喪主が挨拶する主なタイミングは、通夜・告別式・精進落としの3つ。さらに、僧侶の出迎えや見送り、参列者の受付、通夜・告別式の終了、精進落としなど、場面ごとに挨拶しなければなりません。
喪主の挨拶で大切なのは、簡潔な言葉にまとめてゆっくり話すこと。適切な挨拶をすることで、故人が生前お世話になった方々に感謝の気持ちを伝えましょう。
この記事では、喪主が挨拶するタイミングや例文、守るべきマナーを紹介。さらに参列者向けの挨拶例文とマナーも解説します。
目次
タイミング別！通夜・葬儀における喪主挨拶の例文
通夜・葬儀では、喪主が挨拶するタイミングがいくつかあり、それぞれの場面に適した内容を話さなければなりません。挨拶する相手は参列者だけでなく、僧侶も含まれるため注意しましょう。
ここでは、タイミング別に挨拶の例文を紹介します。
僧侶の出迎え
通夜・葬儀に僧侶を招いている場合は、僧侶が会場に到着したとき、出迎えの挨拶が必要です。僧侶は、読経や説法によって故人を供養してくださるため、丁寧に挨拶してきちんと敬意を示してください。
僧侶が通夜・葬儀会場に到着したら、入口や玄関で喪主から挨拶します。足を運んでいただいたことへの感謝を伝え、通夜・葬儀がつつがなく終わるようお願いしましょう。
僧侶を出迎えるときの挨拶例文
お忙しい中お越しいただき、心より感謝いたします。
本日は、どうぞよろしくお願いします。
葬儀（または通夜、告別式）は予定どおり、定刻にて開始いたします。
開式まで時間がありますので、しばらくお休みください。
この度はご足労いただきまして、感謝いたします。
なにぶん不慣れなため、ご指導いただけますと幸いでございます。
開始時刻になりましたら、改めてお迎えに参ります。
僧侶の見送り
通夜・葬儀が終わり、僧侶を見送るときも喪主から挨拶します。
僧侶を見送るときの挨拶では、故人を供養していただいたお礼や式典を無事に終えられた感謝を述べましょう。また、お見送りのタイミングでお布施を渡すなら、差し出すときに一言添えるのがマナーです。
僧侶を見送るときの挨拶例文
お忙しい中、丁寧にお勤めいただき、深く感謝いたします。
おかげさまで無事に葬儀を執り行えました。
ささやかですが、どうぞお納めください。
この度の葬儀では、お経とご法話をいただき、ありがとうございました。
おかげさまで無事に葬儀を終えられ、故人も安らかに眠りについたと思います。
心ばかりのお礼でございますが、どうぞお納めください。
通夜・葬儀の受付
通夜・葬儀の受付で来場した参列者に、挨拶をして感謝を示すのも喪主の大切な務め。参列者は故人のために時間を割いて式典に訪れています。喪主や遺族は、挨拶を通して参列者にお礼を伝えるのが礼儀です。
ただし、葬儀当日の喪主は打ち合わせや僧侶の対応で忙しく、1人ずつ会話する余裕がないかもしれません。感謝の言葉はできるだけ簡潔にして、まとめて伝えるのが大切です。
通夜・葬儀で受付するときの挨拶例文
本日はお忙しい中、〇〇の葬儀にご参列いただき、厚くお礼申し上げます。
皆様のお気持ちを、故人も嬉しく思っていると存じます。
本日はご足労いただきありがとうございます。
生前は〇〇（故人）が大変お世話になりました。
通夜の終了
通夜終了の挨拶では、改めて喪主から参列者にお礼の気持ちを述べましょう。また、あわせて通夜振る舞いや葬儀・告別式の案内をします。
通夜振る舞いとは、通夜の後に開催される会食で、来ていただいた僧侶や参列者を喪主がもてなす場です。式典中に喪主が参列者と話すのは難しいですが、通夜振る舞いならしっかり時間をかけてお礼を伝えられます。
通夜終了時の挨拶例文
本日はご多忙のところご参列いただきまして、心よりお礼を申し上げます。
皆様からいただいたご厚情に対し、深く感謝しております。
なお、明日の葬儀は〇時より〇にて執り行う予定です。
この後、ささやかながら別席を設けております。
皆様にお集まりいただき、食事をともにしながら故人を偲んでいただければ幸いです。
本日は、誠にありがとうございました。
告別式の終了
告別式終了の挨拶は、参列者に対する感謝と故人への思いを伝える重要な挨拶。まず参列に対するお礼を述べ、故人の生前の思い出や最期の様子を話し、最後に変わらぬご支援をいただけるようお願いするのが一般的な流れです。
故人との生前のご縁や告別式への参列に感謝し、参列者とのつながりを深めるような挨拶にしましょう。
告別式終了時の挨拶例文
本日はお忙しい中、〇〇の葬儀にご参列いただき、心よりお礼申し上げます。
〇〇は〇月〇日の〇時頃、息を引き取りました。
〇〇歳と大往生で、最期は眠るように安らかな表情でした。
生前いただいたご厚情につきましては、亡き〇〇に代わりまして厚くお礼を申し上げますとともに、
〇〇亡き後も、変わらぬご指導・ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。
本日はご参列いただき、誠にありがとうございました。
精進落としの献杯
葬儀後の精進落としでは、開始前に喪主が献杯の挨拶をするのが一般的。献杯とは、故人に敬意を示して杯をささげることで、食事会の場を盛り上げる乾杯とは異なります。
献杯の挨拶では、僧侶や参列者に無事に葬儀を終えられたことに対する感謝を伝えましょう。また、喪主以外の遺族や故人の友人・知人が献杯の挨拶をするときは、冒頭で故人との関係性を述べてください。
精進落としのときの挨拶例文
本日はご多用の中、〇〇の葬儀にご参列いただき、心よりお礼申し上げます。
おかげさまで滞りなく葬儀・告別式を終えられ、故人も喜んでいると思います。
ささやかではございますが、お席を設けさせていただきました。
どうぞごゆっくりお過ごしください。
精進落としの終了
精進落としを終え、散会するタイミングは、一連の弔事で参列者に感謝を述べる最後の場面です。精進落としの終わりを告げると同時に、参列者に今一度丁寧に感謝を伝えましょう。
また、次の法要が決まっている場合は、日時や場所を案内しても問題ありません。
精進落としの終了時の挨拶例文
本日は誠にありがとうございました。
皆様の温かいお見送りにより、〇〇も大変喜んでいることと思います。
遺族一同、心から感謝申し上げます。
時間となりましたので、本日はここで終了とさせていただきます。
本日は長い間ご列席いただきまして、ありがとうございました。
葬儀で喪主が挨拶できない場合は？親族代表が対応
大切な人を失った悲しみで、喪主が心身を憔悴してしまい、挨拶できない場合もあります。
喪主が挨拶できないときは、代わりに親族が挨拶するのが一般的。喪主による挨拶は、関係者へのお礼や敬意を示すことが目的なので、喪主でなくても構いません。喪主が挨拶するのが難しい場合は、遺族が手分けをしたり代表者を立てたりして、僧侶や参列者に感謝を伝えましょう。
親族代表の挨拶の例文
喪主の代わりに親族が挨拶するときは、基本的に喪主による挨拶と同じで構いません。ただし、聞き手が話し手を把握できるよう、自己紹介や故人・喪主との関係性、喪主の代わりに挨拶するお詫びを、最初に説明してください。
的確な説明をしたうえで挨拶することで、僧侶や参列者に余計な心配をかけないで済みます。
親族代表の挨拶例文
喪主に代わり、親族代表としてご挨拶させていただきます。
私は〇〇の〇〇（故人との間柄）にあたる〇〇（名前）と申します。
皆様の温かいご支援により、無事に葬儀を終えられました。
故人の思い出を大切にしながら、親族一同、力を合わせてまいります。
今後ともどうぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。
葬儀で挨拶するときの3つのマナー
通夜・葬儀の挨拶では、聞き手に対して失礼にならないよう、マナーに沿った対応が必要です。葬儀の場にふさわしくない態度や内容だと、たとえ時間をかけて準備しても、聞き手に真意が伝わりません。
故人への敬意や参列者への感謝を適切に伝えられるよう、最低限のマナーを押さえておきましょう。
簡潔にゆっくり話す
葬儀での挨拶では、聞き手に配慮して、内容を簡潔にした上でゆっくりと話しましょう。
長話は聞き手の負担になるため、要点を整理してシンプルな言葉にまとめます。また、参列者が聞き取りやすいよう、ゆっくりとしたペースで丁寧に発音してください。聞き手も理解しやすく、丁寧な印象を与えられます。
メモや原稿を見て話す
葬儀・告別式の終わりにある喪主挨拶では、メモや原稿を手元に用意し、見ながら話しても無礼には当たりません。事前に挨拶内容をメモ・原稿に書き起こしておけば、暗記する手間も省け、誤った内容を話す危険性も防げます。
ただし、スマートフォンや携帯電話を見ながら話すのは失礼なので、必ず紙の原稿を用意しましょう。
忌み言葉を使わない
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 不吉なことを連想させる言葉 | 苦しい・浮かばれない・迷う |
| 繰り返しを連想させる言葉 | 重ねかさね・度々・次々・再び |
| 生死を直接的に連想させる言葉 | 4（死）・9（苦）・死亡 |
喪主挨拶では、生死や不吉なことを連想させる忌み言葉を避けるのがマナーです。通夜・葬儀における挨拶では、忌み言葉が含まれないよう言葉選びに配慮してください。
» 忌み言葉とは？葬儀で避けたいNGワードと言い換え、挨拶例文
【参列者向け】通夜・葬儀におけるお悔やみ挨拶の例文
葬儀に参列するときは、お悔やみの言葉によって、故人への哀悼と喪主・遺族への慰めを端的に伝えましょう。喪主は、式典の準備や僧侶の対応で忙しいため、参列者1人あたりにかけられる時間が限られています。そのため、参列者から喪主への挨拶は簡潔な言葉で伝えるのが望ましいです。
参列者から喪主への挨拶例文
この度はご愁傷様でございます。
心よりお悔やみ申し上げます。
お辛い時期ですが、どうかご無理なさらず、お体を大切にしてください。
» 「お悔やみ申し上げます/ご愁傷様です」お悔やみの言葉の意味と使い方
【参列者向け】通夜・葬儀で挨拶するときのマナー
参列者が喪主・遺族に挨拶するときは、マナーに沿った対応が求められます。喪主・遺族とふだんから交流があったとしても、葬儀当日は多忙で、普段どおり会話するのが難しいかもしれません。参列者として挨拶するときは、喪主・遺族の状況や心情をおもんぱかりましょう。
手短に話す
参列者が喪主に挨拶するときは、手短に話すことが大切。できるだけ短い言葉で、故人への弔意と遺族への慰めを伝えましょう。
喪主は式典の準備を進めながら、多くの参列者を対応する必要があるため、1人あたりにかけられる時間が短いです。簡潔な言葉でお悔やみの気持ちを伝えることで、喪主の負担を減らしつつ、思いやりを示せます。
死因には触れない
喪主・遺族に挨拶するときは、故人の死因に触れないのがマナー。参列者が挨拶で死因に触れると、遺族の悲しみを深めてしまう恐れがあります。
そのため、遺族へ挨拶する際には、死因に関連する話題は避け、故人への弔意と遺族をいたわる言葉にとどめるのが適切です。通夜・葬儀では、遺族の心情に配慮した言葉を選びましょう。
マナーを守った挨拶で葬儀参列者に感謝を伝えましょう
葬儀での挨拶は、招いた僧侶や参列者に対してお礼を伝える大切なものです。
挨拶する場面によって内容は変わりますが、いずれも簡潔にまとめた言葉で、ゆっくり話すことが求められます。また、喪主の代わりに親族代表として挨拶する場合は、故人との間柄や自己紹介から話し始めてください。遺族の代表としてマナーを守った挨拶を心がけ、葬儀参列者に感謝を伝えましょう。