余命宣告を受けたらどう過ごす?家族の心構えやすべき準備を解説

余命宣告を受けた時にやるべきこと
記事を先読み
  • 余命宣告とは、病状から判断した寿命を医師から告げられること
  • 余命宣告の期間は統計上の予測値であって、絶対とはいえない
  • 余命宣告を受けたら今後の医療方針や過ごし方を決め、終活の準備をする

余命宣告とは、病状から判断した残りの寿命を医師から告げられること。余命宣告された本人はもちろん、家族も悲しみや怒り、後悔など、さまざまな感情を乗り越えなければなりません。

この記事では、余命宣告を受けたときの過ごし方や心構え、やるべき準備などを解説します。

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余命宣告とは

余命宣告の意味の説明

余命宣告とは、お医者さんから「あなたの余命は後◯ヵ月」などと告げられること。

余命宣告における余命は、過去のデータから導き出された予測値です。「この症状の患者さんは、大体◯ヵ月後に亡くなった」という傾向にしか過ぎません。たとえば「余命3ヵ月」と宣告されたなら、「余命宣告から3ヵ月程度で亡くなる患者さんが多かった」という意味。宣告した生存を保証するわけでも、宣告以上に生きられないと決定するわけでもないのです。

実際に、病状や医師の考え方によって余命宣告の仕方は異なります。「半年」とか「1年」といった告げ方もあれば、「何年〜何年くらい」と幅を持たせる場合もあります。いずれの場合も、余命宣告で告げられる余命は絶対ではありません。宣告された余命より早く亡くなるか、それよりもっと長生きするかは誰にもわからないのです。

余命宣告される病気

余命宣告を受ける病気で、もっとも代表的なのはがん
その他、白血病やくも膜下出血、脳梗塞なども余命宣告を受ける場合があります。

余命はいつどうやってわかる?

がんを例にすると、「標準治療でがんを治療できなかったとき」に余命を告げられる患者さんが多いようです。

がんの標準治療とは、「手術」「抗がん剤」「放射線治療」の3つ。標準治療を試したものの、がんが小さくならなかったり、患者さんの体力が持たなかったり…。手を尽くしたうえで、やむを得ず余命を宣告する医師がほとんどです。

ただ基本的に医師は、標準治療の範囲内で判断しています。保険適用外になりますが、先進医療や自由診療など、別の治療方法があるかもしれないのです。可能性が残っているにも関わらず、医師から余命宣告されることで治療を諦めてしまう患者さんも少なくありません。

余命宣告で生きられる期間

余命宣告で余命として宣告される期間は、「生存期間中央値」を用いることが多いようです。

生存期間中央値とは、該当する病気にかかった患者さんの50%が亡くなるまでの期間。平均値ではなく中央値を使うのは、平均値だと計算で求めた値と実情が乖離(かいり)してしまう可能性があるからです。

仮に、同じ病気にかかった患者さんが5人いて、1人が1年で亡くなり、4人が2ヵ月で亡くなったとします。このとき、5人の余命の平均値を求めると、12か月+(2か月×4)÷5人=4か月。平均値は4か月ですが、5人中4人は2か月しか生きられなかったため、宣告した余命より短くなってしまいます

こういった誤差を避けるために、余命宣告では平均値ではなく中央値を使います。なお、告げられた余命の期間が短ければ実際の寿命との差は小さくなり、反対に余命の期間が長ければ実際の寿命との誤差が大きくなる傾向が強いです。

またがんにかかったときは、5年生存率が伝えられるときも。5年生存率とは、がんと診断された人の中で5年後に生存している割合によって計算されます。

余命宣告を受けたらどう過ごす?

余命宣告を受けたときの過ごし方と治療方針

もしも家族が余命宣告をされたら、絶対的な寿命ではないといえ、深い衝撃と悲しみを受けるでしょう。一方で、残された余命の過ごし方について、決断を迫られる場面が増えていきます。

差し当たって決めなければいけないのは医療との関わりです。余命宣告と同時に、医師からその後の治療をどうするのか決めるように促され、考える時間が与えられるケースがほとんど。治療方針を決めるにあたっては、医師から病気の原因は何か、今度どのように病気が進行していくか、どのような治療方法があるかなどの説明があると思います。まずは医師の説明をよく聞きましょう。

医師の説明を聞いたら、余命宣告を受けた本人と家族で相談します。主な治療方針は、「完治を目指す」「延命治療を行う」「緩和ケアを行う」の3つ。それぞれの治療方針について解説します。

完治を目指す

完治を目指す場合、さまざまな治療方法で病気の原因を取り除くことを目指します。外科手術や投薬の他、がんでは放射線治療や免疫療法などを試すことが多いです。

外科手術による身体への負担、投薬による副作用、医療に必要な費用などを考えると、身体的にも金銭的にも苦しい道になるかもしれません。また、余生の多くを病院で過ごす可能性もふまえて決断した方がよいでしょう。

延命治療を行う

延命治療は、病気の完治または根治ではなく、寿命を伸ばすことを目的にした治療です。「孫の顔を見たい」「子どもの結婚式に参加したい」など、数か月以内に予定されているイベントをむかえるために、延命治療を選択する方もいます。

延命治療の場合も、投薬による副作用があったり外科手術が必要になったりするかもしれません。病院で過ごす時間が増える可能性もあるため、考慮しておいてください。

緩和ケアを行う

緩和ケアとは、完治や延命を目指さず、病気による苦痛を少なくして穏やかな死に向かうように努める治療です。

病気の苦しみから解放されるので、日々の生活が楽になるうえに、入院せずに自宅で余生を過ごせるかもしれません。ご本人の容態によっては、外出や旅行などの思い出づくりも可能です。

あらかじめ医師と相談し、どのような治療が行われるのか、その結果どうなるのか、苦痛はどの程度なのかを確認します。そのうえで家族全員が話し合い、どの方法を選ぶか決めるようにしましょう。

余命宣告された人や家族の気持ちとは

余命宣告を受けた直後は、どうして病気になったのか、なぜよりによって自分の家族なのかと、運命を悲観してしまうかもしれません。

余命宣告を受けたら、まずは気を強くもつようにしてください。一時的に混乱するかもしれませんが、落ち着いて正常な判断ができる状態になってから今後のことを考えましょう。これから家族とどのように寄り添って生きていくのか、どうすれば一緒に充実した時間を過ごせるのか考えることで、気持ちが変わる方も多いです。

また、余命宣告は患者本人に行われるとは限りません。最近では少なくなったようですが、状況によっては、患者のいないところで家族だけが余命宣告を受ける可能性もあります。本人に伝えない場合、自分の余命を知らずに過ごす患者に対して、家族は最期まで内緒にし続けなければなりません。亡くなったあとに後悔することがないよう、告知する選択肢を考えたり、ケアしたりしてください。

余命宣告された人や家族の気持ちを知るヒント

いい葬儀を運営する鎌倉新書では、「今は亡きあの人へ伝えたい言葉」という名称で、遺族が亡くなった方への思いを綴ったお手紙をご紹介しています。なかには、余命宣告を受けて亡くなられた方へのお手紙もあり、家族の気持ちや状況を知るヒントになるかもしれません。

ぜひ一度読んでみてください。

余命宣告された家族にかける言葉・避ける言葉

余命宣告を受けると、本人だけでなく家族も、死への不安や恐怖、後悔などに襲われます。「かわいそう」だと必要以上に本人を憐れんだり、「病気になった原因は◯◯ではないか」とこれまでの生活を否定したりする言葉をかけてしまう方は少なくありません。

家族の皆さんも辛いとは思いますが、余命宣告をされた本人が誰よりも苦しいはず。患者本人の気持ちを最優先に考えて、配慮した発言を心がけましょう

気をつけるべきは、軽率な励ましをしないこと。「がんばってね」とむやみに応援したり、根拠なく「まだまだ生きられるよ」と言ったりすると、いらだちや怒りを感じる方も少なくありません。

また将来を悲観して、患者本人が否定的な言葉を使ったり、考え方が後ろ向きになったりするケースは多いです。こんなとき、ムリに前向きな言葉をかけるより、共感したり一緒に泣いたりした方が気持ちが楽になるかもしれません。その他、あえて言葉をかけないという選択肢もあります。

余命宣告されたらやるべき終活の準備

余命宣告後にしたい終活準備(生命保険の確認・相続の準備・葬儀の準備)

保険内容の確認

生命保険を契約しているなら、もしものときに備えて保険会社に連絡し、契約内容を確認します。あわせて、存命中に保険金を受け取れる特約をつけていないか、聞いておきましょう。

たとえば「リビングニーズ特約」は、余命6ヵ月以内の宣告を受けたときに死亡保険金の一部、または全額を存命中に受け取れます。医療費の支払いにも使えるため、治療の可能性が広がったり、これから先の人生を充実させたりするのに活用できるかもしれません。

相続の準備

相続トラブルを防ぐために、財産を確認して、誰に何を相続させるのか本人の意思を確認しておくといいでしょう。遺言書を用意して、遺言の形で残しておくのがおすすめです。

遺言書には自分で書く自筆証書遺言や、亡くなるまで内容を秘密にする秘密証書遺言、公証人が作成して管理する公正証書遺言などがあります。なお、エンディングノートに財産分割について書き残してもいいですが、法的拘束力がないので注意してください。

具体的には、相続財産の目録を作成し、借金があればその額を整理します。事業を行っている場合は財産確認が大変なので、状況に応じて弁護士、税理士、行政書士などに依頼しても構いません。

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葬儀の準備

もしできるなら、生きている間にお葬式について相談しておきたいところです。葬儀の形式、規模、コストなどを考えて、複数の葬儀社から見積りをとり、比較検討するのがおすすめ。

万が一のとき、スムーズに対応できるのはもちろん、費用をおさえてよりよい葬儀を実現できます。また本人や家族の希望にあわせたスタイルや進行、会場にすることも可能です。

また、臨終時に連絡したい人のリストを作っておくと安心。臨終を迎えたときの負担が減るだけでなく、本人が亡くなったことを伝えたい人へ漏れなく連絡できます。

その他:写真を撮る

葬儀経験者の話を伺うと、意外と多いのが「写真」に関する後悔。「もっと故人と一緒に写真を撮っておけばよかった」「遺影にふさわしい写真がなくて困った」というご遺族が多いです。

とくに男性は、男親と一緒に撮影した写真が極端に少なくなりやすいです。恥ずかしがらずに、ツーショットの写真を撮っておくと、後々いい思い出として残ります。

余命宣告を受けても希望を捨てないで

余命宣告は、受けた本人はもちろん、家族にも大きなショックを与えます。茫然自失となり、どうすればいいのかわからない方も少なくありません。

ムリに言葉をかけず、まずは患者本人が落ち着くのを待ちましょう。そのうえで、患者本人の余生のために、できることを探して行動に移すことが重要です。

治療方法や今後の過ごし方、相続や葬儀など、余命宣告を受けたあとに考えるべきことはたくさんあります。人生にどのくらいの時間が残されているかは、健康状態に関係なく、誰にもわかりません。

患者本人の心に寄り添いながら、よりよい時間を過ごすよう目指すのが大切ではないでしょうか。

余命宣告に関するよくある質問

家族が余命宣告を受けました。やるべき準備はありますか?

  • 保険内容の確認
  • 相続の準備
  • 葬儀の準備

余命宣告を受けたあと、本人と遺族がやるべき準備はこちら。もしものときに備えて、生命保険を確認したり、相続・葬儀の準備をはじめたりしておくと安心です。

葬儀の準備は何からはじめればいいですか?

葬儀の準備は、葬儀社選びからはじめるのがよいでしょう。お住まいの地域や参列者の人数、お葬式の形式などをふまえて葬儀社を探し、一度相談してみるのがおすすめです。

また「いい葬儀」では、葬儀に関する相談や複数の葬儀社の見積もり依頼が可能。まずは流れを確認したい、葬儀の費用相場を知りたい、お住まいの地域の葬儀社を紹介してほしいなど、ご希望にあわせて対応できますので、ぜひご活用ください。

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