キリスト教の葬儀とは

2018年3月21日

日本では仏式で葬儀を行う家が多いですが、故人や遺族がキリスト教を信仰している場合には、葬儀もキリスト教式で行います。葬儀そのものに対する考え方や趣旨が仏式とは異なり、マナーも仏式とは違います。ここでは、キリスト教の概要や、葬儀の内容について紹介します。

キリスト教とは仏教、イスラム教と並ぶ世界の三大宗教のひとつです。世界でもっとも信者の多い宗教といわれています。日本ではキリスト教を信仰している人は諸外国と比べて少なめですが、全国各地に教会があります。

キリスト教には多くの宗派がありますが、日本では主にカトリックとプロテスタントに大別されます。このほか正教会(東方正教会・ギリシア正教会)もあります。

カトリックとプロテスタントの違い

一般的に日本でカトリックというと、キリスト教の最大の教派、ローマカトリック教会を意味しています。最高指導者はローマ教皇です。カトリックという言葉そのものには、「普遍的」といった意味があります。

一方、プロテスタントというのは1つの宗派を指すものではありません。16世紀中ごろ、マルティン・ルターが中心になって起こった宗教改革以降、従来の伝統的なキリスト教から分かれる形でプロテスタントが誕生しました。これら、宗教改革後に伝統的なキリスト教から分離した宗派を総称してプロテスタントと呼びます。

神父はカトリック、牧師はプロテスタント

カトリックとプロテスタントの違いは、さまざまな面でも見られます。例えば、それぞれの教派の聖職者はカトリック教会の場合は司祭、または神父、プロテスタントの場合は牧師と呼ばれます。

神父というのは呼び名であって、司祭が正式な職名です。カトリック教会には、大主教、長司祭、司祭、輔祭というように、聖職者に序列があります。その序列における役職のひとつが司祭です。司祭になれるのは男性のみで、また司祭になると結婚は認められません。なお、カトリック教会だけでなく、正教会、東方正教会の聖職者も神父と呼びます。

これに対して、プロテスタントの聖職者、牧師は男女どちらでもなれます。結婚も特に制限されてはいません。

カトリックは修道院制度があり厳しい戒律がありますが、プロテスタントは宗派にもよりますが、全体的にみると、自由度は高い傾向にあるようです。

仏式と異なり、キリスト教式の葬儀は亡くなった人を供養し、冥福を祈るというものではありません。故人が生涯を全うしたことを神に報告し、感謝する礼拝としていう意味合いが強いです。

カトリックやプロテスタントなど教派によって、その考え方や葬儀そのものの流れにも違いがあります。カトリックの葬儀では故人の罪を祓い、神に受け入れられること、そして復活を祈るとされています。一方、プロテスタントの葬儀では神への感謝と遺族を慰めるためといわれています。

キリスト教式葬儀の一般的な流れは、通夜の集い(カトリック)または前夜式(プロテスタント)、葬儀・告別式の順に執り行います。カトリックでは司祭、プロテスタントでは牧師が世話役や進行役を務めます。

葬儀の会場は教会で行われることも多いですが、葬儀社の運営する葬祭ホールなどでも行われます。また、焼香やその代わりに行う献花は、欧米では行わない日本独自の風習と言われています。さらに仏式で葬儀の後に行われる法要は、キリスト教式では、追悼ミサと呼ばれています。

キリスト教式の葬儀

カトリックの葬儀の特徴と流れ

カトリックでの葬儀は大きく、通夜の集い、葬儀ミサ、そして告別式となります。

通夜の集いは一般的に、聖歌が歌われ、続いて聖書朗読・説教、通夜の祈り、焼香または献花、祈願という流れで行われます。

葬儀ミサは神父が棺に祈祷を行い、それに続いて遺族が入堂するところからはじまります。遺族が入堂した後に、棺に聖水を注ぐ、撒水を行います。

神父が聖書を朗読し、説教を行うことを言葉の典礼といいます。また感謝の典礼として、故人の親族が祭壇の上にパンと葡萄酒を捧げます。故人があの世で永遠の命を得られるように祈る目的で行うものです。

告別式は、参列者が故人に別れを告げるです。聖歌、故人の略歴の紹介、弔辞・弔電の奉読、献花などが行われます。

献花は最初に喪主が行い、次に遺族といった具合に、故人と縁の深い順に行います。仏式での焼香の順番とほぼ同じです。全員が献花し終えてから、最後に喪主があいさつを行います。告別式が終了した後は、出棺して火葬を行います。

カトリックの葬儀の一般的な流れ

  1. 祈祷
  2. 聖歌合唱
  3. 撒水(棺に聖水を注ぎます)
  4. 撒香
  5. 祈祷・神父の追悼説教
  6. 讃美歌合唱
  7. 弔辞・弔電の拝読
  8. 遺族代表挨拶
  9. 撒水
  10. 献花・讃美歌
  11. 出棺

*東京近郊の例です。お葬式の流れは地域や各教会によっても異なります。詳細は葬儀社の担当者にご確認ください。

プロテスタントの葬儀の特徴と流れ

プロテスタントの場合には、仏式での通夜式にあたるものとして前夜式を行います。葬儀の流れとしては、葬儀と告別式を明確に区別せず、一連のものとして行うことが多いようです。

式は参列者が先に入って待機しているところに、オルガンの演奏とともに牧師が入場し、続いて遺族が入場するというところからはじまります。遺族の中では、喪主が一番先に入場し、その後、全員が入場し終えたら牧師は聖書を朗読します。カトリックのように撒水は行いません。

牧師が聖書朗読を終えると、祈祷を捧げて全員で賛美歌を斉唱します。次に故人の簡単な紹介です。牧師が生前の故人の略歴を紹介。そして、説教を行います。説教の後は弔辞を読み弔電を紹介します。

その後黙祷を捧げますが、このときにオルガンを演奏するのがプロテスタントの葬儀では一般的のようです。続いて牧師が祈りを捧げて賛美歌を斉唱。最後に献花を行い、喪主が挨拶を行います。

プロテスタント の葬儀の一般的な流れ

  1. 前奏
  2. 讃美歌合唱
  3. 聖書朗読
  4. 祈祷
  5. 讃美歌斉唱
  6. 故人の略歴披露
  7. 葬儀の辞(説教)
  8. 牧師の祈祷
  9. 讃美歌斉唱
  10. 弔辞・弔電拝読
  11. 後奏
  12. 遺族代表挨拶
  13. 献花

*東京近郊の例です。お葬式の流れは地域や各教会によっても異なります。詳細は葬儀社の担当者にご確認ください。

キリスト教の葬儀の費用相場

キリスト教式で葬儀を行う場合の費用については、式場使用料やオルガン奏者へ支払う謝礼、生花代、教会への献金などが主な費用です。葬儀はそれぞれの地域などによっても異なりますので、詳しくは葬儀社に確認しましょう。

また、戒名がなく読経も行わないため、しばしば仏式と比べて宗教者への謝礼が高額ではないともいわれています。

ただし、宗教者への謝礼は、宗旨・宗派の教えだけでなくそれぞれの宗教法人、また宗教者と家族との関係によっても変化するものですので、一概には言えません。

キリスト教の法事・法要

法事・法要というのは仏式の儀式ですが、キリスト教にも法事・法要に相当する儀式があります。しかし、仏式のものとは行われる時期も、意味合いも異なります。

カトリックの場合には追悼ミサという儀式です。

故人の死後3日目と7日目、30日目に教会に集まって行います。死後1年後に行う仏式で言うところの一周忌にあたる儀式は死者記念ミサと言います。それ以外は特にミサを開催する決まりはありません。

プロテスタントの場合には自宅に牧師と親族、友人などを招いて記念集会を行います。行う時期は故人が亡くなってから1か月後です。

また、亡くなってから1年目、3年目、5年目、7年目の節目を昇天記念日としており、教会で追悼記念集会を開催します。

キリスト教の場合には、カトリックもプロテスタントも仏式の法事と比べると死後に親族が集まる機会は少なめです。

キリスト教式の葬儀の作法・マナー

キリスト教の葬儀は仏式と作法やマナーで異なる点がいくつかあります。仏式との違いを把握しておきましょう。

喪主のマナー

喪主を務める人はキリスト教の葬儀においても仏式とほとんど変わりません。配偶者や息子など、故人ともっとも縁の深い親族が喪主を務めます。

また、参列者の中にはキリスト教式の葬儀になじみのない方もいらっしゃいます。

聖歌や賛美歌、祈りの言葉など儀式の進行に必要なものは、葬儀社、または教会に用意してもらいましょう。

なお、教会へお礼を渡すときの表書きは、「お花料」「献金」とします。また司祭や牧師に対しては「御礼」とするのが一般的です。

参列者のマナー

参列者が特に気を付けなければならないマナーは、お悔やみの言葉を言わないことです。

この点が仏式との大きな違いでしょう。身近な人が亡くなれば悲しいのはキリスト教徒でも同じですが、死を不幸なことではなく、永遠の命の始まりと捉えます。

そのため、故人の死を悔やむ内容の言葉をかけるのではなく、あの世での安寧を祈る内容の言葉をかけるのがマナーです。

献花のマナー

献花の際には両手で花を受け取り、他の参列者たちにお辞儀をしてから献花台の方に歩いて行きます。他の参列者たちも一緒にお辞儀をしましょう。

花は茎の部分を左手で持ち花の部分に右手を添えて、花が自分の方を向くようにして持ちます。お辞儀をした後に献花台の方を向き、献花します。黙祷を捧げてから向きを変えて他の参列者たちに一礼します。

献花の向きについては、根の方を故人に、花を参列者の側に向けるといわれますが、場合によっては花を故人に向けるということもあります。式の中で葬儀の担当者の指示に従いましょう。

キリスト教式の葬儀の香典とその相場

仏式の葬儀では参列者が喪主に対して香典を渡しますが、キリスト教では香典はありません。代わりにお花料を渡します。香典と同じように不祝儀袋に入れますが、上の方に「御花料」または「御花代」と記します。また蓮の花の絵柄の入ったものは仏式に使われるものなので避けた方がよいでしょう。

下の方には自分の名前を書きます。夫婦の連名や団体などの名前でも問題ありません。この点に関しては香典と同じです。

金額の相場に関しては仏式の香典とほぼ変わりはありません

友人や知人などの場合には5,000円が一般的です。親族は叔父や叔母なら1~3万円、兄弟なら3~5万円、両親なら5~10万円くらいが相場です。

キリスト教式の葬儀に参列する時の服装

葬儀に参席するときの服装は仏式と大きな違いはありません。喪服を着て行くのが一般的です。

男性は礼服かダークスーツを着て、黒いネクタイを締め、黒い靴下を履きます。ワイシャツは白で無地のものを着ていきましょう。

女性は黒いワンピースやスーツです。派手なアクセサリーは避け、メイクも控え目しておくのが望ましいでしょう。

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