もしも家族が余命宣告を受けたら

2018年3月24日

余命宣告は、それを受けた本人はもちろん、その家族にも大きなショックを与えます。茫然自失となり、どうすればいいのかわからないということもあるでしょう。

そういったときは患者本人に対しては、無理に言葉をかけず、むしろ聞き役に徹したほうが良いこともあります。まずは本人が落ち着くのを待ってあげてください。

そのうえで、患者本人の余生のためにできることを探して行動に移すことが大切です。

余命宣告とは、お医者さんから「あなたの余命は後◯ヵ月」などと告げられることです。

しかし、その本当の意味を知る人はかなり少ないようです。これは患者側の知識不足とお医者さんの説明不足に原因があります。

余命宣告における余命とは、過去のデータから導き出された予測値です。「この症状の患者さんは、大体◯ヵ月後に亡くなった」という傾向に過ぎません。

例えば余命3ヵ月と宣告された場合、余命宣告から3ヵ月程度で亡くなる患者さんが多かったという意味であって、それ未満の生存を保証するわけでも、宣告以上に生きられないと決定するわけでもありません。

また、余命宣告で宣告される期間はデータの中央値であり、平均値ではありません。平均値を使わないのには理由があります。

仮に5人の患者がいて、1人が1年で亡くなり、他の4人が2ヵ月で亡くなったとします。

このときの5人の余命の平均値を求めると、12ヵ月+2ヵ月×4=20ヵ月を5で割って4ヵ月となります。しかし5人中4人は4ヵ月どころか2ヵ月しか生きられませんでした。

このように、平均値を使うと計算で求めた値と実情が乖離(かいり)してしまうことが考えられます。こういったことを避けるために、余命宣告では平均値ではなく中央値を使います。

なお、告げられた余命の期間が短ければ実際の寿命との差は小さくなり、反対に余命の期間が長ければ実際の寿命との誤差が大きくなる傾向があります。

「余命宣告で告げられた余命は絶対ではない」と理解してください。宣告された余命より早く亡くなるか、それよりもっと長生きするかは誰にもわからないのです。

もしも家族が余命宣告を受けたら

もしも家族の誰かが余命宣告を受けたら、おそらく家族全体が深い衝撃を受けることでしょう。

しかし余命宣告を受けたということは、人生の残り時間がそれなりに少ないということです。その期間をどう過ごすか決めなければいけません。

ここからは、家族が余命宣告を受けたときに何をすればいいのか、どのような心構えで過ごせばいいのかを考えていきます。

病気の原因と治療法を正しく知り、納得のいく選択をする

差し当たって決めなければいけないのは医療との関わりです。

余命宣告を受けたということは、医師との関わりがあるはずです。多くの場合、余命宣告と同時に、医師からその後の治療をどうするのか決めるように促され、考える時間が与えられます。

治療方法を決めるにあたっては、医師の方から病気の原因、今度どのように病気が進行していくか、どのような治療方法があるのかなどの説明があると思います。まずは医師の説明をよく聞きましょう。

医師の説明を聞いたら、余命宣告を受けた本人とその家族で、どのようにするか相談します。

大まかな方針として、「完治を目指す」か「延命治療を行う」か「緩和ケアを行うか」に分かれるのではないでしょうか。

完治を目指す場合、さまざまな方法で病気の原因を取り除くことになります。外科手術や投薬のほか、がんの場合は放射線治療などを試します。

外科手術による身体への負担、投薬による副作用、医療に必要な費用などを考えると、身体的にも金銭的にも苦しい道となることもあります。さらに、余生の多くを病院で過ごすことになる可能性もあるということも考慮する必要があります。

次に、延命治療を行う場合のことを考えてみましょう。

延命治療は病気の完治または根治を目指すのではなく、寿命を伸ばすことを目指した治療です。「数ヵ月後に結婚する自分の子の結婚式に参加したい」「もう少しで生まれてくる孫の顔をみたい」など、何らかの理由で一定期間長生きをしたい人は、延命治療を選択するといいかもしれません。

延命治療の場合も、投薬による副作用があるかもしれませんし、外科手術が必要かもしれません。病院で過ごすばかりの余生が待っている可能性もあります。

最後に、緩和ケアを受ける場合のことを考えてみます。

緩和ケアとは、病気の完治や延命を目指すのではなく、病気による苦痛を少なくして穏やかな死に向かうように努める治療です。

病気の苦しみから解放されるので日々の生活が楽になりますし、入院せずに自宅で余生を過ごせるかもしれません。容態によっては旅行などで思い出づくりも可能です。

どの場合もあらかじめ医師と相談し、どのような治療が行われるのか、その結果どうなるのか、苦痛はどの程度なのかを確認します。

そのうえで家族全員が話し合い、どの方法を選ぶか決めるようにしましょう。

余命宣告を受けたときの心構え

家族の余命宣告を受けたときは大変ショックだと思いますが、まずは気を強く持ってください。一時的に混乱することもあるかもしれませんが、問題はありません。落ち着いて、正常な判断ができる状態になってから今後のことを考えましょう。

心構えとしては、どうして病気になったのか、なぜよりによって自分の家族が余命宣告をうけなければならないのかなど運命を悲観したり後悔したりするのではなく、今後家族とどのように寄り添って生きていくのか、どうすれば一緒に充実した時間を過ごせるのかなどを考えるようにすることで、気持ちが変わることもあります。

また、余命宣告は患者本人に行われるとは限りません。以前に比べ、最近では少なくなったようですが、状況によっては、患者のいないところで家族だけが余命宣告を受けることもあります。

余命宣告を患者本人に伝えない場合、内緒にし続けなければならないことになりますし、患者本人が自分の余命を知らずに過ごすことになります。後になって「あれをしておけばよかった」「これをしておけばよかった」と後悔するかもしれないので、そういったことがないように導いてあげる必要があります。

気をつけたい言葉とかけてあげたい言葉

気をつけるべきことは、軽率な励ましをしないということです。良かれと思った言葉でも、患者本人を却って傷つけることがあります。

「がんばってね」「今日は顔色が良いね」「もしかしたら治るかもね」などの言葉でも、患者からしてみたら「お前になにがわかる!」という気持ちになるかもしれません。

また、患者さんは将来を悲観して否定的な言葉を使うことが多くなります。精神的に後ろ向きになることもあるでしょう。

そういった場合でも「前向きになろう」などと言うより、むしろ「つらかったね」などと共感してあげたり、一緒に泣いてあげたりした方が気を楽にしてもらえる可能性があります。

無理に言葉をかけないという選択肢もあります。

余命宣告されたらやるべき準備とは

ここからは、余命宣告を受けた後にやるべきことを紹介していきます。

保険会社に連絡し、保険の内容を確認する

もしもの時に備えて、保険の契約をしている場合には、保険会社に連絡し、契約の内容について確認します。

例えば、余命6ヵ月以内と宣告を受けたときに死亡保険金の一部を存命中に受け取れる特約などを契約していることもあります。保険金の支払いを受けることで、治療の可能性が広がったり、これから先の人生を充実させることに使えるかもしれません。

相続の準備

相続トラブルを防ぐため、可能であれば財産を確認し、誰に何を相続させるのか本人の意思を確認しておくといいでしょう。遺言の形で残しておくことがおすすめです。

相続財産の目録を作成し、借金があればその額を整理します。

事業を行っている場合は財産確認が大変なので、状況に応じて弁護士、税理士、行政書士などに依頼しても構いません。

葬儀の準備

お葬式をどのようにするかを決めます。

葬儀の形式、規模、コストなどを考えて、可能であれば複数の葬儀社から見積りをとって比較検討します。

また、臨終時に連絡したい人のリストを作っておくのもおすすめです。臨終を迎えたときに考えなければならない負担が減ります。

そのほか、やっておくと後々よかったと思えること

葬儀を経験した方のお話を伺っていると、意外とあるのが故人と一緒に写真を撮っておけばよかったということです。

特に男性の場合、男親と一緒に写した写真が極端に少ないことも多々あります。恥ずかしがらずに、ツーショットの写真などを撮っておくと、後々、いい思い出になるようです。

まとめ

余命宣告を受けたときは大変ショックだと思いますが、医療のことや今後の過ごし方、相続のことや葬儀のことなど、余命宣告を受けた後に考えるべきことはたくさんあります。

つらいこととは思いますが、心を強く持って患者本人の心に寄り添いながら、余命宣告を受けた家族がよりよい余生を送れるように配慮して、最期のときに向けた準備を行ってください。

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