葬儀費用は分割払いできる?ローン払いする方法と注意点を解説

小林憲行【記事監修】
小林憲行

記事監修小林憲行

葬儀費用は分割払いできる?ローン払いする方法と注意点を解説
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  • 葬儀費用の現金払いが難しい場合は分割払い・ローン払いが活用できる
  • 葬儀費用の分割払いを利用すると一時的に自分にかかる金銭的負担を減らせる
  • 葬儀費用を分割払いするときは、返済計画や支払い上限額などに注意が必要

葬儀は事前に日程を決められないため、状況やタイミングによっては葬儀費用を現金一括で支払えないかもしれません。車や住宅のローンのように葬儀費用の分割払いができれば、貯蓄が足りない、現金を残しておきたい、豪華な葬儀を執り行いたいといった問題を解決できます。

この記事では、葬儀費用の分割払いは可能なのか、具体的にどのような方法があるのか解説します。葬儀費用の分割払いを希望している方は、ぜひ参考にしてください。

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葬儀費用の分割払いは可能なの?

まず結論からお伝えすると、葬儀費用の分割払いは可能です。

ただし、分割払いに対応している葬儀社に限定されるので注意が必要。葬儀費用を捻出できない可能性がある場合は、葬儀を依頼する前に「分割払いできるか」「どのような支払い方法があるか」を葬儀社に確認しておきましょう。

ちなみに分割払い以外にも、故人の資産から支払う・香典を活用する・遺族で費用を分担するといった方法で、葬儀費用を捻出する方法もあります。

葬儀にかかる費用相場はどのくらい?

2024年基本料金飲食費返礼品費総額
全体75.7万円20.7万円22.0万円118.5万円
出典:第6回お葬式に関する全国調査(2024年/鎌倉新書)
  • 基本料金:斎場利用料・火葬料・祭壇・棺・遺影・搬送費など、葬儀を行うための一式
  • 飲食費:通夜振る舞い・精進落としなどの飲食*
  • 返礼品費:香典に対するお礼の品物*
  • 葬儀費用の総額:基本料金・飲食費・返礼品費の合計金額(お布施は含まない)

*飲食費・返礼品費はひとり当たりにかかる費用のため、参列人数に比例して変動します

全国の葬儀費用の平均相場は118.5万円。(第6回お葬式に関する全国調査調べ)
内訳は、葬儀一式にかかる基本料金が75.7万円、会食やおもてなしの飲食費が20.7万円、会葬者へお渡しする返礼品費が22.0万円です。

葬儀費用は、一括で支払うには比較的大きな金額です。葬儀費用を少しでも安くおさえたいなら、葬儀プランや会場の規模を見直したり、複数の葬儀社の見積もりを比較したりするのがおすすめです。

葬儀費用の支払いのタイミングはいつ?

葬儀費用の支払いのタイミングは、葬儀が終了してから1週間から10日以内が多いです。また葬儀社によっては、前金・内金などで葬儀の前に葬儀費用の一部を支払わなければなりません。

一方で、すぐに大金を支払えない方に向けて、分割払いに対応してくれたり死亡保険金が保険会社から支払われるまで待ってくれたりする葬儀社もあります。

葬儀費用の分割払いの方法

葬儀費用の分割払いの方法
  • 葬儀ローン
  • クレジットカードの分割払い
  • 金融機関のフリーローン・カードローン
  • 葬儀社へ直接分割払い

葬儀費用を分割で支払う主な方法は、こちらの4つ。

ただし、すべての葬儀社が4つの方法に対応しているわけではありません。葬儀費用の分割払いを希望するなら、葬儀を依頼する葬儀社に分割払いの方法を確認してください。

葬儀ローン

規模の大きな葬儀社は、葬儀ローンを扱っていることが多いです。

葬儀ローンは、電話や対面で申し込み、書面で契約を締結するのが基本。信販会社の葬儀ローン審査を通過すれば、葬儀費用を分割払いで支払えます。即日で審査結果を伝えてくれる葬儀社もあるので、すぐに葬儀を行う必要があっても安心でしょう。支払い回数は一般的に最長36回までで、自分の支払い能力に合わせて選択が可能です。

ただし葬儀ローンは、実質年利7〜10%で金利がかかるため、実際にかかった費用より支払い総額が多くなってしまいます。月々の支払いが大変になる可能性があるので、無理のない支払額であるかどうかを確かめてから利用しましょう。

クレジットカードの分割払い

葬儀社によってはクレジットカードでの分割払いに対応しています。葬儀ローンは信販会社への申し込みが必要ですが、クレジットカードの分割払いならカードさえ持っていればすぐに決済可能です。

クレジットカードによる葬儀費用の分割払いは、気軽に利用でき、カードのポイントも獲得できます。葬儀社によってはPayPayでの支払いにも対応しているので、よりお得なポイント還元を受けられる可能性もあります。

しかし、葬儀費用がクレジットカードの上限額を超えると利用できません。普段からクレジットカードを使っている場合、葬儀費用の支払いによってカードの利用額に制限がかかるリスクがあります。また、葬儀社がクレジットカード払いに対応していないと利用できないので、事前確認は必須です。

金融機関のフリーローン・カードローン

金融機関のフリーローンや消費者金融のカードローンを使って、葬儀費用を支払う方法もあります。金融機関にはフリーローンの他に多目的ローンがあり、葬儀費用の分割払いも可能。また、消費者金融のカードローンは、用途を問わず利用できるサービスが多いです。

金融機関のフリーローンは、金利が安く、葬儀社と提携していなくても好きな金融機関を選べます。ただ電話申込には対応しておらず、契約時は店舗に出向かなければなりません。また、審査にも時間がかかります。

消費者金融のカードローンは、短時間の審査でお金を借りることが可能です。しかし金利が高いカードローンが多いため、後々支払いが苦しくなる恐れがあります。

葬儀社へ直接分割払い

突然のご逝去だと、急に葬儀費用が必要になり、出費が重なったりお金を捻出できなかったりするご遺族は多いです。そのような遺族の気持ちに寄り添うため、独自の分割払いに対応してくれる葬儀社もあります。遺族と毎月の支払い日、月々の支払額、支払い回数などを時間をかけて話し合い、双方が納得した形で分割払いにするのが一般的です。

葬儀社独自の分割払いは昔からある方法ですが、全国の葬儀社が行っているわけではありません。葬儀社の直接分割払いができるかどうかは、葬儀を依頼する前に確認しましょう。

葬儀費用を分割払いするメリット

  • 一時的に負担を減らせる
  • 頭金・支払い金額・回数を選べる
  • オプションサービスの利用ができる
  • ポイントが付く場合もある

葬儀費用の分割払いをする場合のメリットは、こちらの4つです。

一時的に負担を減らせる

葬儀費用を分割払いにすることで、急な出費による金銭的負担を一時的に減らせます

例えば、家や車の購入などの大きな買い物を予定していて現金一括払いを避けたかったり、葬儀費用を支払う現金が足りなかったりするご家庭もあるでしょう。分割での後払いを利用することで、大きな負担がのしかかることなく葬儀費用を支払えます。

頭金・支払い金額・回数を選べる

葬儀ローンやクレジットカードのような分割払いは、都合に合わせて支払い回数を選べます。いくらか頭金を支払い、残りはローンやクレジットカードで支払うなど、支払い計画を自分で立てることが可能です。

オプションサービスの利用ができる

「棺や斎場のグレードを上げたい」「参列者の人数を増やしたい」などの希望から、追加でオプション費用が必要な場合にも、分割払いは有効です。

現金一括払いだと手元の資金が十分になく、オプションを諦めるご遺族もいらっしゃいます。分割払いを利用すれば、オプションをつけて、故人または遺族の希望通りの葬儀を実現することも可能です。

ポイントが付く場合もある

クレジットカード払いの場合、ポイント還元を受けられます。例えば、ポイント付与率1%のクレジットカードで葬儀費用50万円を支払った場合、約5,000円分のポイントが付与されるケースも。ポイント還元を受けることで、お得に葬儀費用を支払えます。

葬儀費用を分割払いするデメリット

  • 分割手数料・利息が発生する
  • トータルコストが高くなる
  • 完済まで継続的に返済が続く
  • ローン審査に時間がかかる

葬儀費用を分割払いするデメリットは、こちらの4つです。

分割手数料・利息が発生する

葬儀費用を分割払いをすると、分割手数料や利息を支払わなければなりません。そのため、実際に葬儀費用でかかる金額よりも支払い総額が増えてしまいます。分割払いの期間が長く、支払い金額が大きいほど、支払い総額も増えるため、注意が必要です。

低金利のローンやクレジットカードを利用したり、分割払い期間を短くしたりすることで、支払い総額を減らせます。繰上げ返済も、支払い総額を減らすには有効な方法です。

トータルコストが高くなる

分割払いでは毎月決まった金額を支払いますが、金額には利息が含まれています。毎月利息を支払うため、トータルで支払うコストが葬儀費用より高くなります

利息を支払わなければならないため、現金一括払いより金銭的な負担が大きいです。トータルコストが高くならないようにしたいなら、利息を支払わなくて済む現金一括払いにするか、葬儀社と相談し後払いにできないか交渉するのもひとつの方法です。

完済まで継続的に返済が続く

葬儀費用を分割払いにすると一時的に金銭的負担を減らせますが、毎月決まった金額のローン返済が完済まで継続します。生活上の急な出費があったとき、ローン返済が苦痛に感じるかもしれません。

ローンやクレジットカードでの葬儀費用の分割払いを検討するときは、毎月の返済が負担にならないように、無理のない返済計画を立てましょう

ローン審査に時間がかかる

金融機関のローンや葬儀ローンは、ローン審査に時間がかかります。葬儀ローンは即日審査結果が出ることもありますが、金融機は即日結果が出ないかもしれません。審査の時間がかかってしまうと、葬儀社への支払い期限に間に合わない可能性が出てきます。

葬儀社へ早く支払いを済ませたいなら、クレジットカードを利用したり、葬儀社に事情を話して支払い期限を延長してもらえないか相談したりと、対策をとる必要があります。

葬儀費用の分割払いをする際の注意点

  • 無理のない返済計画にする
  • クレジットカード・カードローンには上限額がある
  • 分割できない費用もある

葬儀費用の分割払いは、手元の貯蓄では葬儀費用が足りない場合、生活のために現金を残しておきたい場合などに有効です。しかし、葬儀費用を分割で支払うときには、いくつか注意点があります。

ここでは、葬儀費用の分割払いをする際の注意点を解説していきます。

無理のない返済計画にする

葬儀費用の分割払いをするなら、無理のない返済計画になっているか確かめましょう。早くローンを完済したいからといって、無理なローン返済計画を立てていると毎月の生活が苦しくなってしまいます。車のローンやマイホームのローンなど他の返済が重なっていると、支払いはさらに大変です。

生活費や他のローン金額を確認して、いくらまでなら大きな負担なく支払えるか、シミュレーションした上で返済計画を立てましょう。

クレジットカード・カードローンには上限額がある

クレジットカードやカードローンを使うときは、利用上限額に問題がないか確認してください。葬儀費用がカードの利用額以上だと、当然ですがクレジットカードもカードローンも使用できません。

葬儀費用がカードの上限額を超えるなら、頭金を多めに支払ったり、葬儀費用を安くおさえたりする必要があります。また、普段使いのクレジットカードを利用する場合、生活品の購入や生活費の支払いが不便になる可能性もあるため要注意です。

分割払いできない費用もある

葬儀費用の中には、分割払いに対応できない費用もあります。例えば、僧侶へのお布施や火葬料、心づけは現金払いが基本です。

葬儀をするときは、どの費用ならローンやクレジットカードを利用できるのか、どの費用は現金払いになるのかを事前に確かめておくと安心でしょう。

葬儀費用の分割払いができない時の対処法

  • 費用を抑えて現金一括で支払う
  • 故人の死亡保険金・補助金・助成金から支払う
  • 弔問客からの香典から支払う

クレジットカードの上限額をオーバーしたり、葬儀ローンやフリーローンの審査に落ちたりして、葬儀費用の分割払いができなくなるかもしれません。

ここでは、葬儀費用の分割払いができない時の対処法を紹介します。

費用を抑えて現金一括で支払う

1つ目の方法は、葬儀費用を見直して安いプランに変更したり、安い斎場に変更したりして、現金一括で支払える金額まで費用をおさえることです。

手持ちの資金や故人の遺産から支払える金額を確かめて、ローンやクレジットカードを使わず一括で支払えば、後々の返済計画を考える必要はありません

公営の火葬場の利用や、市民葬・区民葬での葬式であれば、安く葬儀ができる可能性もあります。費用をどうやっておさえればいいか悩む方は、葬儀社にも相談してみてください。

故人の死亡保険金・補助金・助成金から支払う

故人の死亡保険金があれば、葬儀費用にあてることもできます。ただし、死亡保険金が保険会社から支払われるタイミングは葬儀の後です。一時的に葬儀費用を立て替えなければならない可能性があるため、確認しておきましょう。

また、補助金や助成金を利用することも可能です。国民健康保険や後期高齢者医療保険、社会保険の被保険者が亡くなったときに支払われる給付金制度が該当します。これらは、葬儀・埋葬を行った方の費用負担を軽減するために、お住まいの自治体や会社から支給される制度です。手続き方法は自治体によって異なるため、申請する自治体に手続き方法や必要書類を確認してください。

他にも、故人が国家公務員共済組合に加入していた場合は埋葬料が給付されたり、生活保護者の葬儀であれば実質負担が0円になったりするなど、葬儀をする方の金銭的負担を軽減できる制度があります。葬儀費用の捻出に困った場合は、自治体に利用できる制度がないかを確認してみるのも良いでしょう。

弔問客からの香典から支払う

お通夜や葬儀の際に弔問客からいただく香典を、葬儀費用の一部として使用する方法もあります。

ただし香典をいただいた参列者には、「香典返し」として、香典金額の半分~3分の1の品物をお返ししなければなりません。すべての葬儀費用を賄うのは難しいですが、香典を上手に活用することで負担を減らせます。

葬儀費用の分割払いがおすすめの人

  • 故人の遺産から葬儀費用が賄えない人
  • 親族で捻出するのが難しい人
  • 手持ちの資金以上の葬式を行いたい人

葬儀費用の分割払いに向いている人は、こちら。該当するなら、葬儀費用の分割払いを検討してみるのがおすすめです。

故人の遺産から葬儀費用が賄えない人

故人の遺産から葬儀費用を賄えない方は、分割払いの利用がおすすめ。家族が亡くなると、故人の医療費や香典返し、墓石、仏壇、葬儀後の法要など、葬儀費用以外にもさまざまな支払いが必要です。

出費を故人の遺産から賄えればよいですが、すべて賄えないかもしれません。また、故人の遺産を相続前に勝手に使うと、相続争いに発展する恐れも。そもそも、全相続人から遺産の利用許可を貰えないご家庭もあるでしょう。無理に故人の遺産を使わず、葬儀費用を分割払いにすると、トラブルを未然に防げます。

親族で捻出するのが難しい人

喪主・施主に資金がなくても、親族で負担を分配して盛大な葬儀をできれば理想的です。しかし、頼れる親族がいなかったり、遺産相続の関係でお金の貸し借りが難しかったりと、親族で葬儀費用を捻出するのが難しい方もいるでしょう。

親族での葬儀費用の捻出が難しい場合、ローンやクレジットカードで葬儀費用を分割払いするのもおすすめです。

手持ち資金以上の葬式を行いたい人

大切な故人のために、寂しい葬儀をしたくないと考えるご遺族は少なくありません。手持ちの資金で希望の葬儀ができない場合は、葬儀ローンやクレジットカードで葬儀費用を分割払いして豪華な葬儀をするのもよいでしょう。

ただし、葬儀が終わった後、継続的に返済をしなければなりません。自分の支払い能力以上の葬儀を執り行うと、後々の支払いで生活が苦しくなる恐れもあります。故人のために豪華な葬儀をしたいという気持ちを大切にしながら、後々の生活にかかる負担も考えた上で葬儀プランを選ぶのが重要です。

葬儀費用の分割払いは無理のない範囲で利用しよう

葬儀費用は、葬儀ローンやクレジットカード、金融機関のフリーローンを利用することで分割払いも可能です。しかし、分割払いは手数料や利息がかかるため、現金一括で支払うよりもトータルコストが高くなります。また、月々の返済計画も慎重に考えないと、後々の生活に負担がかかります。

葬儀費用を安くおさえたり、一部を現金で支払ったりする方法も視野にいれながら、無理のない返済計画を立てて分割払いを選択しましょう。

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