配偶者の死亡や家族の介護など、人生には困った!という場面もたくさん訪れます。
そんな時、あなたの助けになってくれるのが、社会保障制度です。
ただ、複雑な制度なので、ちょっとわかりにくい印象をもたれているかもしれません。
今回は、もしもの時に知っておくと絶対お得な社会保障制度について、ご説明します。
「貧乏」になりやすいライフイベントから救ってくれる?
社会保障制度とは、人生の中で、「貧乏」になりやすいライフイベントがいくつかありますが(病気、失業、配偶者の死亡、出産、介護など)、それらが起きた時に、保険の助けを借りて、「貧乏」状態になりにくくする制度です。
社会保障制度は、大きく分けて、社会保険と社会扶助があります。
元気なときに、毎月保険料を支払い、積立てておき、困った状態になったときに、援助してもらう仕組みです。これを社会保険と言います。
通常は、給与・年金から保険料として天引きされています。
種類としては、年金保険、健康保険、労働保険(雇用保険、労働者災害補償保険)、介護保険などがあります。
例えば、健康保険であれば、大病をして入院したとしても、もちろん自己負担はありますが(75歳一般であれば1割負担)、9割は医療保険でカバーされることになります。また、月毎の自己負担額が、一定限度額を超えれば、高額療養費を請求することもできます。
この社会保険のメリットは、支給要件が認められる状況になれば、金銭給付(中にはサービスが受けられるものもあります=これを現物給付という)が受けられることです。
デメリットとしては、保険に強制加入されること、保険料を滞納するとサービスが制限されてしまいます。
もしも「貧乏」になってしまったら?
一方、実際に「貧乏」になってしまって、生活することが難しくなれば、最低生活を保障するために、社会扶助から「生活保護」を受けることができます。
こちらは、税金で対応しますので、保険料などの支払いはありません(メリット)。
しかし、あらゆる手段を使っても、生活が難しいというのを証明するため、銀行口座を確認されたり、近親者に扶養するかどうかの照会などがあります(デメリット)。
なお、社会保険の保険料は、何歳まで支払うのかというと、年金は60歳まで(受給資格がなければ、資格が得られるまで、それ以降も支払えます)、雇用保険は65歳まで、健康保険/介護保険は死亡するまでとなります。
各制度についてまとめ
最後に、簡単に各制度について簡単にご説明します。
<年金保険>
良く住居に例えられますが、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金となっています。
厚生年金のほうが、支給される金額が一般的に多くなります。年金の目的は、所得保障になり、老齢、遺族、障害の3つの機能に分かれています。
65歳以上の所得を支える、大黒柱を失うことによる所得を支える、障がい者になったことによる所得を支えるとなっています。
<健康保険>
組合健康保険と国民健康保険に分かれます。また75歳以上は長寿医療制度(後期高齢者医療制度)に加入することになります。
医療が必要になった場合は、自己負担1~3割で医療サービスが受けられる仕組みです(現物給付)。
<労働保険>
雇用保険と労働者災害補償保険があります。
雇用保険は失業をしたときに、基本手当(一般に失業保険と呼ばれる)が支給されます。
労働者災害補償保険は、業務・通勤中の怪我、病気、障がい、死亡等について手当が支給されます。
なお、労働者災害補償保険は、雇用主のみ保険料を支払いますので、みなさんは保険料を支払いません。
<介護保険>
40歳から保険料を支払います(64歳まで健康保険料と一緒に、65歳以上年金から天引き)。
介護が必要になった場合に、自己負担1割(高所得者は2割)で介護サービスが受けられる仕組みです。
もしもの時に頼りにしたい社会保障制度。
困ったときは、1人で悩まず、役所や、社会保険労務士、社会福祉士、ケアマネージャーさんに、相談にしてみてください。
早わかり“社会保障制度”一覧表
この記事を書いた人
橋谷創(橋谷社会保険労務士事務所代表、株式会社ヴェリタ/社会保険労務士・介護福祉士)