは鯛(たい)や鮭(さけ)、鰤(ぶり)が用いられます。家庭での神饌ならば、ご先祖様のお好みの魚をお供えしても良いでしょう。どの魚にしても、尾頭付きでお出しするのが基本です。

野菜や果物の場合は、カットしたり調理したりはせず、丸ごと生饌として捧げます。ただし、ネギやニンニクといった、においの強い野菜は避けるようにします。また、神饌では野菜のほかに海菜という分類もあります。これは昆布やわかめ、ひじき、海苔、寒天などを指します。海藻そのものではありませんが、鰹節や煮干、スルメなどの乾物も海菜に含まれます。

神饌の配膳

神饌には、種類によって上位下位の序列があります。上から米、酒、餅、魚、鶏卵、海菜、野菜、果物、菓子、塩、水という順番です。これらをすべて揃える必要はなく、用意したものを序列の決まりに従って配膳します。

日常の神饌であれば、米と塩、そして水が最もシンプルな組み合わせとなります。これを三方などの台に乗せ、自分側から見て奥、手前右、手前左の順に配置します。お酒を加える場合は、お米を中央にして、奥に2本1対のお神酒の徳利を並べるのが定型です。

品数を増やす場合は、この定型を真ん中に据え、神饌の順位に従って上位の種類から右・左・右・左と配置します。また、米と酒、塩、水をそれぞれ独立した三方やお盆に乗せる場合は、米を中心に上記の通り右・左と並べます。品数やスペースの都合で前後2列にする場合は、前列(神様側)を並べ終えてから、残った品目のうち最上位のものを後列(自分側)の中央に置き、残りをまた右左と配膳します。

仮にすべての種類を独立した2列で供えると、前列左から、鶏卵、餅、米、酒、魚、そして後列左から塩、果物、海菜、野菜、菓子となります。最後の水は塩と一緒にします。複雑に思われるかもしれませんが、決まりに則ったものなので、慣れれば難しいことはありません。重要なのは、神様やご先祖様に対する感謝の気持ちです。

まとめ

神饌は神道の重要な儀式として、古くから連綿と受け継がれてきました。他方、各家庭においては神棚の減少や仏教との混淆などにより、神饌の文化が薄くなっているのも現状です。これを機会に、ご自宅でも神様やご先祖様にお供えしてみてはいかがでしょうか。神饌の作法や道具について分からないことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

兵藤 大介【記事監修】
兵藤 大介

記事監修兵藤 大介

大学卒業後、広告業界で20年にわたりキャリアを築く。スタートアップの広告代理店立ち上げに参画し、代表取締役を務めた経験も持つ。 2020年、これまでの経験と異なる領域へ挑戦する「キャリアの逆張り」として株式会社鎌倉新書に入社。相続関連の新規事業立ち上げを1年間担当した後、2年間葬祭事業部に従事。その後、事業横断型の営業推進組織の責任者として、広告商品の新規開発や終活領域のデジタル広告運用支援を2年間リードした。 2024年より現職。事業部長として2回目の就任。社内のデータ分析と全国の葬儀社との対話から得られるリアルな現場の声を掛け合わせ、業界が抱える課題の解決に挑んでいる。 主なメディア出演やコメント掲載として、フジテレビ「めざまし8」、テレビ東京「LIFE IS MONEY~世の中お金で見てみよう~」、日本経済新聞がある。

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